「麻生総理」が見えてきた!

2007-02-18 10:47:04 | Weblog

 07年2月8日.『朝日』朝刊に載った『週刊新潮2月15日号』の広告の見出しにあった。

 裏を返せば、安倍内閣短期政権と見た近々の政局予想であろう。今夏の参院選で自民敗北と言うことになれば、責任を取る形で安倍退陣か、国民の信を問うと衆議院解散・総選挙に打って出るかの道がある。そこで自民敗北とまで行かなくても、議席を相当数減らすことになれば、退陣せざるを得ない。

 その後継内閣が麻生政権と言うことなら、政権交代論者にとってはうれしい予想となる。金権政治の象徴であった田中内閣退陣の後、自民党は金権色払拭を狙って清新イメージの三木武夫を担ぎ出すカモフラージュで逆境を凌いだが、柳の下にドジョウを狙って谷垣前財務相の担ぎ出しということになったら、したたかに自民政権維持ということになりかねない。例え息を吹き返した局面でかつての三木降ろしのように谷垣降ろしが始まったとしてもである。そこから再び延々と自民党政権が続くことになったら困る。何としても次は麻生に期待しないわけにはいかないだろう。

 因みに安倍内閣終焉への指標となるメディアの支持率調査を見てみる。最初にTBSのJNN(2月3日~4日の調査)の愛知県知事選、北九州市長選後の世論調査。

【安倍内閣支持率】
<不支持55・9%(+7・6ポイント)> 
 男性58・4%・女性53・6% 
<支持42・8%(-7・4ポイント)>
男性40・4%・女性45・0% 
<柳沢辞任すべき62%・辞任必要ない36%
<野党の審議拒否>
 支持する24%・支持しない71%
<政党支持率>
 自民 31・7% 先月比 -4・6ポイント
 民主 18・6% 先月比 -2・7ポイント
 支持政党なし 37・3% 先月比 +6・1ポイント
<参院選挙の趨勢>
 自民党中心の与党に勝って欲しい 39%
 民主党中心の野党に勝って欲しい 50%
 
 NHK世論調査 (07.2.13・放送)

【内閣支持率】
<支持しない 43%・支持する 41%>         
<支持する理由>
・人柄が信頼できる 31%
・他よりよさそう  31%
・支持政党だから  21%
<支持しない理由>
・政策が期待できない 41%
・実行力がない    35%
・支持政党でない    9%
<柳沢発言>
・辞任すべき     43%
・辞任の必要ない   32%
・どちらとも言えない 22%
<安倍内閣の対応について>
・辞めされるべき   38%
・妥当な対応     26%
・どちらとも言えない 33% 
<今の国会でどんなことを議論して欲しいか>
・「年金などの社会保障の問題」 44%
・「教育」           17%
・「格差」           13%
・「政治とカネ」        13%
・「憲法改正」            8%
* * * * * * * *
 世論調査に表れた兆候のうち何といっても一番は、「自民党中心の与党に勝って欲しい」の「39%」に「民主党中心の野党に勝って欲しい」の「50%」が11%も上回っていることだろう。この数字を維持しなければならないことは言うまでもない。

 また、NHKの調査で<今の国会でどんなことを議論して欲しいか>に対する回答として、「年金などの社会保障の問題」が「44%」と最も多く、これは2番目の「教育 17%」の次の3番目に重視している「格差」(13%)問題とも密接に絡んでいる。国民は第一番に〝生活確保(=生活保障)〟を求めているということだろう。

 だが、安倍首相は「成長戦略を進めて景気拡大を続け、果実を家計部門に広げる」(07.2.14.『朝日』朝刊・『「格差」正面対決』)と政策の優先順位を企業の景気拡大に置き、個人の生活を後回しとする、あるいは二の次とする政策を取っている。この国家中心主義とも言うべき政策は総理大臣たる安倍晋三政治の基盤を成す中心思想であるのは言うまでもなく、当然の結果性として、その順番は固定化されて、他の政策に於いても国が先、国民は次が常なる順位となる。

 〝景気拡大の果実〟を「家計部門に広げる」という国家中心主義の考え方を別の言葉で説明するなら、〝小〟より〝大〟の思想と言い替え可能となる。企業規模で言えば、中小企業よりも大企業を、国民一般で言えば、低所得者よりも中所得者を、中所得者よりも高所得者を上の順位に置くということだろう。
 
 国家優先・国民後回し(=二の次)、あるいは〝小〟より〝大〟の政策は野党の最低賃金上げの要求に対して、受け入れた場合、労働コスト増が生じて中小企業を中心に経営が圧迫されて国の経済全体が縮小し、ひいては国民の生活に悪影響を及ぼすからと受け入れに反対する姿勢により象徴的に表れている。個人消費が増えて、企業利益に還元されるという考え(内需拡大)も成り立つのだが、あくまでも上から下への政策に拘っている。
 
 郵政造反組の復党や佐田前行革相辞任原因となった政治とカネの問題だけではなく、国民の期待に反する国家優先・国民後回、あるいは〝小〟より〝大〟の政策が反映されることとなった支持率低下現象でもあろう。

 それがJNN世論調査では「自民党中心の与党に勝って欲しい 39%」と「民主党中心の野党に勝って欲しい 50%」の対比となって表れ、NHK世論調査の安倍内閣不支持理由として、「政策が期待できない 41%」、「実行力がない 35%」となって表れているはずである。
いずれにしても安倍内閣がジリ貧状態で支持率を下げていき、参院選で大敗を喫する、麻生待望論が持ち上がって、人間も軽い、考えも軽い麻生内閣誕生という流れとなれば、政権交代の可能性はますます膨らんでくる。

 以前、「創氏改名は朝鮮の人たちが『名字をくれ』と言ったのがそもそもの始まりだ」と大真面目に口にしたズサンな頭脳の持ち主である。これは日本の総理大臣には重要な、安倍総理とどっちつかずの資質で、大いに期待できるのではないだろうか。

 アメリカのイラク政策に関しても、「ドンパチやって占領した後のオペレーションとして非常に幼稚なもので、なかなかうまくいかなかったから今ももめている」と言っていたが、「ドンパチ」という表現は街のアンチャンが好んで使う言葉ではなく、日本の政治家でなければ使わない言葉で、このことを以てしても、日本の宰相となるにふさわしい言葉の才能を持った大人物と確実に言える。

 与党が野党攻撃の一つとして、批判ばかりしていないで対案を出せを常套手段としているが、その言葉そっくり返すとしたら、「ドンパチ」やらずに済むアイデアを出せということになる。精々「ドンパチ」なる言葉を紡ぎ出す程度のことしかできないのだろう。

 07年1月17日の『朝日』夕刊『麻生氏激怒「マナー違反」 発言暴露の谷垣氏に』の記事も、麻生太郎が日本の次期総理大臣にふさわしい資質の持ち主だということを伝えている。

 「口は災いの元――。麻生外相は16日の閣議後会見で、自民党谷垣派会長の谷垣貞一前財務相が『俺に先に(総理を)やらせろ』という麻生氏の発言を暴露したことについて。『マナーとしていかがなものか』と不快感をあらわにした。谷垣氏は15日の講演で、麻生氏から『安倍(首相)に刃向かってできると思っているのか。だから俺と手を組もう』などと、派閥連携を打診されたことを明らかにしていた。
 麻生氏は会見で『こっちに対する返事をもらっていない』と発言内容を事実上認めた形だが、『その話を全然関係ないところでしゃべって、こっちにはまだ答を言っていない。普通じゃちょっと考えられん』と怒り心頭の様子だった。また、森元首相も16日の講演で、『(谷垣氏を)筋が通った政治家だなと見ていたが、これから彼に本当の話はしなくなる』と麻生氏をかばった。」

 いわば、麻生太郎こそが「筋の通った政治家」だというお墨付きを自民党最大派閥の前会長、陰の実力者たる「神の国」発言の森元首相から有り難くも戴いたのである。最大派閥からは安倍首相は首相職を受ける都合から離れているが、準構成員の立場にあるのは確実で、麻生が言う「安倍に刃向かってできると思っているのか」は、安倍個人だけではなく、その背後に控えている最大派閥の頭数も計算に入れての強要であることは間違いない。森が言う「筋が通った」にしても、政治家が何事も裏で事を運ぶ姿勢のことだなどと言うのは日本という国では野暮な邪推に入るからあげつらうべきではないだろう。

 だが、何よりも民主主義のルールに則って政策と投票を通して決すべき事柄を「俺に先に(総理を)やらせろ」と個人的な交渉事項とするのは、ウラ取引・談合の類に変えることであって、そのマナー術、あるいは民主主義意識にしても総理大臣となるにふさわしい誉むべき才能と言えるのではないだろか。

 国民が自民党の次の総裁は誰になるのだろう、投票の決着はどうつくのだろうかと固唾を呑んで推移を見守っている状況を裏切って既にウラで話し合いがついていた、出来合いレースだった、そのことに気づかれないように真面目な顔を装って所信表明したり政策論争したりする、新聞・テレビの世論調査を蚊に刺されたほどの痒みも感じず、腹の中で知らないのはお前らだけだと笑いたくなるのをぐっと堪えて真面目腐った顔で粛々と万歳三唱のフィナーレまで持っていく。日本という民主国家にふさわしいなかなか面白いシナリオではないか。

 谷垣発言をより詳しく知りたいと思ってインタネットで調べているうちに「Yahoo!みんなの政治」に2007年1月29日発行の朝日新聞『AERA』の『谷垣の密約バラスメント』(ライター 永田十三)なる記事が出ていた。要旨をかいつまんで説明すると、先ず谷垣の発言は次のようになっている。

 「あまり単純化すると麻生さんに怒られるかもしれないが、『俺と一緒に組んでやろうぜ』というのが麻生さんの議論。ただ条件はひとつ。『俺に先にやらせろ』が麻生さんの条件」

 記者はこの谷垣発言を「かつての麻生氏のお株を奪う『失言』だった」としている。解釈は人それぞれで色々と成り立つが、その理由は麻生・谷垣の「サシの会談は昨年2回あった」ということで、1回目は色々と内幕を解説した上で「谷垣氏が漏らした通り『俺に先にやらせろ』と麻生氏がその席で語ったとすればそれはとりもなおさず、『大宏池会の統一候補は俺でいいだろう』という意味になる」と「俺に先に」は〝総理・総裁〟のことではないと解釈している。

 次の「2回目は安倍政権発足後2カ月の時期であり、内閣支持率も急落する前で、『ポスト安倍』話などまだまだ絵空事の時期だった。従って『俺に先にやらせろ』というのも、『大宏池会の会長は俺でいいだろう』という意味になるのである。」と上記解釈をそのまま踏んでいる。

 だから記事の題名を「バラスメント」と、日本語の〝ばらす〟という負の行動を示す言葉にこれも負のイメージを持った〝ハラスメント〟(嫌がらせ)という英語と重ね合わせたのだろう。

 だが、「大宏池会の会長」とは内閣支持率の推移とは関係なしに、総理・総裁を最終駅とすると、その一歩手前の駅に擬えることができる次へのステップと把えているはずである。先方に総理総裁を見据えた「俺に先にやらせろ」と言うことであろう。「大宏池会の会長」を終着駅と見据えて、「俺に先にやらせろ」ではあるまい。また、政治的資質からも、人格性からも次期総理・総裁に最もふさわしい麻生太郎である。何が何でも総理総裁を「俺に先にやらせろ」であって欲しいし、そうでなくてなならない。

 記事の結論は、「さて谷垣氏の告白、薄れるばかりの存在感を何とか示そうとしたとか、大宏池会構想の主導権争いで麻生氏を牽制したとか、解説は多々あれど、残ったのは覆水盆に返らずのたとえ通り、恩讐を超えて派閥が再団結する難しさを改めて浮き彫りにしただけである。慎重居士でなる谷垣氏の、かつての麻生氏のお株を奪う「失言」だったと言うよりほかない。」としているが、この解釈は安倍の次は麻生だという流れをより確実とする解釈ともなり得る。日本のためには、いわば政権交代の誘い水として、ますます結構な解釈ではないだろうか。早く次は麻生で決まりと決着がついてもらいたいものである。


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