5月10日のブログ記事――《福島瑞穂の在沖縄米海兵隊抑止力の視野狭窄な矮小化》に対して、次のようなコメントをいただき、記事の形で答えることにした。
2010-05-15 23:39:54
素朴な疑問を持ちました。
じゃ 在外日本人が政変に巻き込まれて、生命の危険にさらされた時、誰が救出に行くのでしょうか?
民間機を使うのは難しい状況もあるでしょう。
エンデベ作戦は無理としても、航空自衛隊の輸送機や政府専用機(パイロット・スタッフは自衛官)を飛ばして、自国民を救うのが、国の役目では?
以下回答
イラク特措法は武力行使を禁止し、活動地域を非戦闘地域に限定しています。憲法9条に抵触しないための措置のはずです。
イラクに人道復興支援目的で自衛隊を派遣したとき、色々と議論がありました。武力不行使としていながら、自動拳銃、機関拳銃、小銃、機関銃、少し破壊力があるものとして、手動、単発の無反動砲等を携行させています。その矛盾をクリアするために小規模な武器携行だとし、“非戦闘地域”という名目で派遣していますが、地域の治安をイギリス軍やオランダ軍等の多国籍軍が担った、言ってみれば彼らが非戦闘地域としてくれている状況下での派遣です。
憲法9条によって、それが限界ということなのでしょう。戦争状態の外国への自衛隊派遣や海外の邦人救出等に限って言えば、例え自民党の石破が「日本の自衛隊が、今の憲法の範囲内で出来ることがたくさんあるんじゃないんですか」と言っていたとしてもです。
海外の邦人救出に小規模の武器を携行させたとしても、その使用に関しては使用を想定せずに済み、いわば戦闘行為を想定せずに済んで、憲法9条の枠内の武力不行使で自衛隊機を派遣して救出可能なら、民間機でも救出可能のはずです。
戦闘行為に巻き込まれる危険があるからと民間機の派遣は無謀だと見送られて、自衛隊機を送った場合、既にそこは“非戦闘地域”とは言えなくなり、“非戦闘地域”への派遣だと認めさせるために武器携行を小規模にとどめたとしても、多国籍軍が治安を担っていたイラクのサマーワと違ってそれで戦闘行為に巻き込まれないことが保証されるわけではなく、当然、武力不行使の保証も失う。
救出自衛隊機が攻撃を受けないようにするためには、当該国の軍隊展開地域への前以ての爆撃も必要になる場合も生じます。あるいは敵国戦闘機の直接の攻撃を防御するために救出機掩護の戦闘機を同行させる必要も生じるかもしれません。
自衛隊法をどういじったとしても、憲法9条をクリアできるのですか。
自衛隊オタクの石破は単に自衛隊機を出したいだけでしょう。一旦自衛隊機を出すことができれば、それを突破口として救援機への攻撃阻止を謳って援護の戦闘機をつける。国民の生命・財産を守るためだという口実を設ければ、国民は憲法9条はそのままだ、例外だと認める可能性も期待できる。
要するに憲法9条をクリアするために今までのように自衛隊法でゴマカシゴマカシやっていくということです。但し、憲法9条に手をつけずに、どこまで誤魔化せるかです。
海外邦人の救出に戦闘行為に巻き込まれる危険を冒して、戦闘地域に自衛隊機派遣を可能とする憲法9条のゴマカシが間に合わず、邦人救出ができない事態が生じたとしたら、それは政治がこれまで誤魔化してきたツケでしかないと思います。
私自身は憲法9条を改正し、集団的自衛権も認めるべきだという改憲派です。先進民主国家として世界の平和維持のために戦争地域・紛争地域に自衛隊を派遣し、他の先進国と共に戦い、先進民主国家としての責務を果たすべきだと考えています。
そうしなければいつまで経っても欧米先進国と肩を並べることはできないと思っています。
先進国家としての責務をゴマカシゴマカシ凌いでいくから、欧米から信用されない。日本国民の大多数が9条を守るとするなら、それはそれでいいと思います。但しあの手この手で9条を誤魔化すべきではないと思います。先進国家としての責任を果たせませんとバンザイし、例えどのように蔑まれようと、経済的利益の追求のみに走る。
政治が誤魔化してくれているから、国民は憲法9条に安住していられる。朝鮮戦争にしても、ベトナム戦争にしても、イラク戦争にしても憲法9条下で、実際には日本は参戦しているのです。攻撃基地として、兵站補給基地として、兵士と兵器の輸送基地として。
その上、日本は朝鮮戦争特需の恩恵を受けて戦前の鉱工業生産水準にまで一挙に復活して高度経済成長へのスタートを切り、ベトナム戦争特需で成長を確かなものとしていった。
特需は“準参戦”のご褒美だったのです。
それを象徴するのが世界のトヨタです。当時トヨタは倒産しかかっていて、朝鮮戦争で故障したアメリカ軍のジープや軍用トラックの修理、のちにはライセンス生産等で息を吹き返して世界のトヨタへと発展していった。
靖国の国のために尊い命を犠牲にした英霊たちが日本の戦後復興の礎となったというのは真っ赤なウソ。
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