菅首相の子ども手当「びっくり」発言を言い替えるウソつきにビックリ

2011-03-01 10:59:25 | Weblog


 

 2月24日当ブログ記事――《菅首相が言うようにニュージーランド地震救援隊派遣は果して迅速な対応だったのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に対して、「コメント」で日本の国際救援隊の出発日時が「24日午後2時半」となっているが、「23日午後2時半」の間違いではないかと指摘があり、間違っていたので訂正し、謝罪します。

 記事全体の趣旨に大きな相違はないと思いますが、関心のある読者は確かめてみてください。
 
 2月24日の衆院本会議で社民党阿部知子議員の質問に答えて菅首相が子ども手当2万6千円の金額を小沢代表が打ち出したことに当時「びっくりした」と答弁した自らの発言を4日後の2月28日に訂正した。《首相、子ども手当「びっくり」発言に「思い切った政策という意味」釈明》MSN産経/2011.2.28 11:48)

 28日午前の衆院予算委員会、斉藤鉄夫公明党議員の質問に対する答弁の中で飛び出したという。

 菅首相「思い切って大きな政策として出されるんだな、とそういう意味でびっくりしたと率直な感想を申し上げた」

 この釈明が事実かどうかは菅首相の人格と責任感に深く関係してくる。事実か否かによって自身の言葉の重み、言葉に対する責任の度合いを計ることができるからだ。

 「思い切って大きな政策として出され」たには反対や拒絶意識とは正反対の肯定的な感嘆の思いが込められているはずだ。当然、「びっくりした」の驚きの感情も肯定的は感嘆の思いから発した驚きでなければならない。

 先ず、少々長くなるが、正確を期すために阿部知子議員と菅首相の質疑答弁を衆議院の動画から文字化してみる。
 
 社民党阿部知子議員(2011年2月24日衆院本会議質問)

 阿部知子「社会民主党市民連合を代表して、ただ今議題となりました、平成23年度に於ける子ども手当の普及等に関する法律案について、質問を行います。

 長い間我が国の社会保障政策の中で、重点の置かれることのなかった子供施策について、一昨年の政権交代によって、子供たち一人ひとりの育ちを社会全体で応援する子ども手当が誕生したことは、高く評価したいと思います。

 しかし、1年を経た今日、国会で行われる議論のみならず、国民の中からも少なからぬ批判の声が寄せられている事態を、果して子供たちはどう思っているのか、大変懸念する者です。

 そこで冒頭菅総理に、先ず、この子供たちにどんなメッセージを送るのか、ご自身の言葉で語りかけて欲しいと思います。

 次に本来、広く支持されるべき子供の支援策を巡って、かかる混乱が生じていることの原因は、政府として国民に対しての十分な説明責任を果たしておらず、また地方自治体を始め、関係者との協議やお互いの役割の分担、協力を得る努力が不足していることにあると思いますが、どうお考えですか。

 子供は日々成長し、子育てには継続性が大切ですが、政府案は毎年毎年の単年度立法です。子育ち・子育て支援のグランドデザインのないまま、ツギハギだらけで、来年はどうなるか分からないままに、国民は不安、地方自治体は不信を抱いております。

 ここは先ず総理として、現実の財政状況の中で、民主党が掲げる満額2万6千円の給付は当面不可能であること、一方、既に給付されている1万3千円は来年度以降、全額国の責任に於いて給付することを明言されるべきと考えますが、如何ですか。

 そもそも昨年度の子ども手当でも、これまでの児童手当のスキームを取り込んで、全額国庫負担を謳いながら、地方負担を残すことになったとことに自治体からは多数異論が出されました。おまけに控除から手当てという方針の中で、本来地方の自主財源である、住民税の控除廃止による増収分を国の歳入とすることで、さらに反発が強まったと思います。24年度から、満額2万6千円にできないなら、住民税控除の廃止は凍結してはどうですか。

 さらに昨年度の子ども手当の成立に当たっての付帯決議では、上積み分については地域の実情に応じて、現物支給に替えることを約束したにも関わらず、今回は3歳未満の2万円の増額を先行させました。別途500億円の交付金を新たに設けたと言いますが、このうち新たに地方独自の、子供育て支援サービスに使えるのは、僅か80億円、各自治体に分けると、500万円にしかなりません。

 3歳未満に於いて要望の強い、保育所の増設、運営支援も極めて手薄です。子育て支援で大切なことは現物給付と現金給付のバランスと、地域の実情に応じたキメ細かなサービスですから、3歳未満の上乗せをするよりも、約束どおり、地方独自の現物支給サービスの充実に財源をまわすべきです。それによって、保育料は勿論のこと、就学援助費や給食費の支援など、子供の貧困対策をもっと充実できます。総理のお考えを伺います。

 さらに社民党は今回の3歳未満の増額のために成年扶養控除の廃止・縮減が行われることに強い憤りを覚えます。そもそも住民税の扶養控除の廃止や今回の成年扶養控除の縮減・廃止は民主党のマニフェストにもなく、家計と家族に与える影響も多大です。各種保険料や保育料の負担増に加え、520万人に上る成年扶養控除対象者に皺寄せする遣り方は、『国民の生活第一』とはとても思えません。見直すべきだと考えますが、どうですか。

 目先の給付金の整合性のみに囚われ、財源漁りにも等しい遣り方では、国民が祝福される子ども手当にはなりません。引きこもりやニートなどの状態に陥る青年は200万人とも300万人とも言われ、自立や就労に向けた十分な支援策がないままに、必至に支える家族から扶養控除を外してしまうことは、最小不幸社会や不条理を通り越して、社会的な切捨てにも等しいと思いますた、如何ですか。

 子供生活と若者生活は一貫した連続性の中に理念と哲学を持って断固として取り組まれるべきものです。先ず子供一人ひとりの子供台帳を作り、まさにパーソナルサポートとして、一人の人間の成長を支える。総理には果してその決意がおありですか。

 以上、この国に生れ育つ子どもらの世界一の幸せを願って、私の質問といたします」

 菅首相「小児科医として、子どもをたくさん、えー…、触れられて、あの、色々と関わってこられた、阿部、知子、おー、議員に、お答えをさせていただきます。

 先ず、子ども、おー、たちへのメッセージということであります。ま、昔から、アー、子は、色んな意味で社会の宝と、おー、言われます。私も、ま、あらゆる生物そうでありますけれども、自分たちは親から自分に引き継ぎ、自分たちから子どもに引き継いでいくのでありますので、まさに、イー…、子どもは宝であり、希望であり、未来への力だと、おー、シューゼンファースト(意味不明)と言う形で、社会全体で子どもたちが健やかに育ち、次ぎの時代の担い手となって、えー、いってもらいたい、このように考えております。

 次に、えー…、自治体や、あー、国民への説明責任について、ご説明をいただきました。平成23年度の子ども手当の制度設計に当たっては、国と地方の協議の場での議論や、厚生大臣と地方団体の代表者との意見交換など地方との協議に努め、地方側の意向も踏まえた、検討を行ってきたところであります。

 最終的には今年度と同様に、子ども手当創設前からある、児童手当の地方負担分については、従前どおりとしておりますが、それ以外については上積み分を含め、全額国費で対応したものであります。政府としては先ず、うー、地方自治体などにご理解をいただけるよう、子ども手当の趣旨等について、よく説明をしてまいりたいと、このように考えております。

 来年度以降についての子ども手当についてのご質問をいただきました。え、マニフェストは国民との約束であり、子ども手当も含めて、引き続きその実現に向けて取り組んでいくのが基本的だと考えております。

 えー、阿部、えー議員の方からは、えー、2万6千円というのは当面不可能ではないかというご指摘をいただきました。えー、私も、おー、この議論がなされている、うー、ちょうど小沢代表の当時、えー、この2万6千円、ということを聞いたときに、一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えております。

 ま、しかし、イー、何とか、あー、頑張って、無駄の経費を、抑えていこうということで、えー、この、おー、マニフェストに、イー……、盛り込み、エ、そして、現実に、1万3千円の、おー…、この、おー…、ものを、実行しているところであります。そして来年度については、あー、3歳児まで、えー、2万円というところまで、やってまいりました。

 え、今後については、いつも申し上げておりますように、えー、任期の半ばを、9月に迎えますので、えー、この現物給付のあり方を、おー、含めて、えー、検証を行っていく(委員長「ご静粛に」)。えー、その検証の中では、この子ども手当についてもですね、多くの皆さんの意見を聞きながら、あー、しっかりと検証を行って、えー、まいりたいと、このように、考えております。

 えー、次に、イー、住民税の、扶養控除についてご質問をいただきました。えー、住民税の不法向上の廃止は所得税に置いて、扶養控除の廃止が行われることに伴い、税制改正上の整合性や地方自治体等からの要望をを踏まえ、所得税と同様に廃止することとしたもので、あり、適切な対応と考えております。

 子育て支援に於ける現物サービスの、おー、充実に関する質問をいただきました。子育て支援、え、施策に尽きては、現金給付と共に現物給付の充実が重要であるため、地域実情に応じた現物サービスを、拡充するため、エ、500億円の交付税を設け、エ、ました。また、保育所の受け入れ児童数を約、5万人増やすための、保育所の運営費の拡充を行ったところであります。

 地方財政計画に子どもの、ための、ア、子どもの現物サービスのための、特別枠を新たに設け、地方公共、お、地方交付税に、1千億円を加算、えー、する、などの対応を講じ、現物給付を拡充して現金給付とのバランスを取るようはいじをして(配置?配慮?の言い間違えか)おります。いずれにしろ、社会保障制度を、抜本的に改革する中で、子ども・子育て支援による、未来への投資を、基本原則の一つとして、子育て世帯への将来、子ども世代の将来への安心を高めてまいりたいと考えております。
 
 成年扶養控除の見直しについての質問をいただきました。えー、扶養控除の見直しについては、マニフェストに記載しており、成年扶養控除について、本来、成年…者が、基本的に独立して生計を立てるべき存在であることなどを踏まえ、その対象を見直すことと、もので、あー、あります。

 えー、その際、えー、ご指摘のように、社会的な切り捨てということにはならないように、障害者や、あー、高齢者などについては、控除を存続し、所得制限についても、平均的な所得を上回る水準に設定するなど、広範な方について負担増にならないよう、配慮しているところであります。

 また、成年、えー、えー、扶養控除の対象から外れることになる方については、求職者支援制度の創設など、自立支援や就労支援等の、施策により、キメ細かく対応しているところであります。

 次に子どものパーソナルサポートについての質問をいただきました。子育ての支援については、様々な分野の機関が連携をして、継続的に子どもやその家庭を支援することが重要と考えております。そのため、生後4カ月までの乳児がいるすべての家庭を訪問する事業を進めると共に、地域の福祉や教育などの、関係機関が情報を共有し、連携する、子どもを守る地域ネットワークの設置を進めているところであります。

 これらの事業を通じて、必要な情報を集積し、関係者が考え方を共有することとしており、今後とも支援を要する子どもや、その家族への、おー、継続的な支援を進めてまいりたいと考えております。

 えー、以上、おー、ご質問にお答えをいたしました」
 

 「マニフェストは国民との約束であり」とは、盗人猛々しい発言であろう。菅首相自身がそう受け止めていたなら、今さら「びっくりした」と言った発言は飛び出さなかったはずだ。腹を括って実現に努力しているだろう。

 菅首相の答弁が原稿を読みながらのものであっても、「あー」とか、「えー」を間に挟んでスムーズでない話し方になるのは、もし自身の頭に入っていて、自身が書き上げた原稿ならば、次の文字が予測可能となって、そうそう突っかえることはないはずだが、官僚、その他の他人が書いた原稿の場合は全体的に頭に入っている事柄であっても原稿どおりに答弁を成り立たせるためには順を追って活字を読み上げることになるから、老眼鏡をかけなくても読める程度に文字を大きくしてあったとしても、視線を前に向けたりする間に次の文字を探しあぐねて「えー」、「あー」を入れることになるのではないだろうか。

 このことは常に持論としていることを話すときは滔々と喋る、その落差が大きいことが証明している。

 原稿を読んでいるときではない「えー」、「あー」の多様は相手の追及を誤魔化したり、言い逃れたり、責任を他人に押し付けるときが殆んどで、余程のウソつきと言うわけではないから、次ぎの言葉を探すのに苦労して「えー」、「あー」を多用することになる。

 このような状態が最も現れた場面が「一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えております」と言った後の、その発言の意味を説明する箇所であろう。前後の発言との滑らかさを比較すれば、一目瞭然である。

 この一事を以てしても、「一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えております」と言った後の意味説明が如何に怪しいか分かる。

 いずれにしても原稿を読み上げての阿部議員に対する答弁の殆んどは淡々と読み上げるだけの事務的片付けとなっている。当然、誠意を感じ取ることはできない。

 こういった姿勢が与える印象も菅首相自身による第三者向けの情報発信となっていることに本人は気づいていないのだろう。テレビに出るか、どこかに出かけて喋ることが情報発信だと思っている。

 阿部知子議員が、「現実の財政状況の中で、民主党が掲げる満額2万6千円の給付は当面不可能ではないかと問い質した。対して菅首相は「阿部議員の方からは2万6千円というのは当面不可能ではないかというご指摘をいただきました。私も、この議論がなされているちょうど小沢代表の当時、この2万6千円、ということを聞いたときに、一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えております」と答えた。

 いわば相手の「不可能」の指摘を受けた答弁なのだから、不可能か可能かのいずれかの趣旨の発言内容となる。当然、「一瞬ちょっとびっくりした」ということなら、不可能の思いを込めた発言となる。その逆はあり得ない。

 だから野党議員も、民主党内の一部議員もマスコミも、当時不可能と受け止めたと解釈した。

 釈明しているように肯定的な感嘆の思いからの驚き、「びっくり」とは違うもの、似て非なるものである。

 菅首相は当時代表代行として、2万6千円は「不可能」と思い、一瞬びっくりした。だが、 「何とか頑張って、無駄の経費を抑えていこうということで(申し合わせて)、このマニフェストに盛り込」んだということであろう。

 いわば、実行不可能ではないかと「一瞬ちょっとびっくりした」ものの、申し合わせによって自身も承諾し、納得したのである。

 それを阿部知子議員の、満額2万6千円の給付は当面不可能ではないかの指摘に対して「一瞬ちょっとびっくりした」と答えたのは「思い切って大きな政策として出されるんだな、とそういう意味でびっくりした」ことと、さも肯定的に感嘆したかのように誤魔化す。

 もし事実「思い切って大きな政策として出された」2万6千円なら、「何とか頑張って、無駄の経費を抑えていこう」といったムダ削減に向けた申し合わせではなく、「思い切って大きな政策」を打ち出した感嘆から生じた高揚感で以て「無駄の経費を抑えて、何とか頑張って」実現しようという、子ども手当満額2万6千円の実現に向けた申し合わせになったはずだ。

 また、菅首相は「びっくり」発言をした2月24日夜の首相官邸での慣例となっているぶら下がりで、記者にその真意を問われて、菅首相は「いや、言葉通り、当時その話を聞いたときに、びっくりしたというのを覚えていたものですから。当時の感想です」asahi.com) と言ったのみで、「思い切って大きな政策」は一言も触れていない。「思い切って大きな政策として出され」たが事実「当時の感想」であるなら、少なくともその夜の首相官邸でのぶら下がりで説明していていいはずであるが、「言葉通り」という言葉まで使って、昼間の国会での答弁同様の言い回しで説明したに過ぎない。

 また昨2009年9月1日の民主党代表選の共同記者会見で消費税に関して次のように発言している。

 菅首相「このマニフェストを作られた当時、小沢さんが代表でありまして、私も、例えば従来の5%の消費税から、3%プラスしようという議論が以前はありましたけれども、それをやめて5%のままでいくといった議論がありましたので、本当に財源は大丈夫ですかということをいろんな関係者にお尋ねをいたしました。そのときにお答えは、大丈夫だと。政権をとれば、カネなんて出てくるんだからと。こういうふうにお答えをいただいたと思っております。私たちもそう考えて徹底的に事業仕分け等を進めてきております。しかし、初年度においては、必ずしもすべてのお約束を実行するまでの財源に至りませんでしたので、そこでガソリン税については、その理由を当時の鳩山(由紀夫)首相のほうから説明をされて、現状の税率にとどめたということもあるわけであります」(MSN産経
 
 この消費税に関してだけではなく、マニフェスト実行の財源に関して、小沢氏が「政権をとれば、カネなんて出てくるんだからと言った」と責任転嫁とまで言わなくても、財源問題の責任は小沢氏にあるといった発言を何度かしている。

 この財源の責任は自身にない、責任はマニフェスト制作の小沢氏にあると常に見せていた態度からも、「びっくり」発言が「思い切って大きな政策として出されるんだな、とそういう意味でびっくりした」の驚きではなく、当時実現は不可能と見ていたのだとすることで、この場に及んで小沢氏に責任転嫁し、満額2万6千円が実行できないことの正当化の方便にしようとしたことは明々白々である。

 言葉が軽い、言葉が重くない。自身の言葉に責任を持たないから、平気で言い換えて責任逃れに走る。

 こういった場面は一度や二度のことではない。


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