「男女格差」指数/日本98位は日本の四季折々と同じくごく自然な美しい風景

2008-12-03 08:06:33 | Weblog

 11月13日(08年)の「毎日jp」記事が、スイスの民間研究機関・世界経済フォーラムが12日、世界130カ国の男女格差に関する指数を発表、男女平等に最も近いのはノルウェーで、フィンランド、スウェーデンなどの北欧勢が続いたが、日本は前年の91位から98位へと後退したと伝えていた。

 「ビジネスや政治で決定権を持つポストへの進出度や、教育機会の均等平均寿命などについて、国連統計などを基に算出した」ものだという。

 「平均寿命」も大切な社会的要素だが、何よりも「決定権を持つポストへの進出度」「教育機会の均等」は欠かすことのできない男女が共に生きていくための重要な社会的要素のはずである。

 上記記事は引き続いて次のようにも伝えている。

 「日本は、教育や保健分野では格差が比較的少なかったが、経済や政治での女性の進出度がいずれも100位を下回った。アジアではフィリピンが6位で最高。中国は57位、韓国は108位だった。」――

 「教育や保健」分野はその職に就く足がかりに関しては試験が決定権を持つゆえに男女相互に関する許容意識から離れた個人性に負うところが多いが、「経済や政治」の分野はその許容意識が日本人の行動様式であり思考様式となっている権威主義に支配され、全体的には女性に対して閉ざさている状態を受けた“男女格差”といったところではないだろうか。

 日本人の権威主義は男女の才能・能力に関しては元々は男に権威を与え、女性には権威を与えない男尊女卑の上下・優劣意識によって成り立っていた。戦後、アメリカ型民主主義の洗礼を受けたものの、自ら獲ち取った存在性ではないために薄まってはいても、尾を引いている性差意識であろう。

 日本の四季折々が外来植物や外来生物の影響、あるいは温暖化の影響は受けても日本の自然として残っているのと同じく、日本の権威主義からの男尊女卑は戦後民主主義の影響を受けても日本の自然な男女不平等、あるいは自然な男女格差として残っている社会の姿なのだろう。

 「教育や保健」分野での男女進出を「その職に就く足がかりに関しては」と条件をつけたのは、教員の男女比率が上級学校に行く程、あるいは上位地位(管理職)に向かう程、少なくなって男女不平等の傾向を示すからである。

 「教員の男女比率」に関しては「教員――Wikipedia」の記述が証明している。

 <教員男女比率

 大学を除く幼稚園・小学校・中学校・高等学校における男性教師と女性教師の人数は男性教師のほうが多い。保育士は女性のほうが多いが保育士は教師ではないので除く。

 教師全体の割合は男性教師6割:女性教師3~4割。

 但し、幼稚園・小中学校・高校全てがこの割合ではなく、あくまで全体的な割合である。全体的に見ると女性教師は幼稚園、小学校、中学校と上がっていくごとに減っていく傾向がある。

 女性教師が一番多く勤務しているのが幼稚園で、次が小学校である。幼稚園では女性教師の割合のほうが高く、小学校では男女半々か男性教師が若干多めの人数がいるのが一般的である。

 教師全体の割合中の女性教師4割の大部分は幼稚園と小学校教師で占められている。中学校以上では圧倒的に男性教師のほうが多い。中学校では全国的に男性教師が半数以上を占めており、女性教師は2割以下に減っている。

 特に高校になると極端に女性教師の人数が減少し、全国的に1割程度にまで減る。(一つの高校に教師が20名いたらそのうち女性教師は2名程度)


 元々、男女差別の強かった戦前の日本でも教師には女性の社会進出が多く見られた。この為、他の職業に比べて女性への差別は低かった。但し、戦中は女性教師への職業差別も強かった。

 しかし、当時も女性教師は小学校レベルに勤務することが多く中学、高校レベルでは圧倒的に男性教師が多かった。>――

 この傾向は日本の教育社会が上位学校にいく程に、プロ教師河上亮一が言っている「この教師は怖いと思わせる父性の力」(=権威主義的な威嚇の態度)を必要とするからだろう。プロ教師は時代的な状況が許さないにも関わらず、40年前、50年前、あるいはそれ以上前の父親や教師が怖かった過去の姿、その存在性の回復に恋焦がれているのである。

 「上位地位(管理職)」に於ける男女比率は文部所のHP≪平成17年度公立学校校長・教頭の登用状況について [表10]-文部科学省≫を参考とする。

 題名は「平成17年度」となっているが、調査自体は「16年度末」のものである。これによると、「校長数に占める女性の割合」は

 小学校――18.1%
 中学校―― 4.8%
 高  校―― 3.7%

 上記割合は学校段階での男女教員割合に応じた同じ傾向となっていると同時に採用に関わる教員試験での男女格差を無視した機会均等を採用以後無効化していることを示している。やはり人間関係・地位関係にも多大な影響を与えている日本人の行動様式・思考様式である権威主義に於ける男尊女卑意識がごく自然に仕向けている男女格差・男女不平等であり、日本の美しい四季折々と同じく自然な姿としてある男女の存在性なのだろう。

 このことは日本の国会議員数に於ける男女比率にもそっくりそのまま重なっていて、やはり日本の政治の世界に於ける自然な姿・自然な男女の姿となっている。「女性政治家――Wikipedia」によると、2007年の女性議員数は男女総数の242人に対して42人で、女性が占める割合17.4%に過ぎない。

 そのうち閣僚となると、兼任もあるから、20程ある大臣のうち安倍内閣が4人、福田内閣が5人、麻生内閣が野田聖子と小渕優子の2人に過ぎない。

 日本の権威主義の行動性からしたらごく自然な政治世界ではあり、その姿ではあるが、上記「毎日jp」記事と同じ内容を扱った「asahi.com」記事が日本のこの自然な姿ながら、<首相や国会議員、閣僚の数などの政治分野で107位>だと、世界的なその健闘ぶりを伝えている。

 「男女格差指数」の「韓国の108位」は儒教思想の影響から日本以上に長幼・上下の序列に厳しい権威主義に縛られていて、そのような人間関係に於ける権威主義の力学が波及した男女格差なのではないだろうか。

 日本人の権威主義よ、永遠なれ、である。
 


 以下参考までに「男女格差指数」に関する数社の記事を引用。

 ≪男女間格差、最も少ないのは北欧諸国=調査≫(ロイター/2008年 11月 13日 08:05 JS)

  [ジュネーブ 12日 ロイター] 世界経済フォーラムが12日発表した最新の「世界男女格差報告」では、性別による格差が小さい国は1位ノルウェー、2位フィンランド、3位スウェーデンと北欧諸国が上位を占める結果となった。

 調査は教育面、政治面、給与など経済面、平均寿命など健康面の4つの分野で男女にどのぐらいの格差があるかを数値化。ワースト3はイエメン、チャド、サウジアラビアとなっている。

 ランキング上位の国名、スコアは以下の通り。カッコ内は2007年の順位。

1)ノルウェー     0.8239(2)
2)フィンランド     0.8195(3)
3)スウェーデン    0.8139(1)
4)アイスランド     0.7999(4)
5)ニュージーランド  0.7859(5)
6)フィリピン      0.7568(6)
7)デンマーク     0.7538(8)
8)アイルランド    0.7518(9)
9)オランダ      0.7399(12)
10)ラトビア      0.7397(13) 
 ≪男女平等:日本、98位に後退--世界経済フォーラム≫(毎日jp/08年11月13日)

 【ジュネーブ澤田克己】ダボス会議で知られるスイスの民間研究機関・世界経済フォーラムは12日、世界130カ国の男女格差に関する指数を発表した。男女平等に最も近いのはノルウェーで、フィンランド、スウェーデンなどの北欧勢が続いた。日本は前年の91位から98位へと後退した。

 ビジネスや政治で決定権を持つポストへの進出度や、教育機会の均等、平均寿命などについて、国連統計などを基に算出した。

 日本は、教育や保健分野では格差が比較的少なかったが、経済や政治での女性の進出度がいずれも100位を下回った。アジアではフィリピンが6位で最高。中国は57位、韓国は108位だった。 
 ≪日本、男女格差改善せず 08年版世界男女格差報告≫(47NEWS/2008/11/12 14:09 【共同通信】)

 【ジュネーブ12日共同】ダボス会議で知られるスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」は12日、女性の社会的地位の改善状況を順位付けした2008年版の「世界男女格差報告」を発表した。首位はノルウェー、2位がフィンランド、3位がスウェーデンと北欧諸国が上位を独占。日本は前年の91位から98位へ後退した。

 給与水準や高等教育を受ける機会、政治参加、平均余命などの男女格差を数値化して世界130カ国を比較した。

 日本は平均余命などを反映した「健康と寿命」の指数が38位と比較的上位にランクされたが、政治分野は107位、経済分野は102位、教育分野も82位にとどまり、全体順位は主要先進国の間で最低だった。

 主要国ではドイツ(11位)、英国(13位)、フランス(15位)など欧州勢が上位にランクされた。米国は男女の所得格差の縮小が評価され31位から27位に上昇。ロシアは42位、中国は57位だった。
  ≪男女平等、日本は98位に後退 世界経済フォーラム報告≫(asahi.com/2008年11月17日)

 【ロンドン=土佐茂生】「世界経済フォーラム」(本部・ジュネーブ)はこのほど、世界130カ国の男女格差に関する調査報告書を発表した。平等さの国別順位では北欧諸国が上位を占め、日本は前年の91位から98位へと後退した。女性国会議員の少なさや昇進の男女格差などが減点対象となった。

 順位は、政治、経済、教育、健康の4分野で男女格差を指数化し、国ごとに比べた。日本は、平均寿命で1位となるなど、健康分野(38位)で健闘したが、首相や国会議員、閣僚の数などの政治分野で107位、賃金格差や幹部への昇進など経済分野で102位と低迷した。

 ノルウェー、フィンランド、スウェーデンの北欧3カ国が3年連続で上位を独占。中国は、前年73位から57位に順位を上げた。


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