鳩山前首相自身も一枚加わって小沢・鳩山・輿石の神輿に菅首相を乗せる「トロイカ体制」なのか

2010-08-31 08:15:19 | Weblog

 菅首相の言葉の軽さと指導力欠如の相関関係からトロイカ体制を読み解く

 昨8月30日、菅首相が首相公邸で鳩山前首相と約1時間会談したと言う。前首相が首相公邸を訪れたとき、本当なら俺がもっといるべき場所だったのにという残念の思いが頭をよぎったかどうかは確かめようがない。

 《首相と鳩山氏、挙党重視で一致 31日に菅・小沢会談へ》asahi.com/2010年8月30日22時21分)

 指導力、リーダーシップがないという点で似た者同士の菅首相と鳩山前首相が、〈小沢一郎前幹事長も加えたトロイカ体制を重視して政権運営を進めることで一致した。〉と記事は書いている。

 「脱小沢」か、「挙党態勢」かを対立軸としていた菅陣営と小沢陣営だったが、菅・鳩山会談でどこでどうなったか、小沢・鳩山・菅のトロイカ体制という手打ちの構図へと唐突な場面転換を見せ始めた。

 会談終了後の公邸前での記者会見。

 鳩山前首相「経済的にも円高などで大変対策が急がれている。こういう時こそ挙党態勢を築くことが重要だ。・・・・挙党態勢とは、小沢先生が(民主党に)加わってからいわゆるトロイカ体制で今日までやってきた、その原点に立ち戻ること」

 ここで一つ明らかになったことは、鳩山前首相は菅、小沢の主役争いに主役とまではいかないだろうが、準主役程度に自分も一枚加えて、三人で舞台を盛り上げようと策し、菅首相がそれで手を打ったということである。

 現在の衆議院の任期限りで引退を表明しておきながら、「地元後援会に相談せずに結論を出そうとして『唐突だ』と言われている。来年春の統一地方選を一つの目安に結論を見い出したい」と発言が後退、そして菅・小沢の対立をいい機会に挙党態勢の調停役を買って出て、俺も加えろと出しゃばり出てきたと言うことなのか。

 だとしたら、指導力がない割にはなかなかの狡猾な策士と言える。

 菅首相はロシアの三頭立ての馬そりのことを譬えたトロイカ体制に輿石参議院議員会長の名前を加えて四頭立てにしたらしい。

 菅首相「基本的な考え方はまったく異存がない。その体制を大事に考えて活動を進めていくという鳩山さんからの提案に同意した」

 自分も加えろ、舞台に乗せろが鳩山前首相からの提案だと言っている。但し、菅・鳩山会談に先立って同じ日に小沢・鳩山・輿石会談を開いている。そこで出てきたトロイカなのだろうか。

 どこで出ようと、辞退してもようさそうな余分な一枚に見えるが、辞退もせず、挙党態勢に於ける重要な一枚に自身を堂々と加えている。尤も自分から言い出したトロイカなら、辞退というカードは見つけようがない。

 鳩山前首相は8月26日、東京都内の個人事務所で記者団に対して小沢支持を表明している。

 鳩山「(03年の民主党・自由党合併で)私の一存で民主党に入ってもらったので、その経緯から私が応援するのが大義だ」(asahi.com

 こいつ相変わらずバカだなと思った。民主党を率いて日本の国を建て直すだけの指導力を持っている、そういった人物を応援して、間接的に国家再建に役立つことが私自身の大義となると言うならまだしも、国家再建とは無関係の要素でしかない、単に「民主党に入ってもらった」を大義とする。

 日本の最高学府である東大卒だということだが、東大とはこの程度の頭脳を育てる日本最高の教育機関だとしたら、見事過ぎる逆説、見事過ぎる倒錯を踏んでいることになる。

 輿石氏を加えたのは参議院が与野党ねじれているから、その対策上からなのか、余分に一人加えて、小沢・鳩山の影響力を少しでも和らげようとしたのか、どちらなのか、それとも他の理由からなのか。

 このトロイカ体制、菅容認を鳩山前首相は小沢幹事長に取り次いで、今日31日に菅・鳩山・小沢・輿石4者会談をセット。鳩山、輿石の立会いの下、小沢、菅の当事者同士で確認し合う儀式が行われる予定だという。

 但しこの予定、予定通りいくかどうかは定かではないはずだ。8月23日の1期生新人議員との意見交換会で菅首相は「小沢氏のような人材が必要な場面もある。小沢氏の手腕は高く評価しており、その腕力を活用していきたい」と小沢人事活用発言をしていたが、それ以降、その手の発言を控えて、「適材適所」を言うだけとなったのは菅支持であると同時に強硬な脱小沢、反小沢の仙谷官房長官や前原国交相、枝野幹事長、蓮舫等に押し返されたからだろう。

 押し返されて簡単に変える程に菅首相の言葉が軽いことを証明している。トロイカ体制に仙谷官房長官、前原国交相、枝野幹事長、蓮舫がどう反応するかである。押し返すことになれば、発した言葉を再度軽くすることになる。

 いや、このトロイカ体制の容認自体が6月3日の民主党代表選出馬記者会見で、「小沢幹事長にはある意味では暫くは静かにしていただいた方がご本人にとっても、民主党にとっも、日本の政治にとっても良いのではないか」と言わずもがなのことを言った言葉の軽さをなお軽くする自身の発言に対する裏切りを示している。

 単にトロイカ体制と言うと聞こえはいいが、菅首相が要求されて受け入れた体制となるのだから、小沢・鳩山・輿石の神輿に乗せられることを意味する。決して菅首相が主体的立場で神輿に乗って、動きを指示するということではない。神輿を担ぐ小沢・鳩山・輿石が好きなように神輿を揺らして、神輿に乗った菅首相を操る構図を取る。

 馬が勝手に走って御者のムチが効かなくなる状態と言ってもいい。

 記事は、〈挙党態勢確立に向けて、「脱小沢」路線の仙谷由人官房長官や枝野幸男幹事長の更迭論が取りざたされていることについて、首相は「そういう具体的なことは話していない。少なくとも鳩山氏から伝えられたことはまったくない」と否定。小沢氏の処遇については「ポストとか一切話はしていない」と述べた。〉と書いているが、重要な役職を用意しないことには小沢陣営が考える神輿の関係を持ったトロイカとはならない。

 果して仙谷官房長官、前原国交相、枝野幹事長、蓮舫が納得するだろうか。納得は強硬な反小沢の立場からして、白旗を掲げるに等しい容認となる。

 以前にブログに取り上げたが、菅首相はこれまでも自身の主義・主張としていた発言を変えて、言葉を軽くしてきた。

 (01年8月)「在沖米海兵隊は沖縄に必ずしも存在しなくても日本の安全保障に大きな支障はない」

 (01年8月)「国内移転よりハワイなど米国領内への移転が考えやすいはずだ」

 過去の発言と現在の発言との違いを菅首相は次のように言い繕っている。

 「過去の発言について、色々言うことは控えたいと思いますが、私なりの今現在の日本の要請、あるいはアジアを巡る情勢含めての判断であります」(8月5日の参議院予算委員会)と。

 自分の発言を状況・情勢次第で変化する言葉とした。そうと信じて国民に向けて発信した言葉であっても、信じたことを貫く言葉はないということの宣言である。あるいは一旦国民に届けた言葉をすべて守り抜くわけではないということの宣言である。

 言葉を変えることによって、菅首相は自分から自分の言葉を軽くしてきた。言葉が一貫しない政治家に指導力、リーダーシップは期待しようがない。言葉軽ければ、指導力欠く。指導力を欠くから、そのときどきで言葉を変え、結果として言葉を軽くする。その関係を生来的な資質なのか、菅首相は抱えている。

 その行き着く先の一つがトロイカ体制ということなのだろう。反小沢派がどう出るか。

 私自身は選挙で決着をつけた方がスッキリすると思っている。例え民主党が割れることになっても、ガラガラポンの政界再編で地固まるのではないのか。未だ政治後進国なのである。


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