古屋圭司の拉致問題担当相としての判断無能力と安倍晋三の首相としての任命責任を超えた任務資格

2014-03-29 09:56:34 | Weblog



      《生活の党PR》

      《3月24日(月)、小沢一郎生活の党代表定例の記者会見要旨》
   
      『鹿児島県補選、皆でまとまれば必ず勝てる』  

      【質疑要旨】
      ・大阪市長選挙について  
      ・国家戦略特区について  
      ・鹿児島県2区補欠選挙について  
      ・結いの党との合流報道について

      《3月30日(日) 鈴木克昌生活の党代表代行・幹事長NHK『日曜討論』出演》

      【放送内容】
      ○外交・安全保障について     
      ○集団的自衛権について      
      ○消費増税で景気はどうなるか等

 3月26日(2014年)、韓国軍合同参謀本部が北朝鮮が同日未明、最大射程距離1300キロ、日本を射程圏内に収め得る中距離弾道ミサイル「ノドン」と推定されるミサイル2発を日本海側に発射したと発表した。
 
 この発射は北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの開発を禁止する安保理決議に違反する。当然、違反を承知で発射し、例え新たな安保理決議に中国が反対してくれたとしても、発射に対する各国独自の追加の経済制裁や金融制裁等は免れることはできないだろうことを承知で発射したはずだ。

 ましてや中国が反対しなかったケースを想定した場合、各国共同の一段厳しい経済制裁や金融制裁を招くことになって、素直に考えた場合は北朝鮮を経済的困窮状態に追い込むことになる。

 これくらいの危機管理を頭に入れて、北朝鮮はノドンを発射したはずだ。 

 このことの裏を返すと、新たなミサイル発射によって想定される経済制裁や金融制裁が北朝鮮の国家運営に決定的に打撃を与える程ではないとの計算に立った発射ということになる。

 もし逆であるなら、安保理決議違反のミサイル発射は国家体制的にも国家経済的にも相互関連的な自殺行為となる。

 いわば経済制裁や金融制裁が制裁としての役目を果たさず、金正恩体制に対する決定的な圧力となっていないということにならないだろうか。

 経済制裁や金融制裁のこの圧力無効はその背景に中国の存在を無視することができないことは誰の目にも明らかである。北朝鮮が昨年2013年2月に3回目の核実験を行った際には制裁措置を大幅に強化する安保理決議を中国も賛成して全会一致で採択していながらである。

 現実問題からしても、〈2013年の中国と北朝鮮の貿易は前年比10.4%増の65億4,700万ドルで、過去最高だった2012年の59億3,100万ドルを6億ドル余り更新した。〉と、次の記事、《2013年の中朝貿易は10.4%増で過去最高を更新》ジェトロ中国北アジア課/2014年3月4日)が伝えている。 

 〈とりわけ注目されている原油の輸出は、数量では2010年から2012年までは52万トン台で推移していたが、2013年は北朝鮮が中国の反対にもかかわらず核実験を行ったことから、減るのではないかとの見方もあったが、57万8,000トンと10%程度増加した。〉という件(くだり)は、中国の北朝鮮に対する関係を物語って余りある。

 中国は北朝鮮を貴重な外交カードとし、北朝鮮の保護者として振舞っている。上記記事は、〈ただ、中国と太いパイプを持つとされた張成沢氏が2013年末に粛清されたことで、今後の中朝貿易に影響が出てくるか注目される。〉と北朝鮮にとっての懸念を書いているが、中国の人権状況が比較善と映る最悪の人権状況を抱え込んだ北朝鮮の、この観点からの体制維持の必要性は張成沢粛清を呑み込んで、その価値を失うことはないように思える。

 北朝鮮が経済の現状から飛躍するためには日本の戦争賠償や経済支援が必要だろうが、中国の保護のもと、国家体制と経済体制を維持可能な経済状況に置いているなら、いわば経済制裁・金融制裁という圧力を無効とする状況にあるなら、多くの北朝鮮国民が信じて止まない金正日の正義を、拉致問題によって万が一生じるかもしれない剥奪する危険を冒すとは考えられない。

 簡単に言うと、金正日の正義と拉致問題解決を交換するかということである。交換しなければならない切羽詰まった経済状況にあるなら、交換の可能性も生じるが、そうでなかったなら、わざわざ交換する必要は生じない。

 それに北朝鮮にとって先ず解決しなければならない優先順位の第一番はアメリカとの間で北朝鮮の核の保有を認めさせるかどうかであって、それが解決しなければ、日朝間で拉致問題が解決しても、日本は戦争賠償や経済支援に動くことはできないはずだ。その資金が北朝鮮の独裁体制維持資金や核開発資金、ミサイル開発資金に回されることは予定事項としなければならないからだ。

 北朝鮮のノドン発射によって、以上のような状況を読み取らなければならないはずだが、読み取りが間違っているというなら、論外だが、この読み取りに立って、日本政府の対応を見てみる。 

 3月26日のノドン発射2日後の3月28日閣議後記者会見。《北朝鮮が誠意みせれば制裁緩和も》NHK NEWS WEB/2014年3月28日 12時15分)

 3月30日に再開される北朝鮮との政府間協議について。

 古屋拉致問題担当相「協議に応じてきているのは北朝鮮の変化の表れだ。『交渉を進展させなければ、国が立ちゆかなくなる』ということを、北朝鮮にしっかり理解させなければいけない。

 我々の基本原則は行動対行動なので、もし今後、北朝鮮が拉致問題の解決、拉致被害者の帰国に向けて、誠意ある前向きな取り組みをすれば、わが国独自の措置というのは段階的に解除されるということは当然ありえる」――

 古屋は「交渉を進展させなければ、国が立ちゆかなくなる」と言っているが、安倍晋三も同じ趣旨のことを言っている。

 安倍晋三「日本が要求している拉致の問題について答を出さなければ、あなたの政権、あなたの国は崩壊しますよ。

 そこで思い切って大きな決断をしようという方向に促していく必要がありますね。そのためにはやっぱり圧力しかないんですね」

 この発言は一度きりではない。機会あるごとに同じような言葉を繰返している。

 だが、これまでの経済制裁・金融制裁を使った圧力によって「国が立ちゆかなくなる」兆候は見せていないし、政権、国が崩壊する兆候も見せていない。当然、拉致交渉の進展が北朝鮮経済のプラスになることはあっても、国家存立自体の条件とはならないことになる。

 条件となるなら、とっくの昔に全面解決に動いているはずだ。

 だが、古屋にしても安倍晋三にしても拉致解決が北朝鮮存立の決定的な条件であるかのように言っている。この判断能力も問題だが、「誠意ある前向きな取り組みをすれば、わが国独自の措置というのは段階的に解除されるということは当然ありえる」と言っていることの判断能力はお粗末としか言いようがない。

 各国の経済制裁・金融制裁が国家体制維持の決定的な圧力とはなっていないとしても、日本政府独自の制裁の段階的解除は核開発やミサイル開発等に対するアメリカの経済制裁・金融制裁の圧力を相対的に弱め、北朝鮮により有利な状況を提供することになる。核・ミサイル問題の解決を待たずに拉致問題進展を以って許される制裁の段階的解除なのだろうか。

 上記記事は古屋圭司の発言に対する加藤官房副長官の発言を伝えている。

 加藤官房副長官「古屋大臣は今月18日の記者会見で、 『拉致被害者が戻ってこなければ、 制裁の解除はおろか、1円の支援もすることはない』と述べており、今回もそういう趣旨で発言したものと理解している。そういう意味で、政府の方針とは何ら異なるものではない。今後の対応については、交渉とも関係することであり、具体的なことは控えたい」――

 要するに拉致被害者が戻ってこれば、制裁の解除はあり得ると言ったことになって、何ら矛盾はないが、2003年8月27日~29日北京開催の6者会合での日本の立場を外務省HPは次のように説明している。

 〈核及びミサイル問題更には拉致問題は日朝国交正常化の前に解決されなければならない。日朝国交正常化があってはじめて北朝鮮に対する経済協力を実施することとなる。拉致問題については、日朝間での具体的話し合いを通じて解決していく考えであるが、問題の包括的解決を図る上で、拉致問題の解決が不可欠。〉――

 要するに米国、北朝鮮、日本、韓国、中国、ロシアの6カ国はこの6カ国を枠組みとして「核及びミサイル問題更には拉致問題」を包括的に解決していくことを日本の立場として約束した。拉致解決のみで日朝間に横たわる障害除去とはならないと自らに制約をかけたのである。

 別の言葉で言い替えると、「核及びミサイル問題更には拉致問題」の包括的解決があって初めて、日本からの北朝鮮に対する経済支援、戦争賠償が核開発資金、ミサイル開発資金に回されることのない保障を得ると言うことになる。

 もし核所有を認められたなら、日本からの支援が核開発資金・ミサイル開発資金に回す正当性を得ることになる。

 このような見方からすると、古屋圭司の拉致問題担当相としての判断能力は程度が低いと言わざるを得ない。当然、安倍晋三の任命責任を問わざるを得なくなる。

 安倍晋三が3月28日~3月30日から北朝鮮との政府間協議が再開されるの前にして首相官邸で拉致被害者家族と面会している。《首相 拉致家族と面会「全面解決図る」》NHK NEWS WEB/2014年3月28日 19時34分)

 安倍晋三「横田さん夫妻が孫のウンギョンさんと面会を果たすことができたが、すべての拉致被害者の家族の皆さんが、その手ですべての家族を抱きしめることができるよう、安倍内閣としては、対話と圧力の基本姿勢のもとオールジャパンで取り組み、拉致問題の全面解決を図りたいと考 えている」

 飯塚繁雄家族会代表「今回の日朝協議は拉致問題解決に向けた大きなチャンスだ。ここで終わらせずに今後につなげていくようお願いしたい」――

 3月26日に北朝鮮が安保理決議に反するノドン発射に出た。ノドン発射は圧力ばかりか、対話をもその効果を無効とするサインでもあるはずだ。このサインを読み取る頭を持ち合わせずに安倍晋三は相変わらずバカの一つ覚えのように「対話と圧力」を言う。

 「対話と圧力」の効果を無効としている理由は中国のバックに他ならない。

 北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が3月17日に国連人権理事会に提出した北朝鮮に関する報告書は「人道に対する罪」の責任者を訴追するため安保理に国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)への付託を勧告し、勧告を受けた国連人権理事会は3月28日、安保理に対して北朝鮮による日本人拉致などの人権侵害を国際法上の「人道に対する罪」に当たるとして、北朝鮮の責任者を処罰するための国際的な司法手続きを始めることや、国連人権高等弁務官事務所に新たな組織を設けて継続的な調査を行うことなどを要求する決議を30カ国の賛成多数で可決した。

 但し中国やキューバなど6カ国反対票を投じている。安保理が国連人権理事会の要求を受入れたとしても、常任理事国の中国が安保理でも反対すれば、効力を失う。中国の賛成を得るために決議内容を弱めれば、決議自体の効力を最初から備えていなことになりかねない。

 このように中国の北朝鮮に対するバックが効いている。

 国連人権理事会が安保理に要求を出したのは安倍晋三が拉致被害者家族と面会した同じ3月28日となっているが、現地時間と日本時間の関係でどちらが後先か分からないが、例え国連人権理事会の方が後のことであったとしても、過去の例を教訓として以後の状況を読む目を持たなければならないはずだから、中国のバックを前提としない「対話と圧力」以外の何ものでもないことになる。

 古屋圭司と状況判断が同じ程度だと言うことである。同じ程度だからこそ、安倍晋三は古屋圭司を拉致担当相として任命できたのだろう。

 だとすると、安倍晋三の古屋圭司に対する任命責任どころか、自身の首相としての任務自体がその資格を失うことになる。


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