人間は犯罪を犯す生きものであり、それを永遠の存在性としている

2008-02-28 11:18:16 | Weblog

 犯罪に「再発防止策」など存在しないを絶対真理とせよ

 08年2月24日日曜日、NHK「日曜討論」、米海兵隊員の14歳沖縄少女暴行容疑事件を話し合っていた。その一部分。

 我部正明沖縄大学法学部教授「アメリカ軍に依存した経済活動も存在している。沖縄県民すべての人がアメリカ軍はいらないと言っているわけではない。少女暴行が問題になっている理由は人権の面から社会に於ける人権感覚が大変ここ10年20年で上昇してきている。そういった事件が起こったことの反応は10年20年前よりリアクションが大変大きい。日本の社会の中の人権感覚が上がってきているので、前と同じようなわけにはできない。我々はよく理解しなければいけない。それから、この特にこのような暴行事件のような場合、性格というのは犯罪として当初から容疑者の人が意識、理解したかどうか、多分していないんだと思う。簡単に言えば、女性と交際したいとか、色々なやっているようなプライベートなことと領域が重なっている。そこに監視カメラを置いたとしても、罪の意識があればやめますが、罪の意識のない人間には監視カメラは何ら抑制の効果を持たないんだと思う。そういう意味ではプライベートな所に属しているところは綱紀粛正と言っても、かなり浸透しにくい。犯罪であれば、分かります。酔っ払いと言う点でも分かります。しかし窃盗も分かります。それは犯罪だからです。しかしこのような暴行事件のような場合は、かなりプライベートなところが入っていくるので、どうしてもその浸透がしにくい犯罪であり、同時に社会的には大変注目を浴び、しかもそれは誰もがおかしいと、遺憾だというふうにならざるを得ないというようなことを象徴している事件なので、これは従来にあるような犯罪防止とは別個の形で考えていかなければならない。しかも一件でもこういった事故が起こった場合のインパクトは大変大きいということですね」――

 「罪の意識」があるなしに関係なしに監視カメラの存在を承知して強行する犯罪の場合、監視カメラは何ら抑止効果を持たない。2週間ほど前の2月11日に目出し帽などで覆面した4人組が千葉県・市川市でセルフ式ガソリンスタンドを襲撃、1人がバール状の物を振り回して従業員を威嚇し手出しできないようにしておいた隙に残る3人が現金支払機を破壊、現金100万円を強奪した事件は監視カメラが設置されていることを承知して敢行した強盗事件であろう。例え逮捕されたとしても、犯罪そのものに関しては何ら抑止効果を持たなかった例に挙げることができる。

 この事件と同じように米兵が覆面して単独、あるいは複数で女性を襲い、力尽くで車に押し込み、無人の場所に連れて行って姦す暴力的拉致・誘拐・強姦の場合は例え逮捕に監視カメラが役立っても、犯罪そのものには役に立たなかったことになる。

 暴力的犯罪でなくても、知能犯で監視カメラをかわす方法もあるに違いない。例えば米兵が近くにある行きつけのバーの名前を言って一緒に飲みにいかないかと女性を誘う。監視カメラがその場面を写していたとしても、米兵は暫くして用事を思い出した、誘っておいて先に帰るのは悪いけど、もしすぐに片付いたら戻ってくる、片付かないようだったら電話するから、携帯の番号を教えてくれないかと言う。うまく聞き出せたら、カウンターで余分に金を払い、彼女を飲ませておいてくれないか、用事を思い出したから先に帰る、足りない分は後で払うと言ってその店を出る。店の者は米兵が先に帰ったことを証言してくれるだろう。米兵は外に出て女性の携帯に公衆電話から電話して、用事は同僚が片付けておいてくれた、別の場所に飲みに行かないかと誘って外に連れ出し、監視カメラのない場所で強姦することもできる。手っ取り早い口封じは死人に口なしにすることである。

 勿論「用事とは何だったのか」、「アリバイはあるのか」と尋問されるだろうが、監視カメラは犯罪抑止を保障する装置とは必ずしもならない例に入れることができる。

 人間は犯罪を成功させるために知恵を働かす。このことは振込め詐欺を見れば、いやでも理解できる。一つの手口が世間に流布して効果が薄れると、別の手口を創造してまんまと成功させる。最初は自動車事故の加害者、あるいは痴漢加害者に仕立てたニセの夫や息子にニセとバレないようにうろたえた声や泣き声を出させて示談金を払えば警察に逮捕されなくて済む、ダメ押しにニセ警官まで登場させて電話で示談金が支払われれば事件にしないで済みますと言わせて親族、特に年老いた親に振込ませる手口から、融資を持ちかけ、その保証金を支払わせる手口、最近は年金や税の還付金が生じたとして携帯で指示してATMを操作させ、気づかないままに預金の中から多額の金額を振込ませる手口へと進化させている。

 警察庁のHPによると、振込め詐欺の認知件数は「平成19年上半期には6890件(内既遂6803件)」であり、その「被害額は96億6,844万8,919円」にも上ると言う。

 H19年上半期の被害額にH17年の被害額約251億5千万円とH18年の被害額約約249億8千万円を合わせると、598億にも上る。この金額は日本人の振込め詐欺に関する学習無能力を金額換算した数字とも言える。新聞やテレビが機会あるごとに流している情報という名の「監視カメラ」が一般的には何ら役に立っていないことの証明でもある。

 米兵に対して基地からいつ如何なる場合も外出を禁止する外出禁止令をしいたとしたなら、基地外の犯罪はなくなるだろうが、その代償に基地内の犯罪は増加の一途を辿るに違いない。基地内に閉じ込められて抑圧された行動欲求が攻撃的な行動に変わらない保証はないからだ。尤もアメリカ軍はひた隠しに隠すだろうが。

 但し基地外の米兵の犯罪をゼロにできたとしても「アメリカ軍に依存した経済活動」の一部が支障をきたし、その面での沖縄県民の不満を募らせることになる。生活に困った彼らが報復に米兵の犯罪の真似をしない保証もない。

 我部正明沖縄大学法学部教授の見解に対する外務省出身の国際問題アドバイザーを肩書きとしている岡村行夫先生の優れた見解。「岡本行夫公式HP」のプロフィールページには「橋本内閣で96年-98年沖縄担当総理大臣補佐官。小泉内閣で01年9月より内閣官房参与、03年4月より04年3月まで総理大臣補佐官(イラク問題担当)。」と錚々たる肩書きの持ち主であることを自ら証明している。

 「あのね、アメリカ軍の一部にはこういう考えがあるんですよ。ええ、見てくれと、成人男子がね、まあ、沖縄だけで2万人いますね。こういうことはまあ、人口数万の都市に匹敵する規模だと。ええ、そこは必ず犯罪は起こるんで、米軍は犯罪を兎に角防止するけれども、ゼロということは無理なんだと言う人がいるんですね。それで、私はそれは間違いなんだと。ここにいる限りは、もうゼロにしてくれと、言い続けてましたけど、司令官の中には、その特に沖縄の、県民感情を一番大事にしなければいけないっていうことで徹底低に教育してくれる人がいる、あの、兵隊さんをですね。しかしそれがまた基地の司令官が代わるとね、少し緩んじゃったり、厳しくなくなったりです。だから、以前からやっている試み、努力ではあるんですけれども、兎に角最初の新兵さんにですね、徹底的に如何に事件・事故の完全撲滅することは大事なことっということを、その、映画も見せ、その教育もするっということを、ええ、つまりね、東アジアの安全保障を維持するっていうことと同じくらいに事件・事故を撲滅するっていうこととは大事だって言うことを常々この引継ぎはやってってもらわないといけないんですね」――

 「国際問題アドバイザー」の立場で理想が力とならない、相互の国益・利害の取り合いを駆引き材料とするような現実世界に生きながら、岡本行夫は見え透いた理想論者のようである。尤も本人は自分の理想論が見え透いているとは気づいていない。

 口でうるさく言い、「映画も見せ、その教育をする」ことで米兵の犯罪がなくなるとしたら、自動車運転者に対して警察は自動車免許更新時に事故の悲惨さを訴えるビデオを見せて交通事故防止の教育手段とし、交通取締りも頻繁に行っているのだから、とっくの昔に交通事故ゼロの効果を見せていいはずだが、そうなっていない。酒酔い運転で人を殺す重大事故も跡を絶たない。当然の対応として更新時のビデオ鑑賞にしても交通取締りにしても延々と繰返さなければならない状況が続いている。

 人間は犯罪を犯す生きものである。犯罪を犯すことを人間存在の一つの姿としている。何度でも例に挙げていることだが、人間が犯罪を犯す生きものであることは人類と共に存在したキリスト教・イスラム教・仏教等の宗教が証明している。宗教の存続性が人間犯罪の永遠性をも証明している。

 宗教は人間のあるべき理想の姿を説くことを存在理由としていることは誰も異論はないと思う。実質は葬式宗教のみの役割しか果たしていなくても、見せ掛けは人間のあるべき理想の姿を説く宗教の振りをしている。宗教がそのような役割を任ずるのは断るまでもなく現実の人間の姿があるべき理想の姿とは正反対の姿を取っているからで、あるべき姿をしていたなら、何も説かなくても済む。いわば宗教は現実の人間の姿のアンチテーゼそのものを表している。

 紀元前の人間モーゼは「汝人を殺すなかれ、汝姦すなかれ・・・」と人間が犯してはならない十戒をエホバから授かり、それを人間の守るべき教えとし、キリスト教にも受け継がれたが、人間は殺人からも姦淫からも逃れることができないでいる。罪を犯した者は落ちるとされる地獄を用意していてもである。

 日本の仏教は悪事を働いたら落ちて苦しむことになるとする閻魔大王が主宰する八熱地獄だ八寒地獄だ、焦熱地獄だと136種類もの地獄を用意しながら、人間の犯罪性をどうすることもできなかったし、今もできないでいる。二昔か三昔までは、「悪いことをすると閻魔様に舌を抜かれるよ」と親に注意されたが、「そんなこと関係ねえ、オッパッピー」の効果なしで子供は大人となって様々な犯罪を繰り広げている。いや、子供でも人を殺す世の中となっている。

※【地獄】「六道の最下位。閻魔が主宰し、死者の生前の罪を審判して、それに応じた責め苦を与える。八熱地獄・八寒地獄など136種類ある。」(『大辞林』三省堂)

※【六道】(ろくどう)「すべての衆生が生死を繰返す六つの世界。迷いのない浄土に対して、まだ迷いのある世界。地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道。前の三つを三悪道、あとの三つを三善道という。」(同『大辞林』)

 何度でも言う。人間は犯罪を犯す生きものであり、それを永遠の存在性としている。それが人間と犯罪との関係に於ける「人類史的絶対真理」に他ならない

 米軍としては「成人男子が沖縄だけで2万人もいる。人口数万の都市に匹敵する規模で、そこは必ず犯罪は起こるんで、犯罪を兎に角防止するけれども、ゼロということは無理なんだ」をホンネの公式態度にしたいと思っているのだろうが、犯罪を犯す側だから、それができない。しかし色々と手を打ちながら、ホンネはそこに置いているに違いない。人間の現実の姿を知っているからだ。人間の姿に対する現実認識に欠ける人間だけが「犯罪をセロにしてくれ」などという。日本人の犯罪が上は政治家・官僚、教師、警察官、裁判官、検事までなくなることなく続いていると言うのに自分たちの犯罪は棚に上げて、米兵の犯罪を「ゼロにしてくれ」と。

 自らが「犯罪ゼロ」の範を垂れるべきを、そうしないで、できもしないからだが、他にのみ求めるのは自分たちに不可能なことを他に可能と求める誤魔化しのキレイゴトとしか言いようがない。海上自衛隊は職務怠慢から漁船に衝突事故を起こして2名を行方不明にしている。地元の漁民はなぜ沖縄住民みたいに怒らないのだろうか。不思議でならない。石破如き政治家に「あんたの手で真相究明してくれ」などと頼み込んでいる。同じ日本人として人間の姿を見る目がないからだろう。

 どう手を打とうと、人間から犯罪を奪えないとなったなら、犯罪を犯した者に対しては懲罰で応じるしかないことになる。だが、前にもブログに書いたが、「再発防止」を目的とした懲罰は犯罪を犯した者には役立つことはあっても(再犯者には役に立っていなかったことになるが)、初犯者には役に立たないことは跡を絶たないその永遠の出現性が証明している。

 できることは真相究明と責任要求のみである。勿論「再発防止策」は色々と手を打つだろうが、それが絶対的な「再発防止」を約束する保証はどこにもない。殆どすべての犯罪が別々の人間による、時には同じ人間による「再発」としての姿を取っているのである。だからこそ、犯罪は永遠性を獲ち得ることとなっている。

 イスラム教では盗みを働いた者は二度と盗みが働けないように腕を切り落とす刑があると聞いたことがあるが、それで窃盗・強盗の類がなくなったという話は聞いたことがない。その人間に後悔を植えつけることができても、新たに犯罪を犯す者には役には立たないからだろう。中国の公開銃殺刑にしても、中国社会に蔓延している上下全体に亘る犯罪を見ると、テレビ・新聞でも報道されるに違いない直接的に視覚に訴えるその見せしめにしても何ら効果がないことを証拠立てている。

 私自身も政治家や官僚の重大な知能犯罪は強盗・殺人に匹敵する懲罰を以って罰せよとする懲罰論者だが、それで政治家・官僚の犯罪がなくなると思っていたなら、人間は犯罪を犯す生きものだなどと言わない。

 犯罪が発生したなら、警察が捜査し、逮捕にこぎつけ、取り調べたあと裁判にかけ、それ相応の刑罰で罰する。それ以外に方法はない。犯罪に対して社会はこれまでもそうであったように、そういった姿を取り続けるだろう。沖縄にしても同じである。例外となることはない。

 その現実を無視して、あるいは日本人自身の犯罪を「ゼロ」にできない現実を棚に上げて、米軍に関してのみ犯罪を否定するのはエセ正義を振りまわすのと変わりはない。

 尤も米兵の日本人女性に対する性犯罪や中国農薬入り餃子は日本人が正義感を振りまわす絶好の機会とはなっている。そうでないと言うなら、学校教師の教え子に対する性犯罪をもっと怒ってよさそうなものだし、教師にGPS機能付き携帯電話を持たせて学校と自宅を往復させる以外は寄り道させないように監視せよと要求することぐらいはしていいはずだが、米軍に対する態度から比較したら寛容に過ぎるのなぜなのだろ。

 日本の食品企業の国産と偽る外国産混入の偽造事件にしても、もう少し騒いでよさそうだが、その騒ぎは中国産農薬餃子の騒ぎの足元にも及ばない。

 テレビにしても、米兵に対して正義を振りまわすなら、私自身は反対だが、テレビに登場させるすべての若い女性をイスラム教徒並みに目だけ出して身体全体を隠す黒一色のチャドルを着用させることを正義とすべきである。一方で正義を振りまわし、一方で性的情報につながる映像を垂れ流すのは公正に欠けるからだ。


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