安倍内閣の最新の支持率は60%から70%超と高いものがある。円安、株高と実行力のあるところを見せつけ、その経済政策がアベノミクスと称賛を受けているだけのことはある。
尤もこの円高、株高、アメリカの景気回復が後押ししていると指摘する識者もいる。だとしても、安倍首相は自信に満ちている。3月18日(2013年)夜、自民党東京都連の会合で7月参院選挙の勝利に自信のあるところを見せた発言を披露したようだ。
勿論、目標は自民・公明両党で過半数の議席確保だろう。内心、単独過半数を目論んでいるかもしれない。目論んでもいい現在の支持率の高さを見せつけている。
《参院選は親のかたき討つで過半数目指す》(NHK NEWS WEB/2013年3月18日 21時31分)
安倍晋三「去年の衆議院選挙で多くの議席を奪還し、政権を取り戻すことができた。この政権奪還によって、日本を覆っていた雰囲気が大きく変わり、だんだん景気はよくなり始めているが、まだまだ多くの人たちに実感を持ってもらうまでには至っていない。
ことし夏の参議院選挙で、自民党と公明党で過半数を取り戻すことが、日本を取り戻すことにつながる。6年前の参議院選挙で、自民党が惨敗したことには、わたしにも大きな責任があり、参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ。これに勝たなければわたしは死んでも死にきれない」
「だんだん景気はよくなり始めているが、まだまだ多くの人たちに実感を持ってもらうまでには至っていない」と言っているが、十分に自覚しているようだ。
「産経・FNN合同世論調査」が「アベノミクスの効果による景気回復」を聞いている。
実感する28.7%
実感しない68.2%
円安による為替差益によって一部の外需型企業と株高によって株を資産の一部としている所得余裕層がアベノミクスの多大な恩恵を受けているが、一般国民は円安による輸入生活物資やエネルギーの高騰によって逆の立場に立たされている状況を如実に映し出している世論調査結果と言える。
国会議員の多くが株を資産としているから、一般国民の生活不安を他処にこれだけ資産が増えたと腹勘定しているかもしれない。
「6年前の参議院選挙で、自民党が惨敗した」、「参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ」と言っている。
2006年9月20日の小泉純一郎任期満了に伴う自民党総裁選で安倍支持の雪崩現象を引き起こし、対立候補の麻生太郎、谷垣禎一を大差で破って自由民主党総裁に選出され、9月26日の臨時国会で首班指名を受け、戦後最年少、戦後生まれ初の栄誉と期待を担って内閣総理大臣に就任。
だが、2006年12月、本間正明政府税制調査会長が東京の公務員宿舎に愛人を入居させていたスキャンダル、2007年事務所費の不透明支出と光熱費問題で追及を受けていた松岡利勝農水相の5月自殺のスキャンダル、その他閣僚の事務所費問題等のスキャンダルが影響して2007年7月29日の参議院選挙で改選64議席のうち37議席当選、27議席落選の自民党大敗。参院第1党を民主党に譲り、ねじれ国会を現出させ、政権運営に困難を来すこととなった。
そして2007年9月10日に第168回臨時国会開催、所信表明演説、2007年9月12日衆議院本会議代表質問の当日、記者会見を開いて辞任表明。約1年の安倍内閣に幕を閉じた。
要するに自民党戦後一党独裁政治状態の幕引き――政権交代の幕開けのキッカケをつくった。
だが、参院選自民党大敗は有権者の選択である。有権者が安倍内閣にノーを突きつけた。安倍晋三が口にした「参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ」という言葉を当てはめると、有権者を親の敵討ちの敵(かたき)としたことになる
有権者を親の敵討ちの敵(かたき)として憎悪の対象、倒すべき相手と認識したことになる。
これはお門違いと言うものだが、実際にはそのようには具体的には認識してはいなかったろう。
だとしても、ごく常識的に言うと、身近に迫った参院選に臨む姿勢は衆院選以後の内閣運営及び政策に対する結果を参院選での有権者の判断材料として、議席獲得はその選択に委ねるというのが選挙の一般的なルールであって、2007年参院選敗北のリベンジを果たすと言うならまだしも、親の敵(かたき)云々の発想とは無縁であるはずである。
有権者の判断に委ねるという選挙のルールに厳然と従う。このような姿勢があって初めて、有権者の判断を尊重することになる。
だが、そういった姿勢とは無縁の発言を口にした。無意識下に有権者の判断を尊重していない意識があり、知らず知らずのうちに有権者を親の敵討ちの敵(かたき)に見立てる趣旨の発言となってしまったといったところではないだろうか。
この見方が穿(うが)ち過ぎだとしても、少なくとも安倍晋三なる政治家は参院選に「親の敵(かたき)を討つような」姿勢で臨もうとしていることだけは確実に言うことができる。
とすると、やはりここには有権者の判断を尊重して、その選択に全てを委ねるとする一般的な選挙に於ける謙虚さを欠いていることになって、発言から有権者を親の敵討ちの敵(かたき)に見立てている姿勢だと解釈したとしても、さして差はないことになる。
最新の画像[もっと見る]
- 安倍晋三のケチ臭い度量から発した放送法「政治的に公平」の「補充的説明」を騙った報道自主規制の罠 2年前
- 野党の学習不足が招いた安倍晋三と旧統一教会との関係調査・検証要請への岸田文雄の「本人死亡、十分な把握限界」等の罷り通り 2年前
- イジメ未然防止目的のロールプレイ――厭なことは「やめて欲しい」で始まるイジメ態様に応じた参考例をいくつか創作してみた 2年前
- イジメ過去最多歯止めは厭なことは「やめて欲しい」で始まり、この要請に順応できる人間としての成長を求めるロールプレイで(1) 2年前
- イジメ過去最多歯止めは厭なことは「やめて欲しい」で始まり、この要請に順応できる人間としての成長を求めるロールプレイで(1) 2年前
- 立憲長妻昭と小西洋之の対旧統一教会宗教法人法第81条解散命令要件に関わる時間のムダ、カエルの面に小便程度の国会追及 2年前
- 2022年8月NHK総合戦争検証番組は日本軍上層部の無責任な戦争計画・無責任な戦略を摘出し、兵士生命軽視の実態を描出 靖国参拝はこの実態隠蔽の仕掛け(1) 2年前
- 2022年8月NHK総合戦争検証番組は日本軍上層部の無責任な戦争計画・無責任な戦略を摘出し、兵士生命軽視の実態を描出 靖国参拝はこの実態隠蔽の仕掛け(2) 2年前
- 立憲民主党代表泉健太の2022年9月8日衆議院議院運営委員会安倍晋三国葬関連質疑を採点すると30点 2年前
- 文科省の旧統一教会実体不問の名称変更認証と前川喜平氏の下村博文認証関与説、橋下徹の名称変更門前払い対応の前川喜平氏批判のそれぞれの正当性 2年前
「Weblog」カテゴリの最新記事
- 尾木直樹こども基本法講演:"個人としての尊重"なしに「子どものことは子どもに聴...
- 尾木直樹こども基本法講演:「子どもと大人の新しい関係性の第一歩、スタートに立...
- 《八方美人尾木ママの"イジメ論"を斬るブログby手代木恕之》を始めました。
- 日本人の行動様式権威主義の上が下に強いていて、下が上に当然の使用とする丁寧語...
- 財務省2018年6月4日『森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書』...
- 名古屋入管ウィシュマ・サンダマリさん死亡はおとなしくさせるために薬の過剰投与...
- 民間企業と官僚の意見交換に酒食が伴い、その支払いを企業が負う官僚のたかりは人...
- 2021年2月25日山田真貴子参考人招致衆議院予算委員会の黒岩宇洋と後藤祐一の追及を...
- 東京大空襲訴訟高裁判決「旧軍人・軍属への補償は戦闘行為などの職務を命じた国が...
- 安倍晋三の検察庁法改正案に賛成しよう! 但し不正疑惑渦中閣僚一人で検察人事関...