安倍晋三に親の敵討ちの敵とされた2007年7月参議院選挙有権者

2013-03-20 04:22:34 | Weblog

 安倍内閣の最新の支持率は60%から70%超と高いものがある。円安、株高と実行力のあるところを見せつけ、その経済政策がアベノミクスと称賛を受けているだけのことはある。

 尤もこの円高、株高、アメリカの景気回復が後押ししていると指摘する識者もいる。だとしても、安倍首相は自信に満ちている。3月18日(2013年)夜、自民党東京都連の会合で7月参院選挙の勝利に自信のあるところを見せた発言を披露したようだ。

 勿論、目標は自民・公明両党で過半数の議席確保だろう。内心、単独過半数を目論んでいるかもしれない。目論んでもいい現在の支持率の高さを見せつけている。

 《参院選は親のかたき討つで過半数目指す》NHK NEWS WEB/2013年3月18日 21時31分)

 安倍晋三「去年の衆議院選挙で多くの議席を奪還し、政権を取り戻すことができた。この政権奪還によって、日本を覆っていた雰囲気が大きく変わり、だんだん景気はよくなり始めているが、まだまだ多くの人たちに実感を持ってもらうまでには至っていない。

 ことし夏の参議院選挙で、自民党と公明党で過半数を取り戻すことが、日本を取り戻すことにつながる。6年前の参議院選挙で、自民党が惨敗したことには、わたしにも大きな責任があり、参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ。これに勝たなければわたしは死んでも死にきれない」

 「だんだん景気はよくなり始めているが、まだまだ多くの人たちに実感を持ってもらうまでには至っていない」と言っているが、十分に自覚しているようだ。

 「産経・FNN合同世論調査」が「アベノミクスの効果による景気回復」を聞いている。

 実感する28.7%
 実感しない68.2%

 円安による為替差益によって一部の外需型企業と株高によって株を資産の一部としている所得余裕層がアベノミクスの多大な恩恵を受けているが、一般国民は円安による輸入生活物資やエネルギーの高騰によって逆の立場に立たされている状況を如実に映し出している世論調査結果と言える。

 国会議員の多くが株を資産としているから、一般国民の生活不安を他処にこれだけ資産が増えたと腹勘定しているかもしれない。

 「6年前の参議院選挙で、自民党が惨敗した」、「参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ」と言っている。

 2006年9月20日の小泉純一郎任期満了に伴う自民党総裁選で安倍支持の雪崩現象を引き起こし、対立候補の麻生太郎、谷垣禎一を大差で破って自由民主党総裁に選出され、9月26日の臨時国会で首班指名を受け、戦後最年少、戦後生まれ初の栄誉と期待を担って内閣総理大臣に就任。

 だが、2006年12月、本間正明政府税制調査会長が東京の公務員宿舎に愛人を入居させていたスキャンダル、2007年事務所費の不透明支出と光熱費問題で追及を受けていた松岡利勝農水相の5月自殺のスキャンダル、その他閣僚の事務所費問題等のスキャンダルが影響して2007年7月29日の参議院選挙で改選64議席のうち37議席当選、27議席落選の自民党大敗。参院第1党を民主党に譲り、ねじれ国会を現出させ、政権運営に困難を来すこととなった。

 そして2007年9月10日に第168回臨時国会開催、所信表明演説、2007年9月12日衆議院本会議代表質問の当日、記者会見を開いて辞任表明。約1年の安倍内閣に幕を閉じた。

 要するに自民党戦後一党独裁政治状態の幕引き――政権交代の幕開けのキッカケをつくった。

 だが、参院選自民党大敗は有権者の選択である。有権者が安倍内閣にノーを突きつけた。安倍晋三が口にした「参議院選挙の戦いは、親のかたきを討つようなものだ」という言葉を当てはめると、有権者を親の敵討ちの敵(かたき)としたことになる

 有権者を親の敵討ちの敵(かたき)として憎悪の対象、倒すべき相手と認識したことになる。

 これはお門違いと言うものだが、実際にはそのようには具体的には認識してはいなかったろう。

 だとしても、ごく常識的に言うと、身近に迫った参院選に臨む姿勢は衆院選以後の内閣運営及び政策に対する結果を参院選での有権者の判断材料として、議席獲得はその選択に委ねるというのが選挙の一般的なルールであって、2007年参院選敗北のリベンジを果たすと言うならまだしも、親の敵(かたき)云々の発想とは無縁であるはずである。

 有権者の判断に委ねるという選挙のルールに厳然と従う。このような姿勢があって初めて、有権者の判断を尊重することになる。

 だが、そういった姿勢とは無縁の発言を口にした。無意識下に有権者の判断を尊重していない意識があり、知らず知らずのうちに有権者を親の敵討ちの敵(かたき)に見立てる趣旨の発言となってしまったといったところではないだろうか。

 この見方が穿(うが)ち過ぎだとしても、少なくとも安倍晋三なる政治家は参院選に「親の敵(かたき)を討つような」姿勢で臨もうとしていることだけは確実に言うことができる。

 とすると、やはりここには有権者の判断を尊重して、その選択に全てを委ねるとする一般的な選挙に於ける謙虚さを欠いていることになって、発言から有権者を親の敵討ちの敵(かたき)に見立てている姿勢だと解釈したとしても、さして差はないことになる。


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