小沢一郎に政治的責任・道義的責任を負わせ、その政治生命を断つのは日本の政治にとって大いなる損失

2012-05-09 09:50:53 | Weblog

 4月26日の判決公判で東京地裁は小沢一郎元民主党代表に対して無罪を言い渡した。

 東京地検特捜部検察官が検察審査会の起訴相当議決を受けて行った石川知裕元小沢一郎秘書再捜査での小沢氏の関与を認めている供述調書と捜査報告書を東京地裁は証拠採用の段階で、供述調書は任意性の点で、捜査報告書は実際にはなかったやり取りの虚偽の記載があるとして、その多くを不採用の決定とした。

 要するに東京地検特捜部は小沢一郎に対する自らの捜査で起訴できる証拠がなかったために2度も不起訴としていながら、検察審査会の起訴相当議決を受けた強制起訴裁判を維持するために証拠を捏造した。

 証拠捏造は、勿論、小沢元代表を冤罪に陥れる最終意図を含んでいたはずだ。

 一度ブログに書いたが、大阪地検から東京地検に応援を頼まれて大久保元小沢秘書の取り調べに当たった前田恒彦大阪地検特捜部元検事の2011年12月16日の第10回公判での証人証言が東京地検特捜部の陰謀を象徴的に表している

 前田証人「小沢さんに裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は、証拠化しないんです。
 
   ・・・・・・・

 水谷(建設)で言えば、4億円の原資として5千万円は水谷かもね、となっても、残りの3億5千万円については分からない。何十人の検察官が調べて、出てこない。検審(検察審査会)にそれが示されれば(そのことを示したなら)、水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならない(証拠にしない)というのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」(MSN産経

 「私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことにもなった」とは周知の事実となっているように、自身による取調べの際、有罪に持っていくためにフロッピーディスクデータの日付を書き換えた村木裁判の押収資料改竄事件を指している。

 検察の取り調べには先ず想定があって、想定と違う取り調べ内容は証拠化しない、想定に合わなければ証拠から外すと力説している。

 東京地検はこの捏造も厭わない取調べ内容操作・証拠操作の方法論を小沢一郎の強制裁判に向けて駆使した。有罪に陥れようと謀ったのだが、証拠がないのに有罪に陥れようとしたのだから、冤罪目的の陰謀だったと批判されても反論はできまい。

 上記ブログには書かなかったが、前田元検事は次のようにも証言している。

 前田証人「本件では(ゼネコンからの)裏献金で小沢先生を立件しようと積極的なのは、東京地検特捜部特捜部長や■■主任検事(法廷では実名)など一部で、現場は厭戦(えんせん)ムードでした。東京高検検事長も立件に消極的と聞いていましたし、厚労省の事件とは比較になりませんでした」

 東京地検ぐるみの陰謀ではなく、いわば組織ぐるみの陰謀ではなく、上層部のごく一部の陰謀だと証言している。

 この有罪目的の陰謀だったことを証明する記事がある。全文を参考引用してみる。

 《小沢氏起訴積極派が報告書添削 陸山会事件の虚偽作成問題》47NEWS/2012/05/05 01:24 【共同通信】)
 小沢一郎民主党元代表(69)の捜査をめぐり、元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)=現法務総合研究所=が虚偽の捜査報告書を作成した問題で、当時の特捜部副部長が作成した別の報告書を元代表の立件に積極的だった幹部が添削し、検察審査会に提出していたことが4日、関係者への取材で分かった。

 副部長の報告書でも、元代表の関与を強調した田代検事の報告書が引用された。幹部がどのように手を入れたかははっきりしないが、検察当局は議決に影響を与える狙いがあった可能性もあるとみて慎重に調べている。

 この記事を読んで、5月5日、Twitterに投稿した。「着罪(ちゃくざい)・陥罪(かんざい)――罪を着せ、罪に陥れる意味の造語が最も適した表現の特捜の小沢氏をターゲットとした生贄の陰謀」

 だが、特捜の冤罪目的の一連の陰険・陰湿な陰謀は証拠採用の時点で潰えることとなって、その当然の結果の無罪である。

 そして民主党は5月8日常任幹事会で党員資格停止処分の身分にあった小沢氏のそれを10日付けで解除する方針を決定した。

 但し野党は無罪判決が出た直後から、裁判は無罪でも、政治的・道義的責任は免れることができない、国会で説明責任を果たすべきだと証人喚問を求める姿勢でいる。

 山口公明党代表「説明責任は広い観点から求められており、国会で説明責任を尽くしていただきたい。民主党も自浄能力の一環として説明責任を果たさせる責任がある」(MSN産経

 石原自民党幹事長「小沢氏は『事件の審査中なので国会で答弁できない』と言っていたが、判決が出たので、みずからが潔白であれば、国会の場で何の問題もなく話せるはずだ」(NHK NEWS WEB

 江田憲司みんなの党幹事長「小沢氏は国会での説明責任をしっかり果たしてもらいたい。証人喚問にも積極的に応じてもらいたい」(NHK NEWS WEB

 穀田共産党国対委員長「無罪になっても政治的、道義的責任が不問に付されるわけではない。国会に出てきて説明し、真相解明に応じるべきだ」

 自民党と公明両党の幹事長ら幹部が5月8日、東京都内で会談して、小沢一郎元代表の証人喚問を求めていくことで一致したという。

 国政に携わる政治家としての政治的才能・政治的創造性から言って、政治的責任だ、道義的責任だ、あるいは説明責任だと騒いでいるのは小沢氏と比較してザコばかりである。

 確かに秘書が3人逮捕されたのだから、政治的責任・道義的責任は免れることはできない。だからと言って小沢氏みたいな有能な政治家に政治的責任・道義的責任を負わせ、その政治生命を断つのは日本の政治にとって果たして得になることなのだろうか。

 谷垣や山口、石原、あるいは民主党の野田、菅、前原、仙谷、枝野等々のザコとは大違いなのである。

 これらザコ連中の政治生命がいつ断ち切られようと、日本の政治にとって損失でも何でもなく、痛くも痒くもないだろうが、官僚の傀儡・操り人形とならずに政治主導を実現できる政治家が小沢氏を除いて他に存在するだろうか。

 このような重要なことに気づかずに政治的責任だ、道義的責任だ、あるいは説明責任だと騒ぐのはザコの大物に対する妬みから出て、その妬みを解放し、解消して、小沢氏に取って代わる形で自らを大物に擬したい欲求以外の何ものでもない。

 マスコミや世論に便乗して、いくら小沢氏を失脚させることに成功したとしても、ザコは大物に代わることはできない。ザコはザコでしかない。谷垣や山口、石原、あるいは民主党の野田、菅、前原、仙谷、枝野等々を見れば、一目瞭然ではないか。

 4月29日のフジテレビ「新報道2001」でのこと。

 東祥三前内閣府副大臣「洞察力、明確なビジョン、具体的に政策を実行していく能力を持っている政治家は、今の政界には小沢一郎しかいない」

 小沢一郎元代表に近い人物とは言え、言っていることは事実であろう。

 秘書が3人逮捕されたことによる政治的責任・道義的責任で以って小沢氏のザコ連中とは比較にならない洞察力、明確なビジョン、具体的に政策を実行していく能力を犠牲にしてはならないということである。

 日本の国益に関わる大いなる損失であろう。

 参考までに。

 2011年12月23日記事――《小沢裁判に見る検察の立件を前提とした捜査と証拠選択 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》


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