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玉城デニーは普天間の辺野古移設阻止で安倍政権を踊らすことができるのか、阻止できないままに自身が踊るだけで終わることになるのか。
内閣改造後の2018年10月2日「安倍晋三記者会見」(首相官邸)
質疑応答
大塚時事通信記者「幹事社の時事通信の大塚です。
憲法改正についてお伺いします。安倍総理は先に憲法改正案の国会提出について、公明党と調整を行いたいと発言されましたが、公明党は事前の与党協議には否定的です。今後、どう調整を進めていく考えでしょうか。
また、自民党麻生派は、来年夏の参院選までに憲法改正の国民投票を行うよう求めています。国民投票について、参院選までの実施を目指すお考えでしょうか。
安倍晋三「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました。そして、党内においては今回の総裁選挙におきまして、私自身、次の国会に改正案を提出できるよう、党を挙げて取り組むべきであるということを申し上げて、勝利を得たところであります。結果が出た以上は、党においては、下村憲法改正推進本部長の下にさらに議論を深めて、作業を加速させていただきたいと、こう思っています。
与党である公明党の調整についても、やはりこれは当然丁寧に説明をしていかなければならないわけでありますが、公明党とは、正に風雪に耐えた連立政権を、いわば築いてきたわけでありまして、その信頼関係の中において、真摯にしっかりと議論していくことが大切だろうと思いますが、まずは具体的な条文をしっかりとお示しをしていかなければ、もちろん公明党の皆様との議論も、国民の皆様の御理解も深まらないのは当然のことであろうと思います。その意味におきましては、国会の第一党である自由民主党がリーダーシップをとって、具体的な、もう既にお示しを、党で大体イメージとしては十分お示しをしておりますが、次の国会での改正案提出を目指していくべきであろうと、こう考えております。
その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと、こう思っています。3分の2で発議をして、国民投票で過半数というのは大変高いハードルでありますが、与党、野党にかかわらず、幅広い合意を得られるように努力をしていくべきだろうと考えております」
「憲法改正」に関する安倍晋三の発言はこれ以外にない。冒頭発言では一言も触れいていない。日本国憲法9条への「自衛隊」明記にあれ程意欲を示しておきながら、記者の質問がなかったら、触れずじまいでとなったに違いない。
2018年9月11日の「自民総裁選立ち会い演説会」(NHK NEWS WEB/2018年9月11日)
安倍晋三「いよいよ憲法改正に取り組む時が来ました。
ことしも私は防衛大学校の卒業式に総理大臣として出席し、任官したばかりの若々しい自衛官たちから服務の宣誓を受けました。『事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる』
この重い宣誓を受けました。
そうです、彼らは国民を守るためにその命をかけるのです。しかし、自衛隊が憲法違反ではないと言い切ることが出来る憲法学者はわずか2割にしかすぎない。合憲性について、議論がある旨、ほとんどの教科書に記述があります。
自衛官たちの子どもたちも、この教科書で学ばなければならないのです。皆さん、このままでいいんでしょうか。彼らが誇りを持って任務を全うできる、そういう環境を作っていくことは、いまを生きる政治家の私たちの使命ではないでしょうか。憲法にしっかりと日本の平和と独立を守ること、自衛隊、と書き込んで、私たちの使命を果たしていこうではありませんか」
2018年9月14日の「自民党総裁選立候補者討論会」(日本記者クラブ/2018年9月14日)
冒頭発言
安倍晋三「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦をし、国民の皆さんとともに、日本の新しい時代を切り開いていく決意であります」――
総裁選に当選し、首相職を継続することになった場合の憲法改正に関わる自らの姿勢を明示しておきながら、首相継続が決定、その内閣改造報告の記者会見の冒頭発言では一言も触れずじまいで、記者の質問があって初めて触れる。
ここに安倍晋三のデタラメな姿勢を見ない訳にはいかない。デタラメはこればかりではない。
「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」と言っている。
「昨年の総選挙」とは2017年10月10日公示・10月22日投開票の衆議院議員総選挙。その総選挙で、「自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」
デタラメもいいとこである。これ程のデタラメはない。
「2017年9月25日解散宣言記者会見」(首相官邸)
安倍晋三「少子高齢化という最大の課題を克服するため、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する。私はそう決断いたしました。そして、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを、本日、決断しました。国民の皆様とのお約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない。そう決心いたしました。28日に、衆議院を解散いたします」
そう宣言した上で解散の理由を二つ挙げた。
安倍晋三「我が国が直面する最大の課題は、少子高齢化であります。これを克服していくためには、社会保障制度を全世代型のものへと大きく転換をしなければなりません。時間の猶予はない、待ったなしであります。大きな改革には当然大きな財源が必要となります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなっていくおそれがあります。
そのため、本日、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束をしていた消費税の使い道を思い切って大きく変えるという決断をいたしました」――
「子育て世代への投資」とは幼児教育と高等教育の無償化を指す。
安倍晋三「少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様と共にこの国難を乗り越えるため、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断いたしました。
この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります」――
この記者会見でも憲法改正に関しては一言も口にしていない。要するに記者会見から見る限り2017年総選挙の主たる争点は、「安倍政権の継続の是非」、「消費税増税使途変更の是非」、「安倍政権の北朝鮮対応」、記者会見でも触れている「森友・加計学園疑惑から見た首相としての適格性」等を主たる争点としたことになる。
そして特に「少子高齢化」問題と「緊迫する北朝鮮情勢」を如何に解決するかの是非を問う「国難突破解散」だと名付けた。
但し2017年10月選挙向けの「自由民主党政策パンフレット2017」には憲法改正を選挙公約として掲げている。
〈国民の幅広い理解を得て、憲法を改正します。
現行憲法の「国民主権」、[基本的人権の尊重]、「平和主義」の3つの基本原理は堅持しつつ、憲法改正を目指します。
●憲法改正については、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院・参譜院の憲法審査会で議論を深め各党とも連携し、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に、党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正を目指します。〉――
にも関わらず、2017年9月25日の解散宣言記者会見では憲法に一言も触れなかったデタラメ。
実際の選挙戦でもアベノミクスの是非や北朝鮮対応、少子高齢化や教育の無償化等に関わる社会保障問題を争点の前面に掲げ、憲法改正問題に関しては争点隠しに走って、触れないようにした。
そして2017年10月22日投開票の総選挙で圧勝すると、翌10月23日に自民党本部で自民党総裁として「記者会見」を開いた。
中根東京新聞記者「東京新聞中根と申します。憲法に関して質問です。総裁は衆議院選挙の選挙期間中の演説で、憲法改正に関する話題に殆ど触れることがありませんでした。自民党の公約では、最重点政策の1つとして憲法改正を盛り込んでいましたが、総裁の選挙中の説明は十分でなく、国民の理解も不十分だという印象があります。
総裁が演説で憲法の話題に積極的に触れなかった理由をお聞かせください。それから今後、自民党として憲法に関する政策の説明をどのように行っていくお考えでしょうか」
安倍晋三「先ず憲法改正というのは、通常の法案と違って、衆議院で多数、そして参議院の多数を得れば、それで成立するものではありません。
ですから、政権選択に際してはいわば重要な論点として街頭演説で述べるということは当然であろうと思いますが、憲法においては、まさに決めるのは国会ではなく、国会で発議をするわけでありまして、決めるのは国民投票であります。
まさにこの国民投票の場において、具体的な条文について説明する責任があろうと思います」――
言っていることは「憲法改正を決めるのは国会ではなく、国会は発議のみで、決めるのは国民投票だから、具体的な条文の説明は国会発議後から国民投票前に行う責任がある。だから、そのときでいい」という意味になる。
大体が3分の2以上賛成という国会発議に持っていくためには自民党は自民党案を作成し、議院に提出、審議を求める手続きを経なければならない。審議の段階に入れば、否応もなしに他党に対しても、国民に対しても改正の意図・目的の説明責任を果たさなければならなくなる。国民はその条文や改正の意図・目的を斟酌して、改正の是非を判断する。
具体的な改正条文の提示を国民投票まで待たせる訳にはいかないし、国民も待ちはしない。
安倍晋三が2017年10月の総選挙に向けて憲法改正問題を争点から外して選挙戦を戦ったこともデタラメなら、解散記者会見で憲法改正問題に触れないこともデタラメ、選挙圧勝後の記者会見で記者から「憲法の話題に積極的に触れなかった理由」を聞かれて、「決めるのは国民投票だから、具体的な条文についての説明は国民投票のときでいい、そのときのみに説明責任が生じる」といった趣旨の発言もデタラメ。
こうまでデタラメを並べ立てることができる一国の首相というのも珍しいに違いない。今回の総裁選で石破茂が首相の条件として「正直・公正」を掲げたのは安倍晋三のデタラメさ加減に呆れて、それを反面教師とせざるを得なかったからに違いない。
デタラメの極めつけは内閣改造後の2018年10月2日の記者会見での、「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」の発言であろう。
憲法改正問題を選挙戦で争点隠しをし、その選挙に勝利した、「力強い支持を得ることができた」からと言って、憲法改正の支持まで得たといったニュアンスの発言をする。
しかも「4項目について国民の皆様にお示しをした」と言っても、自民党として正式に決定した憲法改正の条文ではなく、安倍晋三の出身派閥の細田派領袖の細田博之が自民党憲法改正推進本部長として安倍晋三の憲法改正意思を反映させて纏めた「たたき台」に過ぎない。
それが証拠に〈改憲4項目は、3月の党改憲推進本部で首相案をベースにまとめられたが、(自民党)常設の最高意思決定機関である総務会の了承は得られていない」と、「時事ドットコム」(2018/10/03-20:36)記事は伝えている。
つまり「4項目」は自民党の正式な憲法改正案として纏まっているところまでいっていない。一方で「憲法改正を決めるのは国民投票であって、そのときに具体的な条文について説明する責任がある」、選挙のときではないといったことを言い、その一方で、自民党の憲法改正案として正式に決定した訳ではない、自民党憲法改正推進本部が取り纏めた段階の「たたき台」であるにも関わらず、「4項目について国民の皆様にお示しをした」と、「4項目」が自民党が決定した憲法改正案であるかのように見せかけ、それを示したことを以って憲法改正案についての国民に対する説明責任を果たしかのようなニュアンスの物言いをし、その結果、昨年の総選挙で「力強い支持を得ることができた」からと、安倍晋三の憲法改正案にまで支持を得たかようなイメージを振り撒く。
このデタラメさ加減はどのような詭弁を用いても、自身の案で憲法改正を何が何でも成し遂げようとする意思から出ているはずだ。国民に対して丁寧な説明と納得の行く理解を得る心積もりで憲法改正を進める意思を少しでも持ち合わせていたなら、このようなデタラメは顔を覗かせさえしない。
また、デタラメを働いて自分の思い通りにしようとする行為自体が独善的な人間に仕上がっているからこその発露であって、その独善性が党内や国民世論の反対が多くても、その反対を無理やり押し切って自分の任期中に憲法改正を果たそうとする数々の強引さを生み、その強引さがデタラメとなって現れる悪循環を生じさせしめていることは間違いない。
デタラメと独善性。これが安倍晋三が内に隠した風貌であろう。
玉城デニーは普天間の辺野古移設阻止で安倍政権を踊らすことができるのか、阻止できないままに自身が踊るだけで終わることになるのか。
内閣改造後の2018年10月2日「安倍晋三記者会見」(首相官邸)
質疑応答
大塚時事通信記者「幹事社の時事通信の大塚です。
憲法改正についてお伺いします。安倍総理は先に憲法改正案の国会提出について、公明党と調整を行いたいと発言されましたが、公明党は事前の与党協議には否定的です。今後、どう調整を進めていく考えでしょうか。
また、自民党麻生派は、来年夏の参院選までに憲法改正の国民投票を行うよう求めています。国民投票について、参院選までの実施を目指すお考えでしょうか。
安倍晋三「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました。そして、党内においては今回の総裁選挙におきまして、私自身、次の国会に改正案を提出できるよう、党を挙げて取り組むべきであるということを申し上げて、勝利を得たところであります。結果が出た以上は、党においては、下村憲法改正推進本部長の下にさらに議論を深めて、作業を加速させていただきたいと、こう思っています。
与党である公明党の調整についても、やはりこれは当然丁寧に説明をしていかなければならないわけでありますが、公明党とは、正に風雪に耐えた連立政権を、いわば築いてきたわけでありまして、その信頼関係の中において、真摯にしっかりと議論していくことが大切だろうと思いますが、まずは具体的な条文をしっかりとお示しをしていかなければ、もちろん公明党の皆様との議論も、国民の皆様の御理解も深まらないのは当然のことであろうと思います。その意味におきましては、国会の第一党である自由民主党がリーダーシップをとって、具体的な、もう既にお示しを、党で大体イメージとしては十分お示しをしておりますが、次の国会での改正案提出を目指していくべきであろうと、こう考えております。
その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと、こう思っています。3分の2で発議をして、国民投票で過半数というのは大変高いハードルでありますが、与党、野党にかかわらず、幅広い合意を得られるように努力をしていくべきだろうと考えております」
「憲法改正」に関する安倍晋三の発言はこれ以外にない。冒頭発言では一言も触れいていない。日本国憲法9条への「自衛隊」明記にあれ程意欲を示しておきながら、記者の質問がなかったら、触れずじまいでとなったに違いない。
2018年9月11日の「自民総裁選立ち会い演説会」(NHK NEWS WEB/2018年9月11日)
安倍晋三「いよいよ憲法改正に取り組む時が来ました。
ことしも私は防衛大学校の卒業式に総理大臣として出席し、任官したばかりの若々しい自衛官たちから服務の宣誓を受けました。『事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる』
この重い宣誓を受けました。
そうです、彼らは国民を守るためにその命をかけるのです。しかし、自衛隊が憲法違反ではないと言い切ることが出来る憲法学者はわずか2割にしかすぎない。合憲性について、議論がある旨、ほとんどの教科書に記述があります。
自衛官たちの子どもたちも、この教科書で学ばなければならないのです。皆さん、このままでいいんでしょうか。彼らが誇りを持って任務を全うできる、そういう環境を作っていくことは、いまを生きる政治家の私たちの使命ではないでしょうか。憲法にしっかりと日本の平和と独立を守ること、自衛隊、と書き込んで、私たちの使命を果たしていこうではありませんか」
2018年9月14日の「自民党総裁選立候補者討論会」(日本記者クラブ/2018年9月14日)
冒頭発言
安倍晋三「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦をし、国民の皆さんとともに、日本の新しい時代を切り開いていく決意であります」――
総裁選に当選し、首相職を継続することになった場合の憲法改正に関わる自らの姿勢を明示しておきながら、首相継続が決定、その内閣改造報告の記者会見の冒頭発言では一言も触れずじまいで、記者の質問があって初めて触れる。
ここに安倍晋三のデタラメな姿勢を見ない訳にはいかない。デタラメはこればかりではない。
「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」と言っている。
「昨年の総選挙」とは2017年10月10日公示・10月22日投開票の衆議院議員総選挙。その総選挙で、「自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」
デタラメもいいとこである。これ程のデタラメはない。
「2017年9月25日解散宣言記者会見」(首相官邸)
安倍晋三「少子高齢化という最大の課題を克服するため、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する。私はそう決断いたしました。そして、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを、本日、決断しました。国民の皆様とのお約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない。そう決心いたしました。28日に、衆議院を解散いたします」
そう宣言した上で解散の理由を二つ挙げた。
安倍晋三「我が国が直面する最大の課題は、少子高齢化であります。これを克服していくためには、社会保障制度を全世代型のものへと大きく転換をしなければなりません。時間の猶予はない、待ったなしであります。大きな改革には当然大きな財源が必要となります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなっていくおそれがあります。
そのため、本日、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束をしていた消費税の使い道を思い切って大きく変えるという決断をいたしました」――
「子育て世代への投資」とは幼児教育と高等教育の無償化を指す。
安倍晋三「少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様と共にこの国難を乗り越えるため、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断いたしました。
この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります」――
この記者会見でも憲法改正に関しては一言も口にしていない。要するに記者会見から見る限り2017年総選挙の主たる争点は、「安倍政権の継続の是非」、「消費税増税使途変更の是非」、「安倍政権の北朝鮮対応」、記者会見でも触れている「森友・加計学園疑惑から見た首相としての適格性」等を主たる争点としたことになる。
そして特に「少子高齢化」問題と「緊迫する北朝鮮情勢」を如何に解決するかの是非を問う「国難突破解散」だと名付けた。
但し2017年10月選挙向けの「自由民主党政策パンフレット2017」には憲法改正を選挙公約として掲げている。
〈国民の幅広い理解を得て、憲法を改正します。
現行憲法の「国民主権」、[基本的人権の尊重]、「平和主義」の3つの基本原理は堅持しつつ、憲法改正を目指します。
●憲法改正については、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院・参譜院の憲法審査会で議論を深め各党とも連携し、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に、党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正を目指します。〉――
にも関わらず、2017年9月25日の解散宣言記者会見では憲法に一言も触れなかったデタラメ。
実際の選挙戦でもアベノミクスの是非や北朝鮮対応、少子高齢化や教育の無償化等に関わる社会保障問題を争点の前面に掲げ、憲法改正問題に関しては争点隠しに走って、触れないようにした。
そして2017年10月22日投開票の総選挙で圧勝すると、翌10月23日に自民党本部で自民党総裁として「記者会見」を開いた。
中根東京新聞記者「東京新聞中根と申します。憲法に関して質問です。総裁は衆議院選挙の選挙期間中の演説で、憲法改正に関する話題に殆ど触れることがありませんでした。自民党の公約では、最重点政策の1つとして憲法改正を盛り込んでいましたが、総裁の選挙中の説明は十分でなく、国民の理解も不十分だという印象があります。
総裁が演説で憲法の話題に積極的に触れなかった理由をお聞かせください。それから今後、自民党として憲法に関する政策の説明をどのように行っていくお考えでしょうか」
安倍晋三「先ず憲法改正というのは、通常の法案と違って、衆議院で多数、そして参議院の多数を得れば、それで成立するものではありません。
ですから、政権選択に際してはいわば重要な論点として街頭演説で述べるということは当然であろうと思いますが、憲法においては、まさに決めるのは国会ではなく、国会で発議をするわけでありまして、決めるのは国民投票であります。
まさにこの国民投票の場において、具体的な条文について説明する責任があろうと思います」――
言っていることは「憲法改正を決めるのは国会ではなく、国会は発議のみで、決めるのは国民投票だから、具体的な条文の説明は国会発議後から国民投票前に行う責任がある。だから、そのときでいい」という意味になる。
大体が3分の2以上賛成という国会発議に持っていくためには自民党は自民党案を作成し、議院に提出、審議を求める手続きを経なければならない。審議の段階に入れば、否応もなしに他党に対しても、国民に対しても改正の意図・目的の説明責任を果たさなければならなくなる。国民はその条文や改正の意図・目的を斟酌して、改正の是非を判断する。
具体的な改正条文の提示を国民投票まで待たせる訳にはいかないし、国民も待ちはしない。
安倍晋三が2017年10月の総選挙に向けて憲法改正問題を争点から外して選挙戦を戦ったこともデタラメなら、解散記者会見で憲法改正問題に触れないこともデタラメ、選挙圧勝後の記者会見で記者から「憲法の話題に積極的に触れなかった理由」を聞かれて、「決めるのは国民投票だから、具体的な条文についての説明は国民投票のときでいい、そのときのみに説明責任が生じる」といった趣旨の発言もデタラメ。
こうまでデタラメを並べ立てることができる一国の首相というのも珍しいに違いない。今回の総裁選で石破茂が首相の条件として「正直・公正」を掲げたのは安倍晋三のデタラメさ加減に呆れて、それを反面教師とせざるを得なかったからに違いない。
デタラメの極めつけは内閣改造後の2018年10月2日の記者会見での、「憲法改正については、自民党としては昨年の総選挙におきまして、自衛隊明記を含む4項目について国民の皆様にお示しをし、そして力強い支持を得ることができました」の発言であろう。
憲法改正問題を選挙戦で争点隠しをし、その選挙に勝利した、「力強い支持を得ることができた」からと言って、憲法改正の支持まで得たといったニュアンスの発言をする。
しかも「4項目について国民の皆様にお示しをした」と言っても、自民党として正式に決定した憲法改正の条文ではなく、安倍晋三の出身派閥の細田派領袖の細田博之が自民党憲法改正推進本部長として安倍晋三の憲法改正意思を反映させて纏めた「たたき台」に過ぎない。
それが証拠に〈改憲4項目は、3月の党改憲推進本部で首相案をベースにまとめられたが、(自民党)常設の最高意思決定機関である総務会の了承は得られていない」と、「時事ドットコム」(2018/10/03-20:36)記事は伝えている。
つまり「4項目」は自民党の正式な憲法改正案として纏まっているところまでいっていない。一方で「憲法改正を決めるのは国民投票であって、そのときに具体的な条文について説明する責任がある」、選挙のときではないといったことを言い、その一方で、自民党の憲法改正案として正式に決定した訳ではない、自民党憲法改正推進本部が取り纏めた段階の「たたき台」であるにも関わらず、「4項目について国民の皆様にお示しをした」と、「4項目」が自民党が決定した憲法改正案であるかのように見せかけ、それを示したことを以って憲法改正案についての国民に対する説明責任を果たしかのようなニュアンスの物言いをし、その結果、昨年の総選挙で「力強い支持を得ることができた」からと、安倍晋三の憲法改正案にまで支持を得たかようなイメージを振り撒く。
このデタラメさ加減はどのような詭弁を用いても、自身の案で憲法改正を何が何でも成し遂げようとする意思から出ているはずだ。国民に対して丁寧な説明と納得の行く理解を得る心積もりで憲法改正を進める意思を少しでも持ち合わせていたなら、このようなデタラメは顔を覗かせさえしない。
また、デタラメを働いて自分の思い通りにしようとする行為自体が独善的な人間に仕上がっているからこその発露であって、その独善性が党内や国民世論の反対が多くても、その反対を無理やり押し切って自分の任期中に憲法改正を果たそうとする数々の強引さを生み、その強引さがデタラメとなって現れる悪循環を生じさせしめていることは間違いない。
デタラメと独善性。これが安倍晋三が内に隠した風貌であろう。