今日6月26日(07年)火曜日の『朝日』朝刊見出し。≪ミート社不正13項目≫
農水相検査で明らかにされた数字だそうだ。記事からその主な不正手口を拾ってみると、豚挽き肉に焼き豚の端材や、肩ロース表示の豚挽肉に豚の内臓を混入、牛挽肉に豚・かも・鳥肉を混入して、消費者をいいカモにする。牛脂に豚脂を混入し、「牛脂」として販売。賞味期限切れの冷凍コロッケを他社から横流しさせ、賞味期限を改竄して、新鮮コロッケとしてかどうかは分からないが、再販売。外国産牛挽肉を混入させて国産牛挽肉と偽り、いわばブランド化させてコロッケを製造・販売。中国人顔負けの偽ブランドづくりである。
色の悪い豚挽肉に牛の〝晋三〟を混ぜて色づきよくする偽装。(いや安倍晋三を混入したわけではなく、〝心臓〟の過ち。顔色が悪い安倍晋三も牛の心臓を食べ続けたら、もしかしたら顔色がよくなるかも)。その他冷凍食品の賞味期限の改竄等々――。
テレビでは、販売促進のサンプル商品は牛肉100%入りを用意し、契約に至ると豚肉を混入して引き渡していたと報道していたが、手の込んだ遣り口にまで腕を振るっていたらしい。なかなかのあの手この手のゴマカシのテクニックである。まあ、みんなやっていることか。
6月22日(07年)のTBSの夜半前のニュースだったと思ったが、年金記録問題を今年初めに認識していながら、対策の発表までに時間がかかったのはなぜかとの民主党の批判をどう受け止めるか記者団に問われた我が安倍晋三クンは次のように反論した。
安倍「2月に5万件という数字が出てきた段階に於いてですね、そういうところ大掛かりにしっかり対応しなければいけないと、いう指示をいたしました」
「大掛かりにしっかり」の内容を、何をどう指示したのか、何がどう「大掛かりにしっかり」なのか、具体的に聞きたいものだが、口先だけの安倍人間、指示自体がなかったか、あったとしても、たいした指示はしていないから、「大掛かりにしっかりと」と、さもたいした指示をしたかのように風呂敷を広げなければならなかったのだろう。
大体が「大掛かりにしっかりと」などといった仰々しいばかりの言葉は普通の人間は使わない。さもそのように指示したかのように見せる必要があったからこその「大掛かりにしっかり」の疑いが限りなく濃厚である。ミートホープ社が豚挽肉に牛の心臓を混入させて見栄えよくさせた偽装よろしく、素早く対応したと見せかける体裁上の「大掛かりにしっかり」なのだろう。
仰々しい表現を駆使するところが安倍晋三の人となりを表している。いわば、口先だけ、ハッタリ、中身なし・・・・。
番組解説「安倍総理はさらに問題を正確に把握することが大切だと述べ、ある程度時間がかかったのは止むを得ないという考えを示しました――」
「問題を正確に把握する」に「ある程度時間がかかった」割には、民主党その他の野党の追及のたびに新たな欠陥事実が次々と出てくるのはどうしてなのだろう。「正確に把握」していなかったということではないか。
番組解説「安倍総理は国会で年金記録の問題を認識した時期について『去年の暮から今年の初め』と答弁し、今日(6月22日のこと)そうした答弁書を閣議決定しました。政府が対策に本腰を入れたのは5月になってからで、野党などは政府の対応の遅れを批判しています」
関連の新聞記事をインターネットで探してみると、≪年金記録5000万件不明、首相ら昨年末に認識≫(07.6.22/12:8 読売新聞)を探し出すことができた。
<政府は22日午前の閣議で、該当者不明の年金記録約5000万件の存在について、安倍首相や塩崎官房長官が認識したのは「昨年暮れから今年の初め」とする答弁書を決定した。
政府は5月25日と6月4日に、年金記録漏れ問題に対する対応策を発表したが、ほぼ半年間は具体的な対策が示されなかったことになる。
答弁書は、江田憲司衆院議員の質問主意書に対するもの。不明記録の総数について、2006年6月現在で5000万件に及ぶことを政府が公表したのは今年2月。民主党の松本政調会長らが、国会審議などに備え、昨年12月、衆院に要請した予備的調査の報告書で明らかになった。
この日の答弁書も、5000万件という総数については、「予備的調査の取りまとめの過程において明らかになった」としており、調査途中で、社保庁から首相、官房長官に報告が行われたとみられる。
社保庁は当初、5000万件の内訳を把握しておらず、柳沢厚生労働相は国会答弁などで「亡くなった方や、年金の受給要件を満たしていない方らが含まれる」として、実質的な問題は少ないとの見方を示していた。
だが、社保庁が5月に公表した5000万件の年齢別内訳で、60歳以上の受給年齢に達している人の記録が約2880万件に達することが判明。年金を本来より少なく受け取っている人が多数いる可能性が急浮上した。>――
認識した時期が「去年の暮から今年の初め」と少なからず幅があるのは、受けた報告に対する認識の度合いが強くなく、記憶にはっきりと残らなかったか、自己体裁の偽装の場合が考えられる。
報告に対して強く認識したなら、半年やそこら時間が経過しただけで報告を受けた時期を忘れるはずはないから、幅が出ることはない。偽装するための時期なら、時期を明確に特定した場合、露見の危険度が高まるから、それを防ぐためにどうしても幅を持たせる。つまり曖昧にする。
安倍口先だけ首相が「去年の暮から今年の初め」とする国会での答弁を、いわばそれでよろしい、間違っていないと閣議決定した。
だが、番組の解説が「政府が対策に本腰を入れたのは5月になってから」と言い(読売記事は<政府は5月25日と6月4日に、年金記録漏れ問題に対する対応策を発表したが、ほぼ半年間は具体的な対策が示されなかったことになる。>)、「野党などは政府の対応の遅れを批判しています」と言っていることと安倍首相が言っていることを突き合わせてみると、安倍首相は「年金記録の問題を認識した時期」は「去年の暮から今年の初め」で、「2月に5万件という数字が出てきた段階」で「大掛かりにしっかり対応」せよと「指示」を出した。それから約3ヶ月経過した「5月になってから」「対策に本腰を入れた」とすると、年金という特に高齢者にとっては死活問題となる、そのことに対する対応としては3ヶ月も日時を必要としたことは、その後の社保庁や政府のドタバタした後手後手の対応から考えても、危機管理対応能力が満足に機能しなかったことを物語ることになる。
いわば「大掛かりにしっかり」と言う割には、「大掛かりにしっかり」とはなっていなかったということで、「大掛かりにしっかり」が口先だけで終わっていたことを証明する。
安倍首相が国会で答弁し、それを閣議決定した該当者不明の年金記録約5000万件の存在を認識したとする「去年の暮から今年の初め」がウソの偽装答弁だと仮定すると、対策遅れの責任と野党の追及をより優位なものとすることが支持率に影響することへの恐れから、都合も悪いし格好もつかないからと安倍首相が責任逃れに野党の国会追及や社保庁に対する資料請求攻勢に機先を制する必要上、国会でそう答弁してしまった。
訂正すれば、ますます形勢が不利になる。ウソつき安倍晋三の名誉ある称号を賜ることになる。第一天下の総理大臣が責任逃れのためにウソをついたとなると、日本の美しい歴史に名前を刻むことになりかねない。
この仮定が当たっているとしたら、閣議決定は、一旦そう答えてしまった以上、後には引けない、「去年の暮から今年の初め」の線で行きましょうという口裏併せの全員一致の決定ということになる。
偽装だからこそ、読売記事が言うように<2006年6月現在で5000万件に及ぶことを政府が公表したのは今年2月>でありながら、それが深くは認識して受け止めていなかった事柄だったから、<社保庁は当初、5000万件の内訳を把握しておらず、柳沢厚生労働相は国会答弁などで「亡くなった方や、年金の受給要件を満たしていない方らが含まれる」として、実質的な問題は少ないとの見方を示>す深刻問題と見なさない態度を示すことができたのであり、そのことに反して、<社保庁が5月に公表した5000万件の年齢別内訳で、60歳以上の受給年齢に達している人の記録が約2880万件に達することが判明>という深刻問題が後付け浮上することになったのだろう。
こういった当初は深刻な問題と受け止めていなかった事情が安倍首相をして年金記録の問題を認識した時期について「去年の暮から今年の初め」と幅を持たせることになったということなのだろう。問題把握の深刻さに欠けたこと自体が、安倍首相が言っている「大掛かりにしっかり対応しなければいけないと、いう指示」にしても、問題を正確に把握することが大切だから時間をかけたとする弁明にしても、それが事実ではなく、責任逃れの偽装に過ぎないことを証明している。
安倍首相が憲法問題を当初は参院選の争点にしようとしていたことからも証明できる年金記録問題に対する「大掛かりにしっかり対応しなければいけないと、いう指示」の真偽の程であり、これを偽装としなければ、逆に己の指示が機能しない首相たる者のリーダーシップを問題としなければならなくなるし、指示が機能しない自らのリーダーシップにこそ思いをいたすべきだろう。
責任逃れに年金記録問題の認識時期を国会答弁で「去年の暮から今年の初め」と偽装する。その答弁書を閣議決定する。「2月に5万件という数字が出てきた段階に於いてですね、そういうところ大掛かりにしっかり対応しなければいけないと、いう指示をいたしました」と偽装に偽装を重ねる偽装防止の補強をする。
中身の食材をあの手この手で偽装して製造・販売したミートホープ社のゴマカシのテクニックと何ら変りはないではないか。みんなやっている偽装だとしても、一国の総理大臣が加わっての偽装だから、中規模程度の一民間企業の社長がやらかしたこととは訳が違うタチの悪さがある。
2000年雪印乳業乳の食中毒事件。その子会社の2001年の国内牛BSE(狂牛病)問題に絡んだ国産牛肉買い取り事業を悪用して、国内産牛肉を国内産と偽り農林水産省に買い取り費用を不正請求し、その価格差分を利得とした事件。
06年10月の消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを製造・出荷した菓子メーカー不二家の事件。その事件を発端に様々な品質管理不備が発覚、品質基準に満たない商品が販売されていたことが判明して、スーパーやその他の商店の棚から不二家の商品がすべて撤去された。そしてみんなやっている今回のミートホープ社の数々の偽装。
社会的信用失墜というダメージを他山の石・反面教師とすることができない学習無能力のこういった不正の性懲りもない繰返しは自己利益をすべての優先事項とさせているからなのか、自分だけは露見しないと妄信しているのか、連綿と続き跡を断つことなく政治家や官僚も加わって、みんなやっていることとなっている。日本の美しい歴史・伝統・文化としてある負の場面であろう。
だが、安心していい。安倍首相は「官製談合、天下りの問題は、私の内閣で終止符を打ちたい」、あるいは年金問題は「すべて私の内閣で解決する」と自らの内閣を万能内閣と位置づけ、高らかに宣言している。官製談合、天下り、年金記偽装だけではなく、食品偽装も政治資金収支報告偽装も、その他世の中のありとあらゆる偽装を、国会答弁偽装も勿論、「私の内閣で解決」してくれるだろう。不正・悪事が一つもない「美しい国」となる。「美しい国」とはそういう国でなければならない。
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