安倍晋三が広島原爆式典で非核3原則に触れなかった答は法文上可能とする核兵器輸送にあるのか

2015-08-07 08:19:49 | Weblog
 



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《8月4日 小沢一郎代表記者会見要旨党HP掲載ご案内》    

      こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。
      8月4日に行われた小沢一郎代表の定例記者会見要旨を党ホームページに掲載しました。ぜひご一読く
      ださい。

      【質疑要旨】
      ○首相補佐官発言問題について
      ○辺野古工事中断について
      ○岩手知事選、参院岩手補選について

 安倍晋三が昨日8月6日広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式で挨拶した。「47NEWS」記事は第2次政権発足後の2013年、2014年の式典では「非核3原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことを誓う」と述べていたが、今回は「非核3原則」に言及しなかったと書いている。

 挨拶での核に関わる安倍晋三の発言を見てみる。

 安倍晋三「我が国は唯一の戦争被爆国として、現実的で実践的な取組を着実に積み重ねていくことにより、『核兵器のない世界』を実現する重要な使命があります。また、核兵器の非人道性を世代と国境を越えて広める務めがあります。

 特に本年は、被爆70年という節目の年であります。核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議では、残念ながら、最終合意には至りませんでしたが、我が国としては、核兵器国と非核兵器国、双方の協力を引き続き求めつつ、『核兵器のない世界』の実現に向けて、一層の努力を積み重ねていく決意です。この決意を表明するため、本年秋の国連総会では新たな核兵器廃絶決議案を提出いたします。

 8月末には、包括的核実験禁止条約賢人グループ会合並びに国連軍縮会議が、更に来年には、G7外相会合が、ここ広島で開催されます。これらの国際会議を通じ、被爆地から我々の思いを、国際社会に力強く発信いたします。また、世界の指導者や若者が被爆の悲惨な現実に直に触れることを通じ、『核兵器のない世界』の実現に向けた取組をさらに前に進めてまいります」(首相官邸)  

 「核兵器のない世界の実現」を3回も言っている。確かに熱心さを窺うことができる。

 なぜ「非核3原則」に触れなかったのだろう。官房長官の菅義偉が同じ8月6日午前の記者会見で記者にこのことを問われている。

 菅義偉「安倍総理大臣は、戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて国際社会の取り組みを主導していく決意を表明しており、考え方は全く揺るぎはない。

 挨拶で安倍総理大臣は核兵器のない世界の実現に向け、強い意思表示をしたことですべて理解されると思う」(NHK NEWS WEB

 別に「非核3原則の堅持」を言わなくても、核兵器のない世界の実現を目指す強い意思表示の中に非核3原則の思いの全てが内包されているのだから、問題はないということなのだろう。

 そう、確かに核兵器のない世界が実現すれば、「核兵器を持たず、造らず、持ち込ませず」の非核3原則を掲げること自体が意味を失う。持とうとしても、持つことはできず、造ろうとしても、造ることは不可能で、持ち込ませようとしても、持ち込んでくれる国はないことになる。

 だが、あくまでも実現すればの仮定の話である。先ず実現の可能性・不可能性の問題が立ち塞がる。可能だとしても、実現するまでの時間も問題となる。

 いわば核兵器のない世界の実現は将来的時空にかかっていて、非核3原則は時間の流れと共に進んでいく現在という時空に常に随伴の形を取らなければならない。なぜなら、非核3原則は唯一の被爆国だからこそ掲げることになった核の存在に対するアンチテーゼとして日本という国に刻みつけているはずだからだ。

 当然、将来的時空に於いて核兵器のない世界の実現に到達するまで、非核3原則は現在という時空に常に添わせていかなければならない使命が日本にあることになる。

 だが、安倍晋三は強い使命感の元、いくら核兵器のない世界の実現に取り組んだとしても、核兵器のない世界がいつ実現するのか、あるいは実現するのかどうかも分からないにも関わらず、実現まで掲げていなければならない「非核3原則の堅持」に触れなかった。

 なぜなのだろう。何か作為があってのことなのだろうか。

 答は8月5日午前の安全保障関連法案審議の参院平和安全法制特別委員会での防衛相の中谷元の答弁にあるのではないだろうか。

 白真勲民主党議員「法文上は、核兵器を運ぶことが可能になるのか」

 中谷元「法文上は、排除はしていないが、非核三原則があるので、核兵器の運搬は想定していないし、ありえない。

 白真勲民主党議員「大量破壊兵器など、この世にあるすべての兵器や弾薬は、この法律で運べるということか」

 中谷元「確かに法律上は特定の物品の輸送を排除する規定はない。ただ、輸送のつど自衛隊として主体的に実施の可否を判断するし、わが国は国是として、非核三原則があり、生物化学兵器は保有しないという条約を結んでいるので、あり得ないし、拒否する」(NHK NEWS WEB

 法文上は核兵器も輸送できるが、非核3原則があるから、輸送することはあり得ないと答弁している。

 だが、安倍晋三は広島原爆式典で、「我が国は唯一の戦争被爆国として、現実的で実践的な取組を着実に積み重ねていくことにより、『核兵器のない世界』を実現する重要な使命があります」と宣言しているのである。

 その使命の手前、法文上も核兵器は輸送できないとするのが使命に対して整合性ある厳格な態度と言うことができるはずだし、法文上も輸送不可とすることで核兵器のない世界の実現に向けた偽りのない、正真正銘の第一歩とすることもできるはずである。

 だが、法文上は輸送可能としていることは核兵器のない世界実現の使命の本気度を疑わせることになるばかりか、同時に法文上の可能性と使命との間に二重基準が見えてくることになる。

 このことは安倍晋三の中で核兵器のない世界実現への取り組みと表裏のない整合性を持たせた核兵器に対する日本の安全保障となっているかどうかで判別できることになる。

 核兵器所有国の核兵器の廃絶を求めながら、核兵器の脅威に対する安全保障上は別だとして、従来どおりにアメリカの核に依存するなら、整合性ある態度とは言えなし、二重基準を設けていることになる。

 この非整合性、二重基準に広島原爆式典で安倍晋三が「非核3原則の堅持」に触れなかった理由があるのではないだろうか。

 安倍晋三は“安全保障環境の変化”を理由に日本国憲法を好き勝手に解釈して集団的自衛権の行使を認めさせようとしている。この“安全保障環境の変化”は北朝鮮の核の所有が現在以上に進み、その能力を小型化・長距離化へと更に高めていった場合、あるいは中国の海洋進出が更に進んだ場合に改めて当てはめ可能となり、その安全保障のために日本の核所有の必要性が生じる可能性を見据えている、あるいは少なくとも同盟国アメリカの核兵器の輸送に道を残しておく、それらに猶予を与えるために法文上は核兵器輸送可能とし、広島原爆式典で安倍晋三が「非核3原則の堅持」に触れなかった理由であり、このことが核兵器のない世界実現への取り組みとの間に非整合性・二重基準を生み出しているということではないだろうか。

 いずれにしても、核兵器のない世界の実現にどう取り組もうとも、唯一の被爆国だからこそ核の存在に対するアンチテーゼとして掲げることになった非核3原則の約束事を、そうであるからこそ、核兵器のない世界実現が確実となる日まで掲げ続けなければならない約束事であるはずだが、安倍晋三は広島原爆式典で核兵器のない世界実現の取り組みに3回も触れたものの、「非核3原則の堅持」の約束事には一言も触れなかった 

 その理由が何であれ、それがどのような作為であれ、この点に如何わしさを感じないわけにはいかない。


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