安倍政権は政府発見資料を根拠に従軍慰安婦強制連行を否定するなら、どのような発見資料か公表せよ

2016-02-25 09:13:32 | Weblog



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《2月23日小沢代表・山本代表定例記者会見動画 党HP掲載ご案内》  
   
      他にも先週19日の玉城幹事長による安保法制廃止法案の提出や、20日の社民党大会での小沢
      代表挨拶、今週22日の玉城幹事長の衆議院選挙制度に関するぶら下がり、4月の補欠選挙の
      推薦決定などの記事も掲載しました。合わせてご覧ください。   

 ――同時に元従軍慰安婦の証言を発見資料から除外している根拠ある理由を明らかにせよ――

 日本政府代表の杉山晋輔外務省政務担当外務審議官が2月16日(2016年)午後(日本時間同日夜)、ジュネーブの国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で慰安婦問題に関して1990年代の政府事実調査では「発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」こと、朝日新聞が従軍慰安婦狩りをしたと捏造した「吉田証言」に基づいて誤報したことが国際社会に大きな影響を与えたこと、「慰安婦20万人」説は朝日新聞が女子挺身隊を混同したためで、朝日新聞もそのことを認め、具体的な裏付けがない数字であることなどの説明を行ったことに対して朝日新聞社2月18日、「根拠を示さない発言」だとして外務省に文書で遺憾を表明している。

 この文書に対して外相の岸田文雄が2月23日の記者会見で杉山審議官の説明に「問題はなかった」との認識を示したそうだ。

 参考のために関連記事をここに示しておく。

 《慰安婦 国連への説明問題ない…朝日「遺憾」文書に外相》((毎日jp/2016年2月23日 23時17分)   

 《国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社》asahi.com/2016年2月19日05時02分)  

 1990年代の政府事実調査とは1993年8月4日発表の「河野談話」作成のための事実調査を指す。2014年の安倍内閣による「河野談話」を抹消したい願望からの「河野談話作成検証」(平成26年6月20日発表)によると、〈徴用の仕方に関し,強制的に行われたのか,あるいは騙して行われたのかを裏付ける資料は調査で出てこなかった〉こと、〈河野談話の根拠とされる元慰安婦の聞き取り調査結果について,裏付け調査は行っていない。〉ことを以て「河野談話」が認めている日本軍による従軍慰安婦強制連行説からその信憑性を著しく損なうことに成功している。 

 先ず後者の説明自体の信憑性を見てみる。

 上記報告書は1993年8月4日の談話発表時の当時の河野洋平官房長官の記者会見での発言を要約している。

 〈「強制性」の認識に関し,河野官房長官は同日行われた記者会見に際し,今回の調査結果について,強制連行の事実があったという認識なのかと(記者から)問われ,「そういう事実があったと。結構です」と述べている。また,「強制」という言葉が慰安婦の募集の文脈ではなく慰安所の生活の記述で使われている点につき指摘されると,河野官房長官は「『甘言,強圧による等,本人たちの意思に反して集められた』というふうに書いてあるんです。意思に反して集められたというのはどういう意味か。お分かりだと思います」と述べた。

 さらに,公文書で強制連行を裏付ける記述は見つからなかったのかと問われ,河野官房長官は,「強制ということの中には,物理的な強制もあるし,精神的な強制というのもある」,精神的な強制という点では,「官憲側の記録に残るというものではない部分が多い」,「そういうものが有ったか無かったかということも十分調査を」し,元従軍慰安婦から聞いた話や証言集にある証言,元慰安所経営者等側の話も聞いたとした上で,「いずれにしても,ここに書きましたように,ご本人の意思に反して,連れられたという事例が数多くある」,「集められた後の生活についても,本人の意思が認められない状況があったということも調査の中ではっきりしております」と述べた。〉――

 公文書で強制連行を裏付ける記述は見つからなかった点については「官憲側の記録に残るというものではない部分が多い」とする一方で、元従軍慰安婦の証言、元慰安所経営者等側の証言を以って強制性を認めたとしている。

 つまり「河野談話」は元従軍慰安婦、その他からの聞き取り調査による証言を以って強制性を認め、裏付け調査は行わなかったことになる。

 だが、1990年代調査から1945年敗戦以前の45年以上も前となる裏付け調査となると、当時の中高年者は生存者も少なく、生存していたとしても、自分自身についての過去の記憶は残っていたとしても、他者に関する記憶がハッキリと残っているかは定かではない。簡単にいくとは思えない聞き取り調査だったはずだ。

 それを補うのが「河野談話」発表以後に出版されることになったインドネシアの元従軍慰安婦の証言やオランダの元従軍慰安婦の証言を集めた書物であるはずだが、安倍政権は2007年3月16日閣議決定の政府答弁書の、1990年代の政府調査で明らかになった〈政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。〉と、このこと一つの根拠で日本軍の従軍慰安婦強制連行説を否定している。

 この根拠を絶対としているなら、1993年8月4日の「河野談話」発表前なのか、発表後なのか、同1993年8月、当時の駐インドネシア公使高須幸雄・国連事務次長がインドネシアで2001年に出版された、日本軍に従軍慰安婦として強制連行され、敗戦と同時に棄てられた少女を含む若いインドネシア人女性の証言を集めたプラムディア・アナンタ・トゥール著『日本軍に棄てられた少女たち――インドネシアの慰安婦悲話』が出版されたなら両国関係に影響が出るとの懸念をインドネシア側に伝える必要はなかったはずである。

 だが、出版妨害(=言論弾圧)となりかねない懸念を伝えた。当時のスハルト大統領の国内独立運動弾圧、民主化運動活動家の拉致・拷問、体制批判のマスコミ弾圧等々の人権侵害を平気で行っていた独裁体制に期待したのかもしれない。

 この懸念伝達は政府発見資料を以って強制連行否定とする絶対的根拠と矛盾する。

 だが、岸田文雄が杉山審議官の説明に「問題はなかった」と、政府発見資料を以って強制連行否定の絶対的根拠とし続ける以上、それがどのような資料か、公表すべきだろう。

 公表されない限り、強制連行否定の絶対的根拠となり得るのかどうかの判断もできない。

 と同時に韓国やインドネシアや台湾、フィリピン等の元従軍慰安婦の証言集、オランダ人元従軍慰安婦が自らの過酷・悲惨な体験を語っている出版物をなぜ政府資料の中に入れないのかの理由も明らかにして、国民が強制連行有無を判断できる材料を提供すべきだろう。

 安倍政権が〈政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったとバカの一つ覚えで言っているだけでは埒が明かない。


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