7月3日(08年)放送の11時30分からのTBS[ピンポン」が「私のしごと館」を取り上げていた。どのような施設なのか「私のしごと館 – Wikipedia」から主なところを箇条書きに拾ってみた。
【概要】
1.1989年(平成元年)度より施策の必要性の議論が始まり、1992年(平成4年)度に政府が施設の
設置構想をまとめた。
2.1995年(平成7年)の閣議決定(開館準備の推進)及び1999年(平成11年)の閣議決定(設置の
推進)を経て、厚生労働省の重点施策「若年者雇用対策の推進」の一つとして国により設置が推進
及び促進された。
3.厚生労働省所管の独立行政法人雇用・能力開発機構が設置・運営す
る。
4.雇用保険法により定められている雇用保険事業のうちの能力開発事業として若年者の失業予防のため
の事業を行っている。
5.私のしごと館の財源は雇用保険であるが、運営資金の全額は事業主が負担する保険料であり
、個々の労働者が納めた保険料は使われない。
6.2003年(平成15年)3月30日にプレオープン、同年10月4日にグランドオープンした。
【目的】
1.世界最大級の職業総合情報拠点として、業予防のための若年者への職業意識啓発(職業教育、キ
ャリア教育)を目的とする各種事業を実施する。
2.中学生や高校生などの時から、仕事というものに親しみを持つことができるよう、また、いろいろな
職業を体験することができるように、それら各種仕事の展示体験コーナーや、職業情報の提供、
発信等を実施する。
3.労働意欲衰退は今や国際的社会問題であり、早期キャリア学習が世界各国で求められている。博物館
等の社会教育、心理学(キャリアカウンセリング)、職業訓練(職業能力開発)等の手法を組み合
わせた方法により恒久的、継続的な問題解決をめざす。
4.建設費 581億円(以上)
経営状況を言うと、毎年20億円の赤字(「ピンポンパン」では毎年15億の赤字としている)だという。
運営目的に関わる能書きは立派過ぎるくらい立派である。建設費を581億円もかけたのだから、581億に見合う能書きが必要になる。但し能書きがそのまま成果につながる保証はない。つながれば赤字経営だ、倒産だといた事態は人間世界には存在しないことになる。
尤も営利事業ではないのだから、「若年者への職業意識啓発」に十二分に力を発揮し、結果的に社会的な雇用状況に多大な貢献を果たしていて、その効用が毎年20億円の赤字(「ピンポンパン」では毎年15億の赤字)を補って余りあると言うなら存続させる価値があると言えるし、最終的には事業主の利益にもなることなのだから、現在のみならず将来的にも失業保険に於ける 「事業主が負担」分まで相殺してお釣りまでくることになる。
「私のしごと館」は果して毎年20億円の赤字(「ピンポンパン」では毎年15億の赤字)を十分に上まわる「若年者への職業意識啓発」に大いなる力を発揮し社会的な雇用状況に多大な貢献を果たしていると断言できるだけの社会的な利用価値をトータルで生み出していると言えるのだろうか。
だが、景気回復に伴ってフリーターは減少傾向にあるというものの、就職氷河期に学校を卒業、就職に関して割を食った35~44歳台では逆に増加しているという年長フリーターの問題、24歳以下の無業者は減少しているものの景気回復という局面に反して25歳以上では増加している就職傾向、アパートを借りる初期費用が賄えずにネットカフェを現住所としているその日暮らしの生活状況、あるいは社会的に一般化した「派遣残酷物語」、偽装請負等々の若者が抱え込んでいる労働状況を考えた場合、「私のしごと館」が毎年20億円の赤字(「ピンポンパン」では毎年15億の赤字)を出してもいい若者の職業に関する問題解決を果たしているとは到底思えない。
赤字額を現在は非正社員の地位に甘んじていはいるが、将来的には正社員の地位を望んでいる若者向けの実際的な職業訓練の費用に回した方が有意義なカネの使い道と言えないだろうか。
またここにきて石油高騰による原材料費の高騰、生活物資の高騰を受けた消費活動の収縮がもたらすことになる国内景気の減速が本格化した場合の企業の求人意欲減退に対抗する若者の就職活動に「私のしごと館」が何らかのプラスの影響を与えることができるかというと、非正社員が正社員の3人に1人といった状況が象徴しているこれまでの若者の雇用状況に何ら役に立っていなかったのだから、ノーと言わざる得ない。
要するに企業が政治を動かして1986年に施行させた13業務に派遣を認める労働者派遣法をバブル崩壊後の失われた10年の羹(あつもの)に懲りてその規制緩和を暫時拡大させていき、失われた10年の後半の1999年に製造業などの一部を除き派遣の原則自由化、04年に製造現場労働者の人件費カットに利する製造業への派遣も解禁、既に1年~3年に拡大していた派遣期間を07年に製造業にも適用し、景気が回復しても人件費抑制の観点から派遣だ請負だの低賃金雇用を常態化させた膾を吹くが如き企業の経営の在り方が影響した若者の職業状況であって、「私のしごと館」は建設費 581億円に見合う高邁な能書きを掲げたものの、若者が見舞われている職業状況とは無関係のところで活動していたというのが実態であろう。
大体が「私のしごと館」を訪れた若者がそこで博物館等の社会教育、心理学(キャリアカウンセリング)、職業訓練(職業能力開発)等の手法を組み合わせた方法で様々な職業体験を行ったことによって派遣だ請負だではなく正社員への道が開けた上に高い労働意欲を維持して企業活動に臨めたというなら、評判が評判を呼んでそのご利益にあやかろうと多くの若者が引きも切らずに押し寄せ商売繁盛ということになっていただろうから、その逆の毎年20億円の赤字(「ピンポンパン」では毎年15億の赤字)という状況自体がその活動価値が無意味であったことを証明して余りある。
03年3月13日の『朝日』朝刊に次のような記事が掲載されている。≪455億円の保養施設が8億円 2800万円の武道場は1050円 厚労省の外郭団体「雇用・能力開発機構」 「施設投売り」の不思議≫
04年から雇用・能力開発機構が独立行政法人に移行するのに伴い、05年度末までに自前で保養施設を持てない中小企業の福利厚生を目的に自治体から借地などして建設してきた全施設の売却・整理を決めたものの、全施設の建設費4498億円に対して、売却額は百数十億円に過ぎない、TBSの「ピンポン」も取り上げていたその「結構毛だらけ、猫灰だらけ」のバナナの叩き売り相当の安売りを批判した内容の記事となっている。
記事中の「自治体に売却された主な施設」(※カッコ内は所在地と運営開始年、金額は建設費と売値)を見てみると、
追分勤労者体育センター(北海道追分町 82年) 7960万円 1万5千円
矢本勤労者体育センター(宮城県矢本町 85年) 8959万円 529万5150円
ホリゾンかみね(茨城県日立市 85年) 3億2843万円 10万 5千円
勝沼勤労者体育施設(山梨県勝沼町 90年) 1億 219万円 10万 5千円
藤岡勤労者体育施設(愛知県藤岡市 82年) 7750万円 740万2500円
伊勢志摩いこいの村大王(三重県大王朝 84年) 8億4343万円 10万 5千円
八千代農村教養文化体育施設(兵庫県八千代町77年)7600万円 1086万7500円
大佐勤労者野外活動施設(岡山県大佐町 83年) 1億3390万円 1万500円
阿南勤労者総合福祉センター(徳島県阿南市 83年)2億7500万円 1億699万円5千円
安芸勤労者体育施設(高知県安芸市 72年) 2821万円 641万250円
阿蘇いこいの村(熊本県阿蘇町 84年) 7億8240円 105万円
糸満勤労体育センター(沖縄県糸満市 79年) 7602万円 1万500円
この一覧表には載っていないが、「ピンポン」でも触れている神奈川県小田原市の1999年建設、機構保有の土地代・建設費455億円(財源は雇用保険料のうちの事業主負担分だとWikipedia)の「スパウザ小田原」(東京ドーム5個分の広大な敷地に、ホテル、温泉、テニスコート、ボウリング場などの施設が備わっている「Wikipedia」)は8億円の価格での売却を決定、小田原市が年4億3千万円以上の賃貸方式で民間経営委託を計画、受諾企業が現れたなら購入予定だと書いている。
「自前で保養施設を持てない中小企業の福利厚生」が目的という建設趣旨を社会に生かしてこそ「趣旨」は意味を持つ。それを叩き売りのバナナ同然の素材としてしまったのは建設趣旨を社会に生かすことができなかったからなのは明らかである。ヒトとモノすべてに亘って民間の優れたサービスと比較した場合歴然たるものがあり、忌避されたといったところなのだろう。
この福利厚生施設が目的とした趣旨をまったく生かせなかった「雇用・能力開発機構」の経営発想と経営手腕、それに続く独立法人化後の「私のしごと館」に於ける趣旨未消化の経営発想と経営手腕を並べた場合、前者を前科として後者は再犯の関係にあるとも言える構図を踏んでいる状況は「私のしごと館」の将来的な措置をどうすべきか示していないだろうか。
「私のしごと館」を視察した渡辺喜美行政改革担当相の館内に入るなり開口一番「でっかい建物だなあ」であった。何のために天井を高くしているか、建設費を高くする目的としか考えようのない天井の高さであった。豪華さだけが目立ち、若者の職業に関わる生活感を窺うことができない。
カネがかけてあるのは建物だけではなく、「ピンポン」は展示物コーナーに置かれている人形は79体で2億8千万円、1体356万円平均で多額の費用がかかっていると伝えていた。
宇宙開発の仕事紹介は製作費5億8千万円。テレビニュースキャスターを体験できるスタジオ2億7800万円。消防士コーナーは2億8900万円等々・・・・。
消防士の制服を着て消防に乗り込む中学生だか高校生を撮していたが、全国状況と比較したそれぞれの生徒が住む地域地域に於ける火災原因、火災規模、火災件数等の地域性の学習を省いた消防体験にどれ程の意味があるのだろうか。体験したという事実のみが残る行事で終わりはしないか疑った。
地域の消防署がすべての小中高生の見学を受入れる余裕はないかもしれないが、あるグループは消防署、あるグループは警察署、あるグループは工場と見学箇所を分担させて、見学で得た情報とそれら情報から学んだ自身の情報を学校で分担箇所ごとに発表させて疑問点等の議論を行わせ、そのことを通して得た知識から見学しなかった職業について生徒それぞれに想像力を働かさせて職業観を膨らませることの方が生きた教育になると思うのだが、どんなものだろうか。
教えられたなりの情報を教えられたなりに受け止める暗記形式の情報授受で終わらせる、あるいは体験して得た情報のそれ以外の情報や他者の情報との咀嚼を経ない最初の形なりの情報で推移させることは情報に込めるべき想像性(創造性)の介在を省くことを意味し、情報の発展的な解釈に期待は望めない。
「私のしごと館」が見学者の体験して得た情報の発展的な解釈にまで寄与しているというなら、いわば単なる行事で終わっていないなら、やはり生きた学習になることとして多くの見学者を集めたに違いなく、赤字の道を辿ることはなかったのではないだろうか。
民間委託した上、それでも採算が取れなければ廃止と去年12月に決まっていたと解説していたが、7月2日に同じく「私のしごと館」を視察した桝添厚労相は存続の意思を隠さなかった。
桝添「もっといい方法はないのかなあと。もっと収益が上がって、投下した資本が回収できる道をまさに検討委員会が一生懸命反対派も入れてやっているわけですから。これを潰すというのは勿体ないですよ」
どういった遣り取りの関連からか聞き逃したが、厚労省の省益、もしくは「雇用・能力開発能力機構」の利益代弁で動いているのではないかといった疑いを否定して、それがウソではないことの証明として言ったことなのか、「私のような人間に裏も表もありません。私は喋り過ぎて文句を言われている人間ですからね」といったことも言っていた。
ウソつけであろう。裏表のない人間がいるかというんだ。「喋り過ぎ」と「裏表がない」とどういう関係があるというのだろう。否定の喋り過ぎは裏表のある証拠と大体が相場が決まっている。
7月2日の「asahi.com記事」≪舛添厚労相が「私のしごと館」視察 存続の意向示す≫によると、「裏も表もある」桝添厚労相は地元の首長らとの意見交換で「こんな立派な施設を壊すという選択肢はありえないと思う。かえってお金の無駄遣いになる。今あるものをいかに生かすか、赤字幅をいかに減らすかという課題に取り組んでいきたい」と述べたそうだが、「雇用・能力開発機構」が厚労省の外郭団体であったときから現在の独立行政法人に至る経営発想と経営手腕を計算に入れない存続意向は「雇用・能力開発機構」の存在意義を認めることであると同時にそこに平成20年3月1日現在、理事5名のうち3名が労働省出身者(Wikipedia)だという天下りであることを考えると、族議員の立場からの発想としか言いようがない。
まさに桝添の正体見たり、族議員と言えるのではないだろうか。
TBS「ピンポン」は子供に職業体験できる施設で確実に収益を上げ、成功している場所があると2006年に東京にオープンした民間の子供向け体験施設「キッザニア」を紹介した。50社を超えるスポンサー企業の仕事を中心に80種類の職業体験ができるため、連日満員が続く盛況ぶり。当初の見込み年間入場者数の30万人を超え、80万人を集客しているとのこと。
その上キッザニアは全国展開を検討していて、来年には関西に進出を計画。実現すると、「私のしごと館」と競合することになる。
上記『朝日』記事で触れていた455億円で建設された小田原の温泉施設「スパウザ小田原」も建設費の約2%で小田原市が購入。小田原市はヒルトンに賃貸、ヒルトンが「ヒルトン小田原リゾート&スパ」として運営し、人気を博し、小田原市に年間4億3千万円の賃貸料が支払われていて、2年で元が取れたと官と民の経営手腕の違いを紹介していた。
さらに追い討ちをかけるようにムダゼロに向けて政府与党がしていることとしてたくさんのムダゼロ会議を設置していると冷笑混じりに解説していた。
・自民党――「ムダ遣い撲滅プロジェクトチーム」
主旨――随意契約全廃。
公益法人への補助金を見直す。
・自民党――「税金のムダ遣いを1円たりとも許さない若手の会」
主旨――議員の海外出張のファーストクラスは必要か?
・公明党――税金のムダ遣い対策検討プロジェクトチーム」
主旨――省庁による事業委託の「半減」を目指す。
・政 府――有識者らによる「ムダゼロ臨時行政調査会」のようなものの設置を検討。
ハコモノはなぜなくならないのだろうか。答は簡単である。ハコモノをつくる脳しかないからだ。ハコモノ建設の目的とした中身の趣旨を社会的に生かすだけの経営手腕――経営上の創造性を欠いているからに他ならない。大体が天下り人事の機会を設けることを含めて自分たちの仕事をつくるための仕事となっていて、それが目的だから、建設が終了することによって目的を果たすことになり、趣旨を生かすところまでいかない。結果的に中身の建設趣旨がタテマエとなることとなり、建設趣旨そのものが機能せずに完結することになる。
そういったことまで考えない桝添の「私のしごと館」存続意向はまさしく族議員の発想と断罪すべきではないだろうか。
引用されているWikiの内容を見るに、「概要」において
「政府が施設の設置構想をまとめ」とあり、
「閣議決定を経て、(中略)国により設置が推進及び促進された。」
とありますね。
つまり、この施設を作ることを決めたのは内閣ですよね。潰せ潰せと主張する某大臣が席を置く あ の 内閣です。
面白いと思いませんか?自分達の先達が作ったものを、無駄だから潰せと言うんです。
この雇用機構、かつてこの施設を運営する予定だった別法人から、運営が無理だからという事で押し付けられた過去があります。
断罪されるべきは政府だと思うのです。体よく責任をたかが一特殊法人に擦り付けて、無駄の象徴に仕立て上げて叩く。国民の不満はおのずとそちらに向きます。
さらにこの施設の建設については、「私たちの血税を無駄にして」という論調で語る人もいますが、所謂被雇用労働者の雇用保険は一切使われていません。事業主負担分からのみですね。
そういった事実を踏まえて、ご意見を伺いたく存じます。よろしくお願いします。
確かに潰せ、潰せと主張するだけで、何ら責任を取らないのはおかしいですね。自分たちの内閣が造ったものではないからと責任回避意識を働かせているのかもしれません。
年金記録漏れ問題でも安倍晋三は「年金システムをつくった当時の厚相は菅直人なんですよ」などと最終的責任を負うべき代々の内閣の中央行政機関に対する管理・監督責任、大臣任命責任を棚に上げて、菅直人一人に責任を負わそうとしていました。
また安倍晋三は年金問題を「政党同士の対立、政争の具にすべきじゃない」と自己都合なことを言ってましたが、そのことに対して私はブログに次のように書きました。
<政権交代がないことが、官僚の緊張感を失わせ、政治家を単に選挙に当選するだけ、与党の座を失わないためだけの選挙屋に進化させ、日本の政治を劣化させているのである。日本の政治に政権交代を慣行化させて政治を活性化させるためには(年金問題を)大いに勝つか負けるかの「政党同士の対立、政争の具にすべきじゃない」か。「選挙の争点」ともすべきだろう。>と。
政治家が自ら責任を取らない以上、国民が選挙で以て責任を取らす以外に政治の責任問題は解決しないと思います。なかなかそういった方向に動かないから、いつまで経っても政治家は責任問題に無神経でいられる。そう思いますが。
「私のしごと館」の運営資金が雇用保険のうちの事業主負担保険料のみであっても、その直接的な利益は基本的には失業保険料を支払っていて万が一失業した場合の労働者に向けられるべきものです。
「私のしごと館」が自らが掲げた趣旨である若者の社会的な雇用状況に益する社会的な具体化に役立っていないということなら、事業主及び労働者に対する間接的な権利侵害に当たると思いますが。
年金、税制を政争の具にして頂いて大いに結構だと思います。結果的にそれを参考に国民は判断して政党を選ぶのですから。
ただし、判断材料としての情報は国民が正しく把握・理解するべきだと思うし、マスコミには正しく情報発信をして頂かないと。今回の「私のしごと館」に限って言えば、【政府が決めて、政府が作った】のに【所管法人を独立行政法人化してシッポ切りの準備】をした上で【責任の所在を擦り付け】たうえに【無駄の象徴として叩き】、【国民の支持を得ようと政争の具にしている】ということを、果たしてどれほどの人が理解しているのか?
渡辺大臣のパフォーマンスは面白く、国民に受けやすい。マスコミは視聴率を取りたくて、これを面白おかしく報道する。
踊らされているのでは?と思うのです。
よくこの施設の比較対象に挙げられるキッザニアですが。
昔よくごっこ遊びしませんでした?あれは楽しいものでした。楽しいものには人が集まります。人が集まれば商業ベースに乗せられます。キッザニアは利益追求の民間施設です。
対して私のしごと館ですが。
皆さんはどのようにして今の職に就かれました?
本当にやりたい仕事に就けてますか?もっと自分に合った仕事があったのでは?と考えることはありませんか。
そういう可能性を中・高校生のころに見つけることって大切だと思います。国民が将来就きたいと思える仕事をすこしでも体験できれば。
想像もしなかった仕事というものもみつけられるかも知れません。
こういった分野には、なかなか商業ベースに乗るものではありません。教育分野は採算が取り難いといわれる所以だと考えます。
ここを担うという趣旨の「私のしごと館」、本当におっしゃっているように「若者の社会的な雇用状況に益する社会的な具体的に役立っていない」のでしょうか。
修学旅行でここを利用した学校の報告書がネットで散見できます。ご覧になってみては?
国民の将来のことを考えるのも、国の責任において行ってもらえれば、我々は安心なのではないでしょうか。そこに利益とか、採算とか考えてもいいものなのでしょうか。
最後に。
雇用主が払う雇用保険と、労働者が払う雇用保険は使い道が明確に分けられています。失業時に貰えるのは労働者が支払ってきた雇用保険からです。
事業主支払い分は、この機構の本当の業務である人材育成分野に使われているのを、どれほどの人がご存知なのでしょう。
「修学旅行でここを利用した学校の報告書がネットで散見できます。ご覧になってみては?」――学校はいいことを書くでしょう。生徒も役に立ったと書くかも知れません。しかし生徒にとって役に立つかどうかは将来が決めることです。
私は修学旅行というものを信用していません。修学旅行ということで気分が高揚している上に集団で行動しているから、どうしてもお祭り気分になって、いわば精神的に酔っている状態になっているから、特に初めての見聞ということになると、何もかもよく見える。
「私のしごと館」での疑似体験が果して現実の社会に出て、職業人として生きていく段階でどれ程に役に立つかです。
職業上の技術だけで成り立つわけではありません。上司や先輩に対して馴れ合わないとやっていけない人間関係、調子よく合わせる人間が幅を利かし、出るクギは打たれる状況。理想と現実の違い、上司の指示をそつなくこなし、それ以上のことをしない生き方が最善だと心得ている者たち賀使胚的な状況・・・
「私のしごと館」は教えてくれますか。
就職は学歴に左右され、その時代の景気に左右されます。「私のしごと館」が学歴や景気の良し悪しを超えて常に満足のいく仕事を約束してくれますか。
また、「私のしごと館」がなかった時代と、社会の状況がどういう違いがあるというのです。
となれば、赤字経営を問題としなければならなくなります。
Unknown様と手代木恕之様のコメントを拝読させていただきながら、何点か感じ、考えることがありましたので、失礼とは存じますがシェアさせていただきますね。
>要するにあなたは「私のしごと館」存続派なのですね。
このように問いかけられると、私なら、このような施設があってもいいのではないか、とお答えしてしまいます。
確かに年間15億円の赤字を雇用保険特別会計から充当することだけを焦点に考えると、その資金をもっと直近の失業者対策、若年者対策等に回せ、という主張には大きな説得力があります。(たとえ、その15億が「事業主負担分」だけであったとしても「公的資金」であることには変わりませんしね。)
ただ最初に、このような施設があってもいいのではないか、と書いた理由は、個人的にはここで「米百俵の精神」をもって、若い人たちに少しでも働くことの意義や自分自身について自己理解を深めることを目的とした施設があってもいいのではないか、と考えているからです。
そういう観点から振り返ると、商業ベースのキッザニアと比較した場合の公的機関としての私のしごと館の存在意義というのは、一利用者の保護者として厳然として感じています。
その相違を一言で言えば、キッザニアは「体験を売り物にしたアトラクション、ショー」であり、しごと館は「体験や自己理解を深めるきっかけを作るための教育機関」であるということです。
(実際に両施設を利用した子供の感想は、「キッザニアはいろんな体験ができて楽しかった。また行きたい。」「しごと館は自分発見オリエンテーリングで自分のことについて考えれた。勉強になった。」とのことでした。)
ちょっと話がずれますが、ここまで「私のしごと館」が問題視されているのは何故でしょうか?
これもあくまで個人的な感想ですが、その財源が「雇用保険特別会計」ではなく「一般会計」であれば、ここまで問題視はされなかったのではないかと思います。あるいは厚生労働省ではなく、最初から文部科学省所管の施設であれば、ここまで目立つこともなかったのではないかとも感じています。
このような観点からいえば、今回の問題の本質は、しごと館運営の主旨自体よりも、それを設置決定したプロセスにあるのではないかと感じています。
誰がどのような目的で、交通の便の悪い京都南端の山の中に581億円もかけて、このような施設を作ったのか。
潰せ潰せと主張する某大臣やマスコミは、単に一行政執行機関を叩くだけではなく、もっと本質的な闇の部分にまで踏み込んで、責任追及する必要があるのではないでしょうか。
先ず、私のしごと館は雇用保険法や、その中で能力開発事業を規定している職業能力開発促進法から逸脱している疑いがあります。
逆に云えば、保護者のご意見の様に、文科省がやるならこの点は解消されます。
但しそれでも、私のしごと館の売りである疑似体験や、その上位概念である職業キャリア教育が正課の教育として小中高生に必要であるとする考え方は、「最近、成田離婚、熟年離婚が多いから、恋愛の手ほどきをしよう」と云っているのと同じだと思います。
こちらにも立ち寄っていただければ光栄です。
http://www.s1.inets.jp/~lithium/jnk/jnk_012.html
http://www.s1.inets.jp/~lithium/jnk/jnk_012/index.html
(廃止論)
http://mfox.hp.infoseek.co.jp/index12b.html
(12/11~15の日記=厚労省の報告書の感想)
http://mfox.hp.infoseek.co.jp/index01c.html
(1/23の日記=法的逸脱説)
小さい頃から一緒にどんな仕事があるか
探してあげられるし、夢を見つけて
あげられるかもしれない。
まだ子供は小さいのですがもう少し大きくなったら
連れて行ってあげたいと思ってます。