内閣府発表の「4-6月のGDP3期連続のプラス」をマスコミが解説している。《4-6月のGDP3期連続のプラスに》(NHK NEWS WEB/2013年8月12日 9時0分)
勿論、勿論、安倍晋三のアベノミクスのご霊験である。そのうち神様に持ち上げられるに違いない。
記事は個人消費が引き続き堅調だったことや円安を背景に輸出が伸びたことなどから、今年4月から6月までのGDP=国内総生産の伸び率は実質で前の3カ月と比べてプラス0.6%、年率換算だと、プラス2.6%の3期連続のプラスとなったと書いている。
「個人消費」の内実は高額品や衣料品等の購入、外食への支出等で、プラスの0.8%。
「公共投資」が昨年度の大型補正予算の影響等でプラスの1.8%。
企業の「設備投資」は建設が伸びたのに反して、船舶等が減少した結果、マイナスの0.1%。
「輸出」は円安などを背景にアメリカ向けの自動車が伸びたことなどから3.0%のプラス。全体を差し引きして前の3カ月比でプラス0.6%の伸びだそうだ。
物価の変動を反映させた名目のGDPの伸び率は、前の3カ月比でプラス0.7%となり、3期ぶりに実質の成長率を上回ったという。
一番の成果は円安効果によるアメリカ向け自動車輸出のプラス3.0%だが、このプラスはアベノミクス効果による円安だけの助けではなく、アメリカの景気回復の助けもあってのプラス3.0%であろう。
「個人消費」は高額支出に偏っていて、アベノミクスが格差拡大に貢献していることの証明にはなるが、大多数の国民が等しく恩恵を受けている状況にはないことを示している。
いわば現在のところ、格差拡大には役立っている。この格差拡大が膠着化しない保証はない。
また「公共投資」(言い替えるなら、公共事業投資)の伸びは政府の大枚のカネを使っての伸び――財政出動による恩恵であって、このことは企業の「設備投資」が「公共投資」の恩恵に主として浴する建設が伸びていることに現れているが、船舶等が減少しているということは、アベノミクスが民間主導の実体経済を全体的に力強く動かすには未だ至っていないことを示していて、将来的には未知数の姿を見せていることになる。
では、どのくらいの大枚のカネかというと、昨年度(24年度)の国土交通省関係補正予算の公共事業関係費は1兆8144 億円。これにプラスして、25年度国土交通省関係予算の公共事業関係費の4兆4892億円を順次消費しているのだから、カネを使った分だけの見返りとしてのGDPの伸びは当たり前となる。
但し社会的インフラが成熟した中での「公共投資」の経済効果は一時的で、継続的経済効果は期待しにくいという状況の中での寿命を向かる老朽化インフラの維持・管理、その他の防災・減災の公共事業が少なからず占めるとなると継続的経済効果はなお期待困難ということになって、単にカネを使っただけ、あるいはカネを使っただけGDPが伸びたという状況が生み出された場合、何が何でも公共事業からGDPをつくり出そうとカネを使うという逆の循環に陥る、かつての自民党に先祖返りしない保証はない。
こう見てくると、アベノミクス効果が力強い足取りで歩み始めたとは到底言えないことになるが、経済にド素人の言うことだから、当てにはならないが、今回発表のGDPの伸び率は市場の予想を下回っていて、週明けの東京株式市場も活発な反応を見せなかったということからすると、まるきり当てずっぽうの読み解きということではないように思える。
但しアベノミクスの張本人である安倍晋三は自信満々である。《首相「経済政策は間違っていない」》(NHK NEWS WEB/2013年8月13日 0時6分)
「4-6月のGDP3期連続のプラス」を受けて8月12日午前、訪問先の地元山口県長門市で支持者らに挨拶、次のように発言している。
安倍晋三「今年の1月から3月までの値と同様に、日本は成長を続けることができた。改めて、私が進めている経済政策は間違っていない、この道しかないと確信した」――
強気なのはいいが、「日本は成長を続けることができた」と言っている中身・実態はいびつな形の「GDP3期連続プラス」である。
このいびつさを解消する確実な方法が保証されているなら、最初から手を打っているだろうから、保証されていない以上、「この道しかない」の確信にしても、単細胞の人間だけに許される、保証のない確信――自信過剰ということもあり得る。
尤も自身の単細胞に気づかずに保証ある確信と信じているからこそ、東北が豪雨災害に見舞われような何しようが夏休みを利用してゴルフ三昧に耽っていられるのだろう。
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