被災3県議会議長の菅退陣緊急要請方針は被災3県知事の菅内閣震災対応批判の踏襲

2011-07-25 08:56:10 | Weblog



 岩手、宮城、福島3県の県議会議長が、27日(2011年7月)の全国都道府県議会議長会の総会に菅直人首相の退陣を求める緊急要請を提出する方針を固めたと、《被災3県議会議長、首相の退陣要求へ 「ビジョンない」》asahi.com/2011年7月24日19時35分)が伝えている。

 記事は、〈都道府県議長は自民系議員が大半で、採択される可能性がある。〉と書いている。

 佐々木一栄・岩手県議会議長(民主)(朝日新聞の取材に)「中央と被災地の温度差を感じており、首相に被災地の意思を示したい

 緊急要請案の内容――

 〈震災や原発事故への菅首相の対応について「明確なビジョンの提示もなくスピード感に欠ける」「場当たり的」などと批判。辞意を表明しながら退陣時期を明確にしていないことが、復旧・復興の足かせになっているとの見方が強まっているとして「いさぎよく退陣を」と求め〉ている。

 菅仮免自身と菅仮免内閣の「明確なビジョン」の不在、「スピード感」欠如は震災発生以降から言われていた。

 だが、菅仮免は“菅のツラにショウベン”の繊細な感性がそう思わせているのだろう、7月13日(2011年)記者会見の冒頭発言の冒頭早々。

 菅仮免「一昨日で、3月11日の大震災からちょうど4カ月目になりました。この間、大震災に対する復旧復興の歩み、被災者の皆さんにとっては、遅々として進まないという部分もあろうかと思いますけれども、内閣、自治体それぞれの立場で全力を挙げてまいっております。そうした中で仮設住宅の建設、あるいは瓦礫の処理など復旧の分野も着実に進むべきところは進んでまいっていると、そのように認識を致しております。そうした中で復興基本法が成立をし、6月28日に復興本部が立ち上がりました」

 「着実に進むべきところは進んでまいっている」――

 この発言には「明確なビジョン」の不在、あるいは「スピード感」欠如の感覚はサラサラない。

 7月19日(2011年)の衆院予算委員会国会答弁――

 菅仮免「ま、世論調査を含めて、国民の声は、真摯に受け止めなければならない、えー、受け止めているつもりであります。

 えー、先程申し上げましたが、私は、3月11日の、おー、大震災発災以来、内閣として、やるべきことがやれているか、それともやれていないか、私なりに見てまいりました。

 えー、そして、えー、それは100点万点とは言えませんけれども、しかし、きちっとですね、当初の救命、えー、そして復旧、ウー、そして今復興、を進めております。そして原子力、うー、発電所の事故に関しても、ステップ1が今日で、予定通り、ま、一部は予定よりも、オ、前倒しで、あのー、おー、達成し、えー、ステップ2に向かっていくというところまで来ております。

 えー、そういう意味で、私は、内閣としてやるべきことは、あ、基本的に前進していると、そのように、え、考えていることも併せて、エ、申し上げて、えー、おきたいと思います」

 「内閣としてやるべきことは、あ、基本的に前進している」――

 「明確なビジョン」の不在、あるいは「スピード感」欠如批判を否定し、無縁とする「基本的に前進している」の発言であり、一貫して内閣としてやるべきことはやっているという姿勢の貫きであった。

 被災現場の認識との乖離を事実としない菅のツラにショウベンのこの無感覚こそが菅の一国のリーダーとしての矜持を保ち、菅をして「この大震災のときに総理という立場にあったひとつの宿命」(震災発生1か月目の記者会見発言)と自らに受け止めさせている自尊と覚悟であったに違いない。

 だが、被災現場から見ると、菅のこのような矜持、自尊、覚悟は決定的に虚構、もしくは幻想に過ぎないと映っている。

 岩手、宮城、福島3県の県議会議長の菅仮免に対する「明確なビジョン」の不在、あるいは「スピード感」欠如批判は被災3県知事の菅及び菅内閣に対する震災対応批判を踏襲する批判であるはずだ。

 軌道修正されないままに「明確なビジョン」の不在と「スピード感」欠如が当たり前の光景となって被災現場を覆っている。止むに止まれず知事たちのを踏襲して自らも批判を示すべく、退陣緊急要請方針となった。 

 7月11日(2011年)、全国知事会議のプレイベントとしてシンポジウム「東日本大震災からの復興に向けて」が秋田市内のホテルで開催。そこで被災3県の知事が政府の対応を批判している。《国の指導力不足批判 被災3県知事ら分権訴え 秋田》MSN産経//2011.7.12 02:38)

 達増岩手県知事「現場力のすごさが如実に表れたが、国の調整力、指導力の不足が見えてきた」

 記事は、〈市町村の行政機能が失われた災害で、内陸市町村や自衛隊の支援が奏功した半面、例えば燃料の確保、支援など複数の省庁にまたがる問題では数週間も遅れるなどの対応を批判した。〉と解説。

 村井宮城県知事(携帯電話の不通などで県内35人の首長の安否確認に3日もかかったこと、燃料確保が遅れたことなどを例を挙げて)「情報伝達のインフラ整備は国が役割を果たすべきだ。燃料管理についても一元的に国が計画を立てておくべきだ」
 
 佐藤福島県知事「教育現場の放射線は20~1ミリシーベルトとなっているが、暫定的な基準。正確な基準や指示を出すように、国にはがんばってほしい。屋内退避と自主避難も、連日のように(国の指示が)変わって、住民が困惑した」

 そして7月5日現在で瓦礫処理率34%という遅れ、仮設住宅建設の遅れは散々言われてきた。 

 被災自治体から見た場合、「明確なビジョン」の不在、「スピード感」欠如は一貫した現象として存在した。菅仮免の指導力不足が全ての原因を成しているこれらの欠落でありながら、官邸と被災現場との認識のあまりの乖離に耐えられずに現場の声として上げた、被災県知事の批判を踏襲する被災3県議会議長の菅退陣緊急要請方針となって現れた。そうとしか見ることができない。



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