私自身は憲法9条改憲論者である。
理由は、日本が世界を国家生存の場とし、世界各国との関係を国家生存の機会とし、それぞれが国家生存の利害で深く結びついていて、決して一国のみの生存で日本国家が成り立っているわけでない。あるいは一国のみの生存で日本国家を成り立たせることはできない。
世界に於けるこの国家生存の構造は日本一国にとどまらず、ほぼすべての国々が共有する相互関係性を維持していることは断るまでもない。
また、世界の平和、各国の平和は武器を売って儲ける国以外は一般的には国家生存の相互関係性を瑕疵なく保守する最低必要条件であって、当然、国家生存の相互関係性に依存する国々は世界の平和、各国の平和維持に相互に責任を有することになる。
平和に責任を持つということは、平和の対立項としてある戦争、内乱、独裁政治等を国家生存の機会を脅かす利害要件として排除する責任をも持つことを意味し、そのような責任を持つことによって世界各国との国家生存の相互関係性が維持可能となる。
当然のこと、世界を国家生存の場とし、世界各国との関係を国家生存の機会としている以上一国平和主義を決め込んで、外国での戦争、内乱、独裁政治等に目を閉じた場合、世界を国家生存の場とする資格も、世界各国との関係を国家生存の機会とする資格も失う。
世界を相手の国家生存の相互関係性を自ら断ち切ることを意味する。
世界の総体的な平和を維持する手段として武力しか残されていないとき、武力を以って平和の維持に責任を持ち、世界各国との国家生存の相互関係性の維持に務めなければならないはずだ。
だが、日本の現憲法は武力行使を禁じることによって、世界各国との平和に関わる国家生存の相互関係性維持に果たすべき日本の務めを限りなく小さくしている。
経済的に儲ける一方の相互関係性となっている。軍事的にも世界の平和に関わり、それなり代償を支払うべきであろう。
以上の理由から、憲法9条改憲論者となっている。
森本民間人出身防衛相が6月19日(2012年)の参院外交防衛委員会で、他国の弾道ミサイル等の攻撃防御の敵基地攻撃能力の保有についての山本香苗公明議員の質問に対して次のように答弁したとマスコミが伝えている。
《敵基地攻撃能力の検討必要=森本防衛相》(時事ドットコム/2012/06/19-18:06)
森本民間人出身防衛相「従来の専守防衛だけで全ての国家の防衛ができるのか、常に見極めながら防衛政策を進めるのは国家の責務だ。
他の手段がないと認められる限り、敵の基地をたたくことは、国際法上もわが国の憲法解釈上も自衛の範囲に含まれる」
確かに「他の手段がないと認められる限り」に於いて、「敵の基地をたたくことは」「自衛の範囲に含まれる」という解釈は成り立つが、この場合の「敵の基地をたたくことは」自衛だと解釈できると同時に相手国に対する攻撃を意味する。
これは自衛の範囲です、攻撃ではありませんという解釈は成り立たない。
専守防衛である限りに於いて自衛のみで成り立つ。
自衛という名の攻撃を仕掛けることが憲法解釈上許されるとするなら、軍事面での国の安全保障に責任を持つ立場にあるのだから、あるいは軍事的安全保障の点で国民の生命・財産維持に責任を持つ以上、敵基地を叩いだけで終わらない可能性、全面戦争への突入の可能性を後に控える場合があることにも言及して初めて国民に対する説明責任となるはずだし、一国の防衛相としての認識能力――国家危機管理意識の万全さを窺うことができる。
だが、単なる自身の憲法解釈論で終わっている。
言葉で言うだけでは済まない、国民の生命・財産を守ることをも含めて起き得る現実社会への全体的な予測性に対する認識を欠いた軍事的な国家危機管理は有事に際しての対応の的確性を阻害することもあり得るに違いない。
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