安倍自民党2014年総選挙軽減税率公約に見る国民を騙し、国民生活を頭から追いやった言葉のマジック

2014-11-26 08:08:43 | Weblog


 ――安倍晋三の総選挙は結局国民の生活を考えてのことではなく、アベノミクスの成功と政権運営だけを考えている――

 自民党の野田毅税調会長と公明党の北側一雄副代表が11月19日に国会内で会談して、2017年4月に軽減税率導入を目指すことで合意したと、《軽減税率、消費増税と同時に…首相が自公公約に》YOMIURI ONLINE/2014年11月20日 03時00分)が伝えている。

 合意に基づく公約案に「2017年度からの導入を目指して対象品目、区分経理、安定財源などについて早急に具体的な検討を進める」と明記したという。次期衆院選の自民、公明両党の共通公約とする意向だそうだ。

 記事は解説している。〈自公両党は昨年末、軽減税率を「消費税率10%時」に導入することで一致しており、公明党は2015年10月の10%への引き上げ時の導入を求めていた。これに対し、自民党は「制度設計が間に合わない」と引き上げ時の導入に難色を示していたが、増税の1年半先送りを首相が表明し、時間的な制約が解消された。政府・与党は15年度の与党税制改正大綱に同時導入を目指すことを盛り込む考えだ。対象品目について、首相は「専門的な話だから、税調で議論していただきたい」と語った。〉――

 記事は11月19日の読売新聞のインタビューに対する安倍晋三の発言をほんのちょっぴり載せている。

 安倍晋三「専門家同士が合意したということになれば、共通の選挙公約ということで議論を進めているのだろう」(以上引用)――

 要約すると、自公両党は昨年末、軽減税率を「消費税率10%時」に導入することで一致していたが、野田・北側会談で10%増税が先送りになったために2017年4月に軽減税率導入を目指すことで合意、合意に基づく公約案に「2017年度からの導入を目指す」と明記、政府・与党は15年度の与党税制改正大綱に同時導入を目指すことを盛り込む考えを示した。

 以上の経緯から見ると、自公両党は十分に意見の一致を果たしたように見えるが、記事は、〈導入時期で両党に認識の違いが残り、対象品目の絞り込みなど導入に向けた課題も多い。〉と、必ずしも一致はしていないことを伝えている。

 次の記事を見ると、意見の一致は表向きの装いだったことが分かる。

 《軽減税率:導入時期を明記すべきか 足並みそろわぬ自公》毎日jp/2014年11月24日 22時30分)   

 自公両党は軽減税率について共通公約で消費再増税との同時導入を目指すことで合意していることを受けて公明党が消費税率10%への引き上げと同時の「2017年4月の導入の実現」を衆院選公約に明記しようとしたところ、自民党から「努力目標にとどめるべきだ」と横やりが入って、調整が難航していると、内幕を伝えている。

 これに公明党が反発。

 公明党「党の公約は我々で決める」

 共通公約は、〈主張通り「2017年4月1日の導入」と読める半面、「4月以降」への先送りにも含みを持たせた文面。軽減税率を衆院選でアピールしたい公明党が時期の明記にこだわったため、本音では導入を先送りしたい自民党が提示した「ぎりぎりの折衷案」(自民党税調幹部)だった。〉

 野田毅(11月20日記者会見)「読んで字のごとし。『目指す』は文字通りだ」

 斉藤鉄男公明党税調会長「4月1日からの導入を(公約の)柱にする」

 自民党税調幹部(公明党の公約の内容を伝え聞いて、11月21日)「そこまでは合意していない。信義則違反だ」

 この幹部、共通公約を破棄する可能性まで口にしたという。

 公明党幹部「「政党単独の公約にまで注文をつけてくるのは筋違いだ」

 記事解説。〈山口那津男代表は衆院解散後、東京都内の街頭演説で「軽減税率導入を目指すことが第一の柱」と訴えた。2012年衆院選と2013年参院選で軽減税率導入を掲げてきた公明党には、主張をさらに進めたいという思惑がある。〉――

 要するに野田毅等自民党側は、「目指す」としていることは言葉の意味通り、実現を「目指す」のであって、期日を区切って、“実現させます”という意味で合意したわけでも、約束したわけでもないということなのだろう。

 いわば軽減税率導入は“目標”であって、決定ではないと言うことなる。決定には至らない永遠の“目標”にしたいに違いない。

 言葉のマジックである。公明党の北側一雄が言葉のマジック過ぎない自民党側の約束に騙されて合意すること自体が間違っている。

 10月10日の安倍晋三と習近平国家主席の会談を実現させるために日中が合意した4項目もこのような言葉のマジックを駆使したに違いない。

 言葉のマジックは、野田・北川会談合意を反映させているのだから、当然と言えば当然だが、次期総選挙の自民党公約《自民党重点政策2014》(自民党/2014年11月25日)の「軽減税率」に関する言及にも現れている。  

 〈経済再生と財政健全化を両立するため、消費税率10%への引上げは2017年4月に行います。また、軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入します。2017年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進めます。〉・・・・・

 「税率10%時」とは税率が10%となる2017年4月を指しているわけではない。2017年4月から消費税率が10%である間ということを意味している。10%以上に増税するまで、「税率10%時」と言うことになるからだ。

 「2017年度からの導入を目指して」にしても、「2017年度」は2017年4月から2018年3月までの期間を言うから、その間のいつかということになるが、その間のいつかにしても、既に触れたようにあくまでも“目標”であって、導入決定を約束しているわけではない。

 結局のところ、軽減税率を導入したら社会保障費が不足するとか何とか言って、先延ばしにすることになるに違いない。

 一見、軽減税率導入に前向きな姿勢を見せているようで、実際は言葉のマジックを用いで導入を回避しようとしている。このこと自体、国民を騙す遣り方そのものである。

 株価が大きく上がっても個人消費回復の決定打足り得ていないことの裏を返すと、国民全体から見ると、株所有者はごく少数派で、株を持つ余裕のない国民の方が大多数と言うことなると、何日か前のブログに書いたが、であるなら、世論調査で80%の国民が10%増税と同時の軽減税導入を求めていることからしても、安倍自民党の軽減税率に関わる公約は言葉のマジックで消費税増税で生活を苦しくしている大多数の国民を騙していると同時にそれら国民の生活を頭から追いやった軽減税率導入回避としか言い様がない。

 尤も安倍晋三は基本のところでは国民の在り様よりも国家の在り様を優先して現代版富国強兵を目指す国家主義者である。経済的にも安全保障の面でも強い日本になればいいと思っている。国民の給与アップはそのための方便に過ぎない。アベノミクスの成功と長期の政権運営がそれを可能にすると信じている。軽減税率導入回避は当然の措置と見なければならない。

 次期総選挙の投票日に安倍晋三の基本の姿をどのように判断して一票を投じるかは、国民の判断にかかっている。


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