「ニューヨーク・タイムズ」社説が言う指導者の頻繁な交代は果して非生産的か

2010-09-09 07:03:25 | Weblog






 9月7日付の米ニューヨーク・タイムズ紙が「Japan's Leadership Merry-Go-Round」と題した社説を記載したと日本の各紙が翌8日付で伝えている。各紙とも異なった紹介をしていることと各記事自体が短い文章となっているために全文参考引用してみる。






 
 《指導者の頻繁な交代に目まい…NYタイムズ紙》YOMIURI ONLINE/2010年9月8日10時48分)

 【ワシントン=小川聡】7日付米ニューヨーク・タイムズ紙は、日本の民主党代表選を前に、「メリーゴーラウンドのような日本の指導者の地位」と題する社説を掲載。

 「指導者の頻繁な交代は目まいがするほどで、ますます非生産的だ」と懸念を示した。

 社説は、「代表選で誰が勝とうとも、最優先の課題は経済だ」と指摘して追加の景気刺激策を求めた。

 また、小沢一郎前幹事長が沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で交渉を再開する意図を表明した点について、「非現実的な立場を考え直す必要がある」と指摘した。

 《米紙社説、頻繁な日本の首相交代を批判》MSN産経/2010.9.8 01:16)

 7日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、日本の首相の頻繁な交代が日本の政治に「ますます逆効果になっている」と批判する社説を掲載した。

 社説は「日本は世界第3の経済大国で、強靱で信念を持った首相が一定期間続けて必要」と主張。民主党代表選に出馬している菅直人首相、小沢一郎前幹事長の「どちらが勝利しても最優先課題は経済政策」とした上で、菅首相が重視する公的債務削減政策は「景気後退局面にあってはまずい考え」と指摘した。

 また日米関係の再強化も重要とし、小沢前幹事長が米国人について「単細胞なところがある」と述べたことに触れ、新たな友好関係にとって好ましくないと指摘。

 一方で社説は、両候補ともに弱点を持ちながらも、自民党政権下の過去何人かの首相よりは望ましいとの考えを示した。(共同)

 《米・NYタイムズ社説で 「頻繁な総理交代は損」》朝日テレビ/10/09/08 11:54)

 民主党の代表選挙について、アメリカのニューヨーク・タイムズは、「日本の総理大臣が頻繁に交代することは、世界にとってマイナスだ」という社説を掲載しました。

 社説は、冒頭で「総理大臣のめまぐるしい交代は、日本にとって逆効果だ」として、「これでは、どんな国でも政治はうまくいかない」と指摘しています。菅総理大臣が主張する国の借金の削減については、「景気後退の局面では良くない考えだ」と批判しました。

小沢前幹事長については、「アメリカ人は単細胞なところがある」と発言したことを改めて取り上げ、「新しい友人を作る際に良い方法ではなかった」と皮肉を込めています。そして、「回転ドアから出てくるように次々と指導者が交代するのは、日本だけでなく世界の得にもならない」と主張しています。

 《米紙「ニューヨーク・タイムズ」、民主党代表選についての社説掲載 痛烈に批判》FNN//10/09/08 10:42)

7日付のアメリカのニューヨーク・タイムズは、民主党の代表選についての社説を掲載し、「日本の首相は回転ドアのようにころころ変わる」と痛烈に批判した。

「メリーゴーラウンドのようなリーダーシップ」と題した社説では、「日本では、この1年間で3人目の首相が誕生するかもしれない」と皮肉を交え紹介したうえで、「世界第3の経済大国である日本には、長期安定政権が必要だ」と苦言を呈している。

また、菅首相と小沢前幹事長のどちらが勝っても、「最優先課題は経済対策であるべき」と指摘した。

また、小沢前幹事長が普天間基地移設に関する日米合意見直しに触れたことに対しては、「再考が必要」と反論している。

社説は、「回転ドアのように首相がころころ変わる」状態は、日本にとっても世界にとっても好ましくないと締めくくっている。

 最後にブログから部分訳を参考引用。
 
 《EE-英語》

日本のトップはメリーゴーラウン

日本の首相交代は目まぐるし過ぎて、マイナスだ。過去20年間に日本では14人の首相が就任した。そして、15番目が現れるかもしれない。そうすると、この12カ月だけでも3人目となる。新たな政策を導入する時間もなければ、ましてや、それを遂行する時間もない。

菅氏は小沢氏よりも人気はある。しかし、小沢氏は、政治の裏舞台で政治資金を動かしながら、実際に党首選挙に参加する党所属の子分を多く支配している。

党首選挙の結果が出れば、新首相はまともな経済・外交政策を遂行できるだけ長く政権を維持してほしいものだ。トップが回転ドアのようにくるくる変わるようでは、日本の国益だけでなく、世界の利益にも反することになる。

Japan’s Leadership Merry-Go-Round

Japan’s frequent leadership changes are dizzying and increasingly
counterproductive. The country has had 14 prime ministers in the last two
decades and could soon have another. That would make three in the last 12
months alone ? hardly time enough to introduce new policies, much less
effectively implement them.

Mr. Kan has more popular support. Mr. Ozawa ? who has largely operated in
the political shadows ? has more chits with the party members who will
actually elect the party chief.

Once the choice is made, we hope the next prime minister is around long
enough to enact coherent economic and diplomatic policies. Revolving-door
leaders with constantly shifting agendas are not in Japan’s interest ? or
the rest of the world’s.

 「指導者の頻繁な交代は目まいがするほどで、ますます非生産的だ」

 「日本の総理大臣が頻繁に交代することは、世界にとってマイナスだ」

 「回転ドアから出てくるように次々と指導者が交代するのは、日本だけでなく世界の得にもならない」

 「日本は世界第3の経済大国で、強靱で信念を持った首相が一定期間続けて必要」・・・・

 ニューヨークタイムズ紙は現在の日本にとって目眩(めまい)がする程の指導者の頻繁な交代が日本の政治の文化だということに気づいていないらしい。目眩がする程に頻繁に交代してこそ、日本の政治文化なのだと。だから、英語の「Change」に当たる日本語の「交代」が「後退」と同じ音を踏む同音語となっている(というのはデタラメ)。

 決して「非生産的」でもなければ、「世界にマイナス」でもない。日本の国情が“経高政低”となっているから、世界の諸問題の解決に政治の力を以ってしてではなく、カネの力を以ってして解決する世界に突出した日本方式が戦後世界に出現、カネの面でどれ程世界に役立ってきたことか、測り知れないではないか。

 自らに欠けている政治の力はアメリカに頼って対米追従外交を生み出し、アメリカの言いなり、アメリカにとっては日本は常に有り難い存在となっていた。どこに不服があるというのか。

 小泉政権の場合、日本の政治文化に反して5年も続いたから、1年2年で交代していたなら、あるいは1年で何人か交代していたなら、最小限の後退で済んだところを、地方格差、収入格差等々最悪の後退現象を招くことになった。頻繁に交代してこそ、日本の後退を最小限に防ぐ最大の防御策なのである。

 このような日本の政治文化を無視して、ニューヨークタイムズ社説は指導者の頻繁な交代は非生産的で世界にとってマイナスになるという制約を掲げ、「日本は世界第3の経済大国で、強靱で信念を持った首相」を条件に、「一定期間続け」る必要性を訴えているが、例え日本の政治文化に反することになったとしても、あくまでも「強靱で信念を持った首相」を条件とするなら、菅首相の就任して3カ月しか経っていないという「一定期間」を満たさない在任期間は排除されて然るべき条件となる。少なくとも優先条件とはならない。

 果して菅首相は「強靱で信念を持った首相」の条件に当てはまるのだろうか。消費税発言をしたかと思うと、その発言が原因で選挙に大敗すると沈黙に転じ、鳩山前首相提案のトロイカ体制に則った挙党態勢に一旦は同意しておきながら、次の日にはその同意を撤回、テレビの収録番組で、代表選後の人事に関して「小沢氏にも得意な分野で活躍していただければありがたい」とさも要職で起用するかのような発言をしておきながら、まだ舌の根が濡れている間に「一般論を述べただけ」と言い繕う。

 その他、日米同盟や日本に於けるアメリカの抑止力に関する過去の発言の撤回等、頻繁に見ることができる言葉の軽さ、言葉の一貫性のなさ、言葉に責任を持たない態度等々は言葉に信念を込めることができない意志薄弱から現れることになっている菅首相に於ける言葉の光景であろう。

 「回転ドアから出てくるように次々と指導者が交代するのは、日本だけでなく世界の得にもならない」からと、日本の政治文化に反してそのことのみを非生産的とし、「強靱で信念を持った首相」とは言えない政治家を指導者の位置に据え続ける日本の政治文化に則って、そのことを生産的とするのか、何が生産的・非生産的かの判断にかかっている。


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