精神年齢13歳が靖国参拝を可能とする

2006-08-16 02:53:00 | Weblog

 マッカーサーは日本の政治は13歳の少年だと言った。13歳程度の知能の日本人が戦争を企画・立案し、遂行した。頭は空っぽでも、腕力があればそれなりにのさばることができるように、13歳でも大量の軍艦や戦闘機、大砲に守られて戦線を拡大し、敵を撃破・占領することができた。だが、如何せん、アメリカの石油対日全面禁輸すら予測する力もなかった13歳程度の頭が戦略を立てた戦争である。綿密に計画立てる全体的な展望能力など最初からなく、兵器や腕力に力を借りた突撃だ、特攻だといったその場あたりの威勢のみでは持久できるわけがなく、戦略も戦術もなし、勢いもなくなれば13歳の少年の集まり・烏合の衆に過ぎない姿を暴露し、残された道は雪崩を打って逃げ惑うしかない、その当然の結果として招いた日本軍人240万戦死の7割・168万人が餓死、実際の戦死は240万のうちの72万という惨憺たる戦果が天皇陛下のため・お国のために勇ましくも桜の花と散るべくイメージしたことの実態的結末だったということだろう。

 日本国民も軍人・政治家に劣らず同じ13歳だから、神国だ、大東亜共栄だ、八紘一宇だ、世界支配だと、ホラでしかない上の煽動に付和雷同して「鬼畜米英」を言われるままに大合唱し、ホラでしかない大本営発表の日本軍の勝利を町内会から動員を命じられるままに提灯行列で祝っては日本の幻の勝利に酔い痴れた。同じく13歳の新聞・ラジオは大本営発表のホラを鵜呑みにどころか2倍・3倍にも膨らまして勇ましく書き立て、大日本帝国の絶対性を虚構づけるに持てる力を最大限に発揮した。

 大日本帝国のお粗末だった戦略性なき国家運営、大日本帝国軍隊の虎の威だけで成り立たせていた無責任な未熟性、軍部に言いなりで、自らの責任を放棄していた政治、軍部への追従と国民煽動で権力のおすそ分けに預かっていたマスメディア、ペンの力で国民を言いなりにさせることができる自らの権力に大いなる力を感じていたことだろう。踊らされるだけで、考えることをしなかった国民――すべては13歳程度の頭しかなかったから止むを得ないそれぞれの姿だった。

 そういった13歳程度しかないすべてに亘る日本の自己同一性・お粗末な実態を隠蔽・韜晦し、大本営発表のホラと同様に日本という国の優越性・絶対性を虚構づけるためには「お国のために戦った」戦死者を祀るという靖国という舞台を必要とし、祀るためにはその戦死者は惨めな敗戦死者でも餓死者でもあってはならず、そういった余分なものを一切捨象して優れた国の優れた兵士だったとするための〝英霊〟なる至高存在化装置が絶対条件となる。

 お前のお父さんは偉かったんだよ。アメリカと勇ましく戦って、お国のために立派に戦死したんだよ。アメリカの情け容赦ない攻撃に恐れをなして、さして戦わずにジャングルの中を逃げ惑い、食糧もなく餓死したなんで言えないじゃないか。戦死者のうち、7割もそれに近かったなんて。そんな戦争しかさせることができなかったと国を貶めることにもなる。お国も兵士も最後まで立派だった。

 舞台・装置はそのままにしておいたのでは単なる風景・景色の類で終わる。参拝することで国家優越性表現の儀式の場とすることが可能となる。その最高の儀式者が天皇であることに変わりはなく、それが天皇参拝熱望衝動となって現れている。

 天皇の次が国家運営の代表者たる総理大臣ということになるのだろう。総理大臣何某との記帳は国家優越性表現のための絶対条件である。

 だが、そういった儀式でしか国家優越性を表現できない創造性は俺の父さんは偉いんだぞと父親の威を借りる子どもと同じで、やはり13歳から成長していない姿を現している。政治・外交・文化を力とした世界に向けた国家運営で日本という国を表現していく創造性をこそ問うべきを、それができない代わりに戦没者を利用した虚構の国家優越性表現へと向かわせている。

 結局のところ、戦前も戦後も右手を高々と上げ、その腕をただ闇雲に振りまわしていただけ、いるだけなかも知れない。戦前の日本の野望はアメリカに費え去られ、アジアでお山の大将でいられた戦後の日本の地位は新興中国に脅かされている。日本独自の進路を見い出し、日本独自の存在性を確立する創造性もなく、だから、中国に対して焦り、苛立っている。国家優越性表現に駆られている政治家程、焦り、苛立つことになるのは日本の優越性を実態的に失うことへの恐れからだろう。その代表者が小泉首相と安倍晋三なのは言うまでもない。


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