安倍晋三が言論・表現の自由の程度に関して百田尚樹と同じ穴のムジナだと明らかになった7月3日国会審議

2015-07-04 12:33:40 | Weblog



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《7月4日(土)主濱了生活副代表テレビ出演ご案内》    

    ◆番組名:NHKスペシャル『与野党代表に問う 自衛隊の活動拡大と憲法』

    ◆日 時:平成27年7月4日(土)午後9:00~10:29
    ◆内 容:
     ○集団的自衛権の限定行使は合憲か違憲か
     ○自衛隊の活動拡大とリスクについて
     ○積極的平和主義とこの国のあり方について

     ※番組の詳細 

    《6月30日 小沢一郎代表記者会見要旨 党HP掲載ご案内》

    こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。
    6月30日に行われた小沢一郎代表の定例記者会見要旨を党ホームページに掲載しました。ぜひご一読
    ください。

    【質疑要旨】
    ○阿弖流為(アテルイ)と小沢代表の政治的立脚点について
    ○自民の報道圧力発言について
    ○維新の党の安保法制独自案について                         
    ○安保法制の国際公約化問題と政局への影響について
    ○秘密保護法と軍事費の関係について                           
    ○社民との参院統一会派について                                
    ○公共事業バラマキの震災復興への影響について

    《1緊急鼎談第二弾:樋口陽一、小路田泰直、小沢一郎「立憲主義の危機」はなぜ起きるのか ~近代日本史を振り返りながら》

    今回は、立憲主義の危機について日本近代史における立憲主義・議会制民主主義、政党政治の歩みなどを背景に議論します。
    先着順ではありますが、どなたでも関心がある方は参加できますので、お早目にお申し込みください。
    詳細は小沢一郎事務所ホームページをご覧ください。

    【記】

    ■ 登壇者
     樋口 陽一 憲法学者  東京大学・東北大学名誉教授
     小路田泰直 歴史学者  奈良女子大学文学部教授
     小沢 一郎 政治家   衆議院議員

    ●司会
     住友 陽文 歴史学者  大阪府立大学現代システム科学域教授

    ■ 開催日時:2015年7月24日(金)
      開場:15時30分
      開演:16時 終了:18時(予定)

    ■ 開催場所:憲政記念館 大ホール(前回同様)
    ■ 参加費:1,000円

    ■ 主催:自由と平等とデモクラシーを考える市民の会 大木啓司:090-3508-7903

 7月3日(2015年)、衆議院平和安全特別委員会で枝野民主党幹事長が6月25日安倍シンパ自民党若手議員約40人出席「文化芸術懇話会」での百田尚樹の報道圧力に関わる発言を取り上げて、安倍政権が2013年10月のNHK経営委員専任のための国会人事に諮った当時、百田尚樹が報道の自由・言論の自由を侵害しかねない人物であったと知っていたかどうか安倍晋三を追及した。

 予め「文化芸術懇話会」での百田尚樹の沖縄に関係した発言と言論圧力に関係した発言を記載しておく。

 百田尚樹「元々田んぼの中にあり、周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」

 百田尚樹「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ、みんな。ですからその基地の地主さんが、六本木ヒルズとかに住んでいる。大金持ちなんですよ。

 うるさいのは分かるが、そこを選んで住んだのは誰だと言いたい。基地の地主は大金持ち。基地が出て行くとお金がなくなるから困る。沖縄は本当に被害者なのか」

 長尾敬衆院議員「沖縄の特殊なメディア構造をつくったのは戦後保守の堕落だ。先生なら沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全に乗っ取られている」

 百田尚樹「沖縄の二つの新聞は潰さないといけない。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」(以上)

 枝野幸男「メディアに対する圧力とも受け取れる発言が繰返されている。一度厳重注意を受けた大西議員は同種の発言を再び行っている。更にその勉強会では沖縄のみなさんの心情、あるいは沖縄のみなさんにお願いしている負担に全く意を払わない発言がなされている。

 このことに対して安倍総理、一言もないですか」 

 安倍晋三「先般の自民党の若手勉強会に於ける発言につきましてはですね、党本部で行われた勉強会でございますから、最終的には私に責任があるものとそのように考えております。

 (顔を卓上に向けて原稿を読み上げる)報道の自由、そして言論の自由を軽視するような発言、あるいは沖縄県民の思いに寄せた負担軽減、沖縄振興に力を尽くしてきたこれらの我が党の努力を無にするが如き発言が行われたものと認識をしております。

 これは大変遺憾でであり、非常識な発言であり、国民の信頼を大きく損ねる発言であり、看過することはできないと考えて、そのため谷垣幹事長とも相談の上関係者について先週土曜日には直ちに処分をしたというところでございます。

 今後共、自由民主党はまさに民主主義の根幹をなす報道の自由、または言論の自由をしっかりと守っていくということを貫徹していく、そういう党でなけれがいけないという認識を党員全体で共有していきたいと、このように思っております」

 安倍晋三は一応は報道圧力発言の責任を認めた。だが、認めた理由は「党本部で行われた勉強会」だからとなっている。報道圧力発言に自民党議員も関わっていたのだから、「自民党議員も発言したことでもありますから」と、所属議員の口から出たこと自体を理由としなければ、後段の発言、「今後共、自由民主党はまさに民主主義の根幹をなす報道の自由、または言論の自由をしっかりと守っていくということを貫徹していく、そういう党でなけれがいけないという認識を党員全体で共有していきたいと、このように思っております」からは切実な思い、あるいは切実な決意を些かも窺うことはできなくなる。

 大体が議員自体の発言であることを問題としなければ、では、党本部でなければ責任はないとすることができるのかということになる。

 この後、枝野が国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表した「世界報道の自由度ランキング2015」で日本が韓国よりも低い61位だとか、安倍政権になって順位を下げた状況を描き出したり、安倍政権の全体としての姿勢が報道機関に萎縮効果を生じさせているのではないかといったことを追及したが、安倍晋三に「萎縮しているなら、報道機関にとって恥ずかしいことだ、萎縮することは権力に阿(おもね)っていることになる」と逆に反論されてしまう。

 マスコミ人とても生活の生きものであり、生活を最大の利害としている。生活とは単に報酬を貰って、その報酬で日々食べ、暮らしていくことだけではなく、自身の能力を社会に生かしていくことも生活の重要な部分である。

 反権力の姿勢をあからさまにすることによって、クビが飛ばずとも、閑職部門に左遷されて自身の主義主張まで封じられることになった場合、自身の能力は殺され、能力に見合う報酬まで減殺されることになって、生活の利害を大きく損なうことになる。

 その恐れから、どの会社でも通用するような余程能力が突出した人間でない限り、生活という利害を優先して、程よい態度を取るという萎縮が蔓延ることになる。

 このような萎縮を防ぐには経営部門が部下たちの反権力の姿勢を擁護するかどうかにかかっていることになる。

 経営部門が反権力の姿勢を擁護することが人間にとって最大のものである生活の利害の擁護につながり、萎縮することなく安心して自身の主義主張を貫くことができる。

 安倍晋三は少し前に枝野の質問に答えて、「批判があるということが民主主義が正常に機能している証しではないか」と言っているが、萎縮が蔓延しているということは大きな力を持っている経営部門が反権力の姿勢を擁護していない証しとなるはずである。

 このことはマスコミ各社の経営トップの多くが安倍晋三とお友達の関係にあることと無関係ではあるまい。

 枝野は勉強会で「沖縄の二つの新聞は潰さないといけない」と発言した百田尚樹をこのような報道の自由を損ねるような考え方の持ち主と知っていてNHKの経営委員に専任したのか追及した。

 安倍晋三「NHKの経営委員は文化・教育・産業・科学等様々な分野を代表する方を選ぶことになっております。当時幅広いジャンルで執筆活動をされていた百田氏も委員の一人として提案させて頂いたところでございます。

 その提案を受けて一部野党の賛成を頂きながら、国会の同意を得て専任したところでございます。当時専任させて頂いた理由は今申し上げた通りでございますが、政府としては再任を提案しておらず、百田氏はこの2月に経営委員を退任されております。以上であります」

 百田尚樹が言論の自由や表現の自由という基本的人権に関して問題を抱えている人物だということを「知っていてNHK経営委員に推薦した」と答えても、「知らずに推薦した」と答えても、お友達である百田尚樹がそういう人物であることを認めることになる。

 また、いずれの答弁もしないことによって百田尚樹を擁護することができる。なかなか巧妙な答弁となっている。

 枝野は答弁になっていないからと、再度、こういった人間と知っていてNHK経営委員に推薦したのかどうかを尋ねた。

 安倍晋三「それはまさに申し上げたとおりにですね、NHKの経営委員はですね、文化や教育、産業や科学といった様々な分野を代表する方を選ぶことになっているわけでございまして、その中からいわば文化、あるいは作家の方々の中からも選んでいる。

 いわばそうした中でバランスを取りながら、地域に於いてもバランスを取りながら、我々は提案をさせて頂いたというところでございますし、また提案を頂き、国会に於いてもですね、同意を得て専任したということでございます」

 枝野は民主党は報道の自由に問題がある人物だとして同意に反対したことを告げる。安倍晋三が言っている一部の野党の賛成とは維新の党と当時存在したみんなの党であり、生活の党と社民党、共産党は反対した。

 枝野は再び同様の質問を繰り返した。

 安倍晋三「それはまさに百田さんの先般の発言、勿論経営委員を退任された後、我々が再任を提案していなかったこともございますが、退任された後の出来事でございます。勿論、知り得る術というのは誰にもないわけでありますが、その上に於いてですね、私が先程申し上げましたように幅広いジャンルかで執筆活動をされているは百田氏についてですね、委員の一人としてお願いしたところでございます」

 巧妙に問題をすり替えている。2013年10月当時に2015年6月25日の発言は知り得ないとしても、言論の自由や表現の自由という基本的人権に関して問題を抱えている人物だと知り得ていたかどうかを尋ねているのである。

 勿論、既に触れたようにイエス・ノーいずれを答えても、百田尚樹がそういう人物であることを自身の口から認めることになる。

 だから、巧妙に問題をすり替えなければならない。

 だが、枝野は安倍晋三がNHK経営委員推薦当時はそういう人物だとは知らなかった答弁としたと受け取った。

 枝野幸男「私はちゃんと聞いております。つまり先日のような発言をその任命のときに知らなかったという答弁ですね。

 これでよろしんですね、こういう発言をする方だと知らなかった。今回6月25日の発言などを聞いて、そういう報道の自由に対する見解を持っているのだと聞いて、びっくりした、そう言うことなんですね」

 安倍晋三「これは今申し上げたとおりでございまして、そもそもですね、知っていたかという質問自体が私にはよく分からないのだが、つまり任命した時の発言ではないわけでございます。

 それは先般の発言であります。その上に置いてですね――」

 場内が騒がしくなる。

 委員長「静粛にお願いします。静粛に」
 
 安倍晋三「つまり、これは当時のですね、どのように選んでしたのかという認識を聞かれているわけでございますので、NHK経営委員はまさに文化を共有、産業・科学、様々な分野を代表する方々を選ぶことになっているわけでございます。

 幅広い分野で執筆活動をされていた百田氏も委員の一人として当時提案させて頂いた。そして一部野党の賛成を頂きながら、国会の同意を得て専任したところでございます」

 枝野幸男「何なら時計を止めて、議論を精査してもいいのですが、私は25日の発言をするような方だと専任するときに知っていたのか、知らなかったのかそれを聞いているのです」

 他の議員が委員長席に集まり、一中断。話し合いがついて再開。 

 枝野幸男「先月25日の発言は先月25日にあったのですから、任命の段階で分かっていないのは当たり前です。でも、この手の発言をされる、つまりメディアに対する非常に圧力的なご発言をされるような、要するに報道の中立性とか報道の自由に対して非常に鈍感な方ということを任命当時知ってて任命したのか、それとも知らなかったのかどっちなんですか。

 因みに我々はこういう方だからと国会で反対しているんですよ」 

 安倍晋三「そもそもですね、先般のご発言をされる、『この手の』といういおっしゃり方をしましたが、『この手の』というよりも、それはやはり発言というと例を出さなければいけないんだと思いますが、いわばそういう発言をされるか方かどうかということをですね、我々は一昨年(おととし)の段階でそれは予測し得るかどうかと言うことを聞いておられるのだと思いますが、それは2年半後に自民党の若手の議員の会でですね、ああいう発言をされると言うことをですね、そこで予測し得たかといえば、これは予測し得ないというのが当然のことではないだろうかということとですね、そもそも当時報道の自由に対して挑戦的な発言をされておれらたかどうか、そういうことが当時問題になっていたかということではないんだろうと私は思いますよ。

 それは当時は、当時百田氏が沖縄の2紙に対して非難を繰返していたということは勿論全く存じ上げておりません。また多くの方々もそうだろうと思います。

 つまり先般の発言2年半前に遡って予測するということはそもそも不可能ではないかということを私は繰返して述べているわけでございまして、当時はまさに様々なジャンルの方々、あるいは作家の方々、文化の方々、文化関係者等も含めて有識者の方々、あるいはまたたくさんの地域の方々の中から専任した中に於いて我々はご提案をさせて頂き、国会に於いて一部の野党のご賛同を頂き、成立したものであると、こういうことでございまして、繰返しになりますが、先般のああしたご発言については、当時は発生しておられないわけでもありますし、さらには付け加えて言えば、当時は報道機関との関係に於いてですね、そういうご発言をしていられたということは私は承知をしていないわけでありますし、それ自体は恐らく専任の際はそれは話題としてはのぼっていなかったのではないかと、このように思うわけでございます」

 枝野幸男「当時そのような方だと知らなかったから仕方がないのだと、今はじめておっしゃったんですよ。その前はおっしゃってはおりませんからね。

 経営委員の人選としていい悪いは別にして、異例の専任のされ方と言うか、選ばれ方があったという状況の中でほんとうにそういうことを知り得なかったと言うことは色んなことを言われているメディアのみなさん、特に沖縄のメディアのみなさん中心に、任命前の色んな言動についてはしっかりと、この後報道されていくんだろうなあというふうにおもいます」

 安倍晋三は百田尚樹が言論の自由・表現の自由に関して問題がある人物と認めることにならないように枝野幸男の質問に直接答えない形で言葉を多く費やすうちにその追及を巧みに交わす言葉を見つけた。

 NHK経営委員専任当時の言論に圧力を加えるような発言の例を出さなければいけない、当時報道の自由に対して挑戦的な発言をして問題となっていたわけではない、25日の発言と似た発言が当時発生していたわけではないといった趣旨の言葉の数々であるが、このような発言が公になっていなかったというだけのことで、百田尚樹が言論の自由や表現の自由に関して問題がある人物であるかどうかの答とはならない。

 大体が言論弾圧発言と言ってもいい百田が実際に口にした発言を、「ご発言」と敬語をつけること自体が安倍晋三自体が言論の自由・表現の自由に鈍感であることの証し以外の何ものでもない。ここには百田発言に対する忌避感覚は一切見えてこない。

 安倍晋三と百田尚樹は雑誌で対談を行い、対談集『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』を2013年12月27日に刊行している。

 《一条真也の新ハートフル・ブログ》(2014-01-24)にその内容の紹介があり、月刊誌「Will」2012年9月号、10月号、2013年10月号、12月号に掲載された記事を一部修正加筆した内容だという。  

 安倍晋三が百田尚樹をNHK経営委員に推薦したのは2013年10月。それよりも1年前の2012年9月号に対談が載り、雑誌発行の時期は実際の月よりも早いから、2012年8月頃の発行で、対談はさらにその前となるから、2012年7月頃となると思う。

 最後の2013年12月号でも、発行時期を2013年11月とすると、対談自体はもっと早い時期となり、NHK経営員の専任の時期と重なる。

 どういった歴史認識の持ち主か、どういった政治思想の人物か、知り得ていないはずはない。

 その中で二人は次のように発言している。

 安倍晋三「日本のことが大好きで、日本と非常に良好な関係を築いている国々については、マスコミはあまり報道しませんからね」

 百田尚樹「本当にそうですね。日本と友好を結んでいる国のことや、日本を評価している国のことはまったく報道しないくせに、中国や韓国が歴史認識問題で日本を非難しているとか、そういうニュースばかりです。それも偏った報道ばかりなんですが」

 この発言が何月号発行の雑誌か分からないが、百田尚樹は日本のマスコミが「偏った報道」をするということを固定観念としていたことになる。

 だが、安倍晋三は枝野幸男の追及に6月25日の勉強会での自民党議員の報道の自由を侵害するような発言自体を問題とせずに自民党本部での開催であることを自身の責任の理由とし、百田尚樹の「沖縄の二つの新聞は潰さないといけない」とする報道圧力発言を忌避するのではなく、「ご発言」と敬っているのだから、本質のところでは百田尚樹という人物が日本のマスコミの報道の自由・表現の自由に対して偏向した固定観念の持ち主であるとは見ていないことになる。

 見ていないということは安倍晋三自身が百田尚樹と同類、同じ穴のムジナでなければならない。


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