「生活の党と山本太郎となかまたち」
《7月19日(日)山本太郎代表テレビ出演ご案内》
こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。
山本太郎代表がNHK『日曜討論』に出演します。
安保法案の採決の受け止めと法案審議に求めることについて」をテーマに議論します。
是非ご覧ください!
◆番組名:NHK『日曜討論』
◆日 時:平成27年7月19日(日)午前9:00~10:00
◆内 容:安保法案の採決の受け止めと法案審議に求めることについて
※番組詳細
安倍晋三が7月17日(2015年)午後、首相官邸で記者団に2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場新国立競技場の「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す決断をした」と表明した。
2013年9月7日に東京開催が決定して約2年後の見直しである。なぜ2年近くも経過してからの見直しなのか、安倍政権内では民主党政権時代にデザインが決まったと、さも民主党政の責任だというふうなことを言っていたが、事実そうなのか、これまでの経緯を振返ってみる。
文飾は当方。
①2012年11月16日、イギリス在住イラン人ザハ・ハディド女史のデザインが独立行政法人日本スポー ツ振興センター(JSC)主催の日本の新国立競技場のコンペ(国際デ
ザイン・コンクール)で最優秀賞を受賞。建設予算は1300億円
②2013年9月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催IOC総会が2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催を決定。
③安倍晋三、同9月7日プレゼンで、「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が確証され
たものとなります」と間違いのない開催に太鼓判。
④2013年10月、東京開催決定を受けて1カ月後、独立行政法人日本スポー ツ振興センター(JSC)が設計図から建設費用を起こす設計会社に見積りを依頼。総工費3000
億円の見積りとなる。
⑤2013年10月23日、文科相の下村博文が総工費は最大約3000億円と発表。
⑥2013年11月26日、独立行政法人日本スポー ツ振興センター(JSC)が延べ面積約25%縮小、総工費1852億円に抑える修正案策定。
⑦2014年5月28日、独立行政法人日本スポー ツ振興センター(JSC)の有識者会議が基本設計了承。総工費1625億円。
⑧2015年5月18日、下村博文が開閉式屋根設置の大会後への先延ばしを表明
⑨2015年6月29日、下村博文が総工費は2520億円と発表。
⑩2015年7月8日 官房長官の菅義偉が記者会見で総工費2520億円に決まったことについて「大会招致の最終プレゼンテーションで世界に発信し、東京開催を勝ち取った経緯
があり、安易にデザインを変更することは国際的な信用を失墜しかねない」と表明。
⑪2015年7月10日、安倍晋三、衆院特別委で「これから国際コンペをやり、新しいデザインを決めて基本設計を作っていくのでは時間的に間に合わない。2019年のラグビー
ワールドカップには間に合わないし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも間に合わない可能性が高い」と述べ、デザインの変更は困難だという認識を示す。
⑫2015年7月17日、安倍晋三、首相官邸で記者団に建設計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直す方針を表明。
安倍晋三は2013年9月7日東京開催決定前のプレゼンで、「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで」と、ザハ・ハディド女史デザインの新国立競技場を頭に入れて東京オリンピック・パラリンピックを思い描き、全ての財政措置は大丈夫だと請け合ったのである。
当然、2011年3月11日の東日本大震災以降の復旧・復興と政権獲得直後の2012年12月27日の臨時閣議で2012年度補正予算と2013年度当初予算合わせて「15カ月予算」の方針を決定、民主党政権2012年度予算公共事業費比1.7倍の公共事業総額7.7兆円を柱とした景気対策を打ち出し、2012年度補正予算を2013年2月26日に成立させて公共事業が執行されていたこと、2013年度予算を2013年5月15日に成立させ、安倍晋三が2013年9月7日のプレゼンの時点で既に公共事業の前倒し執行がかなり行われていたこと、そして2014年4月1日からの消費税5%から8%増税を受けて住宅建設駆け込み需要が既に始まっていたことなどを要因とした土木建設及び一般建設に於ける人件費の高騰、円安と在庫不足による建設資材の高騰、これらをプラスした建設費そのものの高騰という経緯を辿っていたことからすると、少なくとも新国立競技場が総工費1300億円のデザインであったかどうかは別にして、プレゼン前にどのくらいの高騰で済むか試算していなければならなかったことになる。
試算もせずにザハ・ハディド女史デザインの新国立競技場を頭に入れて、「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」について語りかけたことになる。
そのために東京開催決定を受けた1カ月後の2013年10月から、やれ総工費は3000億円だ、総工費1625億円だ、いや、総工費2520億円だと迷走することになった。
全て安倍政権下の迷走である。
ザハ・ハディド女史の建設事務所「コストがかさんだのはデザインのためだと伝えられたのは間違いで、デザインは、日本の建設業者の標準的な材料や技術を使って、JSC=日本スポーツ振興センターの設定した予算に見合うものだ。
真の課題は、1年間で東京での建設コストが急騰し、完成させなくてはならない期日は決まっているという状況の中、許容可能な建設費について答えを出すことだ」(NHK NEWS WEB)
「デザインは、日本の建設業者の標準的な材料や技術を使って、JSC=日本スポーツ振興センターの設定した予算に見合うものだ」と言っているが、例え「標準的な材料」を使用し、「技術」を駆使したとしても、生産性という点で日本は2013年のOECD 加盟諸国の国民1人当たりのGDPで見た労働生産性は34カ国中17位。アメリカ4位の53.086米ドルに対して日本31.315米ドルと21ドルも低い。
特に日本の土木の世界では元請会社や県からの安全パトロールが月1回はあって、現場の部署ごとにパトロールが通過する間、仕事を中止しなければならないことや、同じく月1回は仕事を中断して全従業員が1持間から2時間、安全対策会議と称して安全に関わるレクチャーを受けるなどしなければならないことも影響しているのかもしれない。
毎朝の8時からの朝礼もラジオ体操や注意事項の伝達等で30分近くもかかるようである。こういったことに時間を取られて生産性が低くなれば、逆に余分にコストがかかることになる。
但し、こういった例外を計算に入れたとしても、いくら建設コストの高騰を見たとしても、1300億円の予定が約1年後の計算が総工費3000億円というのはその差が大き過ぎる。
だとしても、早い時期に計算していたなら、こうも迷走しなかったろう。
安倍晋三の7月17日記者会見の全文を次の記事が伝えている。《【全文】安倍首相、新国立競技場は「計画を白紙に戻す」 記者会見で建設の見直しを表明》(ログミー/2015年7月17日)
次の発言を見てみる。
安倍晋三「2020年のオリンピック・パラリンピックの会場となる新国立競技場の現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直す。そう決断いたしました。
オリンピックは国民みなさんの祭典であります。主役は国民、お一人お一人、そしてアスリートのみなさんです。ですから、みなさんに祝福される大会でなければなりません。
国民のみなさん、またアスリートたちの声に耳を傾け、1カ月ほど前から、計画を見直すことができないか検討を進めてまいりました」――
オリンピックは「みなさんに祝福される大会でなければなりません」
そのために「国民のみなさん、またアスリートたちの声に耳を傾ける」
であるなら、安保法制は国民一人一人が日本の将来の進路に関わっていくことになる関係上、尚更に国民に祝福される法律としなければならないはずだ。
当然、半数以上が反対している国民の声に耳を傾けなければならない。
新国立競技場の建設に関しては国民の声に耳を傾け、国民に祝福される大会であろうとするが、安保法制に関しては国民の声に耳を傾けず、国民に祝福される法案であることを要件としない。
二重基準の矛盾を犯しているばかりではなく、ご都合主義も甚だしいではないか。
この鉄面皮なご都合主義はマスコミその他の大方が見る通り、安全保障法制で失った支持率を同じく世論調査で不人気で国民の関心がある新国立競技場建設の見直しで回復しようという思惑から発したご都合主義なのだろう。
一国の首相が自らの発言に整合性を持たせることができない。事情に応じて言うことに違いが生じる。
そのような安倍晋三であります。