アフガニスタン/テロ防止への滑稽な提案

2009-09-25 11:00:58 | Weblog

 
警察署、役所等、学校、幼稚園、教会、ホテル等の建物壁面、門扉、あるいはメインストリートの要所要所に平和や暴力の停止を訴える一文を一節とするコーランの一頁の巨大絵を掲げて、宗教的良心に訴える。あるいはイスラム教開祖のモハメッドの巨大肖像画か、2001年以降は生死不明ということだが、ターリバーンの最高指導者ムハンマド・オマルの巨大肖像画、あるいは著名なイスラム教聖職者の巨大肖像画を取り付けて、吸血鬼に対するにんにくの役目を持たせてテロに対する防御策とする――

  例えば図に書き入れたように、

 『アラーは同胞の死を悲しむ』

 『アラーは同胞の暴力の欧州を悲しむ』

 『アラーよ、この地に平和を!!』

 といったふうに。

 最初は効果はないかもしれないが、街のあちこちでコーランの一説やイスラム教ゆかりの肖像画を見かけないときはないとなったなら、テロをいくらジハード(聖戦)だと信じていようと、少しはためらいが生じないだろうか。
 
 テロの任務を負った者は少なくとも成功させることしか頭にないに違いない。自身の身体に仕掛けたか、車に仕掛けたか、道路に仕掛けたかした爆弾が攻撃対象を捕らえて物の見事に爆発、一人でも多くの死者を出すか建物に大きな被害を与えるかして、それを自らの戦果とするシーンだけを頭に思い描いて行動するはずである。

 だが、巨大肖像画やコーランの一節を目にした場合、それが今まで頭に思い描いていたシーンを邪魔しないことがあるだろうか。風一つない湖面に小さな石を投げてさざ波を立てるようにテロの任務を負った者が既定としている頭のシーンに気持の揺れやちょっとした迷いがさざ波のように立つことはないだろうか。

 そのような気持の揺れや迷いを振り払ってテロを敢行し、成功したとしても、後ろめたさを残すことになるのではないだろうか。例え戦場に於ける兵士のように良心を麻痺させていたとしても、一般の戦場ではイスラムゆかりの巨大肖像画やコーランの一節を目にしながら敵を殺していくということはあるまい。

 昨日9月24日の「asahi.com」記事――《日米同盟の強化一致 鳩山首相、オバマ大統領と会談》によると、日本時間で9月23日夜オバマ大統領と会談した鳩山首相は〈アフガン支援については、「自らの問題として、日本にできうる復興支援に積極的に取り組みたい。我々が得意とする分野で積極的に貢献したい」と述べ、具体的には農業支援や元兵士の職業訓練などをあげた。大統領は「大変ありがたい」と応じた。〉と伝えている。

 また9月23日の「NHK」記事――《アフガン“民生中心に支援”》によると、鳩山首相はイギリスのブラウン首相と会談。ブラウン首相がインド洋での給油活動について鳩山総理大臣の見解を質したところ、鳩山首相は、〈「アフガニスタンの将来にとって、日本の最良の貢献は何か。例えばタリバン兵士の社会復帰のために職業訓練を行い、兵士に安定と幸せを与えることで、全体を平和にする道も考えられる」と述べ、給油活動に代わって、民生分野を中心に支援を行っていきたいという考えを示し〉たという。

 農業支援や元兵士の職業訓練施設ということなら、治安の悪化とそのことを原因とさせたアフガン政府からの人心の離反、外国軍の撤退、アフガン政府の崩壊を目的としているタリバンにとって成功したら都合の悪い方向に向かうことになるから、テロ攻撃の対象にイの一番に加えかねない。テロ攻撃から施設を守るためにイラク復興支援のときのように他国軍隊に守ってもらうにしても、死者を一人でも出さないように上記提案を試してみるのも一つの手ではないだろうか。

 巨大肖像画やコーランの一節がアラーを冒涜するものとして意に反して集中的な激しい攻撃対象となるようなら、逆に誘い込む罠とすればいい。

 アフガニスタン大統領選挙が8月20日に投票が行われたものの、1ヶ月以上も経過して未だ誰が当選か確定していない。1ヶ月近く経過した9月半ばの暫定結果発表では現職のカルザイ大統領が過半数を獲得したと発表されたが、その暫定結果について欧州連合(EU)のモリヨン選挙監視団長が「カルザイ大統領の得票のうち3割強は不正投票だった疑いがある」と指摘したと9月18日の「日経ネット」が伝えている。

 私個人の独断と偏見による好みから言うと、カルザイ大統領はテロによって多くのアフガン人が日々殺され、国が混乱を極め、多くの国民が貧しい生活を強いられているというのに艶やかな色つきのマントを羽織って気取ってるような男は大統領にふさわしくないと思っていた。

 2004年11月11日になくなったパレスチナのアラファトPLO議長はカーキ色の軍服を常に纏って戦う姿勢を世間に宣伝していたが、アラファトは2国間援助や国連を通じた各多国間援助で成り立たせてきた自治政府予算から自らの個人的な特別口座に9億ドルも振り込み、側近たちにも多額のカネをばら撒き、側近たちはそのカネで高級車を乗り回し、豪邸を建てていたという。

 いわばアラファトはカネでPLO議長の職を維持していた。気取った態度のカルザイを見ると、どうしてもアラファトと重なってしまう。カイザルが大統領である限り、アフガンの復興はないように思える。


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