国民に信用されていないアベノミクス 石破茂が反アベノミクスの旗を掲げたくなる気持ちが分かる

2016-08-22 09:39:53 | Weblog

 前地方創生担当相の石破茂が第3次安倍第2次改造内閣の閣外に出て早速アベノミクス批判で出た。閣内にいる間は批判は我慢に我慢を重ねてきたに違いない。

 《政権の経済対策「負債になりかねない」 石破氏がクギ》asahi.com/2016年8月19日20時17分)
 
 8月19日TBS放送の番組収録での安倍政権が打ち出し、「未来への投資を実現する」と銘打った事業規模28・1兆円の経済対策についての発言だそうだ。

 石破茂「公共投資がどれ程生産性を上げるか検証しないと、未来への負債になりかねない。総論はみんな賛成だ。じゃあ中身はどうなんだい。補正予算は下手すると財政規律をおかしくする。予算委員会で検証し、政府の行っていることは正しい、と多くの方に理解いただくことが大事だ。

 (黒田日銀総裁主導の「黒田バズーカ砲」と呼ばれる異次元の金融緩和策について)軍事マニア的に言うと、バズーカは破壊力は強いが、射程は短い。金融緩和もいつまでも、どこまでもできるものではない」――

 2012年12月26日第2次安倍内閣発足の翌年2013年1月11日の記者会見では、「規模の面では、(2012年度)補正予算による財政支出は13兆円、事業規模は20兆円を超える、リーマンショック時の臨時、異例な対応を除けば、史上最大規模となります。この対策によって、実質GDPをおおむね2%押し上げ、約60万人分の雇用を創出してまいります。経済再生への強い意思と明確なコミットメントを示す本格的な経済対策に仕上がっていると思います」と大規模な補正予算を打ち、そのうち景気対策としての公共事業費は財務省の記事によると2兆2500億円。2013年度の公共事業費は当初予算と補正予算を合わせて6兆1千億円程度。2014年度の公共事業費は当初と補正合わせて約6兆2千億円。

 2015年度の公共事業費は当初と補正合わせて6兆3700億円程度。そして2016年度当初予算に於ける公共事業費は6兆円近くとなっていた。

 そして今回の事業規模28・1兆円の「未来への投資を実現する」経済対策。「21世紀型」と体のいい名前をつけているが、インフラ整備(公共事業)に10.7兆円(財政措置6.2兆円)もつけている。

 にも関わらず、石破茂は「公共投資がどれ程生産性を上げるか検証しないと、未来への負債になりかねない」と言っているのだから、28・1兆円以前の公共投資の成果の程が分かろうというものである。

 だからこそ、石破茂は「公共投資がどれ程生産性を上げるか検証しないと、未来への負債になりかねない」と言わざるを得なかった。

 このことは安倍内閣発足後後3年半で多額の経済対策と公共事業投資を打ちながら、打つについては2014年4月1日からの消費税5%から8%への増税を計算に入れ、さらに2015年10月1日からの8%から10%への再増税を睨んでいたはずだが、結局のところ2014年4月1日の消費税5%から8%への増税を乗り超えることができず、2014年11月18日の記者会見で増税10%の2017年4月への18カ月延期を決定、さらには2016年6月1日に首相官邸で記者会見を開き、消費税率10%増税を2019年10月まで再延期すると正式表明せざるを得なかったことが証明することになる。

 2014年11月18日の記者会見では消費税増税延期によって、「消費税率引き上げに向けた環境を整えることができると考えます」と公約し、「再び延期することはない」、「3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその(消費税を10%に持っていくことのできる)経済状況をつくり出すことができる」と確約していながら、その舌の根も乾かぬうちの増税再延期を打ち出さなければならなかったのだから、これまでの多額のコストを掛けた経済対策と公共事業投資が如何に役立たなかったか物語って余りある。

 更にこのことは内閣府8月15日発表の2016年4月~6月実質GDP=国内総生産が2期連続のプラスと言うものの、1月~3月比マイナス0.5の0.0%、年率換算でプラス0.2%のほぼ横這いに過ぎないパッとしない内容の内訳が証明することになる。

 「NHK NEWS WEB」記事から見てみる。

 安倍晋三は給与が上がった、ここに来て正規社員が増えたと盛んにアベノミクスを宣伝しているが、そういった状況に反してGDPの6割を占める「個人消費」が消費者の将来不安からくる節約志向が根強くプラス0.2%にとどまっていると分析されていることである。

 国家の主人公は国民である。その過半を占める一般国民の消費活動が抑えられた状況にあり、その主たる原因が将来不安だというのでは政治が国民のより健全な生存状態を保証していないことの提示以外の何ものでもないし、国民がアベノミクスを信用していないことの何よりの証左でもあろう。

 今回のGDPが精彩を欠いているもう一つの要因として「企業の設備投資」のうち生産設備への投資が減り0.4%のマイナスなったことだと挙げているが、これは個人消費の低迷がモノが売れない状況、さらに生産設備への投資減に繋がっていく悪循環が一因となっているはずである。

 記事は「住宅投資」が日銀のマイナス金利政策で住宅ローンの金利が下がったことが後押しとなって前3カ月に比べて5.0%のプラスとなったと内訳を解説しているが、このことがGDPが全体としてマイナスに陥らずに兎に角もプラスを維持できた主たる原因であるはずだ。

 だが、この「住宅投資」も、ロイター記事、《焦点:不動産に供給過剰懸念、マイナス金利で実需なき投資急増》を見ると、様相を異にする。  

 〈日銀のマイナス金利導入後、今年2月から新設住宅着工が急速に伸びを高め、ここ3年間、年率換算で80万戸台で推移してきた着工戸数は、6月には100万戸を超えた。〉が、〈増加の主体はアパートなど貸し家の動向。4─6月期の持ち家は前年比2.1%増だが、貸し家は11.0%増。分譲住宅は0.5%減〉で、〈「住宅ローン金利の低下で、個人が家を建てるという需要より、相続税対策でアパートを建てるといった不動産業者と変わらない動きの方が強い」〉と金融機関関係者の1人は指摘、貸し家市場におけるバブル的な供給過多現象が起きているという。

 そのうえで、〈アベノミクスは供給と需要の好循環を目指しているが、実需が出てこない中で供給ばかり増えれば、かつてのバブル崩壊の二の舞になりかねない。〉と警告を発している。

 要するに一部の富裕層を除いて国民が個人消費の低迷につながっている将来不安を投げ出して、そこに安心感を見い出すことができる程にはアベノミクスを信用していないし、そのことはこれまでのアベノミクス経済対策、公共事業投資の結果が招いていることであって、そのことは石破茂も気づいていて、閣外に去ったのを機にその不信用性に触れたということなのだろう。

 と言うことは、いよいよ石破茂は反アベノミクスの旗を掲げることになったということなのだろうか。

 但し国民の方は他にこれといった経済政策がないことから信用できないアベノミクスに期待するしかない逆説に陥り、だからこそ、消費を抑えて生活防衛に走るという個人の努力に頼ることになる。

 そのような中で何よりも経済対策と公共事業投資が何の景気対策にもなっていないことがアベノミクスを国民が信用していない最たる背景となっているはずだ。

 にも関わらず、今回事業規模28・1兆円の「未来への投資を実現する」経済対策を打ち出したものの、公共事業に約半分近い10.7兆円を投じる。

 石破茂が反アベノミクスの旗を掲げたくなる気持も理解できる。


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