本日2014年2月3日付「毎日jp」記事の「都知事選終盤情勢調査」によると、やはり舛添要一が依然優勢な位置をつけているということで、舛添要一当選間違いなしのようだ。
電話調査に応じた都民が選んだ自らが決めている最大の争点は「景気と雇用」30・6%(前回+7・6ポイント)、「少子高齢化や福祉」27・3%(前回+0・5ポイント)、「原発・エネルギー問題」14・7%(前回-3・8ポイント)
当然、脱原発を最大争点に掲げている細川護煕候補は不利な位置に立たされる。多くの都民が原発事故は二度と起きないという危機管理に侵されているようだ。原発事故が起きれば、景気も雇用も社会保障も吹っ飛ぶ。
だが、脱原発による自然エネルギー産業興隆で、時間はかかるが、景気対策にもなれば雇用対策にもなり、社会保障も守ることができる。
都民の脱原発意識の低下で舛添要一は俄然最初からの優勢な位置をさらに優勢とし、新都知事間違いなしの保証を受けたことになる。結果、舛添要一を支持する都民も支持しない都民も、舛添要一東京都知事を規定事実とすることになる。
2月1日、ニコニコ動画生中継の都知事候補4者による討論会が開催され、その全文書き起こしが、《「東京都知事選 候補者ネット討論」全文書き起こし》(ニコニコ動画/2014年2月2日(日)14時00分配信)としてネットに配信されている。
舛添要一は街頭遊説と同様に各政策を「世界一」の形で実現するとする公約を気前よく盛んに振り撒き、都民に「世界一」を約束している。
ということは、新都知事となった暁には自らに課した業績ハードルを「世界一」としたことになる。ハードル以下であったなら、公約違反となる。支持した都民は親船に乗った気分で「世界一」を待てばいい。
では、上記記事から、どのような「世界一」を振り撒いたか、見てみる。
先ず冒頭の「オープニングメッセージ」から。
舛添要一「私は『東京を世界一の街にしたい』と思っております。ちょうどそのキッカケになるのが6年後の東京五輪、オリンピック、パラリンピックです。みんなでおもてなしをして、『こん なオリンピック、パラリンピック見たことないよ』というような、史上最高のオリンピックに都民の力を結集してやりたいと思っております。
しかし、いつなんどき、直下型地震や、大きな風水害含めて、あるかわかりません。これはもう私、現場を歩いて歩いて視察してきましたけれども、下町の木造密集家屋、こういうところは火事になると大変です。全力を挙げて、防災。どんな災害にも打ち勝つ、世界一強い街が東京だと。やりたいと思っております。
それから、厚生労働大臣をやりましたから、福祉。これはもう、『ゆりかごから墓場まで』、きちんとやっていきたいと思っています。福祉でも、やっぱり世界で一番安心できる街が東京だと。これを目指したいと思っております。
それから治安対策。これもしっかりやらないといけない。せっかく治安でトップの座を守っているわけですから。これを守っていきたい。
そして、やはり文化の香りする。文化芸術でも世界一を目指したいと思っています。
しかし、そういうことをやるために、何よりも経済をよくしないといけない。アベノミクスで長い長い不況のトンネルから日本は抜け出そうとしていますので、東京の経済特区を作って、そこで思い切った実験をする。霞ヶ関の規制を排した実験をする。そのことによって、とにかく雇用を生みたいと。若い方、職がないんですね。非正規なんです。雇用を生んで、本当に力強い、明るい日本にしたいと思っております。
そういうことすべて含めて、『世界一の東京』と。これを目指すのが、私の政策でございます。ありがとうございます」
冒頭の「オープニングメッセージ」からいきなり「世界一」の大盤振舞いである。
のっけから「世界一」を振り撒き過ぎたからだろう、次の「2020年、東京オリンピック・パラリンピックへの対応」についても、「原発活用の是非を含めたエネルギー政策」についても、「少子高齢化に伴う社会保障の充実」についても、「首都直下地震に備えた防災対策」についても、「東京都尖閣諸島寄付金」問題についても、「景気と雇用」についても、「世界一」を黙して語らず、最終の「各候補者からの『最後の一言』」で纏めとして「世界一」を再度振り撒いた。
ここは4出席者全員の発言を伝えたいと思う。
司会・角谷浩一「そろそろ時間も押し迫って参りましたけれども、最後にですね、逆にこちら側に向 けて、一言ずついただいて番組を終わらせたいと思います。各候補の最後の訴えでも、所見でも、結構でございます。また、このインターネットを見ていらっ しゃる有権者のみなさんに一言ということでも結構でございます。
では、細川さんから。30秒程度でお願いします」
細川護熙氏「福祉とか防災とか雇用とか、そうした問題は、誰がトップについてもあまり変わらないと思いますね。 問題は原発です。誰がトップに就くかによって、これは日本の国の形が、がらっと変わってくる。成長できるか、それとも衰退に向かうか。そこが非常に重要な 今度の選挙だと思います」
司会・角谷浩一「はい。ありがとうございます。舛添さんお願いします」
舛添要一「今、世界の都市ランキングで、ずーっと東京4位です。6年後のオリンピック・パラリンピックを目指して、3位のパリを抜く。2位のニューヨークを抜く。そして、トップのロンドンを抜く。そして、世界一の東京を目指したい。それは防災でも、福祉でも、芸術文化でも、経済でも、あらゆる分野で、そういう世界一の街、『本当に東京で生まれて育ってよかったなあ』とみなさんが言える東京を作りたいと思っております」
司会・角谷浩一「はい。田母神さんお願いします」
田母神俊雄氏「東京都が何かをやろうというとき、東京都の公務員・警察官・消防官、あるいは都の職員のみなさん が、それぞれ 「よしやるぞ!」と思って仕事をしてくれなければ、最大の都民サービスは提供できないと思います。知事がどれほど頑張っても、ついてくる人 たちが、「まぁ、やらせとけ」ということでは、いい仕事はできない。ですから、私は、都に勤める人たちのやる気を出させる、ということに精一杯努力をして いきたいというふうに思っています」
司会・角谷浩一「はい。宇都宮さん」
宇都宮健児氏「安部政権は、成長戦略の一環として国家戦力特区構想を考えているようですけれど、安倍首相は、よく、日本は世界で企業が一番活動しやすい国にするということで、特区構想を考えています。この特区構想の象徴の雇用特区は、いつでも労働者を解雇できる、 残業しても労働者に払わなくてもいい。だから企業にとっては天国かもしれないんですけれど、働いている人にとっては地獄の特区構想だと考えております」
司会・角谷浩一「はい、ありがとうございました。今日は4候補に遊説のなか、選挙中のなか、お越しいただいて、生放送で様々な質問についてお答えいただきました。明日の朝から、またみなさんは各場所に飛び回るわけですから、今日はこの辺で終わりたいと思います。
ただ、ご覧になったユーザーのみなさんも、それぞれの候補の同じテーマであっても、考え方や優先順位や特徴、それからアプローチのしかた、様々だというのが、その違いが、ここでわかっていただければ、この討論会の意味があったのかなと考えております。
それでは、東京都知事選挙候補者ネット討論、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました」
勿論、「世界一」を目指してどこが悪いという主張は可能である。しかし「世界一」を目指すことができる体力(財力や現在の全体的な都市機能)と、資質と能力(都知事や都役人の政治的創造性・行政能力)、都知事自身の強靭な意志の力、先ず何よりも誠実な姿勢を必要とする。
最後に「誠実な姿勢」を上げ意味は、それがなければ都民との約束を守ることができないからだ。いわば各前者を備えて、なお誠実であるかどうかが、カギとなる。
オリンピックで金メダルを目指すとしている競技選手にしても、体力や能力と共に世界選手権や国内競技でそれなりの成績を挙げている裏付けがあって、初めて金メダルを目指す、「世界一」を目指すと言うことができる。
舛添要一はそういった裏付けを都民に具体的に説明しなければならないが、裏付けの説明もないままに「世界一」を振り撒いているに過ぎない。
果して都民との約束を果たすに絶対的に必須の誠実な姿を備えていると言うことができるだろうか。
その証拠の一つが2月2日日曜日のフジテレビ『新報道2001』で放送したカメラで捕えた舛添の遊説の姿であろう。
ワンボックスの遊説カーから降りて、車に座っていたために下半身が固まってしまったのか歩き出した時は少々ぎこちない様子で腰をふらつかせていたが、横断歩道間近の道路を横断、一軒の店の前に集まっていた、動員して集まっていたのかどうか分からないが、70、80歳近い男女の高齢者と握手を交わしながら、次のように話しかけていた。
舛添要一「英語喋ってよ。英語に強くなってよ」
番組の解説が、2020年東京オリンピックで最高のおもてなしするための英会話の必要性を訴えた発言だとしている。
確かに大衆受けのする都民との接触の遣り方ではある。だが、政策者が外国人との意思疎通のために70、80歳近い男女の高齢者に向かって今から英会話の勉強を勧めるといったことをしていてもいいのだろうか。
「桝添さんが私たち年寄りに英会話を進めたよ。ワハハハ」と面白がって、舛添要一に投票する気にさせるには役立つ。
日本に存在するかどうかも名称も知らないが、会話サポートセンターといった施設が外国には存在していて、そこに電話すれば、各国語を話す職員が待機していて、対応してくれるという仕組みがある。
私自身は貧乏人だから、所持できないが、現在では殆どが携帯電話を所持している。街頭や店頭で外国語を話せないにも関わらず、外国人との会話に困ったときには直ちにそこにつなぐか、自分の方から外国人に話しかけたい場合は、そこにつなぐ用意をして、自分から話しかけてもいいはずである。
あるいは携帯電話用のイヤホンマイクとアダプタの常時携行を勧めて、携帯電話を相手に渡さずとも自身と外国人が交互に会話サポートセンターからの会話を聞いたり話したりすることができるような仕掛けにすれば、コミュニケーションはよりスムーズに行うことができる。
こういった施設が東京都に既に存在するなら、機能をより便利に充実させて使いやすくすることを約束することが外国人のおもてなしにも役立ち、政策者の役目でもあるはずだ。
要するに舛添要一は一票を釣るために大衆受けのする冗談を振り撒いたに過ぎない。
とても各「世界一」を実現させるだけの誠実さと強靭な意志を感じることはできない。
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