タウンミーティング/安倍首相の美しくない自己処分

2006-12-15 07:57:00 | Weblog

 参院教育委員会特別委員会での民主党・神本恵美子オバチャン議員の安倍首相に対する質問、と言うよりも問い質し。

 「給与を返還すると言っているが、ちっとも美しいやり方ではないと思うんですね。おカネで済ます問題ではないと思うんですね、これは」

 安倍首相「おカネで済まそうという言い方は少し失礼じゃないですか?公務員のけじめのつけ方の形として、減給処分等の処分が決まってるんです。それに則ってですね、それに則って、そういう形で身を処したわけですございます。国民との双方向との対話を実現し、そして私どもの政策を説明し、また国民の皆様の生の声をお伺いする場としてですね、是非タウンミーティングをゼロからスタートさせていかなければならない。今後ですね、華美にならないように、質素ではあっても、中身のあるタウンミーティングを改正をしていくため(NHKテレビの字幕は「開催」になっていたが、何度聞き返しても「改正」と言っている)運営を改善をしていきたい」

 いつも思うのだが、わが安倍首相は言い回し自体にしても、言葉の使い方にしても、なぜこうも硬い感じを与えるのだろうか。ときには聞き苦しささえ感じる。立派な言い回しをしようという意識が強すぎて、却って余分に言葉を整えてしまい、堅苦しい言い回しになってしまうのではないだろうか。それは記者会見での姿勢に最も顕著に現れている。頭の天辺から足先まで正して、顔を横に向けても右に向けても真正面を見据える感じの姿勢を最後まで崩すことなく維持して、姿勢そのままの言葉を発する。きっちり言おう、きっちり言おうという気持が勝って、自然体を損なっている。

 姿勢や言い回しへの意識過剰は中身のなさの裏返しなのだろう。何を言っても、思想とか哲学はさらさら感じることができない。中身のなさに対する無意識の補いが自然と言葉遣いや姿勢といった外見の装いに向かっているといったところだろうか。言葉・姿勢とも本人の柄にはない作り物なのだろう。

 上記答弁から堅苦しい言い回しを指摘してみると、「減給処分等の処分」と「処分」を二度繰り返している。「公務員のけじめのつけ方の形として」では「公務員のけじめのつけ方の一つとして」の方が自然であるのに、「形として」と硬い言い方をしている。「つけ方」の中に既に「形」は入っているからである。

 「それに則ってですね、それに則って」と強調する必要もない箇所での繰返し。「それに則って身を処したわけですございます」で簡単に済ますことができる箇所を「そういう形で」と補強して、「それに則って、そういう形で身を処したわけですございます」とすることによって、硬い感じになっているだけではなく、くどくさえなっている。

 「タウンミーティングを改正をしていく」と、「タウンミーティングを」の後は「改正していく」と動詞が来るべきを助詞の「を」再度使うことで堅苦しい言い回しにさせている。これは答弁の最後の「運営を改善をしていきたい」にも現れている。

 書き言葉は訂正できて、話し言葉は瞬間瞬間の勝負だから、的確な言い回しを紡ぎ出していくのは遥かに難しい。しかし質問趣意書を事前に受け取っていて、答弁を官僚と共に練っているはずである。勿論答弁箇所によっては自前で賄い、官僚のアイデアを煩わさない部分もあるだろうが、それでも前以て答弁を用意しているのである。用意しているにも関わらず、話す過程で名詞のあとに動詞を使うべきところを助詞付けてしまい名詞の繰返しになってしまったり、名詞一つで済む箇所を余分な名詞を補強して、却って堅苦しい言葉遣いになってしまうとしたら、本人自身の性格が本質的に堅苦しくできているからではないだろうか。

 民主党女性議員が、首相の給与3か月分国庫返納を「ちっとも美しいやり方ではない」、「おカネで済ます問題ではない」と批判し、それに対して安倍首相は公務員の責任方法の一つとして「減給処分」があるのだから、「おカネで済まそうという」ことではなく、「それに則っ」たに過ぎないと、その正当性を訴えている。

 しかし「減給処分」とすることで、責任の程度を自分からそこに持っていき、それ相応だとしたということだろう。そうすることによって、ヤラセの程度を「減給処分」で間に合うほどの不祥事・不始末だとすることができる。いわば双方の責任の程度を軽い場所で響き合わせた。

 決して「美しい」処分方法とすることはできない。逆に「美しくない」とすべきだろう。責任回避を裏側に隠したと言うこともできる。あるいは「減給処分」で臭い物に蓋をしたとも。

 野党としたら、「減給程度の軽い処分で済まそうなどと、美しいやり方ではない」と、処分の軽重を問題とすべきではなかっただろうか。処分の軽重を問題とすることが事の重大性を問題とすることにもなる。「減給程度の軽い処分でヤラセ問題を済ますことはできなない」と。先ず国民の多くが納得できる事の重大性の程度を明らかにしてから、処分が軽すぎるのではないかと持っていかなければならない。

ヤラセ質問が如何に重大な世論操作なのか、国民を騙す世論誘導だったのか明らかにすることは勿論のこと、極々一般的な常識も以てしても、大臣を送迎するエレバーター操作や会場までの案内に万単位の報酬の設定がなされていたこと、4台のハイヤー調達に帳簿上21台借り上げたことにして57万円も支払ったと言う事実から、外務省、その他の省庁の裏金づくりの前科とその構図、その際に用いた手口の類似性と重ね合わせて、すべてが二重に国民を騙すデタラメであったことを疑うべきを、疑い、真相解明を余儀なくされたなら、自身の進退問題に発展しかねない恐れからだろ、疑わずに「減給処分」で済ませて、その程度の不祥事・不始末に格下げする責任回避を図った可能性を真相解明と共に追及しなければならない。

 その上で、官房長官時代、自身が直接的に関わったことでないとしても、使用していた者のヤラセ、談合等で国民を騙した犯罪にも等しい事の重大性と、そのことに対する長たる立場にいた責任者としての管理・監督の不行き届き、使用者責任が「減給処分」で果して釣り合いが取れるかとすべきだろう。 


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