安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
5月7日(2018年)午後10時半頃、新潟市西区のJR越後線の線路内で近くに住む小針小学校2年生の女児(7歳)が普通電車に跳ねられ、死亡した。2018年5月9日付「朝日デジタル」記事によると、司法解剖の結果、首に絞められたような跡があったこと、遺体からの出血が通常の列車事故に比べて多量ではなかったこと、このような遺体の状況などからから、新潟県警は死因は窒息死と断定、何者かが殺害後、数時間経ってから列車事故を装うために線路に遺体を遺棄したと見て、〈新潟西署に捜査本部を設置、殺人・死体遺棄事件として〉捜査を開始した。 (〈〉内は別記事)
事件の予兆はあったようだ。但しその予兆は情報として子どもたちの間の共有にとどまり、小学校が共有するに至らなかった。小学校が共有する手立てを子どもたちに講じる対策を怠ったようだ。
「NHK NEWS WEB」2018年5月9日 19時23分)
記事は新潟市教育委員会からの情報として伝えている。小学2年生の女児は、〈事件当日の7日朝、小針小学校へと登校していた際、「黒い服を着てサングラスをかけたおじさんに追いかけられた」と、同じクラスの友達に話していたということ〉で、〈こうした情報は、その日の夕方に母親から「娘が帰って来ない」と電話があったことを受けて、学校側が同じクラスの友達から話を聞いた結果、初めてわかった〉ことで、その情報を〈その後、速やかに警察に連絡した。〉
殺害された女児からの不審者情報は同じクラスの友達(単数か複数か分からないが)にのみ伝えられて、両者間の共有にとどまり、小学校はその情報を把握、共有するに至らず、把握・共有は女児殺害後であった。
但し不審者情報は新潟市教育委員会が把握し、共有していた。
記事は同じく新潟市教育委員会からの情報として〈小針小学校がある地域では、去年4月からことし3月末までの1年間に不審者に関する情報が4件あ〉り、〈いずれも去年9月には見知らぬ人に4年生の女の子が声をかけられたほか、2年生の女の子が登校中に腕をつかまれ〉、〈4年生の女の子が体を触られた〉と伝えている。
新潟市教育委員会に伝えられた不審者情報が不審者を目撃した、あるいは不審者から不審行為を受けた小学生から保護者へ、保護者から小学校へ、小学校から教育委員会へという経路を取って伝達されたとしても、あるいは小学校抜きに保護者から直接、教育委員会という経路を取って伝達されたとしても、新潟市教育委員会から市内の全小学校だけではなく、管轄内・管轄外に関わらず公私立幼稚園、保育園、さらには警察へと伝達され、共有するに至っていたはずだ。
勿論、小学校やその他は教育委員会と不審者情報を共有後、子どもへの注意喚起で終わりにはせずに情報は常に最新の中身へと変えていかなければ、情報としての意味を一定程度失う場合もあるし、あるいは半減させる場合もあるし、最悪、情報として何の役にも立たなくなる場合もるのだから、子どもたちに対しての最新の情報収集を怠らずに心がけなければならない。
例えば新潟市教育委員会が把握していた不審者情報の4件が小針小学校学区内の一定の地域に限られていたが、それが別の地域へと移動した場合、あるいは4件が小針小学校学区内の全地域に亘っていたのに対して一定の地域に絞られるようになった場合、最新の中身を把握しない前のままの不審者情報に頼った対策は、その価値を全減か、相当程度減ずることになる。
当然、警察にしても、不審者情報に対応した実害回避の各種パトロールを実施するだけではなく、教育委員会に対して一定期間を置いて不審者情報の最新中身への必要に応じた差し替えを求めて、実害回避の各種パトロールの重点地域を最新の情報に基づいて行っていかなければならないことになる。
そして教育委員会にしても、警察からの要精を管轄小学校や幼稚園、その他に対して伝達する役目を果たさなければならない。
ところが、小針小学校は同じクラスの友達に伝達した被害女児の「黒い服を着てサングラスをかけたおじさんに追いかけられた」という不審者情報を被害の〈夕方に母親から「娘が帰って来ない」と電話があったことを受けて、学校側が同じクラスの友達から話を聞いた結果、初めてわか〉り、その情報を〈その後、速やかに警察に連絡した。〉――
いわば不審者情報を最新の中身としていなかった。
学校側が常に子どもたちに対して不審者情報に接したなら、どのように些細な情報でも保護者なり、担任の教師なりに伝えるようにうるさく言っていたのかもしれない。だが、不審者情報の直接の目撃者である被害児童にしても、その情報を伝えられた友達にしても、保護者にも、学校側にも伝達していなかった以上、不審者情報伝達の指示は機能していなかったことになる。
機能させるところまで持っていくのが学校の責任であるはずである。でなければ、学校ばかりか、教育委員会にしてしても、警察にしても、最新の情報に基づいた対策は不可能になる。
もし学校が不審者情報に接した場合は保護者か担任の教師に伝えるようにうるさく言っていなかったとしたら、最悪である。不審者情報を常に最新の中身へと差し替える責任と必要性を認識していなかったことになる。
5月11日付「日経電子版」記事によると、女児が下校したのは7日午後3時頃。事件当日の5月7日は登校時の午前7時半~8時頃と下校時の午後3時~4時頃、数人が学校周辺で見守り活動をしていたが、小学校から踏切までは幹線道路で車や人が多いものの、人通りが少なくなる踏切から被害女児の自宅までの道約300メートルはボランティアが立つ場所ではなく、捜査本部はこの間の歩行中に連れ去られたと見ていると伝えている。
新潟市教育委員会が収集した小針小学校学区内の不審者情報4件を人通りの多い場所なのか、あるいはそれなりに人通りのある場所なのか、あるいは人通りの少ない場所なのか、それぞれに分析にかけたのだろうか。一般的には女児誘拐目的の不審者は人通りの少ない場所を活動範囲とする。
分析し、4件の内、人通りの少ない場所が2件か3件占めていたなら、人通りがそれなりにある学校周辺での見守り活動は不審者情報に的確に対応していなかったことになる。
このことは学校自体が不審者情報に的確に対応していないことの反映でもあるはずである。対応せずに慣習に流されていた。
上記「日経電子版」は、新潟県警が5月11日に小針小の児童の登下校を見守るための移動交番車を設置したとする情報を付け加えている。当面の間、登下校の時間帯にワゴン車を小学校正門前に駐車し、警察職員ら4~5人が付近に立つという。
当分の間は犯人は警察の捜査を逃れるためにひっそりとした生活を送るだろうが、女児の被害が人通りの少ない線路沿いの道で起きていると見られている以上、移動交番のワゴン車を小学校正門前に駐車させる利点は何なのだろうか。
当分の間は再犯の可能性が低くても、人通りの少ない道路をパトロールさせる方が利点は大きいはずだ。パトロールが犯人宅の近くを通らなくても、テレビや新聞の情報で否応もなしに目や耳に入るはずで、犯人に与える心理的影響は大きく、それが態度や表情に現れて、周囲の人間に不審を与えない保証はない。
犯人宅の近くを偶然通っていたとしたら、心理的影響はそれなりに大きくなる。
2017年3月24日午前8時頃に終業式のため自宅を出た後の通学途中に行方が分からなくなり、3月26日朝、同県我孫子市の排水路脇で遺体で見つかったベトナム国籍小学3年の女児殺害事件は犯人が女児が通う小学校の保護者会の会長を務めていて、朝の通学時に見守り活動をし、ハイタッチする仲の自宅近くに住む40代の男という特殊性はあったものの、人通りの少ない場所で車の中から声を掛けられ、乗ってしまったようだが、被害女児は同級生の友達に2月に「1か月ほど前の今年1月頃、通学路で不審者にあった。怖かった」という趣旨の話をしている。
この不審者情報を保護者にも学校にも話していなかったようだが、学校側が子どもに対する不審者情報の収集に徹底していなかったことの現れでもあって、学校に責任が全然ないとは言えない。
そして1年2カ月前のこの事件に於ける学校側の十分とは決して言えない不審者情報運用の不備・不足は今回の新潟市の女児殺害事件を見る限り、学校側が満足に学習しないままに繰返されたことになる。
何も学習せずに繰返すことになった不審者情報の運用の不備・不足が犯罪発生の一因とすることになったと言えないことはない。
将来に向かって喜怒哀楽を持って生きていくことを予定調和とした子供の尊い生命を人生の初期の段階で無残に奪い、冷酷に将来を断ち切って、その喜怒哀楽を踏みにじった。凶悪犯罪を不可抗力とせずに不審者情報を如何に運用するかに心血を注いで、子供の生命を一人でも犯罪に遭遇する前に救うことが学校や警察、教育委員会がチームワークを組んで行なわなければならない務めであろう。
勿論、保護者も重要なメンバーとしてチームワークの一員に加わらなければならない。