安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
2018年5月10日の柳瀬唯夫参考人招致衆院予算委で柳瀬唯夫は自民党の後藤茂之に「なぜ加計学園関係者の方と知り合いになられたのでしょうか」と問われて、「「以前、総理とご一緒した際に加計学園の関係者の方とお会いしたことがございました。その後、平成27年の2月から3月頃だったと思いますけども、加計学園の事務局の方から上京する際に『お伺いしたい』という申し入れがありまして、官邸でお会おしました」と答弁している。
「総理とご一緒」とは立憲民主の長妻昭の同予算委質問で2013年の5月6日に安倍晋三の山梨県鳴沢村の別荘近くの河口湖のゴルフ場でゴルフコンペとバーベキューに安倍晋三と共に参加したことを言い、その際、加計学園理事長加計孝太郎と加計学園事務局長とお会いした記憶があると答えている。
そして約2年近く後の2015年4月2日に「加計学園の事務局の方から上京する際に『お伺いしたい』という申し入れがあり」首相官邸で面会した。
続いて、面会の「際、獣医学部が過去50年余り新設されていないこと。四国(地方)には、鳥インフルエンザなどの感染症対応の獣医師が不足していること。過去、構造改革特区で今治市から何度も獣医学部新設を申請してきているが、実現していないことというふうなお話があったと思います。
その際に従来の構造改革特区と別に新たに国家戦略特区制度が始まったという話も出たようにも思いますけども、そのときには特に具体的な話にはならなかったように思います」と答弁している。
一般的にはアポイントを取るとき、用向きを先ず伝える。ゴルフコンペとバーベキューで一度会っただけの加計学園の事務局長が用向きを何も伝えずに「お伺いしたい」という理由だけで面会を要請するのは不自然であるし、要請された側がそれだけの理由で面会を承諾することも不自然で、常識的には先ずあり得ない。
首相秘書官である柳瀬唯夫が河口湖のゴルフ場で安倍晋三と加計孝太郎と加計学園事務局長と「ご一緒した」と言うことなら、首相官邸での柳瀬唯夫と事務局長の面会は安倍晋三の口添えがあったと考えなければならない。その口添えを隠蔽するために何も用向きを伝えなかったように装わなければならなかったと考えることもできる。
これこれの用向きを伝えられて面会しましたと言うと、そこから安倍晋三の口添えが炙り出されないとも限らないから、事務局長が口にした用向き自体を「お伺いしたい」一言に省略することになったということなのだろう。。そして口にすることができなかった用向きを面会時に「今治市の何度にも亘る獣医学部新設申請が実現していない」とか、「国家戦略特区制度が始まった」といった用向きにもならない話を紹介することですり替えることになった。
用向きを明らかにせずに「お伺いしたい」だけで会ったという体裁を取ったために、「この私の面会でございますけれども、政府の外の方からアポイントの申し出に対しては、時間が許す限りお受けするように心がけておりましたので、特別扱いをしたことはございません。
実際、私は総理秘書官時代、物理的に日本にいないとか、物理的に時間がないということはあったかもしれませんが、私が総理秘書官時代、私が覚えている限りはアポイントの申し入れをお断りしたことはございません」などと、加計学園事務局長との面会を特別扱いではなく、誰とでも面会するかのように答弁しなければならなくなった。
2015年4月2日の首相官邸で柳瀬唯夫は愛媛県と今治市の職員、そして加計学園事務局長と面会時に同席者がいた。
柳瀬唯夫「官邸に各省から出向してきている職員に獣医学部新設に関する状況という方(かた・ママ、)について伺った記憶がございます。学部新設ということで、文部科学省なのか、獣医ということで農水省なのか、感染症対策ということで厚労省なのか、ちょっとどこなのか分からなかったので、3省からの出向者に聞いたと思います」
「獣医学部新設に関する状況という方(かた)について」と口にしているが、「獣医学部新設に関する状況という方面について」と言うべきところを、答弁メモに「方面」と書き入れてあったが、「方」だけを頭に入れて発言してしまったのかもしれない。
主意は大学認可権限を持つ文科省と獣医師関係の法律や獣医療が所掌事務の農水省、感染症対策等の獣医公衆衛生行政を所管する厚労省からの出向者が出席していたということになる。
愛媛県今治市が国家戦略特区制度を利用して「国際水準の獣医学教育特区」の適用を提案したのが2015年6月4日であり、それよりも2カ月も前に文科省以下の三者に愛媛県と今治市の職員、さらに加計学園事務局長の面会者を加えて一堂に会し、尚且この面会の前に面会者が特区の事業認定権限を持つ内閣府藤原豊地方創生推進室次長に既に面会して、藤原豊が「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知」といった発言をしたと愛媛県文書に記載されている点を踏まえれば、獣医学部新設の実現はあと残すところ文科省と農水省と厚労省が認めるかどうかに掛かっているのだから、これはもう歴とした獣医学部新設実現に向けた密談と見なければならない。
2016年10月21日作成とされている文科省発見の「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書には、〈和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている。〉との文言が証明しているように首相官邸面会の2015年4月2日時点では文科省は日本獣医師会と共に獣医学部の新設には反対していた。
「農水省は了解している」としているが、前文科相松野博一が加計学園関係の文書の文科省追加調査報告の記者会見で安倍晋三の腰巾着内閣官房副長官の萩生田光一が内閣府に対して獣医学部新設の応募を加計学園1校に絞るよう仕向ける「文科省修正案」と題したメールには、〈獣医師の需給を所管する農林水産省及び厚生労働省において、今後の獣医師の需要の動向を明らかにした上で、それに照らして今治市の構想が適切であることを示すとともに、当該決定に記載の「獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的な需要」を踏まえ、新設可能な獣医学部の規範を示すこと。〉(文飾は当方)との記載があるが、最初に「獣医師の需要」動向を明らかにしてから「今治市の構想が適切である」か否かを判断するのが当たり前の順序であるにも関わらず逆の順序となっているのは、「今治市の構想」に合致するように「獣医師の需要」を当てはめる、あるいは操作するという意味を取る。
このことは農水省は当初は「獣医師の需要は足りている」としていたことが証明する。
「2017年5月23日 農林水産委員会」
共産党紙智子「農水省の従来の見解というのは、獣医師の需要は全体としては足りているということだったわけですね」
農水相山本有二「獣医師の需給につきましては、終始一貫、全体としては需要と供給のバランスは整えられているという認識であることは伝えさせていただいております。
ただ、家畜とペット、言わばそれぞれ獣医師さんの専門分野が違っておりまして一概に言えないわけでございますが、ペット一頭当たりの診療回数が増加しておりまして、ペットの数は少なくなっているものの、都会におけるペットの獣医師さんの需要というのはかなりあるものと認識しております。
ただし、酪農、畜産の盛んな地域におきます産業動物医、獣医師あるいは公務員獣医師の皆さんは不足感がかなりあるわけでございまして、その需給バランスをどう整えていいのか、そういったことについては私ども、獣医学部やあるいは獣医師会の皆さんが是非やっていただきたいと期待を掛けていたわけでございます」――
「獣医師の需給につきましては、終始一貫、全体としては需要と供給のバランスは整えられているという認識」でいたが、獣医師の専門分野の違いから言うと、「一概に言えない」と微調整している。
何のことはない、「今治市の構想」に合致するよう、農水省としての「獣医師の需要」に対する考え方を軌道修正するに至った。小手先の操作以外の何ものでもない。
2015年4月2日の首相官邸に文科省と農水省の出向参事官が臨席していたことを柳瀬唯夫がこの参考人招致で認めたことを受けて、両省共に認めるに至った。柳瀬が認めなければ、認めなかったに違いない。
但し当時の文科省と農水省が獣医学部新設に反対であったとしても、出席参事官が反対派とは限らない。反対派の参事官を出席させても何の意味はない。気脈を通じることができ、それぞれの省庁に対して新設賛成を働きかけるに力となる参事官の出席であってこそ、首相官邸を舞台に一堂に会した意味が出てくる。
柳瀬唯夫は2013年5月6日に安倍晋三の山梨県鳴沢村の別荘近くの河口湖のゴルフ場で加計学園理事長加計孝太郎及び加計学園事務局長と会い、2年近くあとに首相秘書官としてアポを受けているのだから、獣医学部新設のこの密談を賛成派として指揮していたことになる。
このことは愛媛県文書が証明する。何しろ、加計学園獣医学部新設を「首相案件」としていたのだから。
柳瀬唯夫は自民党の後藤茂之に対しては3省からの出向者が出席していたと言っていたが、立憲民主の長妻昭との遣り取りでは文科省と農水省からの出向者2名としている。
長妻昭「当日ですね。官邸の会談の4月2日ですね、文科省から出向している角田内閣参事官ですね、農水省からの青山内閣参事官も同席してると思うんですが、これは柳瀬さんがお呼びして、同席させたんですか」
柳瀬唯夫「あのー、私自身が、すみません、獣医学部に関して全く詳しくございません。事前にどいうことなのかという状況、まあ伺ったことはありまして、同席をお願いしたということでございます」
長妻昭「と言うことは、これ常識的に考えて、記録によると、一時間半だということなんですね、会談。これ、こういう青山参事官とか角田参事官、メモしているはずなんですよ。ほぼメモしてますよね。録音されてるかどうか分かりませんけれども、このメモは出して頂けませんか」
柳瀬唯夫「私は全くメモを取っておりませんから、その二人の方がメモを取っていたかどうか、私には、ちょっと分かりかねます」
対して長妻昭は、安倍晋三が一点の曇りもないと身の潔白を訴えているのだから、メモは積極的に出した方がいいとか、むしろ積極的に出した方がいいとかとノーテンキな応じ方をしている。
構造改革特区制度時代から獣医学部新設を狙っている愛媛県と今治市、加計学園側からしたら、新設が難しい状況云々を聞くことだけのためにわざわざ首相官邸に訪れるはずはないし、何よりも土産としたいことは加計学園側が国家戦略特区制度を利用して「国際水準の獣医学教育特区」とすべく提案した場合、実現可能かどうかの言質であろう。
それが愛媛県文書にある内閣府藤原豊の「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知」云々の言質であり、柳瀬唯夫の〈本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。〉云々の言質であるはずだ。
首相官邸面会が加計学園獣医学部新設実現の密談でなければ、新設実現を狙う愛媛県と今治市の職員、さらに加計学園事務局長、対して政府側から取り持ち役の柳瀬唯夫、獣医学部新設の権限をそれぞれに握る文科省・農水省の出向内閣参事官までが参加し、雁首揃えた意味はない。
首相官邸面会が加計学園獣医学部新設実現の密談でなければ、新設実現を狙う愛媛県と今治市の職員、さらに加計学園事務局長、対して政府側から取り持ち役の柳瀬唯夫、獣医学部新設の権限をそれぞれに握る文科省・農水省の出向内閣参事官までが参加し、雁首揃えた意味はない。
柳瀬唯夫は参考人招致で首相官邸面会について、「安倍晋三から何の支持も受けていないし、自身から安倍晋三に報告もしていない」と弁しているが、「総理秘書官、妻そして母として(山田真貴子)」なる記事には次のように一文が載っている。文飾は当方。
〈総理官邸での業務とは、そして「総理秘書官」とは
私は昨年11月末から安倍総理大臣秘書官として、総理官邸で勤務しています。憲政史上初の「女性」総理大臣秘書官として、任命直後はメディアにも取り上げて頂いていたようですので、ご存知の方もおられるでしょう。
現在、総理官邸には、政務秘書官か1人、そして事務秘書官が私を含め6名任命されています(出身省庁は財務省、経度省、警察庁、外務省、防衛省。それに私です。)。幅広い国政を秘書官で分担し、相互に調整し、また官邸内の様々な役職の方々とも議論した上で、総理にご判断を仰いでいきます。〉――
仕事の節目節目に「総理にご判断を仰いでいきます」
首相秘書官は首相に使われている役職である。当然中の当然であろう。