安倍政権の余りにも内向きな守り一辺倒の尖閣諸島に関わる領有権姿勢

2016-09-25 06:56:41 | 政治

 2016年9月24日付の「NHK NEWS WEB」記事が、尖閣諸島と竹島が日本の領土であることを証拠付ける新たな歴史的な資料等を内閣官房がホームページに公開したと伝えている。

 この公開は昨年2015年8月に200点を掲載したのに続いてのものだそうで、合わせて400点にもになる。

 記事は、尖閣諸島に関しては戦前から戦中にかけて沖縄県の水産試験場が、魚釣島などの周辺で漁業資源の調査を行っていたことを示す資料などが掲載されていると、その一部を紹介し、政府の声を伝えている。

 政府「客観的な事実を積み上げて、日本の主張に理解を得る必要がある」

 そして記事は最後に、〈政府は、今後も、尖閣諸島と竹島をめぐる歴史的な資料の収集と公表を続けて、国際社会に日本の主張を浸透させていきたいとしています。〉と政府の希望を伝えている。

 記事最後の解説からすると、政府の声、「日本の主張に理解を得る必要がある」は中国ではなく、国際社会を対象とした理解要請と言うことになる。

 9月24日午前、中国海警局の船4隻が一時、日本の領海に侵入した。領海侵入は今回で今月11日に続いて今年28日になるという。

 海上保安本部は巡視船を使って再び領海に入らないよう警告と監視を続けていると言うが、中国側は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は我が国固有の領土だ。中国の管轄海域で定例のパトロールを行っている」と決まりきった応答で日本領海内の航行を正当化しているのだから、堂々巡りを演じているに過ぎない。

 堂々巡りだからこそ、今年28日にもなる領海侵入を繰返し許すことになっているのだろう。

 いくら国際社会を対象として尖閣諸島が日本の領土であることを示す歴史資料をホームページに400点と展示しようとも、あるいはさらに増やして600点、800点と展示しようとも、「そんなことは関係ない、関係ないったら関係はない」とばかりに中国は尖閣諸島が中国の領土であることを示す示威行動として粛々と領海侵入を続けるだろう。

 続けてきたことがその証明となる。

 日本政府は「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も明らかに日本固有の領土であり、かつ、実効支配していることから、領土問題は存在せず、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」を公式的な立場としている。

 その一方で、歴史的資料等々を400点もホームページに載せて、尖閣諸島が日本の領土であることを国際社会に証明すべく訴えなければならない。

 領土問題が存在しなければ、後者の努力は必要ないはずだ。

 一方、中国側は逆に領土問題は存在するとする立場から、釣魚島及びその海域は日本の領土ではなく、中国の領土だと中国公船の領海侵入をその証明の示威行動に利用している。

 日本の後者の努力と中国側の領海侵入の繰返し。

 現実には領土問題が存在することの証明としかならない。

 ではなぜ、日本の領土であることを証明している歴史的資料が400点もありながら、400点共中国に切り札として突きつけ、役にも立たない国際社会に対してではなく、直接中国に対して尖閣諸島の領有権問題に決着をつけようとしないのだろうか。

 中国公船の領海侵入を相手の自由にさせ、それを防ぐ断固とした意志を示すこともしないままに領土問題は存在しないとする公式的な態度を取る一方で内閣官房のホームページに尖閣諸島が日本の領土であることを国際社会に証明する歴史的資料等を400点も載せる。

 この手の矛盾から見えてくる風景は余りにも内向きな守り一辺倒の尖閣領有権に関わる安倍政権の姿勢のみである。

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