民進党代表選共同記者会見:蓮舫は「新世代の民進党」を目指すと言い、「わくわくする政治」を約束している

2016-09-03 10:53:11 | 政治

 2016年9月2日告示、9月15日投開票の民進党代表選の共同記者会見が告示日と同じ9月2日に行われた。立候補を届け出たのは蓮舫、前原誠司、玉木雄一郎。

 民主党政権失敗・国民の信頼喪失の手垢のついた面々は民進党政治の表舞台から退場すべきではないだろうか。なぜなら、手垢を払拭して真っさらな新生民進党を謳うには、現在も多くの有権者に記憶されている「民主党には国は任せられない」という根深い不信感(野党第一党の位置につけていながら、民主党、それに引き続いた民進党の10%前後そこそこでしか推移させることができない政党支持率がこのことを証明している)は政権交代後の民主党の執行部が形作り、その執行部の面々が今以て民進党執行部を形成していることによって消し去ることができないでいるからで、全員退場することによって強い反省の意思と生まれ変わりへの決意を形で示すことができるからだ。

 立候補者3人の中で民主党政権失敗・国民の信頼喪失の手垢のついた面々と言うと、蓮舫と前原誠司を挙げることになる。

 玉木雄一郎がどの程度の政治的創造性を自らの能力としているか皆目見当はつかないし、未知数という扱いを受けることになると思うが、衆議院議員初当選は民主党が政権交代を果たした2009年、民主党が下野した2012年の総選挙で2選、民主党副幹事長及び政策調査会副会長に抜擢という形なのか、就任しているものの、民主党政権失敗・国民の信頼喪失を演じた表舞台に立っていたわけではないから、悪しき民主党像を内部に抱えた民進党のその像とは無縁の手垢のついていない新しい顔に位置づけることはできる。

 代表だけではなく、他の党役員すべては手垢のついた面々を排除し、手垢が一切付いていない新しい顔にする。そうしてこそ、“新生”を謳うことができる。

 現在民進党最高顧問に民主党政権失敗・国民の信頼喪失の戦犯中の戦犯、手垢中の手垢が染み付いた野田佳彦などが就いているが、新生民進党を打ち立てるべく新しい顔で執行部を埋めることを望むなら、飾りでしかない党顧問など置くべきではないだろう。

 民進党の現在の党最高顧問は野田佳彦と横路孝弘、江田五月(2016年7月政界引退)。「民主党には国は任せられない」という根深い不信感を有権者に与えることになった民主党政権失敗・国民の信頼喪失の戦犯たちを、何を心得違いしたのか、民進党の飾りにしていたのである。

 9月2日の行動記者会見は「THE PAGE」が伝えている。    

 戦犯の一人である蓮舫の発言を見てみる。(一部抜粋)

 蓮舫「はい。よろしくお願いいたします。改めまして民進党の第1回目の代表選挙に立候補した蓮舫です。

 私が目指すのは新世代の民進党。それとガラスの天井を打ち破る、そのために。そして信頼を取り戻してわくわくする政治をつくる。そのためにしっかりと代表となってこの党を引っ張っていきたいと、あらためて思っています。つい1カ月前、7月の参議院議員選挙、日本中を回りました。なんでもあるといわれる、1人勝ちだといわれる首都・東京という選挙区でも戦いました。景気がいい、経済がいい、今の政権が何度も強調している。でも、実際の日本はどうなんだろうか。残念ながら切ないまでの不安がいろいろなところに横たわっていました。

 もう少子化といわれて20年たっている。少子化は止まらない、でも、さらに、さらに残念な環境が広がっているのは、せっかく生まれた大事な子供の6人に1人、1人親家庭に至っては2人に1人の子供が貧困です。子供を育てることができないと悩んでいるお母さん、お父さんたち。子供が頑張って大学に行ったら2人に1人が奨学金、大学を出たら4割が非正規社員。300万円の平均の借金。これは自己責任だと、私は言えない事態が広がっていると思いました。

 この30年で共働き世帯は1.5倍になった。でも、1人働いてるときよりも、2人働いている今のほうが2割減っています。労働生産性が残念ながら上がっていない。賃金に反映をされていない。あした、1年後、2年後、分からない。そんな雇用の不安が広がっている。人生の先輩、この国を戦後71年間、引っ張ってきて豊かさをもたらしてくれた、平和をもたらしてくれた先輩たちには年金、介護、医療、自分たちは大丈夫なんだろうか。こんな不安が渦巻いている。

 全てのライフステージにおいて、私は信頼、安心を取り戻したい。安心さえあれば、それは欲しいものを我慢しないで消費につながる。実需が生まれます。企業が豊かになる。それがまた、家計の収入に反映をされて、安心の好循環社会を蓮舫は代表としてつくっていきたい。もちろん前原さん、玉木さん、これまで一緒に私たちは政策をつくってきました。同じ方向を見ています。そして同じ国をつくりたいと思っている。それはあくまでも人に着目をした、人を大事にした、人に私たちは投資をする。将来の納税者、将来の社会保険料の納付者、しっかり育てていって、日本に生まれて良かった。愛すべき日本をしっかりと自分たちが次につないでいく。そのような絵を描いていきたいと思います」――

 「私が目指すのは新世代の民進党」だと言っている。

 「新世代」とは「Weblio辞書」によると、「新しい世代。これまで中心だった旧世代に替わる世代」と解説されている。

 蓮舫は「民主党には国は任せられない」という根深い不信感を有権者に植えつけ、民主党政権失敗・国民の信頼喪失の毒素を蔓延させた政権交代時の民主党執行部に所属し、その戦犯の一人のまま民進党執行部の代表代行に就任した。

 当然、旧世代に属するはずだが、それとは無関係の「新世代」に自身を位置づけている。

 と言うことは、自身を「民主党には国は任せられない」という根深い不信感を有権者に植えつけた戦犯の一人、民主党政権失敗・国民の信頼喪失の手垢のついた戦犯の一人とは見做さず、戦犯執行部とは距離を置いた綺麗な手をした党員としていることになる。

 優れた政治家だからこそ、こういったヌケヌケとしたゴマカシができるのだろう。

 蓮舫が「私が目指すのは新世代の民進党」と言うからには、蓮舫が代表になった場合、既にその時点で「新世代」という言葉に矛盾が生じることになるが、少なくとも執行部の他の役員人事は旧世代に属していなかった党員を据えなければ、自身の発言を一から十まで自ら裏切ることになる。

 どういった役員人事をするか、見ものである。

 蓮舫はまた、「信頼を取り戻してわくわくする政治をつくる」と公約している。

 この発言に関しては9月1日の自身の陣営の会合で既に述べている。、

 蓮舫「ワクワクする政治、期待できる政治、何か変えてくれるのではないかという政治を必ず成し遂げたい。『新世代民進党』を、皆さんと一緒に作りたい」(NHK NEWS WEB

 「ワクワクする政治、期待できる政治、何か変えてくれるのではないかという政治」、こういった政治は国民の判断・評価にかかっている。当然、国民の判断・評価に適う政策の創造と提示が絶対的なカギとなる。

 なぜなら、政策こそが政治を形作るからである。見るべき政策がなければ、満足な政治を形作ることはできない。政治が政策を形作るわけではない。

 当然、国民が「ワクワクすると思ってくれる政策、期待できる思ってくれる政策、何か変えてくれるのではないかと思ってくれる政策」を創り出し、提示することが先決問題となる。そのような経緯を踏まなければ、「ワクワクする政治、期待できる政治、何か変えてくれるのではないかという政治」の提供は不可能となる。 
 
 安倍晋三の景気回復策であるアベノミクスも当初は国民にワクワク感を与えた。国民は何かを変えてくれるのではないかと期待した。現在はかなり失望を与えているものの、野党が国民がワクワクできる政策を創造し、提示しないから、仕方なくアベノミクスの行方を見守っているという状況にある。

 蓮舫が上記発言をした以上、そのような政策の創造と提示が必要となる。
 
 だが、以下の発言は少子化が止まらない状況、貧困の改善されない状況、非正規社員が増えている雇用に於ける偏った状況、年金、介護、医療の現況に安心ができず、将来的な不安を抱かせる状況等々の現状を述べるのみで、決定打となるワクワクする政策の具体的な一つすらも提示していない。

 蓮舫は発言の最後の方で「全てのライフステージにおいて、私は信頼、安心を取り戻したい。安心さえあれば、それは欲しいものを我慢しないで消費につながる。実需が生まれます。企業が豊かになる。それがまた、家計の収入に反映をされて、安心の好循環社会を蓮舫は代表としてつくっていきたい」と言っているが、「安心」を創り出す政策を提示しているわけではない。

 提示がなければ、「安心の好循環社会」は単なるスローガンに過ぎない。口ではいくらでも好きなように言うことができるということである。

 蓮舫は代表当選第1号といったところだが(玉木雄一郎を立候補させたのは1回で決着がつかなかった場合、2回目の投票で2・3位連合で逆転を狙っているのかもしれない)、政治が政策を形作るわけではなく、政策こそが政治を形作ることに気づかない、その程度の政治家であることと、有権者に根深い不信感を植え付けることとなった民主党政権失敗・国民の信頼喪失の手垢のついた戦犯の一人であることを考えると、ゆくゆくは喋りだけは得意な変わり映えのしない代表となるように思える。

 このことは次の発言にその一端が現れている。

 蓮舫「人生の先輩、この国を戦後71年間、引っ張ってきて豊かさをもたらしてくれた、平和をもたらしてくれた先輩たちには年金、介護、医療、自分たちは大丈夫なんだろうか。こんな不安が渦巻いている」 ――

 「自分たちは大丈夫なんだろうか」と言っている「自分たち」とは「人生の先輩」を指すのだろうか。あるいは「人生の先輩」から見た場合の現役世代、「あなたたち」という意味で使った「自分たち」なのだろうか。

 どうも意味不明である。「不安が渦巻いている」主語は今を生きる世代、その中でも将来不安に一番陥っているのは若者世代であろう。

 だとすると、「自分たちは」ではなく、「あなたたちは大丈夫なんだろうか。こんな不安を渦巻かせている」としなければ、意味が通らない。

 しかも「人生の先輩」は豊かさと平和のみをもたらし、矛盾のない戦後日本の社会を築き上げたかのように言っている。

 完璧な政治など存在しない。必ず一方に矛盾をつくり出す。すべての利害に応えることができる程の政治的創造性を人類は備えていないからだ。

 ニュースキャスターを務め、ジャーナリスト活動も行ってきている。当然、それ相応の洞察力・識見を備えているはずだが、口は達者だが、この程度にしか社会を見通すことができない。

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