今日は、母のすい臓の手術を受けるか(するか)どうかの最終的な話し合いを、主治医とすることになっていた。
ちょうど一年前。田植えの終わった直後に、母は腎臓ガンである事が分った。
左の腎臓が全く機能していないという事で摘出手術をすることになり、そのための術前検査が7月末まで続きその過程で、
新たにすい臓の異常、そしてその直後には、大腸ガンも宣告された。
結局、すい臓は「いずれガン化するもので、優先度から言うと腎臓と大腸のほうが高い」という説明を受け、8月に腎摘と大腸一部切除を泌尿器科と外科のDr.が同日一緒に手術を行う形でそれは実施された。
経過はよく、退院時に外科のDr.が
「それで、すい臓はいつにしましょう。来月に入れておきましょうか?」といとも簡単に、母に言った。
私は驚き、
「先生、待ってください。こんな大きな手術をした後で、体重も34キロになってしまってるんです。
もう少し、体力が戻ってからにしていただけませんか?膀胱の機能が弱っていて、これから自己道尿も覚えていかなければならないんです。」
と、言ってしまった。
入院中にも、母は「すい臓は、今のところは何でもないんだろう?手術はしたくないなあ」と口にしていたし、Dr.の説明になかなか納得できないものを母も私たち家族も感じ始めていたのだった。
「切る事だけを優先した話で、『すい臓が腫れています』というだけで正式な病名も告げられず、切除後の体調の変化、日常生活面でのリスクなど、こちらから説明を求めないとしてくれなかったのだ。
すい臓がんの怖さは、私も病院にいた事で、正確では無いけれど知っている。
勧められた手術を受けないために、すぐにも「ガン化」してその時手遅れです、などとなってしまったら・・・という恐怖感もあった。
それでも、
退院一ヶ月後の診察日に、母と私たち家族は、
「今回は手術はしません」と返事をした。
主治医は、
「そうですか」と言い、次に、
「念のために、半年後に検査だけでもさせて下さい」と言った。
私たちも、Dr.の勧める手術を断ってその後どう変化しているか、一番知りたいところなので半年後のPETの予約をして病院を後にしたのだった。
そして、今回のPETの結果。
「前より腫れてますね」
「腫れていると言うのは?」と私。
画像にスケールをあてて
「すい管の腫れです。12ミリですね」とDr.
「前回はどれくらいだったんですか?」
同じように昨年6月の画像画面を探し出し、
「10ミリです」
「その2ミリの差は、どういう変化を意味するんですか?実際には体調にどんな影響があって、今後どんな事が予測されるんでしょうか?
今までの母の姿を見ていても何も気付けないで来てしまったんですが」
「実を言うと、PETだけでは正確な診断は無理なんです。MRIを念のためにお奨めしたいんですが」
娘さんは、私が、無理に手術を推し進めようとしていると考えているようですが、私も、『今なら取れる』から勧めているんです。取れないものは勧めたりしませんよ。息子さんは、どう言ってるんですか?」
結局、再度、MRIを受ける事を母が承諾。先月26日に受けたのだった。
今日は、兄も東京から来た。
MRIでは、主治医が期待したような結果が得られなかったらしく、画像を見せてくれるわけでもなく、その原因があたかも母が検査前に飲食をしたのが影響したように言われ、母も私も必死で
「言われていたように確かに11時までに早お昼を済ませ、検査の始まる16時まで何も口にしていません」と反論してしまった。
兄が、改めて、今手術を受けることは本人も家族も望んでいない事を伝え、
主治医も「わかりました」となった。
でも、部屋を出ようとする私たちに、兄だけ残るように声がかかった。
母が、「先生、機嫌悪くしたみたいだったな」と言った。
明らかに主治医の態度が変わったのは感じ取れたし、私たちが診察室を出た後の、主治医と兄のやりとりもドアの外まで響いてきて、不安を掻き立てられた。
出てきた兄は多くは語らなかった。
ただ、主治医から、どこまでも
「あなた方自身で選択した事ですから」と強く念を押されたそうだ。
お世話になった先生だったが、科学的な説明、数値的な説明、紙に書いての丁寧な説明が一切無く、リスクの話は手術をするかどうかの選択の前には一切無い。
「まだガンにはなっていない」と受けた説明も、後に「間違いなくガンです。それも悪性です」と説明を変えてきた。
「何としても先生は手術したいんだなぁ」
と、母が言うように、Dr.の意思を強く感じるやりとりが続いたのだった。
「病気のみを診る」のではなく、母の現在の体の状態、母の意志、87歳という年齢、体力、父が具合が悪くその介護を母が担っていることなど総合的なことを考慮し、話し合いを進めていただきたかった。
泌尿器科の先生は4月に代わり、今日、母の経過がいい事で、地元の「診療所で今後診てもらえる様にして欲しい」という母の意向に快く承諾して下さり、紹介状を書いて下さる事になった。
外科の手術もしない方向であることを伝えると、
「そうですね」とにこやかに答えてくださった。
でも、腎臓ガンの再発率が高い5年間は経過を見ていきましょう、と半年後の予約を入れてくださった。
母の再発、転移、そしてすい臓が悪化しない事を祈りたいと思う。
主治医と患者、家族・・・。難しい。
私は、父が大腸がん末期状態にあることを知ってくださっている方に相談した。
「お父さんとお母さんのお二人の時間が限られてきている事を思うと、「今は手術をしない」という選択があってもいいのかもしれませんね。という、助言をいただいたのだった。
その言葉に勇気づけられ、今回の決断になった。
そして、母は外科の主治医と離れる事になった。
でも、何だか後味が悪い・・・。難しい・・・。
ちょうど一年前。田植えの終わった直後に、母は腎臓ガンである事が分った。
左の腎臓が全く機能していないという事で摘出手術をすることになり、そのための術前検査が7月末まで続きその過程で、
新たにすい臓の異常、そしてその直後には、大腸ガンも宣告された。
結局、すい臓は「いずれガン化するもので、優先度から言うと腎臓と大腸のほうが高い」という説明を受け、8月に腎摘と大腸一部切除を泌尿器科と外科のDr.が同日一緒に手術を行う形でそれは実施された。
経過はよく、退院時に外科のDr.が
「それで、すい臓はいつにしましょう。来月に入れておきましょうか?」といとも簡単に、母に言った。
私は驚き、
「先生、待ってください。こんな大きな手術をした後で、体重も34キロになってしまってるんです。
もう少し、体力が戻ってからにしていただけませんか?膀胱の機能が弱っていて、これから自己道尿も覚えていかなければならないんです。」
と、言ってしまった。
入院中にも、母は「すい臓は、今のところは何でもないんだろう?手術はしたくないなあ」と口にしていたし、Dr.の説明になかなか納得できないものを母も私たち家族も感じ始めていたのだった。
「切る事だけを優先した話で、『すい臓が腫れています』というだけで正式な病名も告げられず、切除後の体調の変化、日常生活面でのリスクなど、こちらから説明を求めないとしてくれなかったのだ。
すい臓がんの怖さは、私も病院にいた事で、正確では無いけれど知っている。
勧められた手術を受けないために、すぐにも「ガン化」してその時手遅れです、などとなってしまったら・・・という恐怖感もあった。
それでも、
退院一ヶ月後の診察日に、母と私たち家族は、
「今回は手術はしません」と返事をした。
主治医は、
「そうですか」と言い、次に、
「念のために、半年後に検査だけでもさせて下さい」と言った。
私たちも、Dr.の勧める手術を断ってその後どう変化しているか、一番知りたいところなので半年後のPETの予約をして病院を後にしたのだった。
そして、今回のPETの結果。
「前より腫れてますね」
「腫れていると言うのは?」と私。
画像にスケールをあてて
「すい管の腫れです。12ミリですね」とDr.
「前回はどれくらいだったんですか?」
同じように昨年6月の画像画面を探し出し、
「10ミリです」
「その2ミリの差は、どういう変化を意味するんですか?実際には体調にどんな影響があって、今後どんな事が予測されるんでしょうか?
今までの母の姿を見ていても何も気付けないで来てしまったんですが」
「実を言うと、PETだけでは正確な診断は無理なんです。MRIを念のためにお奨めしたいんですが」
娘さんは、私が、無理に手術を推し進めようとしていると考えているようですが、私も、『今なら取れる』から勧めているんです。取れないものは勧めたりしませんよ。息子さんは、どう言ってるんですか?」
結局、再度、MRIを受ける事を母が承諾。先月26日に受けたのだった。
今日は、兄も東京から来た。
MRIでは、主治医が期待したような結果が得られなかったらしく、画像を見せてくれるわけでもなく、その原因があたかも母が検査前に飲食をしたのが影響したように言われ、母も私も必死で
「言われていたように確かに11時までに早お昼を済ませ、検査の始まる16時まで何も口にしていません」と反論してしまった。
兄が、改めて、今手術を受けることは本人も家族も望んでいない事を伝え、
主治医も「わかりました」となった。
でも、部屋を出ようとする私たちに、兄だけ残るように声がかかった。
母が、「先生、機嫌悪くしたみたいだったな」と言った。
明らかに主治医の態度が変わったのは感じ取れたし、私たちが診察室を出た後の、主治医と兄のやりとりもドアの外まで響いてきて、不安を掻き立てられた。
出てきた兄は多くは語らなかった。
ただ、主治医から、どこまでも
「あなた方自身で選択した事ですから」と強く念を押されたそうだ。
お世話になった先生だったが、科学的な説明、数値的な説明、紙に書いての丁寧な説明が一切無く、リスクの話は手術をするかどうかの選択の前には一切無い。
「まだガンにはなっていない」と受けた説明も、後に「間違いなくガンです。それも悪性です」と説明を変えてきた。
「何としても先生は手術したいんだなぁ」
と、母が言うように、Dr.の意思を強く感じるやりとりが続いたのだった。
「病気のみを診る」のではなく、母の現在の体の状態、母の意志、87歳という年齢、体力、父が具合が悪くその介護を母が担っていることなど総合的なことを考慮し、話し合いを進めていただきたかった。
泌尿器科の先生は4月に代わり、今日、母の経過がいい事で、地元の「診療所で今後診てもらえる様にして欲しい」という母の意向に快く承諾して下さり、紹介状を書いて下さる事になった。
外科の手術もしない方向であることを伝えると、
「そうですね」とにこやかに答えてくださった。
でも、腎臓ガンの再発率が高い5年間は経過を見ていきましょう、と半年後の予約を入れてくださった。
母の再発、転移、そしてすい臓が悪化しない事を祈りたいと思う。
主治医と患者、家族・・・。難しい。
私は、父が大腸がん末期状態にあることを知ってくださっている方に相談した。
「お父さんとお母さんのお二人の時間が限られてきている事を思うと、「今は手術をしない」という選択があってもいいのかもしれませんね。という、助言をいただいたのだった。
その言葉に勇気づけられ、今回の決断になった。
そして、母は外科の主治医と離れる事になった。
でも、何だか後味が悪い・・・。難しい・・・。