えん罪・布川事件 国賠を求めてたたかう夫の傍で

えん罪を晴らし、普通の一市民に戻った夫。二度と冤罪が繰り返されないようにと、新たな闘いに挑む夫との日々を綴ります・・・。

watasiも すきな花だよ

2007-01-24 | 日記
 keikoさんの帰りがいつもより遅かった。
暗い部屋でkeikoさんの帰りを待つwatasiは、もうそんな生活に慣れっこになってはいるけれど、でも寒い日はやっぱり「早く帰ってこないかな~」って首を長くして待っているんだよ・・・。

 耳の遠くなったwatasiに「ただいま~!」って言うkeikoさんの声は聞こえない。でも、玄関をあけて入ってくる前に「気配」はしっかりとわかるんだ。
だから、watasiは気が付けば「おかえり~!」ってちゃんと?答えてるんだけどね、それが最近どうも「ネコ声」ではなく、怪獣の声みたいに聞こえるらしく
「最近、吠えるんだよね。ネコとは思えないよね」なんてみんなに言われている・・・。ちょっとかなしい・・・。自分の声が聞こえないと、鳴き方もわかんなくなっちゃうんだ・・・。

 薄暗い部屋にkeikoさんが入ってきた。
なんか、いい匂いがした。部屋の電気がついたら、keikoさんがフリージアの花を抱えて立っていた。
今日は、syoujiさんの誕生日だったんだ。「還暦」だって・・・。
離れているからいっしょにお祝いはできないけれど、keikoさんはsyoujiさんの好きなフリージアの花を買い求めるために、何軒もお花屋さんを回ったんだって・・・。

 いつも行くお店で「置いてないですね」と言われ、
2軒目で「この一週間、市場にも出てないですね」と言われ、あそこにもあったはずなんだけれど・・・と思い当たる途中のお店も閉店になっていた。
それでも、諦めきれず、次に行ったところで
「朝、たくさんお買い求めのお客さんがいて、午前中のうちに売切れてしまいました」と言われ、
それを聞いたkeikoさん。
「無い訳ではないんですね。市場にも出てないって聞いたんですけど、あるんですね。もう少し、お店をあたればいいんですね」とにっこり。
それから、また2軒目。
やっと「あった!」
それでも、少しだった・・・。でも、なんだか諦めずに探し当てた喜びで嬉しくなって、
「やっと、見つかりました。今日、どうしても欲しかったんです。あってよかった!」と、若い店員さんに言ったら、にこっとして「そうですか」とは言ってくれたものの意外と感動のない反応だった・・・。
そうでした、閉店間際まで必死に探し歩いたkeikoさんの気持ちなんて、誰にも分かるはずないよね。watasiだって、よくわかんないよ。別にsyoujiさんがいっしょっていう訳でもないんだから・・・。

 その夜、keikoさん、syoujiさんと電話で話していた。
「今日ね、あなたの好きなフリージアの花、買いたくてたくさんお店歩いちゃった。やっと見つけたんだよ。この部屋でやさしいいい香りがしてるよ。あなたの代わりに、私が愉しんでいるからね・・・」
「そうか・・・。思い出すなぁ・・・。千葉(刑務所)にAさんが差し入れてくれたんだ。花の名前がわかんなくてね。いい香りがして、そのとき初めてフリージアっていう名前を知ったんだ。Aさんは、もう亡くなられたんだけどね・・・。その花と匂いを嗅ぐ度、Aさんのことを思い出すよ・・・」としみじみ話すsyoujiさん。

 お祝いは、密かにプレゼントを準備しているkeikoさん
今度、会ったときにフリージアの花といっしょに手渡すつもりでいる・・・
(本当は、準備が遅くって間に合わなかったんだ。前にあげられればよかったのにね~・・・)

いちばん美人?

2007-01-22 | 日記
keikoさんの学生時代の仲間が集うと、いつも歌ううたがある。
替え歌だけど、とても楽しいうたでwatasiも大好き!

  ♪♪わたしは水戸中でいちばん
    美人といわれたむすめ
    どこの学校と聞かれたら
    大きく「ほせん(保専)」と言った

    朝早く帰りは遅い
    アベックを横目でにらみ
    どこの学校ときかれたら
    小さく「ほせん」と言った

    夏は水泳で真っ黒
    冬はスキーで真っ黒
    どこの学校と聞かれたら
    ちいさく「ほせん」と言った

    ピアノと実習で泣いた
    ○○と○○で泣いた
    どこの学校と聞かれたら
    いじかんで「ほせん」と言った

         井の中の蛙にならず
         大きく高く伸びよう
         どこの学校と聞かれたら
         胸張って「ほせん」と言おう♪♪


keikoさんのクラス会

2007-01-20 | 日記
 おめかしして10時半ごろ家を出たkeikoさん。
どういうわけか、11時半にあわてて帰ってきた。
syoujiさんの胡坐の中でいい気持ちで寝ていたwatasiはびっくり!!

「あんた、なにやってんの?keikoさんだけ、未だ来てないんですが・・・」って電話があったぞ!
「そうなの!!場所をかん違いしてたみたい!時間には、充分間に合うように出て行ったはずなのに・・・。通知のはがきを確認に戻ってきたの!だって、誰とも電話連絡つかなかったんだもん!!」

そうだった・・・
今日は、keikoさん、クラス会だったんだ。
keikoさんて、「保母さん」(今は保育士って言うみたいだけれど・・・)だったでしょう?卒業して、もう34年も経っているんだって。でも、本当に仲間意識の強い、みんな良い人たちばかりみたい。だって、本当に楽しそうに出て行くんだもの・・・。
 卒業は二十歳の時。
夢と希望いっぱいで、将来に何の不安もなく本当に社会人になって、学んだ知識を活かしていけることに期待感いっぱいだったということだよ・・・。
 akiraくんのときはもちろん働き続けたんだけれど、kaoriさんがお腹にいるとき、もう一度、復帰できると思って六年間勤めた保育園を一旦、退職したんだ。
でも、家庭のこと、社会情勢の変化もあって、とうとう現場復帰が出来なかったと聞いている・・・。そして、途中、労働基準監督署の臨時調査員、そのあと民間の住宅設備機器や建築一般を扱う工務店?の展示場の店長さんを少しだけやって、それから今の病院に勤めたんだ・・・。でも、syoujiさんと出会う直前まで、ずーっと「もう一度保育の現場に戻りたい」って思ってたみたい・・・。
それは、watasiもよく知っていた・・・。いつも、現役を続けている友達をうらやましがっていたもの・・・
勉強もしていたし、いつかそのうち・・・ってずっと考えていた・・・。

 あの時・・・
syoujiさんと出会うあの運命の救援美術展のお手伝いに行く前日、keikoさん、上司と面接していたんだ・・・。

 なぜか、とてもこころが疲れてしまい、「休みたい」、「再出発をしたい」。配置換えを希望して、だめなら仕事をやめよう、と考えてたんだ。

「最後のチャンスだと思って、無理を承知でお話させて頂きます。
 採用の時、『保母の資格を活かして働けるよう、そのうちチャンスがあったら保育室にまわってもらうことも考えておきましょう』と、言っていただいていたんです。
年齢的にも、体力的にも今を逃したらもう無理なような気がします。今度、保育室で、もし欠員が出たらその時は回していただけませんか」

そう、上司に相談していたんだ・・・・

「ここのところずっと塞ぎこんでいたのは気付いていたけれど、そういうことだったの。解ったわ。事務部長さんに話しておきましょう」というところまで、話が進んでいたんだ・・・。

なのに・・・
人生ってわかんないね・・・
その翌日から3日間、syoujiさんと不思議な出会いをしちゃうんだもの・・・ね。

・・・・・・・

 場所を間違えて、あらためて出直して行ったけど、集合写真の記念撮影には間に合わなかったkeikoさん。本当に、あわてんぼうだよね。syoujiさんには、あきれられ、仲間には大笑いされてしまった。・・・
 
 今日はね、実は国民救援会の旗開き(新年会)もあって、syoujiさんはもちろん参加。keikoさんも後から合流する予定。そしてまた、keikoさんは、クラス会三次会に、再合流というスケジュール・・・。

 「ゆっくりしてきていいよ」と言ってくれたsyoujiさんに感謝!!しつつ・・・
夜10時ごろ帰宅してきたkeikoさん

「ねえ、報告があるの。 あのね、友達が嬉しいこと言ってくれたの。
『初めの頃、なんともkeikoさんの姿が「借りてきた妻」みたいで心配で仕方がなかったの。今日、久しぶりに会って、なんかおばちゃんというか、おかあちゃんというか、奥さんになったんだなあって少しほっとしたよ』って・・・。何か、嬉しかった・・・」
「誰だ?そんなこといってるのは!!」と、笑いながらsyoujiさんが言った。

 びみょう~・・・(watasiの感想・・・

布団に入って、楽しかった一日を振り返りながら、
やっぱりsyoujiさんの二十歳の頃を考えてしまったkeikoさん・・・
失った時代は決して戻って来ないんだ・・・って・・・。
自分には、楽しいいい思い出と、そこから延々とつながる仲間との交流があるのに・・・って。
えん罪に巻き込まれていなかったら・・・。
と、ここまで考えて、
「やめよう!考えても仕方がないこと。
 syoujiさんの今の人生がなかったら、私たちも出合うことがなかったんだ!
 私の今の人生もなかったんだ!」

自分にそう言い聞かせるように、watasiのことを抱き寄せた。






今日もいい天気

2007-01-11 | 日記
今日も晴れ。
ガラス越しにはいってくる穏やかな日差しのお陰で、watasiは今日もひとりで「おひるね」しながらのお留守ばん。
syoujiさんも「今週は仕事をしっかりできるな」って言っていたので、きっと今日も太陽の下で肉体労働をしていると思うよ。
もちろんkeikoさんもお仕事。
まだ、年末年始の休みの間にたまった仕事に追われているよう・・・。
だって、毎日、残業で帰りが遅いから・・・。

 ベランダには、朝、keikoさんが干していった洗濯物が、揺れている。
そうだ!
洗濯機が新しくなったんだっけ!
これまで特に不自由がなかったから、この家では旧型の二槽式を使っていたのだけれど、shoujiさんが新しい全自動式のを弁護士のたまごさん?(数ヶ月前のその時は。今は新人弁護士さんになっちゃって、そして、syoujiさんたちの再審弁護団の一員として活躍されているんですって・・・。すごいな~。)から、頂いたんだ。
それを使い出したのが、まだ3日前。
syoujiさんとakiraさんが、4階のベランダまで運び上げて使えるようにしてくれたんだ。

 keikoさん、まだ使うときにまごついている。
だって、おばあちゃんのお家にあるのとは少し違うんだって。
でも、やっぱり「便利だね~」って言っていた・・・。

窓の外でゆれている洗濯物を見ていたら、又眠くなって来てしまった・・・

ねよう・・・