えん罪・布川事件 国賠を求めてたたかう夫の傍で

えん罪を晴らし、普通の一市民に戻った夫。二度と冤罪が繰り返されないようにと、新たな闘いに挑む夫との日々を綴ります・・・。

利根町のこと

2010-10-30 | 日記
 台風が来るという天気予報を聞くたび、
意外と逸れてくれるんだよね。という思いと、とにかく用心だけはしておかなければとという気持ちが交錯して緊張が高まる。
本当に、関東地方は、特に水戸近辺は被害が少ないところなのだが、これが県南、特に千葉北東部に隣接する夫の家のある利根町は、水戸にいては推測の仕様もないだけに、無事に通り過ぎていってほしいとただ願い続けて終わってしまう。
今回も、思いのほか静かだったと夫から連絡を受け胸を撫で下ろした。

 夫が水戸にいる機会が増え、なかなか私も利根町に足を向ける機会が少なくなった。
ほとんど夫が一人で利根町の家を守ってくれている状況だ。
今朝も、東京・三多摩へ向かう途中、台風が心配だから利根町の家に寄ってから行くと言って家を出る夫に、「これから」のことで私の思いを伝えたが、
「大丈夫!オレの思うようにさせてくれ」という返事が返ってきた。
夫なりに、思うところがあってのことと理解して、私は黙ってその時期を待つしかないのだが、なんだか申し訳ないな・・・と思った。

 来月、夫は地元の同窓会がある。
12月初めには、地域で稲荷祭りがありこれが男衆の集まりで、私は女衆だけの集まりに出ることになっている。
当初、一緒に住むことを予想して地域の皆さんに歓迎されたのだが、現実は冠婚葬祭とこの年1回の集まりに出ることだけになってしまっているのが何とも心苦しいのだが・・・。
 11年前、多くは夫の年代の人たちが集まりの多くを占めていたが、今は少しづつ代替わりして若いお母さんたちの参加が目立ってきているのも、やはり時の流れを感じぜずにはいられない。
どう考えても10年以上別居生活のままの夫婦なんて、なかなか理解してもらえないだろうな・・・。

 そう!
 そういえば、これまでにマスコミの方にも何度か訊かれたことがあったっけ・・・。

「失礼ですが、入籍はされているんです・・・よね」・・・なんて。

もちろんです!・・・と答えながら、何だか淋しかったことを思い出しちゃった・・・。




ドクター・ヘリ

2010-10-29 | 日記
水戸医療センターと私の勤務するS総合病院がその任を負うドクターヘリ。
院内で活動してくださっているボランティアさんのヘリポート見学の引率で、
私も見学の機会を得た。

茨城県内なら、
  
  ほぼ全域に、20分以内で到着できるようになった。
  ほぼ毎日出動要請がある。
  出動要請は、消防署から。
  2施設が分担して行う方式は全国で初のケース、など、

救命センター課長からいろんな説明を聞き終わったとたん、
出動要請が入り、見ている前で、すぐエンジン始動。
エンジン音とともにプロペラが回り始めた。
整備士によって機体の点検が素早く行われ、機長、救命医と救命センター担当看護師、整備士の4名が搭乗。
説明で聞いた通り、4分以内で東上空に飛び立って行った。

救命センター課長が、機体が見えなくなるまで手を振って見送っていた。

「危険を伴う仕事なので、無事に任務を終えて皆がそろって帰って来られるよう、そんな思いを込めて手を振って見送りました」とのこと。

目の前で繰り広げられた出動までの一連の流れを見届けながら、
現場の緊張感を見学者の皆さんと一緒に味わった。
貴重な体験だった・・・。


留守宅を守る?

2010-10-28 | 日記
夫が留守の間に、幾つか夫宛の郵便物が届いた。
最近、水戸にいることが多くなり、夫自身が連絡先、送付先を先方に水戸の住所を伝えているためだが、留守中に届いたものを前に

「さぁ、どうする?」

と、私は腕組みをして?思案・・・

「やっぱり、開けよう!急ぎの案件だったら連絡しなければ!」


・・・・・



「ありがとう!水戸に着いた封書は開封して、内容を知らせて」

と、北海道に行っている夫から返信があった。

 結婚する時、もっと私にできることってあるはず・・・
そう思ったのに
何でも対外的なことは自分で連絡、調整、処理してしまう夫に私の係わる部分はほとんどなかった。
何にも分からなかった私は時々、
「弁護団に相談しなくていいの?」
「守る会に相談しなくていいの?」とよく聞いていた。
そのたびに夫は

「オレのたたかいなんだよ。オレ自身のことはオレが決めるんだよ」とよく言っていた。

 別居婚という生活スタイルは、どうしてもお互いがそれぞれに自立した生活を必要とされる。一緒に時間を共有できない分、関われない部分があってやむを得ないのだが、それは私にとって寂しさとなって返って来た。
夫は、そんな私に毎日電話で「一日の報告」を欠かさずしてくれた。
11年間、今でもそれは変わらない(でも、ないかな?最近は、『詳しいことはブログを読んで!』が多くなって、会話が少なくなった・・・かも?)
離れていても、夫がどこに出かけ、誰と会い、どんな時間を過ごしたか知らせてくれたことで

「この前、ご主人と一緒に・・・・」などと声を掛けられても
「伺っています。お世話になりました」と返せる自分が嬉しかった・・・。

 来年には再審裁判が終わるだろう。いや、終わってくれなくては困るのだが、そうなれば私たちの同居の生活もやっと始まる。
でも、きっと夫の忙しさは当分続くだろうから、一緒に生活しながら今よりもう少し私の関われることが増えて、それが喜びに思えるようになったらいいかなぁ・・・。


「指導力B」の私が・・・

2010-10-27 | 日記
 職場に新しく入ってきた職員がいて、彼女に私が今までやっていた仕事を一緒にやってもらうようになって8日が過ぎた。

新しい人が入るということは
「新しい風」を起こしてくれるということのようだ・・・。
その風を心地よいものとみんなが感じられるようにすることが、私の役目かな?

若い彼女はとても明るい。
聴覚障害を持っているが、仕事を覚えようと一生懸命で、私にとっても刺激的な日々が続いている。
娘よりずっと若い彼女と、一日、時間を共有し、「若さの特権か?」と戸惑う場面もあるけれど、自分が思った以上に根気よく?やっているなぁ・・・と感心している。

要は「トシノコウ」というところなのか・・・。


遠い昔・・・

通知表に「指導力B」と書かれてあったことが脳裏に浮かんで来た・・・。
確かに「A」にはなれそうもないが、「Bの上」ぐらいにはなりたいので
明日もガンバロー!

少しづつ、これを機会に私は彼女から「手話」を教えてもらおう。


ドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」水戸でも・・・

2010-10-26 | 日記


「ショージとタカオ」の茨城上映の詳細が決まりました。
     (構成・撮影・編集 井手洋子  2010年・カラー・158分)

   と き:11月23日(祝日)午後1時30分上映開始
   ところ:茨城県立青少年会館
        水戸市緑町1-1-18 Tel 029-226-1388

入場料 優待料金 \1000
       当日料金 \1200

<主催> 布川事件・桜井昌司さんと杉山卓男さんを守る茨城の会
        お問合せは 水戸翔合同法律事務所内
        Tel 029-231-4555 Fax 029-232-0043 



 私も回を重ねて観るたびに、新しい発見、新しい感動を覚えています。
正直いうと、私自身も登場するし、自分たちのことなので照れくさい気持ちもあるのですが、東京上映の感想を聞かせていただきましたところ、私などの個人の思いなどはるかに超えた次元で、井手監督の視点が高く評価されています。
 また29年という獄中生活から仮釈放で過ごす14年という時間の中で「ショージとタカオ」が人として生きる苦しさや喜びを体験しながら、どんどん成長、進化していく様、そしてたくさんの支援者やそうそうたる弁護団に支えられながら、再審の勝利に向かって行く様に何度も心を揺さぶられます。
決して、暗さや重苦しさだけで終わらない、時には笑いも出てしまい158分を長いと感じないまま観ることができたと言って下さる方もいました。

 ぜひぜひ皆さんに観ていただきたい映画です。     

アドレス変更準備で

2010-10-25 | 日記
メールアドレスを変更する予定で
さてみなさんにお知らせを・・・と
これまでお付き合いいただいた皆さんのアドレスを整理していたら、一時は本当に悩みや人生観などお互いに交流し合って、本当に「おともだち」としてお付き合いいただいた人たちと、今では本当にご無沙汰したまんまでいることに気付き、心が痛んだ。

忙しくなってHPを閉じてしまい、それまで度々訪問したり、していただいたりという関係も少なくなり、今では、本当に活動上必要な方とそれのみのメール交換が精いっぱいというのが現状で、本当に申し訳なく思っている・・・。

 みなさん、どうしているかな・・・?
いまさら「アドレス変更」だなんて、迷惑かな・・・。

何かがあるから・・・

2010-10-24 | 日記
「よかったね、きれいになって」

夫が笑いながら言った。

「取材がなければそのまんまだったよね」・・・と。

そう!確かに。

 家の中で取材をしたいという申し入れを、拒めば拒めるだけれど、
私も夫と一緒に歩いてくる中で、ずいぶん取材に慣れてきてしまったな、と思う。
「ありのままでいい」という夫に、「絶対いや!」と泣いたのは何年前だったろうか?
それから、「それじゃぁ」と受けて、流された映像を見て
「えーっ!家の中、本当にありのまま映ってるー!」とあわてて・・・。

 狭い部屋に、どういうわけか今では夫の荷物がどんどんと増えて、「見違えるほどきれいに片づける」ことはできないけれど、そこそこにやるだけのことはやらなくちゃ、とそんな軽い気持ちで取材も受けるようになった。

とにかく、
「余計な荷物を増やさない」こと。
何年も閉まったままになっているものは
「捨てる」ことを心がけて行きたいものだ。

そんなことを思いながら、
光回線工事を切っ掛けに、今日は、10年以上飾ってあって、埃にまみれていたぬいぐるみを片づけることにした。
娘と私がお互いに作ったテディベアや、旅先で買い求めたぬいぐるみ、幼い頃から好きでなかなか処分できなかったものもある。ぬいぐるみや人形には「魂」があるように思えて、これまでも人形供養の日に神社へ持って行ったりしたのだけれど、娘の帰省もあって今朝は
「さあ、どうする!?」ということになった。
やっぱり、ひとつひとつ愛着があり、思い出がある。
古いものは、娘に言わせると
「25年も前におじいちゃんに買ってもらったものだよ」とのこと。

結局、幾つかを娘が今の住まいに持っていくことになって、後どうするかは
「洗って考えよう!」ということになった。

洗ったら、みんなきれいになった・・・。
やっぱり捨てられないかな…



11月・・・
間もなく人形供養の日が来ます・・・。


片づけて、空いたスペースがだいぶあるので、また少しずつ家の中を片付けたいと思います。
 

申し訳ない日

2010-10-24 | 日記
多くの土曜、日曜日は私も予定が入ったりしてなかなか家にいる時間にゆとりが持てないでいる。
でも、今週末、私は昨日救援会の関係で半日必要としただけで、今日は久しぶりに自宅にいる。
夫は、先週は仙台から高知へ飛び、現在は北海道にいるというのに・・・。

北海道に経つ前、夫は予定のない日が1日あって
「よく寝た~!」
と、言っていたから休養は取れているのだろうが、正直、フルで動いている夫に比べ私の生活は、申し訳ないほど自分中心で、楽なことしかしていないという思いになって心が痛む。
それと・・・
一緒に行動できない日は、夫との温度差が開いていくような不安を感じてしまうのだから、どうしようもない・・・。

 今日は、朝から布団カバーなど大物の洗濯をし、光回線工事をお願いし、パソコンの設定。
それから・・・
羽毛布団のクリーニング依頼で運送屋さんと時間を約束して・・・とそんな時間を過ごしている・・・。



本当だったら、利根町の夫の家に行きたかったけど・・・。

「思っただけでは(相手に)気持ちが伝わらないよ」

なんだか、以前に夫に言われたことばを思い出しちゃった・・・。

利根町の庭は夫が高知に経つ前にきれいにしてくれたとのこと。
あ~~~!
メ・ゲ・ソ・ウ・・・

体がもう一つあったら、
父を陶板浴にだって連れて行ってあげられるのに・・・。




二人の無実がさらに、さらに明らかになって

2010-10-15 | 日記
布川事件・再審の第4回公判が
水戸地裁土浦支部で行われた。

先ほど帰宅。

どんなふうに表現すればいいのだろうか?
とにかく
時間が経てば経つほど
「感動」という表現しかできない今日の公判だった。
この感情はいったい何がそうさせるのだろうか・・・

43年前の
1967年10月15日は
夫が厳しい取り調べを受け続けた5日目で
捜査官の偽計によって
無実を言い通すことができずに
「心が折れて」うその自白をしたその日なのだ。

折しも、その10月15日
夫は再審の『本人尋問』のため証言台に立ったのだ。

夫は、なぜ「やってもいない強盗殺人を認めてしまったのか」
当時の状況を説明するのに
悔しさがこみ上げてきたのだろう。
絶句して、言葉が詰まってしまった。
それは、真実を貫くことができなかった後悔と、
そのような状況に追い込んだ捜査官への怒りが伝わってくるものだった。

夫の自白をもとにSさんが逮捕される。
やはり10月15日深夜だった。

今日杉山さんも法廷に立った。
なぜ「認めたのか」

「警察、検察は何を言っても信じてくれない。
 裁判所なら必ず分かってくれる筈だと思った。
 早く認めて、裁判で無実を明らかにしたかった」と証言した。

二人とも1時間以上に及ぶ尋問が続いた。
尋問の経過とともに
「二人は無実」というのがどんどん明らかになっていった。
こんなはっきりした「えん罪」があるのだろうか、と思った。

検察官の反対尋問は
すればするほど精彩を欠き、何一つ有罪立証に近づくものではなかった。

私が近親者ということばかりでなく、傍聴者全員が同じように感じてくださったのではないだろうか。

記者会見を終えて、食事を兼ねて弁護団、参加者の交流会があったがとても和やかで、
楽しい時間となった。


終わって「ほっとした」という夫。
本当にそうだろう。

長い一日が終わろうとしている・・・。
夫の寝息が聞こえる。

何度も言ったけれど、もう一度言いたい・・・

「本当にお疲れ様でした・・・」

そして、ご参加くださった守る会、救援会、支援者の皆さん

「本当にありがとうございました」




もっと、もっと「感動」と言えることがあった。
でも・・
でも・・・
私も眠い・・・です・・・

また・・・

「ショージとタカオ」

2010-10-11 | 日記


ドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」の試写会が東京で行われた。

水戸でも、一部関係者だけの試写会が行われ、私もすでに観ることができた。


 映像作家・井手洋子さんが、本当に二人のために、14年間、私生活を中心に撮り続けてくださった膨大な記録だ。
それは、29年間「無実の罪」で獄中での拘束を余儀なくされた二人の中年男性(20歳で逮捕。仮釈放時49歳)が、仮釈放となった1996年11月、千葉刑務所前から映像が映し出される。

 二人は、まず、「フツーのおじさん」として社会で生きていくために、自立への一歩を踏み出す。しかし、29年という奪われた時間は、社会の変貌となって二人の前に立ちはだかる。
戸惑いながら、徐々に社会に順応してゆく二人。

しかし、ふたりの大きな目的は

「再審」で『無罪判決』を得ること。

その厚く、高く、堅い再審の扉を開けるために、全国に支援の輪を広げながら二人のたたかいが続く。

仮釈放から13年。
2009年、やがて、二人は戦後8番目と言われる「再審の扉」を開かせた・・・。




次回は
  10月16日(土) 田町交通ビル6F大ホール(東京港区) 13時30分上映開始
  11月23日(火・勤労感謝の日)
          茨城県青少年会館(水戸市緑町)    13時30分上映開始



 映像の前半に出てくる夫は、私が出会う前の、私の知らない夫だった。
その姿を、私は緊張して見つめ続けた。
マイクを持って訴えることのできなかった夫が、
やがて、自らのたたかいを続けながら「えん罪をなくす力になりたい」と変わっていく様に、胸が熱くなった。
 夫は、えん罪に巻き込まれたことで味わった、苦渋、屈辱、悲しみ、怒りをたくさんの善意の人に出会うことで、人を信じ、また信頼に応える生き方を学び、自分を再生していったのだ。
 私は、そんな夫の傍で、これまでの11年間を自分がどう関わってきたかを振り返りながら映像に見入ってしまった。
 
たくさんの人に観ていただきたい貴重な記録映画です。