えん罪・布川事件 国賠を求めてたたかう夫の傍で

えん罪を晴らし、普通の一市民に戻った夫。二度と冤罪が繰り返されないようにと、新たな闘いに挑む夫との日々を綴ります・・・。

裁判所の責任

2012-05-25 | 日記
名張毒ぶどう酒事件の再審の可否の決定の日。

名古屋高裁の開廷は10時と聞いていた。
決定もすぐに出るはず。
なのに、現地に行っていた夫からいつまでたっても連絡が入らなかった。

 私は、朝からNHKをつけていた。
臨時ニュースで、
「再審開始決定」を知らせる臨時テロップが流れるものと信じて・・・。
でも、いつまで待っても流れなかった・・・。

11時のニュースで「不当決定」の垂れ幕を持って固い表情で法廷から走り出してきた弁護士の映像が流れた。
「なぜ?どうして?」の思いが走った。
奥西さんは、この決定をどんな気持ちで聞くのだろう、と思った。

夫にメールした。
「ニュースで見ました。なぜ?どうして?」と。

夫からは、
「酷い!言葉が無いよ」と返ってきた・・・。



 それにしても、最高裁が差し戻した意味が、名古屋高裁の裁判官には通じなかった…。
 「疑わしきは被告人の利益に」に働かなかった。
 冤罪被害者の人権、命までもが、こんなに軽んじられるなんて。

奥西さんの
「今後の勝利を信じます」のコメント・・・・を聞いた。

どんなに悔しかっただろう。
落胆しただろう。
なぜ?なぜ再審を認めないのだ!と、大声で叫びたかったろう。
胸の奥の怒りが抑えきれないはずだ。
でも、でも、冷静なコメント・・・。

 前回、最高裁が名古屋高裁に差し戻したとき、私は、「再審へ近づいた」と喜んだ。
しかし、夫は違った。
「最高裁はなぜ自ら『再審開始決定』を出さないのだ?」と。

今になって思う。
いたずらに時間をかけ、またもや奥西さんの再審にすがる思いを踏みにじり、奈落の底に突き落とすような決定。
いったい、裁判官は、人の命、人権を何と考えているのか?
あまりにも酷い決定・・・。

夫の言ったように、最高裁は名古屋高裁に差し戻すことなく、あの時最高裁の責任として「再審開始決定」を出すべきだった。
責任逃れをした最高裁の判断を、一時でも、よかった、と思ってしまった自分の判断を恥ずかしく思う。

1審で無罪、2審で死刑。
そして、やっと
第7次再審の1審で「再審開始決定」
いかし、同じ高裁でまた「決定取り消し」

そして今回だ。
何度、何度、奥西さんの無実の叫びを弄ぶように、裁判官は真実から眼を背けるのだろう。

2012年5月25日
奥西勝さんは、86歳4ヶ月の年齢で、冷たい裁判所の仕打ちに今夜も一人耐えている・・・。
何としても、一日も早く「生きて社会へ」帰っていただかなければ・・・。

奥西さんは「無実」なのだから。