次に我々がぜひとも見たかったのは産軍共同体のボスの会社、機関銃や大砲をつくる工場だった。
案内の弁護士は交代した。別の年配の鼻の長い象族の弁護士だった。彼の鼻はすっかりヒト族の鼻に進化していたが、それも吾輩のような猫族から見ると、鼻は異様に長く奇妙にそして器用に動くのだった。
彼は長い鼻の先でパイプをつまんで、煙を吹かしていた。吾輩はニコチンの害を心配したが、象の弁護士はうまそうにしてご機嫌な顔をしていた。
「工場の中身を見ることは禁止されているのですよ。敵に見られるといけないというのでしょうけど、敵と言ってもね。たいした敵はいないのですよ。
カボタ国は、確かに武器がある。時々、変なことを言う。しかし、人口の上でも、経済の上でも、我がピーハン国が圧倒的に大きく強いのです。
それに、又、おかしな話なんですけど、月に武器を持つヒト族がいるなんていったって、そんな人達が攻めて来る筈がないのに、我が国では、五十年以上の前の内戦で、国内で争っていた頃の習慣がいまだ残っているんですよ。なにしろ、工場の写真を撮るだけで、いまだにスパイ罪なんていう罪があるんですか
ら。基本的人権なんてないに等しい。
ああ、スピノザ協会がアンドロメダに普及を進めているカント九条のある平和憲法を我が国はつくるべきなのです。モデルは銀河系宇宙の地球にあるそうだが、あのような素晴らしいものをつくるのには、大変な時間と努力が必要だという認識がアンドロメダ銀河のヒト族にも知ってもらいたい。
射撃場なら見せてくれるというので、そこに行くことにした。
広大な平原で、そこまで馬車で行った。
途中で、奇妙な光景を見た。白い軍服を着た十七才か十八才ぐらいの少年達が十人ぐらいで、一人の背の高い立派な風貌の男を取り巻いている。
「あれは何ですか」と吾輩は聞いた。
「白衛兵ですよ。大人の人は平和主義者でしょ。軍のトップはこういう卑怯な手段も使うのです。軍に忠実でない人間をこういう手口を使って、こらしめるのです。軍が正しいと言うまでやっていますよ。」
少年たちは何か文句を言い、持っている小枝で平和主義者をつついている。
「よくあんなことが許されますね」
「軍のトップとそれに従う軍人の指導でやっているので、警察もとめることができないのです」
非人間的なやり方であると吾輩は思った。このブラック惑星でのこの国のやり方は理想も何もないただ残酷で人間の醜さを露呈していると思わざるを得なかった。
やがて、射撃場の近くまで来ると、砲撃の音や機関銃の物凄い音が聞こえて来る。
途中に、通行の検問所みたいな所があって、警備員のような兵士のような人達が十人ぐらいいて、チェックしている。
なんとか、そこを通り抜けてしばらく行くと、向こうから、馬にまたがった少し階級の高そうな兵士が部下を連れて、ゆっくり近づいてきた。
「とまれ。許可証を見せろ」と大佐が言った。
「よし、今、敵、味方に分かれて実践の訓練をしている。縄を張ってある中に入らないでくれ。あとはどこから見ても、結構」
我々が気付いたことは、大佐の周囲に、背広を着た人物と兵士の服を来た人物が二十名ぐらいいたことである。背広を来た人は七名ぐらいで、
吟遊詩人に名刺を渡したのは、ウサギ族の若い男で、薄いブルーの麻の背広に赤いネクタイをしていた。宇佐という名前だった。丸い目をして、黒いちょび髭をはやしていた。
「わたしの会社は扇風機も蒸気自動車の開発も蒸気機関車という平和産業だけでなく、国を守るためにもこういう武器を製造しているのです。いつ月のヒト族が攻めて来るか分かりませんからね」と宇佐は事務的に言った。
「え、衛星の国のヒト族はまだ剣の時代で、銃を持っていないと聞いているのですけど」
「それは一つの情報です。色々な情報が錯綜しているのです。衛星の内部がしょっちゆう戦争をしているという情報もあるのです」
「しかし、彼らが、ここに攻めて来るのには、ロケットが必要ですから、そういう科学技術はまだそこまで発達していないでしょう」と言って、象族の弁護士はパイプの白い煙を一気に自分の頭の方に吐いた。
宇佐は大きな両耳をパタパタさせて、まるで扇子でも使って自分の冷や汗を防いでいるようにも思えた。
「確かにね。しかし、ネズミ国の惑星がこのアンドロメダ銀河の中心に近い所にあると言われているんですよ。誰も実体は分からず、謎めいた国なんですが、この惑星は極度に科学が発達していて、相当の高度の軍備を持っている。しかし、どういうわけか、鎖国を長く続け、今だに本当の情報はどこにも来ないのです。それでも、武器輸出という誘惑に負け、このネズミ国の惑星からわが惑星の衛星国に密かに、密使が送られて、我が国があっという間に占領されるというSFめいた本が数十年前から流行りましてね。それもあって、こういう軍備の必要が言われているんです。用心するにこしたことはない。それに、国内の中にも不穏分子がいますからね。彼らに対する無言の圧力にもなるのです」
吾輩はネズミ族の惑星と聞いて、シンアストランという大男とロイ王朝でウエスナ伯爵の元で水素社会のための研究している天才ニューソン氏を思い出した。彼はウエスナ伯爵と一緒に、革命の動乱期に、逃げ、新しい国で活躍していると聞いている。
ああいう異才を出すネズミ族の話をただの噂とかたずけられないものが、このアンドロメダ銀河にはあると直感した。
そう言えば、さきほどの大佐はネズミ族のような風貌だった。
どちらにしても、産業と軍が密接に結びついている様子が目の前にありありと展開していることは、我々にとっても驚きだった。
大砲の弾が遠くに落ちた。物凄い音で、あれならまだ雷の落雷の方が自然で親しめると思った。
しばらく行くと、向こうの少し高い所に、マンション風の建物がいくつも立っている所があった。
「今日は市街戦の訓練なのですよ」とタヌキ族の案内の兵士が言った。額の汗を洒落たハンカチでふいていた。階級は大尉のようだった。日射の厳しいこんな所で市街戦の訓練とは厳しいなと、吾輩は思った。
吾輩は市街戦といわれると、レニングラードの市街戦を思い出した。
何故かというと、あの映画を京都の銀行員の主人が見ていたからだ。吾輩も横から見ていて、人間どもは奇妙なことをやるものだと思ったものだ。
レニングラードの市街戦では百万の市民が餓死したとも聞く。あの映画で、驚いたのは、ドイツ兵の死体を放り投げるロシア兵を見て、ドイツ軍の中佐は仕返しという形で、市民の中からユダヤ人の母娘を選び出し、車に閉じ込め、火炎放射器で焼くのだ。その場面を見ていた、ロシア兵は怒り、突撃して、マンションの奪い合いという形で戦闘が始まる。
ユダヤ人虐殺をとめようとしたドイツの大尉は「戦争がいけないのだ」と叫ぶ場面がある。
吾輩は戦争こそ、ヒト族にまつわりつくガンという思いを強くして、市街戦の訓練をするというので、見ていた。
五百名ほどの兵士が機関銃をにぎり、
はいつくばって、にじり歩きをしている。ビルマンションの中に敵がいるという想定なのだろう。建物からも激しい機関銃の音がする。
「練習でも死者がでるんですよ。」とタヌキ族の大尉は言った。
「え、練習で死者が出る」
「そうしないと実践並みの訓練が出来ないというのが軍の方針なんですよ」
「そんな愚かなことをやっている軍は地球ではない」と吾輩は思わず言った。
「地球。あの惑星ね。」と赤いネクタイをした宇佐という男がにやりと笑った。
「困ったものです」と象族の弁護士は不快そうな顔をして、言った。
「死者になる人は皆、変な衣服を着ていますね」と吾輩が言った。
「ああ、あれは魔女の衣服ですよ」と象族の弁護士は言った。
「死ぬのはたいてい、魔女です。彼らが標的にされるんですよ」
「魔女って何ですか」
「つまり、魔女裁判で魔女とされた人達ですよ。男も女もいます」
「魔女裁判って、地球でも中世のキリスト教社会であったと聞いていますけど、あれと似たような響きがありますね」
「ああ、私も宇宙インターネットで調べたことがありますけど、似ていますね。ただ、今の我が国は無宗教ですから、昔のピーハン教が長く続いた時代の名残でしてね、今は軍部の考えに反する人達が魔女とされるんですよ。昔はピーハン教の異端が魔女とされ、火刑にされたのですけど、長く栄えたピーハン教は滅びましたからね。
そこへ忍び寄ったのが、魔界の悪知恵。悪魔メフィストの部下が軍の幹部に入りこみ、ピーハン教の魔女裁判だけを軍部が利用しているんです。反軍思想の人は密告されて、裁判にかけられるんです。どちらにしても死んで異界に行くだけのことですから」
「しかし、いのちが軽視されていますし、軍部の考えに反する人を死刑にするというのでは、恐ろしく息苦しいですね。今の地球では考えられないことです」
金色の階級章が肩についた白い薄手の軍服姿のタヌキ族の大尉がにやりと笑って、言った。「まあね、この惑星と死生観が相当違うんでしような。我々の世界では、
無宗教が支配的ですけど、奇妙な迷信だけはあるのですよ。
死ぬとまた違った美しい異界が待っているという信仰は確固としたもので、死は怖いものでないのです。死んでも、ちょつと旅に出たくらいにしかみな思っていないのです。これって、宗教のように思う人もいるけど、
どうなんですかね。神なんて信じていませんからね。ただ、異界があるという信念があるというだけなんですよ。
まあ、軍の方針というのもあるのです。軍の方針と迷信が一致しますから、ますます、みんな強く信じてしまう」
「しかし、この地上で魂を美しくみがくことの大切さを忘れてはならないですよね」とハルリラが言った。
「魂をみがくなんて、みんなそんなことを考えませんよ。いかにして、出世をするか。いかにして、金をためるかですよ。金をためたものが偉いんです。その時の金の量で、あの世の生活も決まるということが流布されているくらいですからね」とウサギ族の宇佐という男は言った。
「それは間違いです。それは真理ではありません。宗教の大真理は大慈悲心と愛にあって、心を磨き、人に親切にして、愛する、そうすれば魂は磨かれ、世界の真理が直観されるようになった時、浄土を、本当の美しい世界を見ることが出来るのですよ」と吾輩は自分でもよくわからないが、宇佐の言っていることに反発して口走った。
吟遊詩人が我輩を応援するように言った。「愛のない宗教、大慈悲心のない宗教、人を傷つける宗教、それは堕落した宗教です。
宗教は最初は純粋でも、歴史の長い過程で組織が大きくなり、権力を持つようになると、堕落する危険が常にあることは地球の人類の歴史が証明している。ヨーロッパのキリスト教の歴史でも、魔女裁判が有名である。教会とは少し違った宗教観を持っていると、異端とされ、火刑にされるということがしばしば起きた。
あるいは、免罪符を買えば天国に行けると言い、貧しい民から金を取るなどということがあったから、ルターの宗教改革が起きたのだろう。
日本でも、権力と結びついた江戸の寺院が宗教として堕落しているという良寛の漢詩もある」
ハルリラが言った。
「宇宙インターネットで調べたら、地球の日本では、オウム真理教の地下鉄サリン事件があったという話だよ。サリンという猛毒を地下鉄の中にばらまくという恐ろしいテロの発想がどうして宗教から出るのか、僕には理解できない。オウム真理教は宗教という仮面をかぶっていたに過ぎないのだと思う。
アメリカでは、人民寺院の千人近い集団自殺があった」
そんな風に、我々が宗教の宝石のような素晴らしさと怖ろしい落とし穴について、会話していると、その時、担架に横たわって血だらけの男が運ばれていた。
「まあ、彼は死ぬでしょう。ああいう風になると、兵士の方も死をのぞみ安楽死の注射を医師にうってもらうことが多いのです。なにしろ死の異界は心地よいという迷信がありますからね」
と宇佐という背広の男は言った。
「あなたはそんな迷信を信じているんですか」と吾輩は言った。
「いいとなんか思っていないですよ。実を言って、この惑星の自殺は年間十万人を超えるのです。ところが奇妙なことに、これが社会問題にならない。
ブラック企業で、競争と激しい労働と金銭至上主義。人と人との間はばらばら。これで、あの世はこの世とさして変わらないという信念がはびこると、自殺が増えるし、軍事訓練で死者が出ても誰も文句の言わない変な社会が生まれてきてしまうのですよ。変な社会ですよ 」と宇佐は言った。
「親鸞の教えなんかを取り入れたら」とハルリラが言った。
「親鸞。名前くらいは聞いています。なにしろ、学校が何の優れた価値観も教えませんし、家庭もね。生きている意味は金をためることだけなんですよ」
「親鸞? あの教えは物凄く深いけど、あれが一般に広まると、堕落しやすい要素を持っている。なぜなら、悪人こそ浄土に行けるという深い意味を理解せずに、上澄みの知識として知ると、親鸞の教えとは程遠い地獄の奈落に行くような行動をとる、自称信者が生まれる。だからこそ、歎異抄のような本が生まれるのではないか。人間とは本当に困った存在です」
我々は、祖父と二人暮らしをしているという宇佐というウサギ族の若い男の家に行くことになった。そして、驚いた。壁が厚く、鉄条網がめぐらしてあり、あるので聞くと「いつ強盗に襲われるかもしれないからだ」と宇佐は答えた。
彼の家には銃が三丁もあった。ピストルと自動小銃。
鉄条網には電気がかけられている。
ハルリラはこれを見て、謎のようなことを言った。
「わあ、文明もここまで行くと、真実を見失う悪路に入った感じだな。」
「悪路 ? 」と吾輩は聞いた。
「そう。分析ばかりやっていると、全体という聖なる生命を見ようとしない習慣ができてしまう。分析ばかりやっていると、真如が見えなくなる。ちょうど、森の中に入り、森を忘れ、木一本ばかりの分析している内に、自分が森の中にいることを忘れてしまうというようなものさ」
宇佐という男は言った。「言いたいことはなんとなく分かりますよ。なにしろ、金があることがこの世の幸福、あの世の切符。葬式を盛大にやるほど、あの世でいい所に生まれるというのだから、みな金をしこたまためる。
金をためれば、それを盗まれないかと心配する。だから、こんな鉄条網を張るのですから。自分でも嫌になっているのです。
なんともあさましい人間の生き方でしょうかね。まさにブラック惑星です。」
吟遊詩人が言った。
「価値観を変えねばこの惑星は滅びるのでは。金よりも貴いものがあるのでは」
「何ですかね」
「愛とか、大慈悲心」
宇佐という男は急に目を輝かして、自分の祖父の話をし始めた。
その後、我々はその祖父に会った。
祖父はウサギ族の長老のような風格で、白い羽毛はすっかり灰色になり、耳が大きく、落ち窪んだ目が大きかった。
視力がかなり悪くなっているという話だが、黒い瞳の奥から、我々を優しく見つめた。
挨拶の会話が終わると、爺ちゃんはまず吟遊詩人の持っているヴァイオリンに目をつけて、一曲弾いて欲しいと言った。
「それでは大自然のおおいなる愛という私が作曲したのを弾きましょう」と、吟遊詩人はヴァイオリンを肩にかけ、弦を持った。
大きな緑の丘陵に色とりどりの花が咲き、昆虫どもが飛んでいる。一人の少女がその花と花の間を歩きながら、昆虫を見たり花を見たり、鼻歌を歌いながら、飛んだりはねたりしながら、散歩している。さんさんと降り注ぐ太陽の気持ち良いこと、このおいしい空気を飲み、味わい、この自然の美しさに酔ってしまったようだ。この自然にはおおいなる愛がある。呼吸をして、息を吐き、吸い、その空気のおいしさの中にその愛を感じる。空には、青空が広がり、白い綺麗な雲がまるで船のようにゆっくり動いて行く。ああ、世界は万華鏡のように美しい。なにもかも、素晴らしい大慈悲心のあらわれではないか。
そんな風にヴァイオリンの弦は音楽によってささやいていく。.
宇佐は言った。
「内の爺ちゃんはそんな風に時々、口走ることがありますよ。最近は耳も少し遠くなってきていますが、今の音楽はよく聞こえたと思います。表情で分かります。大分、老化が進んでいますけど、言うことはしっかりしていますよ。僕は子供の時、世話になったから、時々、話を聞いてあげているんです」
「何か、本を読んでいませんか」と吟遊詩人が爺ちゃんに聞いた。
「法華経を読んでいます」と爺ちゃんは答えた。
宇佐というウサギ族の孫の男はさらに付け加えた。
「爺ちゃんの話では、全ての人は仏になれるというんだそうです。しかし、まず、僕は仏というのが分からない。
それに、このブラック惑星でそんなことを言ったって、誰も耳を傾けませんよ。
僕は爺ちゃんに子供の頃、可愛がられましたからね。
それで忙しい合間も時々、聞いてあげるんです。
爺ちゃんの話によると、法華経は禅の寺に行って知ったんだそうです」
「禅の寺なんか、あるんですか」
「わがピーハン国には一つだけあるという寺なんです。広い禅道場があるらしいですよ。禅では、座禅と法華経と愛語を重要視するんだそうです。でも、来る人はわずかだそうです。
爺ちゃんは猛烈社員でしたから、若い時はそんなものにまるで関心がなかった。ところが、ある日、事故にあった。それで生死の境をさまよい、何か素晴らしい世界を見たというんです。話すけど、誰も聞かない。それで、爺ちゃんはこの無宗教のピーハン国で、唯一まともに宗教活動をしている禅道場に目を向けたのです。」
爺ちゃんは言った。「音楽を聞く時、風の音を聞く時、小鳥の声はみな真如【一如】の現われそのものである。
そういうことに気がつきました。
全ての物もそうなんだけれど、やはりストレートに一如、法身の現われというのは美しい音楽だと思いますね。吟遊詩人がヴァイオリンをひいた時、ますますそう思いましたね。
神そのものが舞踏をしているような感じがしますよ」
宇佐という男はさらに付け加えた。
「そういうことを、内の爺ちゃんは事故に会ったことをきっかけに、禅寺に通うようになってから、人に言うようになった。でも、多くの人はその交通事故で少し頭がおかしくなったのだといいふらしたので、爺ちゃんはそれから寡黙になったのです。
今は俺だけが聞いてあげているんだ。でも、俺は忙しいし、俺も世間の人と同じで爺さんは事故でそんな風になったのだと同情はしているけど、話は話半分に聞いている」
爺ちゃんは微笑した。「息を吐く、吸う、これに意識を向けて、座るんです。そして、静かなバッハのような音楽をかける。寝る前に一時間必ずやるんです。これはいいですね。生き返りますよ。」
「そうですか」
「息を吸い、その吸うことに意識を集中して、吐く時に南無如来と唱えるのです。これがまた効果、抜群。これは簡単だけど最高なんですよ」と爺ちゃんは笑った。
我々はブラック惑星で、悪い話だけでなく、良い話も聞けたことに満足した。
この禅の教えがブラック惑星に広まることを願いながら、このブラック惑星での旅を終えて、次の惑星に向かうために、我々はアンドロメダ銀河鉄道に乗るために、足を駅の方に向けた。
【つづく】
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