A → Z : Xserve

モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

「編集会議」でXserve

2004-10-11 | ヌルヌルアーカイブ
「編集会議」というキーワードに、俺が一体どういう憧れを抱いていたか? 学生時代。うだつの上がらない――就職活動すらしないモラモラでムラムラでヌルヌルな――オナニー野朗だった俺は、自分で大学のサーバーに作ったホームページ「素敵に味将軍」を更新することに、ただ唯一の生き甲斐を感じていた。

インターネットの周辺が活況を呈しつつあった当時のジェットストリームのなかで、よどみに浮かぶ泡沫のようにすばらしい個人サイトたちが出ては消え、消えては現れ、俺も、知らず知らずその流れのなかに身を投じていたんだ。そのころには「素敵に味将軍」というタイトルがとてもこっ恥ずかしくなり、「A → Z My favorite Media indeX(A → Z : MMX)」と改題していた。

そして、いつしかそれらのサイトは「テキストサイト」というコトバの元、小さな小さな“歴史”としてウェブ上に刻まれる。総括サイトをはじめ、も出た。俺のサイトも、雑誌や本、TVで紹介されたりしたこともあった。

だが当時、テキストサイトオーナーの“あがり”といえば、決してそんなミクロな部分での自己満足ではなく……つまり、そう――“ライターデビュー”だった。リリー・フランキーなのか渋谷直角なのか……もしくは大塚ギチなのか、そういった人たちに憧れていたんだと思う。実際、俺の周りではライターデビューするヤツが続出した。

ひるがえって俺はといえば、ただただ第一歩を踏み出せないでいた。ライターになって、「編集会議」に参加したい……そこではきっと、とても進歩的かつ神秘的かつ躍動感あふれる、めくるめくオモシロディスカッションが繰り広げられているに違いない――。しかし……すべては、俺自身の自己プレゼン能力のなさと、クオリティーコントロールへの疲弊に起因していたんだ……。

あれから約10年――。

その日、俺は神保町の一角にある雑居ビルで、「編集会議」をしていた。あのころ夢想していたのとはまったく違う形で……。あい対するは、出版界にその名が轟く海千山千のスゴ腕編集者だ。いわば我々は、釈迦ほどもある彼の広大かつ深淵な胸をお借りする立場。立場なんだけど……だからこそ、事前準備を怠ってはいけなかったんだ……。

また、忘れてはいけないことは、これが信頼ベースの共同事業なんてなヌルいモノではなく、我々が先方に対価を支払うという点だ。その点においてのみ切り出せば、我々はお客様=神様であり、かくしてここに、釈迦vs神の図式が浮かび上がるのである。

で、長々と結局何が言いたいかというと、ナニが言いたい。

「俺のせいで、“4時間半”も会議するハメになちゃって、ごめんなさい」

……要は、10年越しのチャンスを無駄にすんなよ、俺――と、いうことなんだ。