新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・ヨーロッパ オーストリア編① ウイーンの美術史美術館で出会うドラマチック階段。

2021-05-18 | 階段紀行・ヨーロッパ 

 美術史美術館。18世紀から20世紀初頭にかけて栄華を誇ったハプスブルク家の美術コレクションを一堂に集めたこの美術館は、充実した内容で世界に知られている。が、ここではあまり話題を広げずに階段中心の話をしよう。

 入場者が必ず通る中央階段。建物自体は19世紀のもの。ウイーンの城壁を取り払って新しい街を作り上げたときの建築なので決して長い歴史を持っているわけではない。だが、十分に入場者の期待を膨らませるだけの導入口になっている。

 中央階段を折り返し、踊り場にある彫像に出会う。カノーヴァ作「テセウス群像」。実にドラマチックだ。

 面白いのは2階大ホール。ここは、3階まで吹き抜けた円天井の空間になっており、カフェレストランが営業している。テーブルが囲む中央部に丸い穴が開いており、そこから下の階段が見渡せる。ちょっと面白い造りだ。

階段の上部は、若き日のクリムトが描いた壁画がずらりと壁面を埋めており、じっくり鑑賞できる。

 せっかくなので、自慢のコレクションの一部を。

 ブリューゲル「バベルの塔」。ブリューゲル作品の最も充実した美術館として知られるが、中でも個人的に一押しがこの作品。天にも届く塔を建設しようとして神の怒りに触れてしまうという旧約聖書の物語。聖書によればその神の怒りによって人々が各々異なった言語を話すようになり混乱の極みに陥ってしまう。絵を見れば、人々の営みはこの無謀な計画の途中で既にほころびが出ていたところを示唆しているようだ。

 聖母の画家ラファエロの「草原の聖母」。三角構図を用いて安定した聖母子の姿は、理想的な家族の風景を現出させている。

 フェルメールの絵もある。「画家のアトリエ(絵画芸術)」。30数点という数少ない彼の作品の中でも最高傑作の1つとされる。室内の張りつめた空気感。衣服や諸道具の質感など、ただただ見入ってしまう絵の1つだ。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (がーこ)
2021-05-19 19:20:10
こんばんは!
ブリューゲルの「バベルの塔」は、とても好きな絵の一つですが、どこにあるのかは知りませんでした!
ウィーンにあるんですね🎶

思いがけない病にふせっておりますが、なんとしても乗り越えて、いつかヨーロッパを旅しようと思えました!
素敵なお写真と情報をありがとうございます🎶
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御身大切に! (gloriosa)
2021-05-19 21:58:22
がーこ様

突然のお話にビックリしております。体調はいかがなのでしょうか?

そちらの都市も緊急事態宣言下で医療体制がひっ迫しているとの報道が連日続いている折なので、心配です。

ぜひ、お体最優先で1日も早い回復を目指してください。私のブログが少しでも気分転換に役立つことを祈っています。
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Unknown (がーこ)
2021-05-20 00:57:52
ありがとうございます!

ちょうど大好きな階段特集をしていただいているので、癒されております♪

ガンですが、完治は目指せるとのことなので、ノンビリ楽しく静養しております〜🎶
身近な階段を探して散歩してみようかと思っております。
お心遣いありがとうございます!
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階段 (gloriosa)
2021-05-20 21:54:19
がーこ様

そうですね。
病は気から、という言葉もあります。気持ちをしっかり保っていくことも大事なことだと思います。

階段シリーズは日本とヨーロッパを交互にしばらく続けますので、どうぞ楽しんでください。
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