新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

南仏・コートダジュールへ⑳ ニース編 夕方から夜へ、劇的な変化を遂げる紺碧海岸の海と空

2022-01-25 | 南仏・コートダジュール

 

 コートダジュール滞在最終日、ニース海岸の東端に小高い丘があるのでそこに上り、浜辺の夕景を眺めようと出かけた。

 丘に上ると、周辺全体が良く眺められる。遠くの山々も、薄いピンクに色づいている。

 西の方角には、まさに沈もうとする夕陽が捉えられる。

 日没。ブルーとオレンジに色づけられた海面を、一艘のヨットが音もなく進んで行く。

 夕陽の残光を引きずりながら、海は次第に暮色に沈んで行こうとしている。

 その時、空中に何やら一筋の線が!これは何の雲なのか・・・。飛行機が墜落する所じゃあないだろうに。

 そんな思いが湧いた時、別の方向からはまさに飛行機が、空港から飛び立って近づく姿が捉えられた。

 海面は深いオレンジ色に染まって行く。

 陸地では家並みに照明が灯り、こちらは逆に明るい世界の始まりが告げられようとしている。

 すっかり日も暮れた。紺碧海岸=コートダジュール全体が、その名の通りの濃い藍色の闇の中に沈もうとしている。

 あわただしいコートダジュールの滞在だったが、思い出も多い旅だった。

 

 そんな感傷に浸った最終日の夜だったが、翌日はまた、アクシデントが待っていた。

 朝、駅に行くと運行電車の表示板が消えており、旅行客が待合室にあふれている。

 聞いてみると、電車事故があり、電車は運行休止。1時間ほど待ちぼうけの末に、代行バスが用意されるとの情報。

 すし詰めのバスに乗り込んで、フランス国境までの長距離をバスで移動するという思いがけない経験をさせられた。

 行きも帰りもアクシデントの連続だったが、今となれば懐かしい旅でもあった。

 

 

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南仏・コートダジュールへ⑲ ニース編 ニース出身の作家イヴ・クラインの、奥底までしみこむような深いブルーの作品をじっくり。

2022-01-22 | 南仏・コートダジュール

 ニースにある近現代美術館は、1960年代以降のポップアートを中心にした新しい美術を収集、発信している美術館だ。

 私が訪れた当時は、ニース市立の美術館はすべて入場料無料という政策を取っていた時代で、喜んで入場した。建物自体もポップな感じだ。

 最初に出会ったのが、スクラップ状態の車。「アンプレッション(圧縮)」というシリーズで売り出したセザールという作家の作品。これも立派な芸術!?

 「LOVE」のマークはアメリカの作家ロバート・インディアナの作品。この造形は西新宿の「新宿アイランド」にも飾ったあった。

 大型の女性像が並ぶ部屋。ニキド・サンファルの作品群だ。巨大でカラフルな女性像「ナナ」シリーズで注目された女流作家。箱根の彫刻の森美術館にある彼女の作品は私も大好きだ。

 でも、ここの目玉はイヴ・クラインの特別室。インターナショナル・クライン・ブルーという特徴的なブルーを開発、特許も取って、この色を使った多彩な作品を発表した作家。彼は実はニースの出身だ。

 人物像を真っ青にして表現する異色の作品が多い。

 この作品は、自身の結婚式を描いたもの(多分)。実はこの結婚と同じ年に急死している。

 女性の体にブルーを塗って紙に体を押し付けることで表現した作品も。(そういえば、制作中の映像も残っていたなあ)

 この美術館は屋上が自由な展望スペースになっている。

 周辺の町の風景を見渡すことが出来る。

 ちょうど空に雲が広がり、まるで翼を広げる鳥のような姿になった。

 屋上の浮遊作品とコラボしているように見える瞬間が出現してくれた。すごく得した気分!!

 

 

 

 

 

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南仏・コートダジュールへ⑱ ニース編 昼下がりに、プロムナードザングレで人間ウオッチング

2022-01-18 | 南仏・コートダジュール

 ニースの港には大型船舶も停泊し、湾沿いに住宅やビルが並ぶ。が、散歩に最適なコースはプロムナードザングレ(イギリス人の道)と呼ばれる通りだ。

 ゆったりとした幅広い通りが海岸沿いに延び、それに沿ってホテルなどが並ぶ。特に目立つクーポラを持ったホテルが「ホテルネグレスコ」。ベルエポック様式の特徴的なたたずまいが、港のランドマークにもなっている。

 遠く地中海の沖合には、ヨットの帆がたくさん並んでいた。このあたりが冬場の避寒地として絶好の気候だと気づいたイギリス人が、資金を提供して海沿いの遊歩道を建設した。このために「イギリス人の遊歩道」といった名前が付いている。

 19世紀末にはヴィクトリア女王がここに滞在したこともあるという。

 そんなプロムナードザングレのベンチで人間ウオッチングをしてみた。

 自転車の若者たちがスイスイと走り抜けて行く。

 こんな可愛らしい自転車も。

 女性二人組は、海を見つめながら何やら思い出に浸っているのかも・・・。(この時間帯は完全な逆光だったので、ちょっと見にくいのはご勘弁を)

 車いすのおじさんも海の空気を味わいに出かけてきたところのよう。

 バイク族も、しばし車を止めて「地中海の休日」を味わっていた。

 でも、やっぱりジョギング族の多さが目に付いた。

 こちらも多分旅行中のカップル。海が光っていて、空が高いなあ・・・。

 通りから少し入った場所で一風変わった建物を見つけた。ロシア正教の教会・サンニコラ大聖堂。20世紀初頭に、ロシア皇帝ニコライ2世が建設した。ニースで亡くなった若き皇太子を追悼するために建設されたそうで、ヨーロッパでは最大規模のロシア教会だという。

 

 

 

 

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南仏・コートダジュールへ⑰ ニース編 夜明け前の海岸で、劇的に変化する空中のショーに遭遇した

2022-01-15 | 南仏・コートダジュール

 朝、夜明け前にニースの港に出かけた。地中海に昇る朝日を見るためだ。温暖な気候とはいってもさすがに12月の朝は寒さが忍び寄ってくる。

 プロムナードザングレと呼ばれる海岸に出て、浜辺に並ぶホテル群の通りを眺める。薄暗さの中でもライトアップされたビル前の道には光明を感じることが出来る。

 少し明るくなってきた。雲が流れて大きく空に広がってきている。

 明るさを増してきたが、雲は横に延びてしかもかなり厚みを増してきた。

 朝焼けの空。が、空間は全面的に赤く厚い雲で覆われてしまった。まるで夏の嵐の前兆のような不気味さを漂わせている。こんなに厚く赤い空は、わが人生の中でも初めての遭遇だ。

 そんな雲たちも次第に形を変え、ようやく「普通の夜明け」の風景に戻ってきた。

 風が出てきた。固まっていた雲が開放されるかのように飛び広がり、上り龍にも見える奔放さで拡散して行く。

 まだ誰もいないコートダジュールの海岸で、自然の雄大な劇を見させてもらったような数十分だった。

 

 

 

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南仏・コートダジュールへ⑯ マティス下 芸術家たちが好んだ町を、芸術の香りを感じながらぶらぶら散歩

2022-01-11 | 南仏・コートダジュール

 ヴァンスやサンポールなど山岳の高台にある町は、その風光明媚でバラエティに富んだロケーションから、多くの芸術家を引き付けてきた。そんな影響からか、今ではあちこちの通りに洒落た家並みや開放的なギャラリーを見つけることが出来る。

 そんな町をぶらぶらと歩いてみた。

 ヴァンスの店先で見つけた母子像。とてもスタイリッシュ。

 オフィスの前には現代的な人物像。よく見るとこれも女性像のようだ。

 城壁の外、渓谷を展望できる高台にあった群像。みんな風景を楽しでいるかのよう。実は私もこの場所で遅い朝食を摂りながら自宅に電話をした。

 こちらはサンポール。アトリエ内に飾られていた人物像。

 サンポールの旧市街は、車の入れない階段状の狭い道が続く。

 でも、風情のある通りは散歩に最適だ。

 見つめ合う二人。

 中年紳士。空を見上げて何を思うのか。

 別の場所で振り返ると、シルエットの紳士は無心に生い茂った樹木を見つめていた。

 

 

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