新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア マテーラ 千年も前の洞窟教会につながる石の階段

2022-08-13 | 階段紀行・イタリア

 南イタリアの洞窟住居(サッシ)の町マテーラを訪ねた。1993年に世界遺産に登録されたこの町では、他のイタリアの都市とは全く違った光景が展開する。

 かつてはあまりにも不衛生な貧民窟として住民の退避を命じられ、廃屋同様の地域となった町。しかし今ではその特異な景観を守り伝えようと、新たな観光都市となって蘇ってきている。

 サッソ地区にあるS・Ⅿ・マドンナ・デイ・イドリス教会を目指した。11世紀に造られたという、千年も前の洞窟教会だ。まずは新市街地から旧市街への通路を行き過ぎる。

 サッソ・カヴェオーゾ地区の高台を望むと、巨大な険しい岸壁の上に、まるで突き刺したかのように細い十字架が立っているのが分かった。

 あれがイドリス教会だ。がれきだらけのような姿が目の前に広がる。果たしてどうたどればあの十字架にたどり着けるのか。迷いながらも、ようやく岸壁に近づくことが出来た。

 そうして教会につながる階段が現れた。あれが教会への参道とでも言ったらよいのかも。

 迷いながらも、ようやく接近。

 石の階段は意外にもしっかり整備されていた。

 内部には岩をくりぬいて掘られた空間に祭壇があった。正面には壁に描かれた「聖母子」のフレスコ画だ。

 真夏の照りつける太陽の下、たどり着いた洞窟教会は、ひんやりとした冷気に包まれていた。

 

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階段紀行・イタリア オストゥーニ ここも階段だらけの白い街。でも日が暮れるとオレンジの夜景が浮かび上がった

2022-08-09 | 階段紀行・イタリア

 オストゥーニもまた南イタリアの「白い街」の1つだ。丘の中央にドゥオモがあり、周囲に住宅が広がる。ただ、高低差が大きいためどこに行くにも階段の世話にならなければならない。

 この階段などは、どこまでも登ってゆくような錯覚を覚えるほど厳しい表情を持った階段だ。

 岩をくりぬいた場所もあるので、トンネルと階段がセットになった所も何か所か見かけた。

 一方、不愛想さをカバーしようと、階段途中に花の鉢を置いているところにも出会った。こんな気遣いにはホッと心が休まる。

 この地域は車も通れるように、道路の中央は坂道のままにして、両脇に階段を設けていた。確かに全部階段だと車が通れないものね。

 とにかく階段だらけの町だ。

 ドゥオモにも外階段が設置されていた。あれ、でもここは上り切った場所が壁で塞がれている。どうして?

 こんな風に町を歩いているうちは全体像が全く分からなかったが、帰りがけにちょっと離れた高台に来てみると、見事な全体像がライトアップされて浮かび上がった。こんなサプライズも、旅人にとってはこの上もなくうれしい体験になった。

 

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階段紀行・イタリア チステルニーノ イタリア半島のかかとの町では夜、白い階段が主役として輝きを放つ

2022-08-05 | 階段紀行・イタリア

 イタリア半島のかかとあたり、プーリア州の高台にある町チステルニーノは、人口1万人弱の小さな町だ。

 この町の旧市街は壁に囲まれており、その内部はぎっしりと白い建物で埋め尽くされている。狭い道だらけでまさに白い迷宮の町になっている。

 この町を特徴づけているのは、どの通りに入っても目立つ外階段。

 日本では通常、家の階段は建物の中にあるのだが、この町は多くの階段が外にあり、その形状が変化に富んだ表情を町に造りだしている。

 こんな風に小さな広場には各々の家の階段が一望に見渡せるところも。

 子供たちがかくれんぼの場所として活用したり、

 時には猫が悠然と階段途中で日向ぼっこをしていたりと、住民に合った形で階段が機能していることが実感できる。

 それに、どの階段も白く統一されていて、町のトーンを明るく彩っている。

 夕暮れ時になると、階段付近では近所のマンマたちによるよもやま話が展開されるのが、日常風景だ。

 そして無人になった夜の町では、照明に照らされた階段が、まるで主役のようにその存在感を輝かせる。

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階段紀行・イタリア プロチダ島 開かれた外階段のあふれる天国のような島

2022-08-02 | 階段紀行・イタリア

 プロチダ島はナポリの港から連絡船に乗って約1時間のところにある、地中海に浮かぶ島。人口千人というナポリ湾内で人が暮らす一番小さな島だ。

 でも、その眺めはため息が出るほど素晴らしい。地域が密集しているためか、住民同士の交流はのどかで親密。この島はイタリア映画「イル・ポスティーノ」のロケが行われた場所で、映画を通じてご存じの方もいらっしゃるかも。

 そんな環境のせいか、住宅の階段も閉じた空間の中にあるのではなく、外階段が非常に多い。

 従ってその階段の途中でも住民同士の会話が始まり、かつ長い。

 つまり、階段が憩いの場所になっているようにも見える。

 街の至る所に外階段が現れ、たいていは明るい色で彩色されているので、周囲を一層明るく見せている。

 

 島一番の高台ヴァスチェッロ城跡からだと島全体を見渡せる。

私は写真の一番右、上から2番目の建物に泊まって、テラスから朝夕の景色を存分に楽しむというぜいたくを味わった。小さな島だが、絶景の風景と絶品の料理が味わえる店もあり、個人的にはここは天国の島だと思っている。

 夜になり、明かりがともると、また一層の美しさで輝く。

 1枚だけナポリの階段の写真を。ナポリの高台から都市風景を眺めた時、手前に存在感のある階段を見つけて撮った1枚。

 

 

 

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階段紀行・イタリア サルディーニャ 地中海の未知の島には、なかなかお目にかかれない絶景が待っていた

2022-07-30 | 階段紀行・イタリア

今回は地中海の島サルディーニャの階段です。

 サルディーニャの中でも日本ではほとんど知られていない2つの町を訪ねた。まずはカステルサルド。「サルディーニャの城」という意味の地名を持つこの町は海に突き出した半島が丸ごと城砦になっている。

 従って城に行き着くにはどうしても階段を上らなければならない。ただ、坂そのものは十分に広さを保っているので、気分的には開放的なままで上ることが出来た。

 ただ、上から見下ろすと高さは十分ある。一回歩いた後はたっぷりと足に疲れがたまってしまった。

 それも、このまるで軍艦のような形をした半島がライトアップされた時の圧倒的な景観は、ただ我を忘れて"これぞ絶景”と叫びたくなるほどの素晴らしさだった。

 一方、島中央部にあるボーザも、おもちゃ箱を並べたようなカラフルな家々で形成されたワンダーランドだ。北の港からバスで峠を越えてあの町が見えた時、思わず歓声を上げてしまった。

 町の上にあるマラスピーナ山を目指して、朝一番で上り始めた。最初はトンネルのような階段。

 私の前に母子連れが上っており、わりにスイスイと歩いて行く。「元気だなあ」などと見ているうちに、一行はどんどん先に行ってしまった。

 ようやく山頂に着いた。城壁のある場所へは鉄製の階段が待っていた。

 それを上ると、城壁沿いに歩ける遊歩道が整備されていた。そこから見えた街並みと地中海。すがすがしい気分にさせてくれた。

 

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