新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・フランス ストラスブールでは台風の渦巻きを連想させる珍しい階段を発見!

2023-03-28 | 階段紀行・フランス

 フランス東部、ドイツとの国境の街であるストラスブールには、ゲーテが「荘厳なる神の木」と表現したノートルダム大聖堂を始めとした歴史的建造物が立ち並ぶ。

 その大聖堂に飾られていた彫刻やステンドグラスなどを収蔵、展示する大聖堂美術館で、変わった階段を見つけた。 

 これまで見たことのない独特の形状。それも、細い木によって支えられているだけなのに、意外にしっかりしている。

 中世に造られた階段。下から仰ぎ見ると台風の渦巻きを連想させるらせん状の土台が見つかる。木材を張り付けて造られているのだろうか。

 一方、正面彫階段はがっちりとした造形の中に、手すりの装飾が落ち着きをもたらす効果を出していた。

 上からの見下ろしだと、木組みの美しさが表現されており、直線の良さも味合わせてくれる様式になっている。

 そんなストラスブールへの訪問はクリスマス時期。外の商店街は建物全体がクリスマスプレゼントであるかのような華やかな装飾で飾られていた。

 もちろん大聖堂前の通りもにぎやか。クリスマスツリー発祥の地とされる街だけに、12月は全体がクリスマス一色に彩られる。

 街一番のデパート ギャラリー・ラファイエットのポスターはプレゼントを主役にした豪華な階段のデザインで構成されていた。

 

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階段紀行・フランス 毎年行われるブールジュの幻想的な「青の階段」

2023-03-25 | 階段紀行・フランス

 フランス中部の都市ブールジュでは、毎年街の主要な建物や通りをライトアップするイベントが行われる。

 通りはいくつもの坂や丘も通るので、必然的に階段も各所に設置されている。昼は特に気づくこともなかったが、夜になるとその階段に光が当てられて、昼とは違う風情を持ったものに変化した。

 オレンジの柔らかい光が、狭い路地をふんわりと包み込み、昼の喧騒が嘘のように静かになる。まあ、こんな照明はそれほど変わったものではない。

 でも、ある場所ではピンクの照明が段の端を際立たせて、ちょっと素敵な雰囲気を醸し出す。

 さらに進んでゆくと、今度は光が青に変化した。

 この色は一層幻想的な光景を漂わせ、夢の世界にも似た抒情が漂う。

 この通りを進んでゆくと、大聖堂が濃いブルーの空を背景に黄金色に輝く姿を現した。なかなか味な演出。   思わず「ほう!」とため息が出た。

 この青い照明は街並みも一段と優雅な装いに変化させていた。

 また、この大聖堂地下室には、当時この地を治めていたベリー公の墓があるが、そこに通じる階段も落ち着きのあるものだった。

 

 

 

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階段紀行・フランス シャンボール城に存在する二重らせん階段。天才ダ・ヴィンチの設計との説も

2023-03-21 | 階段紀行・フランス

 フランス・ロワール地方の森にそびえるシャンボール城。

 フランソワ1世が16世紀に離宮として建設したものだが、この天守中央に不思議な階段が存在する。上る人と下る人が全くすれ違うことなしに通行出来るという、二重螺旋階段だ。

 試しにこの階段を上って見たが、確かにすれ違うことはなかった。

 この二重らせん階段はだれが設計したのだろうか。城の設計者は明らかになっていない。

 だが、1つの推理がなされる。というのは、フランソワ1世はミラノ遠征を行い、イタリアルネサンスの文化に触れるとともに、イタリアの天才レオナルド・ダ・ヴィンチをフランスに呼び寄せている。つまり、あの天才レオナルドの発想が、この城の設計に大きく影響している可能性が大きい。

 そんな夢と推理を膨らませることの出来る稀有の階段が、この城の魅力にもなっている。

 途中、螺旋階段の内側をのぞくことの出来る場所があった。内部はこんな感じだ。

 逆に、下から見上げると、まぶしい光が差し込んでくるスポットになっていた。

 城の大きさは幅156m、高さ56m、部屋数426室、さら外観の特徴である煙突の数は実に282本と、ロワール地方最大規模を誇っている。

 私はこの城の近くのホテルに泊まったが、その日こんなクラシックパレードの行事が行われ、中世の時代にタイムスリップする幸運を体験することが出来た。

 

 

 

 

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階段紀行・フランス ナンシー美術館 アールヌーヴォーの華やかな螺旋階段

2023-03-18 | 階段紀行・フランス

しばらく休載していた階段紀行を再開します。今回はパリ以外のフランス各地を巡ります。

 フランス東部ナンシー市にあるナンシー美術館。この街はアールヌーヴォーの旗手エミール・ガレの出身地だが、そこの美術館で、まさにアールヌーヴォーの世界を立体的に表現したような階段に出会た。

 まず上部からの眺め。中心にライト(光)を置いて、周囲を、曲線で覆いつくした手すりの円がぐるりと取り巻く。

 その外側に配置された階も、決して直線ではなく、微妙にアールを描いてうねる。

 らせん状に渦巻く上昇気流。一段一段が快い回転を刻む。

 一階から見上げる。手すりの渦は高く高く、蛇の昇天図のようにどこまでも伸びて行く。

 そして、ついには上空で輪を形成してしまう。

 何度も上ったり下ったりしていたら、学芸員の人に不思議そうな目で見られてしまった。

 それとは別に、2階から3階へ続く美しい別の階段も見つけた。白を基調として両側が外に柔らかくカーブする。中心の白い柱には所蔵作品が大きく掲げられている。

 また、脇の壁や小さな空間にも作品が並べられ、階段全体の白と基段の赤とが絶妙な配合となって、空間全体を華やかなものにしている。

 展示作品もバラエティ豊かだったが、それにも増して、入館して初めて出会う階段の面白さにひきつかられた美術館だった。

コメント (2)
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上野歴史散歩㊾ 寛永寺。徳川幕府とともに繁栄の歴史を刻み、その崩壊とともに消え去った大寺院。

2023-03-14 | 上野歴史散歩

 ようやく寛永寺にたどり着いた。

 「江戸が東京に代わって決定的に失われたもの」の1つとして必ず取り上げられるものが寛永寺だ。

 徳川家康、秀忠、家光三代にわたる将軍に厚遇された天海僧正が創建した、天台宗の関東総本山である大寺院。その敷地は現在の上野公園全体にわたり、30万5千坪という江戸随一の面積を誇った。

 ただ、徳川幕府の崩壊とその時の上野戦争による戦火で大半の施設は焼失、さらに明治政府によって領地は接収されてしまった。

 ようやく1871年になって寺院復興の許可が下り、かつての子院だった大慈院のあった現在地(東京芸大音楽学部の裏手)に移ったのだが、本堂の建物は川越喜多院の本地堂を移築したものになっている。

 内陣には葵の御紋の入った装飾がなされている。(内部は通常入れないので、BSで放映されたものを活用しています)

 幕末、鳥羽伏見の戦いで敗れ、江戸にもどった15代将軍徳川慶喜が一時身を寄せたのが、この寛永寺だった。本堂裏手にある書院・葵の間で約2か月間過ごし、江戸城無血開城が決まって、水戸へと旅立った場所だ。これも徳川幕府消滅の1つの象徴だった。

 内陣の厨子内には秘仏本尊薬師三尊像が安置されている。が、まさに秘仏のため見る事は出来ない。その代わりの仏像(御前立)が置かれている。これは薬師如来像。

 千手観音像もある。

本堂奥は徳川家の墓地になっていて、4代将軍家綱、5代綱吉、8代吉宗など6人の将軍がここに埋葬されている。

他の将軍は、初代家康、3代家光は日光東照宮、15代慶喜は谷中墓地、残る6人は芝増上寺に眠っている。

 立派な門があった。4脚の門で切妻造りとなっている。

 これはあの「生類憐みの令」で有名な5代将軍綱吉の霊廟勅額門だという。

 細部を見ると非常に丁寧に加工されており、しかも光り輝く金箔や朱の色彩が鮮やかに残っている。

 

上野駅、西郷隆盛像から始まった上野歴史散歩も、ようやく今回で終点の寛永寺にたどり着きました。これが最終回となります。ご覧くださった皆様、本当に有難うございました。

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