新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

サルディーニャ最終日 サン・ピエトロ教会を訪ねる

2017-11-14 | ボーザ・サルディーニャ

 山頂の城から戻って、この村最後の目的地サン・ピエトロ教会に向かった。

 テーモ川の向こうにまるで狼煙のような雲が立ち上っている。

 教会はホテルから約2キロ離れた草原にポツンと建っている。

 サン・ピエトロ通りを歩いてゆく。のどかな田舎道。子供のころに歩いた故郷の道を思い出させる。

 左手にはさっき登った山頂の城跡と、カラフルでこじんまりとしたおもちゃ箱のようなボーザの街並みが、日に照らされて輝いている。
 ふと、天国に繋がる幸せの道とでも言いたくなるような通りだ。

 教会に着いた。ロマネスク様式の素朴な建物。

 逆光の中に虹のような光が走った。

 石で造られた内陣は、薄暗い中に立つ柱の堅固さと、差し込む光の柔らかさとが溶け合って実に神秘的。

 他に誰もいない無人状態だったので、その静けさが耳にツーンと沁みる感じ。

 後方から見ると祭壇の両脇に立つ聖ペテロと聖パウロの像がシルエットになって、その荘厳さを一層強めていた。

 帰り道で、突然すれ違った観光列車。

 一旦ホテルをチェックアウトして旧市街の広場に行き、屋外のテラスで昼食を摂った。
 そしてバスに乗り、鉄道の駅のあるマコメールへ。

 この日は、夜のジェノヴァ行きフェリーに乗るので、ポルト・トーレス港へは時間の計算できにくいバスではなく電車を利用することにしたためだ。

 予想外に電車は遅れたが、十分に余裕を見ていたので問題なし。
 再びイタリア半島に戻るため、船中の人となった。次に目が覚めた時にはジェノヴァ港が目の前に広がっているはずだ。

 初めてのサルディーニャは期待以上に素晴らしい、まるで天国のような島だった。目の覚めるような景色、温かい人情、おいしい料理など、忘れられない沢山の思い出をあふれるほどにカバンに詰め込んでフェリーに乗り込んだ。

 この後イタリア半島再上陸の後、ベルガモ、マントヴァ、ボローニャ、パルマ、モデナ、フィレンツェ、ヴェネツィアと移動しましたが、その旅行記は来年再開する予定です。

 次回からは「よさこい2017」を掲載予定です。
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中世の城跡から市街と地中海を展望する

2017-11-10 | ボーザ・サルディーニャ

 マラスピーナ城址に登った。

 午前10時、ようやく管理人が到着し、城への門を開けてくれた。一緒に待っていたイタリア人家族とともに入城。

 中に入ってもまだ坂道が続く。もうひと踏ん張り。

 中世に建設されたこの城は、今や完全に廃墟状態だ。

 残された城壁が、今は簡易遊歩道となっているようだ。階段を上る。

 細い石の道を歩いてゆく。

 見えた!ボーザの村が眼下に広がっている。

 テーモ川の大きなカーブ。水はあくまでも青い。そして住宅群の先に海が覗く。

 あの海は地中海。果てしなく広がった先にはイベリア半島やアフリカ大陸があるはずだ。地中海沿いの町はボーザマリーナという町。岬に建つのはアラゴネーゼの塔。

 初夏の陽光に照らされて、のどかで心和む田園風景が目の前に展開されている。

 こんな異国の見知らぬ村の景色なのに、なぜか懐かしく感じる。ここで思いっきり深呼吸を1つ。

 昔のカラフルな工場群も美しい。気持ちはルンルン。

 工場群とテーモ川も丘の上からの眺めはまた一種違った風景に感じる。

 城壁を一周して城内に残された教会に入った。

 屋根には十字架が掲げられている。

 ノストラ・シニョーラ・レンニョス・アルトス教会という、まるで呪文のような長い名前。内部には聖人たちを描いた壁画が壁全体に描かれていた。

 この部分には女性の聖人たちが並ぶ。

 中世の絵のようだが、結構豊かな表情が表れている。

 ところどころはがれてしまっていたが、見所十分の絵画群だった。

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マラスピーナ城跡を目指して山登り

2017-11-06 | ボーザ・サルディーニャ

 さあ、これから村の後方にある丘の上、マラスピーナ城を目指して登り出す。

 上り坂にはトンネルが幾つもある。坂道は急だが、階段状に並ぶ住宅群を見ながらゆっくりと昇って行く。

 途中で見つけた可愛らしい三輪車。今も現役だ。

 外壁を花が覆う洒落た家にも遭遇した。

 戸口で珍しそうに私を見ていたワン公。やっぱり犬にとっても東洋人は珍しいのかも。

 かなり昇ってきた。眼下には緑の草原が広がる。

 咲き誇る花々。

 さっき歩いていたベッキオ橋やドゥオモもこんなに下になった。

 住宅群の茶色の屋根も手に取るように眺められる。

 ほぼ登りきったけれども、城跡に入る入口はまだ鍵がかかったまま。それで、入り口手前にあった開店前のカフェスペースで一時休憩。

 ここにはいろいろな花が咲き乱れていた。ピンクの朝顔。

 この花はカステルサルドの宿でも見かけた。

 可憐な小さい花も。

 対して、大輪の黄色い花。

 空はすっきりと晴れ渡って、いい気持ち。
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目の覚めるような水面のブルー、街を描いたドゥオモの天井画

2017-11-03 | ボーザ・サルディーニャ

 朝目覚めると、有り難いことに今日も空はさわやかに澄んでいる。外に出た。テーモ川の水は見事なコバルトブルー!

 対岸に並ぶ建築群は、昔なめし皮の製造所だった工場だ。

 昨夜は寂し気に打ち捨てられた風情だったボートも、朝見るとさわやかにさえ見える。

 ベッキオ橋も青空の下ですっきりとしたその姿を見せている。

 橋を渡るとすぐにドゥオモの姿が見えてくる。

 その前で油を売っているおじいさん連中に挨拶をした後、ドゥオモの中に入ってみた。

 主祭壇は、最奥の中央に。

 そのすぐ手前にクーポラの円天井。

 聖母の像なのか、優しい表情。

 天井に描かれた絵をよく見ると、左下の部分に山頂の城壁やベッキオ橋などボーザの街がちゃんと描かれていた。こんな地元の風景のある天井画は、ローマやフィレンツェといった歴史のある都市以外では珍しい。

 もう1つの天井画は聖母被昇天と思われる。

 ライオンが魚を抱えている像。さすがに海辺の街らしい。

 もう1度天井を見上げる。細かな装飾がなされていることが解る。

 規模は小さいけれど、とても地元民に愛されているドゥオモのようだとの印象だった。さあ、今度は山頂の城を目指そう。



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水面に映る夜景にうっとりするーボーザの黄昏

2017-10-31 | ボーザ・サルディーニャ

 午後の散歩ですっかり腹ペコ状態になってきた。ぼちぼち夕食にしよう。

 宿泊したホテルにはレストランが併設されており、チェックイン時に「宿泊客には割引サービスがあります」と聞いていた。そこでホテルのレストランに決めた。

 部屋に戻って、窓から街並みを眺めてからレストランへ。

 プリモはシーフードサラダ。タコやエビが入った海鮮サラダだ。私の好きなムール貝もたっぷり。海が近いこともあって食材は新鮮。

 セコンドは牛肉のグリル。これも実にうまかったのだが、とにかくボリュウム満点で、残念ながら食べきれなかった。

 腹ごなしに、もう1度散歩に出かけた。ようやく日暮れ時。夕焼雲がぽっかりと浮いていた。

 市街地の街並みもほんのり色づいて・・・。

 遠くの西空に日は沈んでいった。

 まだ残る明るさを吸い上げたテーモ川の水面が、川沿いにあるホテルの建物をきれいに映し出している。

 ベッキオ橋も水面にくっきりと。

 道端の一角では、街灯の明かりを受け止めた自転車が主役を演じている。

 黄昏が忍び寄るテーモ川の川面は、深い青に変わってきた。

 山頂の城壁がライトアップされた。

 川向こうの住宅群がオレンジの衣をまとい始め、街は昼とはまた違った装いが支配する。

 そんな変身の中で、置き去りにされたボートが一隻、昼の名残を惜しんでいるよう。

 ベッキオ橋のアーチの下から夜の街を垣間見る。幻想的な風景が目の前に展開されている。

 さすがに今日は歩き疲れた。ホテルに戻ろう。

 部屋の窓から城跡に「おやすみ」を告げてベッドへ。

 また明日・・・



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