新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編③ ヴェネツィアの建築群の後方に白い連山が現れた

2023-07-29 | 心ふるえる風景・イタリア編

 12月 リド島のホテルに泊まった日の翌朝だった

 ブリオッシュとブラッドオレンジの簡単な朝食を終えて 

 本島に渡るためヴァポレットに 乗り込んだ

 冬場には珍しいほどの快晴

 甲板に出て 見え始めたサンマルコ広場の建築群に目を向けた

 

 と、その建築群の後方に 何か白い塊が続いている

 何?

 一度瞬きしてから 再度見直した

 確かに ある 蜃気楼でもなんでもない 

 あれは 遠くアルプス山脈につながる山々の 雪に覆われた姿だ

 

 本島内では ビル群が邪魔をする

 リド島からの 程よい距離から

 冬場の澄んだ空気の中で 晴れた朝方の時間帯だけで

 見ることの出来る レアな雪山の風景

 

 ヴェネツィアの誇るルネサンス様式の建築群と

 ヨーロッパの屋根であるアルプスにつながる白い自然の造形とが一体化して

 目の前に展開している

 

 ヴェネツィアには何度も訪れたが

 このような光景に出会ったのは この冬が初めてだった

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編② ゴンドラと 寄り添う朝日

2023-07-25 | 心ふるえる風景・イタリア編

 

 宿から約20分 広場に着いたとき

 深い青に支配されていたラグーナが 金色に染まりはじめた

 ああ この朝 待っていた朝だ

 岸壁に腰を下ろして

 視点をリド島の遠景から

 すぐ手前のゴンドラに移す

 

 高く低く揺れ動く 黒いゴンドラの舳先が

 朝日によって何層にも染め分けられたオレンジの空に 

 くっきりと浮かび上がる

 そして 弧のカーブに沿うように

 陽の円が 見事にシンクロした瞬間があった

 

 何という鮮やかな色彩の妙

 アールの連鎖

 この光景に出会っただけで もう

 ヴェネツィアの旅は かけがえのない宝物になった

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編① ヴェネツィアの夜明け

2023-07-22 | 心ふるえる風景・イタリア編

 昼になるとあふれるほどの人で賑わうサンマルコ広場

 その空間を独り占めしたいと 

 まだ夜明けの訪れを告げないしじまの中

 宿を抜け出して歩いてきた

 広場からドゥカーレ宮殿を通過して

 ラグーナを見渡せる岸壁へ

 

 冬のヴェネツィアは津々と足元から寒さが忍び寄ってくる

 ああ 上空には三日月

 まもなく目覚めの時が来る

 リド島の方角 東の空が白み始めた

 

 目の前のすべての空間を支配していた

 濃く深いブルーが 少しずつ少しずつ 柔らかい光に押し戻されて

 白とピンクの帯が 支配域を広げ始める

 マッジョーレ島の鐘楼が くっきりと明るいシルエットに彩られて

 

 ヴェネツィアの 朝が明けた

 

 *今回から新しいシリーズを始めます。これまで訪れてきた各地で、心に残る風景や場面に出会いました。そんな美しい瞬間を1枚の写真に凝縮し、そのときの思いを短めの文章でお伝えしようと企画したものです。 

 その時感じた思いがどれだけ表現できるかは自信がありませんが、幾分かでも皆様に伝われば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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階段紀行・日本 会津若松・さざえ堂 江戸時代に完成した二重螺旋の階段。

2023-07-18 | 階段紀行・日本

 会津若松・飯森山に不思議な堂がある。円通三匝堂(さんそうどう)=通称「さざえ堂」。国の重要文化財だ。高さ16mの堂は、見上げると斜めに傾いているようにも見える。

 入口に僧の像がある。1796年に当時の住職郁堂禅師が考案したそうだ。堂内は時計回りに上り1と4分の3周で最上階に着き、下りも1と4分の3周して入口に戻る。

 上るごとに棚のような厨子があるが、創建当時各所に設置された厨子の中に西国三十三観音像が祀られていた。つまり、この堂をお参りすることで三十三観音参りを済ませることが出来たわけだ。

 明治に入って神仏分離令が出されて、今像は除かれている。

 最上階まで到着する。無数の札が貼られている。ここが信仰の対象だったことがよくわかる。

 特に天井部分の札はおびただしい。

 下りに入る。階段は二重螺旋になっていて、上る人とすれ違うことは全くない。こういった二重螺旋階段はバチカン市国のバチカン美術館やフランスロワール地方のシャンボール城でも見ることが出来たが、我が国の歴史的建築では非常に珍しい。

 こうして見下ろすと、太鼓橋のようなふくらみのある階段部分もあり、二重螺旋も含めて実に貴重な遺産であることが実感できた。

 

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階段紀行・日本 会津若松 白虎隊の墓がある飯森山の長い階段、鶴ヶ城の夜景

2023-07-15 | 階段紀行・日本

 白虎隊の墓がある飯森山は、会津若松市の郊外にある。墓参りを思い立ち訪ねると、長い階段が待ち受けていた。 

 数えなかったが100段は越えているだろう。

 ただ、隣にはエスカレーターがあるので、一安心。

 でも、エスカレーターの終点から、さらにまた階段。ちょうど訪れたのが桜の季節だったので、疲れも幾分か癒されることになった。

 このほか、次回に紹介するさざえ堂への近道階段も見つけた。

 飯森山から会津若松城、通称鶴ヶ城へも回った。この城内にあった階段は、江戸時代を思い起こさせるようないかにも歴史を積み重ねてきたという石段だった。

 ここでは夜、ライトアップされた城とさくらの競演を見ることが出来た。

 また、堀に映り込んだ桜の並木も印象深いものがあった。

 

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