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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

仮想通貨を学ぶ

2019年11月25日 | 社会・政治問題

  一時下火になったとされる仮想通貨が、再び脚光を浴びつつある。

 それは、フェイスブックが計画するリブラ、中国中央銀行が国策で推進するディジタル人民元、それぞれの動向が世界の耳目を集めているからと推測する。電子決済や資産運用とは縁のない自分であるが、時代についていくために仮想通貨について勉強してみた。通貨は国家を代表する中央銀行が発行するものであり、かっては中央銀行(国家)が発行額面と同等の金や銀と交換を保障する兌換紙幣が主流であったが、経済規模の拡大に従って貨幣が金(銀)の生産・流通量以上に必要とされるようになって、現在のように国の管理通貨制度の下で発行される不換紙幣(国家の信用貨幣)となったと理解している。仮想通貨は文字通り発行元(保証者)や額面の無い通貨で、現在世界には1500種の仮想通貨が存在するとされ、日本ではビットコインやイーサリアム等14種類が仮想通貨取引所(金融庁認可)で流通しているらしい。何故、額面もなく国家が保証しない通貨が存在できるかと云えば、通貨保有者がネット上の構成員を相互に信用することで成り立っており、その信用の度合いで価値が決まるようである。中国はこれまで、国の通貨管理が及ばないために現行の為替管理が不可能になることから仮想通貨制度を一貫して否定しているが、決済通貨として”元”の信用度が上がらないとともに、流通経路の追跡がほぼ不可能な点を利用して、米中経済摩擦・北朝鮮等の国連経済制裁国への”元”供給の抜け穴として、ディジタル人民元の発行(数か月後?)を水面下で準備しているとされる。リブラについていえば、フェイスブックが昨年3000~5000万人の個人情報流出事件を起こしたために米国金融委員会からの認可が、当面見送られる公算が大きい。

 仮想通貨の現状と流通、購入・自国通貨への換金方法について、やや理解することができたが、この程度の知識では手を出すことはできないだろうと感じた。一般に言われているように、仮想通貨制度は犯罪者の資金洗浄や不法送金に使用されやすく、アメリカ下院の公聴会でも「経済政策が無力となり経済を崩壊させる」、「犯罪者に手を貸す行為」との意見が出されている。中国はディジタル人民元を国家管理することでドルに挑戦しようとしているが、人民元の流出と計画経済の崩壊を招きかねない“両刃の剣”となり兼ねないと危惧する意見もある。”当面は静観するに越したことはない”というのが、今回の勉強の成果である。

 

 

 


ローマ教皇の来日に思う

2019年11月24日 | 社会・政治問題

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が来日された。

 先日まで「法王」とされてきたが、今回の来日を機に日本政府が尊称を「教皇」とすることに統一した(11月20日)。初めて知ったことであるが、これまで「法王」と尊称されて来たのはバチカンの大使館が「ローマ法王庁大使館」という名前で届出がされていたためであり、国名変更等の特別な理由が無い限り変更が認めらないという理由で法王という尊称を正式な呼称としたことによるらしい。「法王」の尊称は、ローマ法王に限らず他宗教の指導者も使用することや、後白河上皇が「法皇(ほうおう)」と尊称されたいたこともあって、かねてから日本カトリック教会が「教皇」と尊称することを求めていたものである。事のついでに、ローマ教皇は全キリスト教徒の頂点に立つのかも学習した。ローマ教皇はカトリック教徒の頂点には君臨するが、正教会(ギリシャ正教会または東方正教会とも呼ばれる)ではコンスタンティノポリ総主教座が全世界の正教会における筆頭格とされているが、各国の正教会にもそれぞれ総主教がおり彼らに対して上位に立つというわけではなく、一種の名誉称号で世界中のカトリック教会組織のトップに立つローマ教皇のような権威はないようである。また、プロテスタントにあっては、もともと宗教者の階級を否定していることから最高指導者は置かれていない。更に事の序であるが、呼びかけに使われる「閣下」と「猊下」の違いも調べてみた。「閣下」は、高官に使われる敬称であるが誰に使用するかは特に定めはなく、国家元首・閣僚・大使・領事・少将以上の軍人(将官)に使われ、「猊下」は、高位の聖職者に対する敬称で、ローマ教皇や枢機卿・仏教ではダライ・ラマをはじめとした高位の僧侶に使われるとされていた。

 「法王」が「教皇」になり、「承久の変」が「承久の乱」になり、「大化の改新」が「乙巳の変」になり、というように我々世代の常識や知識は、段々と古びていく。新しい発見や掘り起しでやむを得ないことかもしれないが、実に切ない思いがする。それにもまして科学技術の進歩は顕著で、つい20年前には主流であったダイヤル式電話を扱えない若者の存在が報じられている。しかしながら、アポロ計画で人類が月に降り立ったのはライト兄弟の初飛行からわずか66年後であったという事実を知って、我々の親世代も技科学技術の大変革期を乗り越えていることを思えば、泣き言で済まされるものではないだろう。知識・常識の変革「何でも来い」と根拠のない啖呵を切って”終演”。


残業100時間超/月で過労自殺を思う

2019年11月23日 | 社会・政治問題

 三菱電機子会社の40代男性社員の自殺が、月間100時間を越える時間外労働に起因するとして、労災認定されたことが報じられた。

 これまでも長時間労働に起因する過労死や罹病の例が数多く報じられていたが、これまで残業手当をもらった経験がないこともあってか長時間労働の概念がうまく把握できない。本日は、以下の記述で海上自衛隊入隊や艦船乗り組みををためらう若者が出ないことを願いつつ、艦船乗り組みの海上自衛官の勤務時間と対価を紹介・考察する。いささか暴論であることは承知のうえで、以下、拘束時間=勤務時間として述べる。艦船勤務者の勤務時間は、昼食休憩を加味して0745~1645までの9時間が標準とされている。しかしながら階級によって異なるが週1~3回・24時間の当直勤務があり、平均して週2回(月8回)の当直と仮定すれば、15時間×8回で120時間の時間外労働、うち56時間は深夜労働となる。現在、海賊対処に行動中の乗組員を想定すれば、ほぼ30日間連続して航海することから15時間×30日で450時間の時間外労働(うち210時間は深夜労働)という計算になる。勿論、乗員の労度軽減のために長期航海中にあっては適当な間隔で艦内休養日を設けているが、その日にあっても航海立直は必要であるために世間一般の休養とは異なることは言うまでもない。他方、残業手当?に該当するかもしれない各種手当は、艦船勤務者には基本給の33%(潜水艦45.5%)の乗組手当、航海する海域と階級で異なるが日額590~3980円の航海手当があり、海賊対処等の任務には日額2000円の特殊勤務手当が支給される。非管理職と考えられる基本給25万円の1等海曹が海賊対処に出動している例で試算すれば、乗組手当:82,500円、航海手当:1,950円×30日=58,500円、海賊対処の特殊勤務手当:2,000円×30日=60,000円、合計201,000円となり相応の処遇を得ているように見える。しかしながら、この金額を先の時間外労働(拘束時間)450時間で割れば1時間あたり446円となり、安いか・高いかは議論されてしかるべきと思わざるを得ない。兵士組合もなく連合のバックアップもない”鬼っ子”自衛官の給与は、かっての「俸給」であり、定量的に勤務・労働実態を反映したものではないのでは?と考える所以である。

 自分がカンボディアPKOに参加した頃は、乗組み手当も少なく特殊勤務手当もなかったが、それでも国家の施策に挺身できることを光栄に思い、文字通り公に奉職する”俸給”の気持であったように思う(きれいごと過ぎるかも)。自衛隊退職後20年となって、改めて自衛官の各種手当を調べてみたが、総じて5%程度上昇しており、改善されていることに安堵した。ホルムズ海峡周辺の船舶護衛が本決まりとなり、特殊勤務手当は海賊対処並みの日額2,000円とされる公算と報じられているが、小火器対処で良かった海賊対処に比べて、大型の近代兵器を保有するイラン革命防衛隊を相手とすることも予想される今回の任務、果たしてどうであろうか。

 


GSOMIA失効まで12時間

2019年11月22日 | 韓国

 日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の失効まで12時間を切った。

 韓国が日韓関係改善の仲介と期待したアメリカからは、大統領・国務長官・軍関係者がごぞって協定の維持を求めているにも拘らず、文大統領は翻意しない。ついにアメリカ上院が韓国に対して、協定破棄を再考するよう決議案を採択した。決議案では「協定破棄や貿易摩擦は「地域に亀裂を生み煽動勢力を勢いづかせるだけ」との趣旨で超党派で決議されたものである。破棄を歓迎するであろう勢力のうち、中国は表立って態度を表明していないが、文大統領が南北関係改善のメッセージとして最も期待しているであろう北朝鮮からは、協定の破棄は評価するもの貿易摩擦が解消されれば協定の維持若しくは再締結に応じるとした韓国の姿勢を「弱腰」「日和見」としている。およそ軍事に関する協定を破棄することは、国際的には以後の国交断絶~戦争に連なる必然の行為とみなされており、歴史的に見ても多くの戦争や紛争がこの手順を踏んでいる。それゆえに各国は、軍事問題を通商問題解決の対価としないという暗黙のルールに従っている。今回、韓国が行った日韓軍事協定の破棄は国際的な慣例と暗黙のルールを破ったものであり、文大統領は誤判断・国民感情に忖度するあまりに付和雷同的に大統領に追随する韓国政界は無能力と断じるものである。EU離脱問題で隘路に立たされた英国政界が、離脱交渉にNATO問題を絡めない良識・常識を韓国も学ぶべきであると思う。

 しかしながら日韓GSOMIAの破棄には、好ましいものも含んでいる。1は「韓国人旅行者の減少」である。総務省の発表によれば、先月(10月)の韓国人の入国者は昨年同月比65%減とされている。おかげで電車内や観光地で傍若無人な韓国人と騒々しい韓国語に眉を顰めることが極めて少なくなったと思う。2は、日米安保条約が日米どちらかの破棄通告にとって1年で失効することが多くの国民に周知されたことである。共産党を除いて与野党の政策は、日米安保の継続的な存在を前提として、同体制は未来永劫盤石として立案・執行されている。日韓GSOMIAの経緯を見て、日米安保も同様の危険性を有していることを世に知らしめたことは大きいのではないだろうか。

 韓国の文大統領の任期も残り半分となった。日本・米国・北朝鮮からの信頼を失い四面楚歌の状態の陥ったものの、いまだ40%を超える支持率を維持しているが、数年後「空白の5年間」と修飾されないことを祈るものである。しかしながら「空白の3年間」で生き残った枝野氏をはじめとする面々が、恬として政治活動に励んでいるのも事実であるが。

 

 


1160万年前の生物大絶滅の原因特定か

2019年11月21日 | 科学

 1160万年前に起きた生物の大量絶滅の原因が、海に落ちた隕石である可能性が大きいことが日本の海洋研究開発機構から発表された。

 生物の大量絶滅は、恐竜を絶滅させた6600万年前が最も新しいと思っていたが、その後も3600万年前と1160万年前と2度も起こっていることを知った。大急ぎでネットの記事を拾い読みしたところでは、既に明らかとされている生物大量絶滅は4億4千年前以降に幾度となく繰り返されており、3億年前以降でも11度の絶滅が確認されているそうである。絶滅という字面から、地球上の全ての生命が死に絶えるというイメージを持っていたが、恐竜を絶滅させた6,600万年前の事象にあっても70の生物は死滅したものの、環境変動に耐えることができた30%の生命は生きながらえて次世代の王(主力)となっている。特に1160万年前の大量絶滅は、我々人類にとっては遠い祖先である類人猿が出現・繁栄できる元となった記念すべき大量絶滅・代替わりであることも知った。大量絶滅の原因は大きく分けて火山の大規模噴火と隕石(小惑星)の衝突に分けられている。火山の大規模噴火は大陸の衝突等によるマントルの異常によるものとされており、現在の大陸移動の状態から見て近未来に起こる可能性はないが、隕石の衝突の方は、6600万年前の絶滅時は直径10㎞の小惑星が、1160万年前は直径6㎞の惑星が衝突されたとされている。現在直径1㎞以上の小惑星(地球近傍天体(NEO))は1000個、直径数百mのものは5000個以上も存在する。新たな発見によってその数は更に増えるとされており、各国の軍・研究機関が監視しているが、今年(2019年)7月に起きたNEO(直径100m内外)の異常接近・通過(地球から約7万㎞)では、兆候を捉えたのは前日であった。映画アルマゲドンでは惑星との衝突を回避するために決死隊が惑星に降り立ち核爆弾を埋め込んで粉砕するが、実際はそんな時間余裕はなく我々は何が起きたかも解らずに死んでいくことになるのかもしれない。

 中国古代の杞の人は天が崩れ落ちてきはしないかと心配した(杞憂)というが、NEO衝突は起こり得ることかもしれない。生物大量絶滅の原因解明を読んで、いささかの無常観を感じつつ、本日の口演終了。