一時下火になったとされる仮想通貨が、再び脚光を浴びつつある。
それは、フェイスブックが計画するリブラ、中国中央銀行が国策で推進するディジタル人民元、それぞれの動向が世界の耳目を集めているからと推測する。電子決済や資産運用とは縁のない自分であるが、時代についていくために仮想通貨について勉強してみた。通貨は国家を代表する中央銀行が発行するものであり、かっては中央銀行(国家)が発行額面と同等の金や銀と交換を保障する兌換紙幣が主流であったが、経済規模の拡大に従って貨幣が金(銀)の生産・流通量以上に必要とされるようになって、現在のように国の管理通貨制度の下で発行される不換紙幣(国家の信用貨幣)となったと理解している。仮想通貨は文字通り発行元(保証者)や額面の無い通貨で、現在世界には1500種の仮想通貨が存在するとされ、日本ではビットコインやイーサリアム等14種類が仮想通貨取引所(金融庁認可)で流通しているらしい。何故、額面もなく国家が保証しない通貨が存在できるかと云えば、通貨保有者がネット上の構成員を相互に信用することで成り立っており、その信用の度合いで価値が決まるようである。中国はこれまで、国の通貨管理が及ばないために現行の為替管理が不可能になることから仮想通貨制度を一貫して否定しているが、決済通貨として”元”の信用度が上がらないとともに、流通経路の追跡がほぼ不可能な点を利用して、米中経済摩擦・北朝鮮等の国連経済制裁国への”元”供給の抜け穴として、ディジタル人民元の発行(数か月後?)を水面下で準備しているとされる。リブラについていえば、フェイスブックが昨年3000~5000万人の個人情報流出事件を起こしたために米国金融委員会からの認可が、当面見送られる公算が大きい。
仮想通貨の現状と流通、購入・自国通貨への換金方法について、やや理解することができたが、この程度の知識では手を出すことはできないだろうと感じた。一般に言われているように、仮想通貨制度は犯罪者の資金洗浄や不法送金に使用されやすく、アメリカ下院の公聴会でも「経済政策が無力となり経済を崩壊させる」、「犯罪者に手を貸す行為」との意見が出されている。中国はディジタル人民元を国家管理することでドルに挑戦しようとしているが、人民元の流出と計画経済の崩壊を招きかねない“両刃の剣”となり兼ねないと危惧する意見もある。”当面は静観するに越したことはない”というのが、今回の勉強の成果である。