もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

新自由主義を学ぶ

2021年08月23日 | 与党

 経済学に暗いので、巷間で批判・攻撃されている新自由主義の功罪を勉強した。

 付け焼刃なので的外れや誤った点も多いと思うが、一般市民の平均(以下?)レベルの考察・観察と割り引くとともに、新自由主義反対論者からの御教示を期待しています。
 各国の経済政策を一言でいえば「経済活動と富の配分に関する政府の関与」をどの程度にするかであり、新自由主義は政府の規制・関与を「野放し」と表現できるほどに最小化して、経済を完全な自由競争と市場原理に任せる政策を指していると思う。
 新自由主義の対義語は何かといえば、政府関与の度合いに応じて共産主義・社会主義・社会民主主義と様々であり、新自由主義反対論の多くが、政府関与の度合いをどの程度にすべきかという「立ち位置」を明確にしないままに語られているため、自分のような素人は新自由主義の良否について判断に迷っているのが現実である。
 日本の戦後史を振り返ると、3公社5現業、電力大手の地域分割、米の統制、公定料金の設定、等に見られるように、資本主義社会では稀有の社会主義的経済政策を採用し復興には一応の成果を挙げていた。しかしながら、公的な独占経済体制・企業は競争力を失うとともに官財癒着の弊害が顕著になったことから、次第に政府の規制は緩和され、小泉政権以降は新自由主義と称される様相を呈したものと思う。この変化については、野党の「岩盤規制撤廃」の主張・努力にも沿ったものであり、社会主義的経済から新自由主義に移行したのはリベラル政党の功績で、彼等も「規制緩和を勝ち取った」と勝利宣言した事例も少なからず記憶しているが、大きな政府構想を掲げた枝野氏が、どこら辺り釜では不明ながら先祖がえりを企図しているのは皮肉なものである。
 新自由主義経済は、必然的に過酷な競争原理を資本家と労働者に求めるために、当然の帰結として階層の分化と格差を生むとともに、アメリカ社会では「肥大化した資本家が政治権力すら握った」とまで囁かれている。
 一方で、社会主義型・多少穏健な社民主義的な経済政策は、国民が向上心や勤労意欲を低下させて経済活動を低迷させることは歴史が証明しており、中国の人民公社の失敗程ではないにしろ、コロナ禍の猖獗制御に一応の成果を見せたアメリカで、過剰な休業補償に馴れた労働者が職場に戻らないという事例も報告されている。

 新自由主義の行き過ぎによる格差是正や中国を世界の工場視する体制改革は必要であると思うが、政府の関与を如何ほどにすべきか、極めて難しい選択であるように思える。
 なお、新自由主義反対論の多くは、新自由主義で達成した現在の経済規模をベースにして改革を論じているが、社会(社民)主義的経済は必然的に減速・縮小する運命にあるとともに、規制の強化は起業意欲の減退や新規参入者の減少を招きかねない面も持っており、後世の青少年からアメリカン・ドリームを奪う危険性を持っていることを考慮して論じて欲しいと思う。


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2 コメント

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有難うございます。 (管理人)
2021-08-23 23:07:20
行雲流水 様
御教示有難うございます。
自由主義政体では規制の塩梅が重要な課題であることが理解できました。規制を強化すると許認可権に係る不正・腐敗を招き、規制をなくすと資源の寡占が起こりと、河清にはまだ長時日が必要と慨嘆しております。
最後に、アメリカの税制改革は、大きな政府という従来の民主党の政策に戻っただけと観れば新自由主義放棄の一環と観るのは時期尚早で、GAfa等に対する対応を待つべきではないでしょうか。
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Unknown (行雲流水の如くに)
2021-08-23 20:02:55
こんばんわ。
新自由主義はアメリカのレーガンやイギリスのサッチャーが進めた政策で、基本的な政策は「規制撤廃」でした。
規制撤廃すれば強い者はますます強くなります。その効果で経済成長は目覚ましいものがありました。
しかし行き過ぎには必ず副作用が伴います。「格差拡大」です。
おそらくこの格差拡大はもう限界に来ているのでしょう。
そこでアメリカはすでに法人や高所得者に増税するという揺り戻しが起きています。
日本の自民党政権はまだ新自由主義に固執しているようです。
しかし全体の流れとして社会民主義的な方向に舵を切らざるを得ないでしょう。
問題はご指摘のようにどのレベルで調和させるかでしょう。
その辺の選択を次期総選挙で与野党は国民に示すべきですね。
(今のままの政策で走るのかそれとも修正を加えるのか)
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