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フランス発、御用学者裁判のもみ消し工作:サルコジ大統領はわざわざ日本に何しに来たか?

2011-05-03 12:51:43 | 海外情報
前2回の記事(ここここ)で記した経緯を経て、とうとうペルラン氏(以下、ペ氏)は2006年に「重大詐欺」で被疑者として取調べられることになった。フランス国民は捜査と報道の過程で、この男のことを「放射能雲は国境で停止した」というフレーズとともに記憶した。ところが、数か月まえ、ペ氏の弁護団は、裁判所に「控訴棄却」を請求。奇しくも福島原発の事故後日も浅い3月中旬に予審判事は捜査の一時停止を命じられる。3月31日、パリ控訴院(高裁相当)が開廷し(保守派のフィガロ紙でさえ「もっといいタイミングはなかったものか」と慨嘆)、公訴棄却について審議。結論を9月に出すとした。

当日は、雨。裁判所は当初の通告を翻し、原告の入廷を拒否。びしょ濡れになった原告の一人一人に、「ヘルメットをかぶり、盾を構えた黒服Ninja装備の機動隊30人」がつく警戒ぶり。近くのセーヌ川(観光客がぞろぞろ歩くノートルダム寺院の近くです)では、警察の警備艇にウエットスーツの潜水班まで出ていた。衝突が起こって川に落ちた人が出たら救出しようということか。「まるでSFの世界」と原告団の一人は言う。

言うまでもなく、公訴棄却審議について原告団は一斉に反発。棄却の場合は破毀院(最高裁相当)に上告すると宣言。サルコジ大統領・司法大臣に公開状を出した。以下、その怒りの声。

『・・・今日この日は、フランス人権宣言とフランス憲法の歴史に深く刻まれることでしょう。史上初めて、公衆衛生問題で予審判事の捜査が強制中断され、検事総長はピエール・ペルランなる被疑者の弁護士の要求に屈したのである。・・・私たちはこの日を絶対に忘れることはない。

・・・この予審捜査の過程で、ペルランを長とする、国民の保護に責任のある機関が、放射能雲の通過時に私たちの肺、私たちの食物に深刻な汚染が起こるのを十二分に承知していたことが明らかになりました。各地の原発・国家警察・消防署では、線量計が警告音を発し続けていました。少なくとも4日はこういう状態でした。線量計の叫び声をかき消すために、機械の電源を抜け、という命令が発せられました。原発では従業員とその家族にヨウ素剤が配布されました。

・・・フランスは当時の食品規制値を尊重しませんでした。1986年5月中旬のEU会議において、他国がキロ当たり400-600ベクレルという順当な基準値を採用していた時、フランスのみは、それを10,000ベクレル/キロとしました。「事故後の例外的な状況であるから」という理由で。その結果、私たちの胃袋はヨーロッパの放射能ごみ箱となり、よそではねられたものが、農産食品会社を経由して、入ってきたのでした。牛乳、フォアグラ、キノコ、猟鳥などです。

・・・私たちの団体は当初、地方の小さな患者団体でした。それが、若い世代の甲状腺がん患者が急速に増えたことから、環境要因に思い当たりました。内分泌専門医がチェルノブイリの影響を問題にしはじめたのはそれからです。

・・・予審捜査のおかげで私たちは、今以下のような事実を知っております。いずれも私たちの主張を裏づけるものです。すなわち、チェルノブイリ放射能雲通過時の放射能汚染の正確な値、食品汚染の実態、甲状腺ホルモン剤のここ20年来の驚異的な売り上げ増であります。

・・・医学界の一部が原子力ロビーの攻勢に屈している現状も許し難い。1センチ以下のがんは数えないという前提で、「がんの増加はない」と言っても誰が納得するでしょう。・・・患者が自分のカルテを参照するためには、いくつかの病院を家宅捜索してもらわなければならなかったということもあります。・・・

・・・今回私たちは自分たちだけだった。しかし、大統領閣下殿、来る9月7日(結論の日)には、すべての政党にわたる共和国のすべての公職者に署名を呼び掛け、裁判の継続を要求するつもりです。そして、その日どんな結論が出されようと、私たちのやる気は将来に向けて、いっそう高まるでしょう。閣下は、このラブレーの言葉をご記憶でしょうか。「良心を欠いた科学は魂の破滅にほかならない」。今こそこの言葉をかみしめるときであります。』

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ここで、甲状腺障害患者団体から、良心のありかを問われているサルコジ大統領が、自国の原子力スタッフを引き連れて、3月に突如来日したことは記憶に新しい。フランスが自国民も守れない日本政府に代わって「人道的介入」をしてくれた、なんて思ったら甘い!彼らは彼らで自国民を守る気のない人たちだ。フランス人が福島事故の収束に力を貸すのは、事故処理がもたつくと自国の、そして世界の反原発傾向を活気づけ、自分たちの原発利権にケチがつく恐れがあるからだ。だからもし彼らの利権が、私たちの安全と対立するような局面が訪れたら、彼らはためらいもなく利権をとる。もう一つ、フランス人が福島の現場近くにいたい理由がある。それは、自国及び世界の世論コントロールのための情報対策だ。事故対策と同様、ドジな東電や日本政府にやらしておいたら、この上さらにどんなへまをやるとも限らない。情報隠ぺい・操作に関してはチェルノブイリ後の実績もある。ロボットを提供する、汚染水処理に協力する、なるほど・・・でも彼らは同時に情報処理についても東電を指導し、協力する。一例として、フランスの誇る世界最大の原子力企業複合体アレヴァ(その女社長がサルコジと一緒に日本に来た)の英文レポートがある。この中で、アレヴァはいわば業界の「口裏合わせ」(ドラマ「白い巨塔」では病院側弁護士がこれを「記憶の整理」と名付けていた)の音頭を取っている。中心点は2点。(1)地震で配管の破損はない、(2)水素爆発の原因となった水素はベントによって外に出た(格納容器は健全である)。4月7日付のレポートで今となっては滑稽な点もあるが、それだけ、彼らが必死であるのがよくわかる。良心も魂もない。

福島原発事故から、私たちが何をまなび、今後何ができるか、それが、フランスの裁判の行く末にも大きな影響を与えることは間違いない。

18時10分追記:
Le Monde紙によれば、サルコジ大統領は4月末のフランス中部での地方遊説で以下のように言ったそうだ。「ロウソクの生活にもどるわけにはいかない。脱原発など、自分で自分の片腕を切り落とすようなものだ。・・・日本の事故は原発事故ではない。あれは津波だ。フランスの中部に津波が来るとしたら、斬新だな。」日本では、被災者の方にお見舞い申します、なんて言っておいて、この発言。まったく図々しい斬新な大統領だ。
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