昨日、兵庫県庁の横にある兵庫県公館の大会議室におきまして、「平成18年度おいしいごはんを食べよう県民運動協議会総会」が開催されました。我が社が加入している兵庫県米穀小売商業組合は、この協議会の会員であり、さらに我が社は、兵庫県米穀小売商業組合加古川支部総代であるため、出席して参りました。
兵庫県が進めているこの「おいしいごはんを食べよう県民運動」は今年で10周年、平成10年に、国が推奨しました「ご飯を食べよう国民運動」のいわば、”火付け役”となった運動です。
現在この協議会は、91団体、59企業、42市町、8名の学識経験者の合計200会員で構成されています。
総会は、野尻 武敏会長((財)ひょうご震災記念21世紀研究機構会長)のご挨拶ではじまり、石原 兵庫県議会副議長、坂田 近畿農政局食糧部長の来賓祝辞へと続きました。坂田 食糧部長は祝辞の中で、「全国の耕作放棄地(休耕田や、農業の担い手がいないために放置された農地)が、38万ヘクタール(埼玉県の面積と同等)におよんでいる。」とお話され、この原因の一つが、「お米の消費量の低下である」と話が続きました。
具体的には、国民一人当たりの一年間のお米の消費量は、昭和38年が117Kgに対して平成16年では61.9Kgとなっているとの事です。約半分になってしまっているのですね。
総会の後「コウノトリと共生するお米づくり~わたしたちにできること~」と題したパネルディスカッションが開催されました。
まず、コウノトリ育むお米生産部会 畷部長により
「コウノトリが舞う地域を創造するコウノトリ育む農法」と題して、これ までの「コウノトリ育む農法」の取り組みが発表されました。
「コウノトリの絶滅原因や生物濃縮を考えると新たな農法が必要」と考えられ、「おいしいお米と多様な生き物を育み、コウノトリも済める豊かな文化、地域、環境づくりを目指すための安全なお米と生き物を同時に育む農法」としてこの農法が開始されたそうです。
平成14年から取り組みをはじめ、今では、「田んぼが生命の楽園」になり、そんな田んぼに「子供達が帰ってきた」と話されました。今ではコウノトリが舞い降りる田んぼとなったそうです。
簡単に言うと、この農法は、冬期に田んぼに水をはることにより、生物が育ち、そしてそんな生物を守るように、お米を作るというもので、米ヌカを使った除草で、除草剤、殺虫剤を一切使わないそうです。田んぼには、カエルやドジョウ、 メダカ、トンボなども増加します。これらの生物がコウノトリの餌となるわけです。
こうして栽培されたお米は、「コウノトリの郷米」として、100ヘクタールの農地で作られ、JAにより出荷されています。
是非とも、平成18年度産は、我が社でも取り扱ってみたいですね。
続いて兵庫県豊岡農業改良普及センター 西村 普及主査により
「県民がご飯を食べれば・・・田んぼが守られ、健康が守られる」
と題して、お話されました。
話の内容は、まず食物連鎖、つまり汚染された水が、生物によりいかに濃縮されていくかを説明されました。水に溶けている農薬などはプランクトンや小さい魚類をへて500倍の濃度になり、それを食べる食肉性鳥類、いわゆる魚を餌とするコウノトリなどの内臓で約80000倍となっていたことが、野生最後のコウノトリの解剖結果でわかったそうです。そして、そんな汚染された鳥を食べている人類も、この環境悪化が原因であろうデータが出ていることが紹介されました。
それは、「1942年から1992年のこの50年の間に男性の精子の数が42%減少、また健康な20歳前後の男性の9割以上が精子に一部奇形が有り、4割は精子量が少ない」というデータが、日本不妊学会から報告されたとのことです。つまり「コウノトリ絶滅の後を人類は追っている」のです。
またこんな面白いデータも紹介されました、東大脳をつくる学校の取り組みデータによると「朝、子供にご飯を食べさせることにより、自立神経が活発になり、授業に集中でき、成績が上がる」そうです。
これらの発表の後、コーディネーターで神戸大学名誉教授の保田 茂氏はこうまとめられました。
「皆さんが、ご飯を食べれば、お米がたくさん作れ、田んぼが蘇ります。日本の食糧自給率も上がります。
そして皆さんが、安全なお米を欲しがれば、田んぼで農薬が使わなくなり、コウノトリや生物が蘇ります。
安全なお米=高い・・・
でも、お茶碗一杯がいくらになるのでしょう。10Kg¥6000だったら、お茶碗一杯のお米(50g)はたったの¥30+光熱費です。
パンやその他の食物とどれだけ違いますか?
このままお米の消費量が減少すると、日本は食糧自給率ゼロの国となってしまい、生物の住めない国になってしまうかも知れませんよ!」
本当に参加した私にとって、勉強になった一日でした。と同時に、この事をいかに行動に移すのか、これからも大変です!
しかし、大げさですが、人類の将来のために頑張ります!
なお、この「コウノトリ育む農法」について神戸新聞WebNewsで「田んぼが生物の楽園に!」と題して紹介されています。合わせて一読下さい。