防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

土木工学はCivil Engineering

2009年10月16日 | 雑感
『家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫? - 』の はじめに に次のような一節があります。

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土木工学は英語で
Civil Engineering  と言います。『市民工学』です。一般市民の役に立たないと意味がありません。
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wikipedia では、

土木工学は英語ではCivil Engineeringである。当初は主として民業施設に関した工学を意味したとされる。これは軍事以外の部門を意味するCivil(Militaryの反意語)という語を、1771年にイギリスの機械技術者ジョンスミートンがそのようにCivil Engineeringの名称決定したことに由来するとされてはいる。近代はメカニカルやエレクトリカルエンジニアリングとの区別からであり基本的にはCivilな分野の技術を指すとはいえない。諸外国では日本で取り扱っている建築の技術部門や環境に関する部門も土木として扱われており、日本の土木工学と必ずしもイコールではない

とありますが、これも世間がもつ「土木」のイメージ≒公共工事 とも違うような感じですね。


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2009年10月15日 | 技術動向

先日の記事で『家族を守る斜面の知識 ~ あなたの家は大丈夫? ~ 』を紹介しました。新書本でポケットに入れやすいサイズです。斜面防災のオールスターというべきメンバーで、945円はお得です。2006年に出版された『知っておきたい斜面のはなし』とあわせてどうぞ。

知っておきたい斜面のはなし http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2007.htm
家族を守る斜面の知識 ~ あなたの家は大丈夫? ~ http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2386.htm

両方あわせて 2,415円 やすいです。


せめて自分の代だけでも - 斜面を守る -

2009年10月14日 | 維持管理の時代

先日千葉の地すべり調査で、住民の方が自宅裏山にフトンカゴ工を設置した理由を離してくださいました。なんでもその方が小さいころ(約40年前)、地すべりが発生したのでフトンカゴ工と排水ボーリングを設置したのだそうです。

この組み合わせはよく見かけるのですが、その方は”念のため”という言葉を使われました。そのときは、斜面にみかんの木やタブノキ、シイ等の照葉樹があって、人も住んでいて管理が行き届いていたため、目だった災害はそれ以降ないとおっしゃっていました。ただ、土地柄地すべりはとても多く、祖父の代から何回か家屋被害を伴う地すべりはどうしてもあるとのことですが。

いまは、人も住んでいないし、かつて家があったところは私の体が入らないくらいの竹やぶになっています。竹やぶの下に家を作ってはいけないとは先日書きました。竹の動きを地すべりの挙動方向を示すセンサーとして代用を試みちた研究もあるくらいです。

高知大学 横山俊治山相学研究室

タケの傾きから地すべり変動を読む
Tilting bamboos indicate moving directions of the unstable landslide at Ichihara, Kobe City
http://yokoshun.goemonburo.com/Works/Proceeding/Proceeding_Murai_JSEGC2005.pdf
1998年9月の高知豪雨では,都市を取り巻く山地の山麓部で多くの地すべり災害が発生し,その災害発生箇所の1/3は竹林であったと報告されている※
。竹林と地すべり現象の因果関係の解明は不明であるが,今後,竹林の地すべりが都市域で発生する地すべり災害の典型となることも懸念されている※。傾動したタケは,こういった場所で発生する地すべりの地盤の傾動を的確に知るための有効な樹木センサーとなるものである。

※日浦啓全・有川 崇・ドゥラ ドゥルガ バハドゥール(2004):都市周辺山麓部の放置竹林の拡大にともなう土砂災害危険性.地すべり,Vol.41,No.4,323-334.


家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫

2009年10月13日 | 維持管理の時代
がついに発売されました。

土木学会のサイト
http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2386.htm

防災の第一線で活躍する専門家が最新の知見をわかりやすく解説。家族や資産を守るための知恵が詰まってなんと 945円

新書ですが、内容はとても充実しています。ひとつコラムを紹介しますと『千年盛土』というのがあります。千年盛土というのは、箇所だけ1000年にもわたって被害を受けていない盛土のことです(古墳です)。直下型地震である慶長伏見地震でも被災しませんでした。その秘密は?


蛇紋岩とさかなのうろこ

2009年10月12日 | 各地でのTOPICS
生々しいタイトルですが、最近千葉と三浦半島の地すべり地形の調査をする機会があり、両方とも蛇紋岩の露頭を見たわけです。読んで字のごとくというか、まさしく岩の表面は蛇の紋様です。

さて、このような地すべり地にも、おしゃれな宅地を時々見かけます。蛇紋岩地すべりは細かく細かく分かれていきますので、宅地としては基本的に向きません(宅建にもこのような問題は出ますね)。

蛇紋岩地すべりの分布を地形図に表現しようとすると、さかなのうろこのような模様になります。しかも、危険度判定に関して、これと言って色分けする決め手もないので厄介です。地形学の大家、中央大学の鈴木隆介先生も、論文の中で小規模な蛇紋岩地すべり地の地形分類法の考案が望まれる、とされています。根気よく記載していくしかないでしょうね。

神奈川歌壇から

2009年10月11日 | 雑感
神奈川新聞に味わい深い川柳がのっていました。

        限りなき 私のミスを 消し去りて

                 その身細めし 白き消しゴム
 

”限りなき”と”その身細めし”という所に"現場”を感じます。数値解析のDelateにはない感覚です。人間はミスは限りなくても、そのミスがなんであったか、思考回路がどうであったかを記憶しています。ですから、デザインができます(このあたりは、『考えるヒント』にも書いてありました)。

いまは、土石流の氾濫範囲や地すべりの滑動範囲を消しゴム片手に考え込むことがありません。しかも、決っして時間が節約されているかというとそうでもないので、余計この川柳の味が出てきます。

災害伝承情報データベースから

2009年10月10日 | 災害の記憶と想像力
竹やぶの下に家を作ってはいけない
http://www.saigaidensho.soumu.go.jp/saigai/import.2007-03-13.185839-1/

じつにあっさりしてますが、このようなことでもデータベース化してあるところに価値を感じます。地すべりには沢山の言い伝えがありますが、決して”昔話”ではありません。これは根が深くは入り込まないためで、大雨の際には斜面の竹林はそれ全体が滑り落ちるような崩れ方をする例がある。とはWikipesiaからの引用ですが、地すべり調査中におじさんから聞いたところでもあります。

地すべり防止工事士登録証を持っては行った

2009年10月09日 | 維持管理の時代

私は地すべり防止工事士の資格を持っており、その登録証も持っています。この資格を取ったときにもブログに書きましたが、登録証には『地すべり調査・工事・管理に就く時は、必ずこの登録証を携行すること』と書いてあります。今週は、地すべり危険区域の斜面及び防災施設の維持管理点検に来ていますから、携行しています。

ただ、顔写真つきのこの登録証を持ち歩くのであれば、もっと知名度がほしいところです。さらに言えば工事士ってのが少し引っかかります。ちょっと古風です。日本の棚田など美しい景観の形成に、地すべりは大きく関わっているのですから。
地質調査技士みたいに部門分けも必要なのかも知れません。

嗚呼、また雨が強くなってきました。


今日も雨のなか地すべりの調査

2009年10月07日 | 災害の記憶と想像力
日本には6つの季節があるといいます。そのうちのひとつが秋雨前線なんでしょうが、なんでまた私が現場に入るときに限って雨なんでしょう。しかも寒いし><

まあ、おかげで生々しい湧水を見る事ができましたが。それにしてもこんなところにおしゃれな家を立てるのはよくありません。確かに太平洋が見えて景色はよいのですが、地すべりによって竹がバキバキと音を立ててるのはあまりいい音ではありません。

今年は忙しい

2009年10月06日 | 技術動向

すっかり秋めいてきましたが、それとは裏腹に砂防関係を中心に忙しくなってきました。巨大な補正予算に始まり、豪雨災害、政権交代と、砂防関連の仕事を一気呵成に発注する理由が、今年はそろってしまっています。

ただ、このミニバブルというべき現象は今年限りだと思っています。心配なことは仕事の数が多い割には、新鮮さに欠けることです。2~3年前の計画の焼き直しや、思い出したような維持管理業務です。そこに防災に対する使命感というよりは、事務所の維持に躍起になっていることが、いつにもまして見えてしまうわけです。

来年以降、民主党改革が本格化するでしょう。ムダを省くというのはいいことですが、その現場をよく知る技術者が入札時にちょっと高く応札してしまったがゆえ、初心者的な技術者にまわってしまうような制度も変わってほしいものです。


プレゼンテーション技法

2009年10月05日 | 雑感
オリンピック招致に関する一連の活動をみていると、プレゼンテーション技法の重要性を感じますね。日本人のプレゼン力不足は久しく言われていることですが、これは地質調査業界でも深刻な問題だと思います。というか、深刻に考えていない人が多いのも気になります。

公共事業は、点数と実績で選ばれるためドライです。これが民間需要開拓となると、人の心に直に訴えますので、プレゼンテーションはコアな技術になってくると思うのですが。

宅建の受験票が届きましたが、、、

2009年10月04日 | 資格に関すること

今日自宅に宅建の受験票が届いておりました。嗚呼、今年も来てしまいました。自分は防災地理調査が専門なので、地形の問題は間違えることはありませんが、それ以外は正直言って確信を持って答えられる自信がありません。

なんでも今年は宅建業法からの出題が増え、合格者最低点が上がるといわれています。ちょとわやですね。問題文に問われているシーンがなかなか目に浮かばない。来年までには取らねばと思うのですがどうしたらよいでしょう。


新たな時代の予感

2009年10月03日 | 雑感

オリンピックは南米リオ・デ・ジャネイロに決まりました。
鞆の浦の裁判は、景観保全を主張する側が勝利しました。
相次ぐダム事業の中止
楽天イーグルスの快進撃(?)

新しい風が見えてきました。
防災・国土の保全は自分の力で、というムードが出てくるでしょうか。


東京オリンピックと環境

2009年10月02日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
今日IOCで東京オリンピック招致のプレゼンテーションがあったようです。なんでも”環境にやさしい”んだとかで、氷河が崩落する映像も流れておりました。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/sports/host_city_bids/?1254483470

なんだかスポーツとどんどんかけ離れていっているような気がしませんか。確かに緑のコリドー(回廊)の中をランナーが走るは気持ちがいいでしょうが、ちょっと地球規模の議論は論理が飛躍しすぎています。それよりも、候補4都市のうち東京だけが湿潤変動帯にあります。地震、秋雨前線など快適さを奪う要因はいくらでもあります。