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平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(3) - ダムの近くの地すべり -

2008年06月16日 | 平成20年6月岩手・宮城内陸地震

平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震では、5,000万m3とも言われる地すべりの土量もさることながら、ダムが近くにあったことです。

映画にもなった史上最悪のダム災害(
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=240867)である、1963年イタリアのバイオントダムでは、ム貯水池にすべり込んだ地すべりは, <大波>を引き起し,その波はダム天端を乗り越えて下流のロンガローネ村などを襲い1190名の死者を出し、地すべり地や下流域を総計すると死者2125名にのぼりました(アーバンクボタ第20巻より)。

実は、今回の被災地の近いところで、バイオントダムの6年前にダムの貯水池地すべりが問題になっている場所がありました(以下、アーバンクボタ第20巻より引用します)。宮城県栗駒市の鳴子ダムです。

《地学的要因》
空中写真判読で認められた過去の地すべり変動地を図に示した.問題の地すべり7ヵ所は,明らかに過去の種々な地すべり変動地域に発生している.これは,過去に滑落した,安定ないし準安定状態にあった地すべり移動体の一部が,ダム湛水によって再び不安定になった事を示すものである

《水位下降時》
最初の湛水時に移動を起して一時停止し,6年後,地すべりの対策工事のために貯水位を8日間で6m
降下させた直後に再移動した.

ダムでは放水により水位が低下することがあります。そのときに、水位の低下が急激だと、土の中に地下水が大量に残った状態になってしまいます。土のなかにはすき間に水をたくさん含みながらも砂粒同士が接触していることによって安定しているのですが、急激な水面低下によって地下水がぬけたりすることによって、土砂をつなぐ役割をしていた水がなくなりすき間に水をたくさん含みながらも砂粒同士が接触していることによって、ついには地すべりに至ります。

今回の被災地は、長年にわたり火山灰が積もった地域で、大量の水を含んでいたようです。奥羽山脈にはダムが多いだけに、活断層ばかりに気をとられているわけにはいかないようです。


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