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思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本

2009年03月06日 | 災害の記憶と想像力
”マニュア”る ことしか頭にない人が、最近ヤクショだけでなく民間にも増えてきたなあというのが率直な印象です。この本の筆者、郷原信郎氏といえば「法令遵守が日本を滅ぼす」という本で有名になった方で、この2月に「思考停止社会-遵守に蝕まれる日本」という本を出版されました。

思考停止社会 「遵守」に蝕まれる日本
http://books.livedoor.com/item/3154412
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今こそ、何も考えないで「遵守」するという姿勢から脱却して、起きている物事の本質、根本を理解し、認識し合い、めざすべきものを明確にした上で、力をあわせるべきときです。
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ここでのキーワードは”何も考えないで”というところにあります。最近私が行った調査結果に対して、○○番目のカルテの写真も”洗掘現象”の範囲に入るのですか?と教科書の模式図と照らし合わせたような質問を連発されたことがあります。私に聞いているというよりは、Googleで検索をかけているという印象です。なぜ、自分がそれを疑問に思うのかというところに立ち止まってひと呼吸して考えるという習慣がなくなっているようです。

防災に関わる調査は、基礎的調査であるほど五感をフル活用し、地質・地形発達史的背景、それに応じた土地利用の歴史、衰退など、ひとつの現場をみていくつもの事象を想像するべきなのですが、成果として求められる”カルテ”は、1つのことに対して1つのことしか記入してはならない、考えてはならない、基準書どおりやることは、実際のがけ崩れがおこるだろうという想像力(その結果が物議をかもすため)を欠如させろ、といっているようなものです。

なんども言いますが、防災の第一歩は「災害の記憶と想像力」。とても定性的なことなのです。

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