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千年盛土と億年クッション!?に見る災害軽減のロマン

2009年10月22日 | 盛土が安定すれば安心
『家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫? -』 に千年盛土というコラムがあります。

土木学会のHP http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2386.htm

これによると、直下型地震によって壊れてもおかしくなかったという古墳があり、その要因は土器の層が地下水をよく通し、間隙水圧の上昇を防いだというものです。谷埋め盛土の地震防災対策は21世紀に課せられた大きな課題なのですが、古代の人が図らずも千年続く防災対策をとっていたことに対してロマンを感じます。

一方で、今日次のような興味深いニュースがありました。

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蛇紋岩 沖縄の大地のクッションに
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091022-00000003-maip-soci

 ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む境界がある沖縄諸島付近では、境界深部に軟らかい蛇紋岩が存在することでひずみが蓄積しにくく、プレート境界型巨大地震の発生を抑制している可能性があることが、広島大などの研究チームの調査で分かった。22日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載された。
 研究チームは、沖縄諸島付近の深さ30キロ以上のプレート境界で、地震波の伝わる速度が方位によって異なる現象(異方性)を調査し、プレートと一緒に沈み込んだ水がマントルと混ざり合う過程で境界上に生成された蛇紋岩があると推定。実験室でプレート境界に近い高温高圧の条件で蛇紋岩を変形させた結果、沖縄諸島付近と同様の現象が生じた。
 表面がヘビの模様に似ている蛇紋岩は、地上では地滑り地帯などでみられる。もろくて軟らかい性質のため、ひずみを蓄積することができない。
 研究チームは、蛇紋岩の存在がプレート境界深部での巨大地震の発生を抑制している可能性があるとみて、太平洋プレートがユーラシアプレートに沈み込む東北地方付近と比較したところ、蛇紋岩の存在は確認できなかった。プレート境界の温度が低く、放出される水が少ないため蛇紋岩の生成に至らなかったとみている。
 また、深さ30キロ以上のプレート境界深部が震源となった地震のうち、過去100年間に起きたマグニチュード6以上の大地震の発生状況をみると、沖縄諸島付近は、東北地方付近の数十分の1に抑えられていた。
 広島大の片山郁夫助教(岩石変形学)は「プレート境界での蛇紋岩の分布を詳細に調べることで、巨大地震発生の可能性を探ることができる」と話している。
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前者が千年盛土なら後者は億年クッションでしょうか。こんなところに自然科学のロマンを感じます。

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